その他の熱中性子炉 水素(H-1)と重水素(H-2)の中性子捕獲断面積 重水は軽水と比べて質量数が大きいため、衝突あたりの中性子減 速能力は劣るが、中性子吸収が格段に小さい。 減速材の量と中性子増倍率(重水を使った場合) U-235濃縮度 ピンピッチ ・水の量を増やすほど中性子増倍率は大きくなる。 ・0.85%のU-235濃縮度でも臨界を達成出来る(天然ウランでも臨界達成可能)。 重水型原子炉:CANDU(CANadian Deuterium Uranium) 核燃料:UO2 / 冷却材:重水 / 減速材:重水 Wikipediaより ・カナダは電気代が安い(水力が豊富)ので、重水の濃縮が低コストで可能。 ・一次系圧力は9~10MPa。 重水型原子炉:Advanced Thermal Reactor「ふげん」 核燃料:UO2 / 冷却材:軽水 / 減速材:重水 電気出力は165MW ATOMICAより H-1、H-2、Cの中性子捕獲断面積 炭素も中性子吸収が小さいが、重水や軽水と比べて質量数が大き いため、衝突あたりの中性子減速能力は劣る。 減速材の量と中性子増倍率 重水減速 黒鉛減速 黒鉛を減速材とした場合は、大量の減速材が必要となる →炉心が大型化する 黒鉛型原子炉RBMK 核燃料:UO2 / 冷却材:軽水 / 減速材:黒鉛 原子力図面集2014より ・黒鉛で中性子は十分に減速されるため、軽水の中性子減速に果たす役割は 小さく、中性子吸収物質として働く → 正のフィードバック効果をもたらす。 ガス炉:マグノックス炉 核燃料:UO2 / 冷却材:炭酸ガス / 減速材:黒鉛 炭酸ガスの炉心出口温度は350℃ Wikipediaより ・ガスの熱容量、熱伝導率が低いため、熱出力密度が小さくなり、原子炉が大型 化してしまう。 Magnox : Magnesium non-oxdising ・東海一号炉で採用(現在、廃炉中)。 ガス炉:高温工学試験研究炉HTTR 核燃料:被覆粒子燃料 / 冷却材:ヘリウムガス / 減速材:黒鉛 原子炉出口温度が高い:850~950℃ ガス炉:高温工学試験研究炉HTTR 核燃料:被覆粒子燃料 / 冷却材:ヘリウムガス / 減速材:黒鉛 実用炉では、高い出口温度を利用して、多目的熱利用方 法が検討されている。 ○水蒸気発電または熱電供給 ○ヘリウムガスタービン発電または複合サイクル発電 ○石炭ガス化、重質油改質、天然ガス改質、メタノール製造 ○熱化学ヒートパイプ、熱化学水素製造、水蒸気電解水素製造 ○原子力直接製鉄 天然ウランと濃縮ウラン 原子力図面集2014より ウラン238による共鳴吸収 ウラン-238の微視的中性子捕獲断面積 共鳴エネルギー領域 熱中性子エネルギー領域 減速 核分裂中性子エネルギー領域 熱中性子炉では、中性子はU-238の共鳴吸収ピークを超えて減速 しなければならない ウラン238による共鳴吸収 原子 番号 (n,γ) 241Am 95 239Pu 94 2.35d 238U (n,γ) 23.5m 239U 240Pu β- β- (n,γ) β- 241Pu (n,γ) β- 239Np 93 92 (n,γ) 14.4y 240Np (n,γ) 14.1h β- 240U は核分裂性物質 238Uからのプルトニウムの生成 U-238が中性子を吸収すると、核分裂性物質である Pu-239となる。 軽水炉ウラン燃料における核分裂寄与割合 原子力発電所の運転に伴い、Pu-239が生成され、 核分裂に寄与している。
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