5月14日資料3

その他の熱中性子炉
水素(H-1)と重水素(H-2)の中性子捕獲断面積
重水は軽水と比べて質量数が大きいため、衝突あたりの中性子減
速能力は劣るが、中性子吸収が格段に小さい。
減速材の量と中性子増倍率(重水を使った場合)
U-235濃縮度
ピンピッチ
・水の量を増やすほど中性子増倍率は大きくなる。
・0.85%のU-235濃縮度でも臨界を達成出来る(天然ウランでも臨界達成可能)。
重水型原子炉:CANDU(CANadian Deuterium Uranium)
核燃料:UO2 / 冷却材:重水 / 減速材:重水
Wikipediaより
・カナダは電気代が安い(水力が豊富)ので、重水の濃縮が低コストで可能。
・一次系圧力は9~10MPa。
重水型原子炉:Advanced Thermal Reactor「ふげん」
核燃料:UO2 / 冷却材:軽水 / 減速材:重水
電気出力は165MW
ATOMICAより
H-1、H-2、Cの中性子捕獲断面積
炭素も中性子吸収が小さいが、重水や軽水と比べて質量数が大き
いため、衝突あたりの中性子減速能力は劣る。
減速材の量と中性子増倍率
重水減速
黒鉛減速
黒鉛を減速材とした場合は、大量の減速材が必要となる
→炉心が大型化する
黒鉛型原子炉RBMK
核燃料:UO2 / 冷却材:軽水 / 減速材:黒鉛
原子力図面集2014より
・黒鉛で中性子は十分に減速されるため、軽水の中性子減速に果たす役割は
小さく、中性子吸収物質として働く → 正のフィードバック効果をもたらす。
ガス炉:マグノックス炉
核燃料:UO2 / 冷却材:炭酸ガス / 減速材:黒鉛
炭酸ガスの炉心出口温度は350℃
Wikipediaより
・ガスの熱容量、熱伝導率が低いため、熱出力密度が小さくなり、原子炉が大型
化してしまう。
Magnox : Magnesium non-oxdising
・東海一号炉で採用(現在、廃炉中)。
ガス炉:高温工学試験研究炉HTTR
核燃料:被覆粒子燃料 / 冷却材:ヘリウムガス / 減速材:黒鉛
原子炉出口温度が高い:850~950℃
ガス炉:高温工学試験研究炉HTTR
核燃料:被覆粒子燃料 / 冷却材:ヘリウムガス / 減速材:黒鉛
実用炉では、高い出口温度を利用して、多目的熱利用方
法が検討されている。
○水蒸気発電または熱電供給
○ヘリウムガスタービン発電または複合サイクル発電
○石炭ガス化、重質油改質、天然ガス改質、メタノール製造
○熱化学ヒートパイプ、熱化学水素製造、水蒸気電解水素製造
○原子力直接製鉄
天然ウランと濃縮ウラン
原子力図面集2014より
ウラン238による共鳴吸収
ウラン-238の微視的中性子捕獲断面積
共鳴エネルギー領域
熱中性子エネルギー領域
減速
核分裂中性子エネルギー領域
熱中性子炉では、中性子はU-238の共鳴吸収ピークを超えて減速
しなければならない
ウラン238による共鳴吸収
原子
番号
(n,γ)
241Am
95
239Pu
94
2.35d
238U
(n,γ)
23.5m
239U
240Pu
β-
β-
(n,γ)
β-
241Pu
(n,γ)
β-
239Np
93
92
(n,γ)
14.4y
240Np
(n,γ)
14.1h
β-
240U
は核分裂性物質
238Uからのプルトニウムの生成
U-238が中性子を吸収すると、核分裂性物質である
Pu-239となる。
軽水炉ウラン燃料における核分裂寄与割合
原子力発電所の運転に伴い、Pu-239が生成され、
核分裂に寄与している。