めざす理想像

第 2 班「福祉サービスの活性化と起業の促進」
第 2 班では、民間の
福祉サービス事業が健
全に発展するための仕
組みづくりを検討しま
サービスを利用したい人が利用したい時に
した。第 2 班の理想像
は、利用したいサービ
気軽に利用できる環境
スを利用したいときに
(福祉サービスのコンビニ化)
気軽に利用できる「福
祉サービスのコンビニ
サービスの量と種類が増える
化」ですが、それには
自由な発想で利用者の
福祉サービスの活性化と起業の促進
ニーズに応じたサービ
スを創出できる民間事
業者の存在が欠かせません。検討テーマはそのような事業者の出現を
期したものです。
福祉サービスが活性化するには地域内に「人材や場などの資源があ
る」「需要がある」「競争がある」「事業者の支援体制がある」こと
が条件となります。この 4 条件を踏まえて、第 2 班では目指す方向性
を「福祉資源の発掘と有効活用」「サービス需要の開拓」「競争でき
る環境づくり」「支援のための仕組みづくり」と定めました。
めざす理想像
(1)福祉資源の発掘と有効活用
活性化を図るには、「サービスを提供する人」「サービスを提供す
る場」「事業を運営する資金」が必要です。
①人づくり
ア)専門的人材の育成
ソーシャルワーカーやコーディネーター、ヘルパー、ケアマネジャ
ーなどの有資格者の育成を強化するため、地元の教育機関や専門機関
と連携して育成を目的とする研修機会の増設を図ります。
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イ)サポーターや相談員等の養成
子育てサポーター、
活性化のための方向性と取り組み
障害者や高齢者を支
① 福祉資源の発掘と有効活用
援するサポーター、
相談員などの人材が
場づくり
人づくり
必要とされているこ
サービス提供の
専門的人材の育成
とから、まず、指導
拠点づくり
者を確保してサポー
サポーターや
障害者、高齢者等
相談員等の養成
ターや相談員を養成
の雇用の場づくり
します。さらに、養
リーダーや
経営者の養成
成した人材をマンパ
資金づくり
ワーとして確保し、
退職者、高齢者の
経営力の強化
参加の促進
有効活用するため、
登録制度などを設けます。
ウ)リーダーや経営者の養成
福祉サービス事業の活性化には、専門的人材だけではなくマネジメ
ント能力を持った経営者や地域リーダーの存在が不可欠です。そこで、
これらの人たちを対象とした勉強会、交流会、養成講座などの実施を
支援します。
エ)退職者、高齢者の参加の促進
さまざまな分野で豊富な経験や知識、技能を持つ退職者、高齢者は
地域の貴重な人材です。やがて退職年齢を迎える団塊の世代が地域に
帰ってくるでしょうし、心身ともに健康な高齢者の多くは活躍の場を
求めています。そのような人たちの参加を促していきます。
②場づくり
ア)サービス提供の拠点づくり
拠点となる事務所やサービス提供の場が安価に利用できる仕組みと
して、遊休地や余裕施設の有効活用を推進します。
イ)障害者、高齢者等の雇用の場づくり
福祉サービスを必要とする人も能力を発揮する場が必要なため、持
てる能力や個性に応じて雇用を開拓できるように職業訓練などの充実
を図ります。また、雇用促進のため、働きたい人と事業者を結びつけ
るコーディネーターの育成にも努めます。
③資金づくり
ア)経営力の強化
それぞれの事業者の経営力を強化するため、商工会や税理士などと
連携し、資金づくり面での事業者支援に努めます。
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(2)サービス需要の開拓
サービス需要を開拓するには、市場ニーズを把握してサービスに結
びつけること、ニーズを創出すること、地域に根ざした新しいサービ
スの開発が必要です。
①市場ニーズの把握と創出
ア)市場ニーズの情報収集
市場ニーズを把握
する仕組みを整える
活性化のための方向性と取り組み
と同時に、そのため
② サービス需要の開拓
の人材も確保し、ニ
新サービスの開発
市場ニーズの把握
ーズ情報の収集、提
供に努めます。
新サービス発掘のため
イ)関係者間の意見交
の研究
市場ニーズの
換
情報収集
モデル地域、
モデル地域、モニター
多様なニーズの把
制度によるサービスの
試行・実験
握や埋もれたニーズ
関係者間の
を発掘するには、利
他地域のサービス事例
意見交換
用者も含めた福祉関
の説明会、
の説明会、研究会実施
係者同士で意見を交
換し、情報を共有化
する必要があるため、定期的に民間事業者、福祉関係者、利用者の交
流会や意見交換会を実施します。
ウ)サービス内容の開示
サービス内容の透明性を高めることが利用者のサービス選択を容易
にし、ひいては需要の創出につながるため、サービス選定の判断基準
となるガイドブックづくりなどを支援します。
また、事業者のサービス評価内容が開示されることも利用者にとっ
ては重要なサービス選定の判断基準となるため、需要を喚起する材料
といえます。
②新サービスの開発
ア)新サービス開発のための研究
福祉ニーズの多様化に対応した新サービスを開発できるように、福
祉団体や大学、学識経験者などが連携して研究や提言を行う仕組みづ
くりを支援します。
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イ)モデル地域、モニター制度による新サービスの試行・実験
開発した新サービスを普及させるには、利用者の生の声を早い段階
で取り込んで改良を加えることが重要であるため、モデル地域の指定
やモニター制度による新サービスの試行・実験を支援します。
ウ)他地域の事例説明会、研究会の実施
規制緩和の進行により、各地でさまざまな新サービスが誕生してい
ます。そのため、先進的サービス事例の情報収集や説明会の実施、新
サービスの研究会等の実施を支援します。
(3)競争できる環境づくり
福祉サービスの水準を向上させるには、事業者間で切磋琢磨する健
全な競争が必要です。
①情報の共有
ア)情報収集提供体制の整備
健全な競争が展
活性化のための方向性と取り組み
開されるには、事
③ 競争できる環境づくり
業者が必要とする
市場情報が公平に
情報の共有
起業しやすい環境づくり
行き渡る仕組みが
必要であるため、
規制緩和の促進
情報収集提供体制
の構築
ニーズ情報、サー
ビス情報、利用者
起業のための
環境づくり
行政情報の
情報、福祉関係者
積極的開示
が持つ情報などを
収集し、提供する
サービス評価や
定期的な情報交換会
サービス選択の確保
体制を整備します。
イ)行政情報の積極
的開示
行政が有する開示可能な福祉関係情報や市場情報、基礎情報として
の人口統計、アンケート調査結果なども積極的に開示します。
ウ)定期的な情報交換会
事業者が利用者や社会福祉協議会などの福祉関係者から情報を得ら
れる場としての情報交換会を、定期的に実施します。
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②起業しやすい環境づくり
ア)規制緩和の促進
民間事業者の事業機会を拡大するため、サービス利用者に配慮しな
がら、福祉特区の申請や参入障壁の撤廃、行政サービスの民間委託な
どを検討します。
イ)起業のための環境づくり
起業家精神あふれる人材が多く育つような意識啓発に努めるととも
に、起業者に対しては情報やアドバイスの提供といった経営支援を行
います。
(4)支援のための仕組みづくり
事業者の支援策
として考えられる
のは、サービスの
専門化、総合化を
目的とした福祉分
野以外の医療・保
健関係者、民間企
業・団体などとの
連携をサポートす
ることと、実際の
支援母体となる場
や組織を立ち上げ
ることです。
①連携の促進
福祉サービス活性化のための体系図
福祉資源の
福祉資源の
発掘と有効
発掘と有効
活用
活用
サービス
サービス
需要の開拓
需要の開拓
競争できる
競争できる
環境づくり
環境づくり
支援のため
支援のため
の仕組み
の仕組み
づくり
づくり
人づくり
人づくり
場づくり
場づくり
資金づくり
資金づくり
市場ニーズの把握
市場ニーズの把握
新サービスの開発
新サービスの開発
情報の共有
情報の共有
起業しやすい
起業しやすい
環境づくり
環境づくり
連携の促進
連携の促進
支援のための
支援のための
組織づくり
組織づくり
地域戦略会議
(仮称)の開催
人材養成講座等
の企画実施
新サービス研究
会の設置
情報プラザの
開設
経営支援室の
開設
ア)医療・保健分野との連携
医療・保健分野には医師、看護師、薬剤師、理学療法士などさまざ
まな資格や経験を備えた人が存在するため、医療機関との連携を促し、
専門的かつ総合的なサービスを提供できるような仕組みづくりを支援
します。また、保健分野の保健師、栄養士などとの連携による健康づ
くりへの取り組みも支援します。
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イ)民間企業・経済団体との連携
地元の民間企業や経済団体と連携すれば、お互いに業務内容の拡大
やサービスの多様化が図れます。例えば、福祉分野で利用できる優れ
た商品を生産・販売している地元企業があるとします。その企業の商
品を福祉施設などの事業者が積極的に採用して利用者の声をフィード
バックし、製品開発のヒントにしてもらう、あるいは直接商品開発を
提案するといったことが考えられます。企業側は商品の種類が充実し、
事業者はより使いやすい製品を享受できるというもので、特に生活関
連企業との連携支援を想定してします。
このほか、障害者が働く小規模作業所などでは営業力不足が問題と
なっているため、販路開拓面での連携を支援します。
ウ)民生委員・児童委員、市政協力員等との連携
民生委員・児童委員や市政協力員と連携すれば、福祉サービスが必
要な人の情報を入手できるため、情報交換会や継続的な交流を通じて
民間サービスを紹介できるような支援を行います。
エ)利用者との連携
サービス利用者の意見、苦情、提案を事業者が提供するサービスに
反映できるように、利用者との連携を支援します。
②支援のための組織づくり
ア)「地域戦略会議(仮称)」の開催
福祉サービス事業の方向性や戦略を検討する「地域戦略会議(仮
称)」の開催を支援します。構成メンバーは福祉関係者、民間事業者、
市民、学識経験者、行政などで、定期的な開催を目指します。
イ)人材養成講座の企画、実施
人づくりの計画的な取り組みとして、これからの福祉サービス事業
を担う専門家、経営者、リーダーなどの人材養成講座を企画、実施し
ます。
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ウ)新サービス研究会の設置
新たなサービスの開発を目的とする「新サービス研究会」の設置を
検討します。構成メンバーは、福祉サービス事業の従事者や専門家、
学識経験者などで、新サービス開発の研究を行い、研究成果は公開し
ます。
エ)「情報プラザ(仮称)」の開設
福祉サービス事業者の情報力強化のため、情報を収集・提供する拠
点として「情報プラザ(仮称)」を整備し、ニーズ情報やサービス情
報などを収集・管理し、事業者へ提供します。
オ)「経営支援室(仮称)」の開設
福祉サービス事業者のマネジメント能力を向上させるためにアドバ
イスの提供などを行う「経営支援室(仮称)」の開設を検討します。
福祉サービスの実務経験者、コンサルタント、各種団体のリーダー、
金融機関、企業などが参画し、セミナー開催やアドバイスの提供、異
業種間交流などのコーディネート、出資、融資などに関する支援を行
います。
2 班のワークショップの風景
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