【Cancer Science Course】 平成 27 年 6 月 17 日 June / 17 / 2015 大学院学生各位 To All Graduate Students 平成 27 年度 基盤医学特論 特徴あるプログラム 開講通知 Information on Special Lecture Tokuron 2015 Toku Pro2015 題目:代謝異常とがん Title:Metabolic disorder in cancer 講師:北林 一生 先生( 国立がん研究センター研究所 腫瘍研究分野・分野長 ) 造血器 Teaching Staff : Issay Kitabayashi (National Cancer Center Research Institute, Division of Hematological Malignancy・Chief) 日時:平成 27 年 7 月 9 日(木)17 時 00 分~18 時 30 分 Time and Date: July 09, 2015 (Thu) 17:00-18:30 場所:基礎研究棟 Room : 会議室2(生協印刷部隣) Building for Medical Research Meeting Room 2 言語: 日本語 Language: Japanese ※ 関係講座・部門等の連絡担当者 分子腫瘍学 荒川 (内線 2454) Contact : Division of Molecular Carcinogenesis, Arakawa (ext 2454) 事前の申込みは不要です。No registration required 医学部学務課大学院掛 Student Affairs Division, School of Medicine 代謝異常とがん(Metabolic disorder in cancer) 国立がん研究センター 北林一生 がん細胞は、増殖や分化のコントロールを逸脱した細胞集団であるが、がん細胞を取り巻く環境は酸素 や栄養が十分ではない。そのため、がん細胞は低酸素・低栄養下でも生き残ることが出来る能力を再獲 得し、代謝をリプログラムされている。最近の研究から、がん細胞の代謝戦略は遺伝子変異により引き 起こされた偶然とは思えないほど合理的であることが明らかにされてきた。 イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)をコードする IDH1 遺伝子及び IDH2 遺伝子は、急性骨髄性 白血病の他、脳腫瘍・骨髄異形成症候群・胆管がん・軟骨肉腫・骨肉腫・骨巨細胞腫・血管免疫芽球性 T 細胞リンパ腫など様々ながんにおいて高頻度に変異が見られる。野生型 IDH はイソクエン酸をαケ トグルタル酸( )に変換するが、変異型 IDH は野生型と異なり、 を2ハイドロキシグルタル 酸(2HG)に変換する活性を持つことから、変異型 IDH は正常細胞にはないがん特異的な理想的な治 療標的である。しかしながら、これまでにがんにおける変異型 IDH の役割を評価する動物モデルがな いため、変異型 IDH を標的とした治療薬の開発は困難であった。我々は、IDH 遺伝子変異を有する急 性骨髄性白血病モデルマウスを独自に作製し、Cre-loxP システムを用いて IDH 遺伝子変異を欠損させ ると白血病の発症が抑制されることを証明した。これらの結果は変異型 IDH の発現が白血病の成立及 び維持に必須であり、変異型 IDH が有望な治療標的であることを示している。変異型 IDH1 を有する 治療法を開発するため、変異型 IDH1 に対する特異的な阻害剤を開発した。 本講義では、がん幹細胞の成立と維持における IDH 変異の役割と変異型 IDH を標的とした治療につ いてがんにおける代謝の役割について考察する。
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