第11回被災地支援ボランテイア報告書 (PDF文書 : 162KB)

第 11 弾被災地派遣ボランティア活動報告
スミス・ミッションセンター 北星ネット
<概要>
派遣先:日本キリスト教団東北教区被災者支援センター「エマオ」
活動期間:2015 年 8 月 11 日から 9 月 12 日
5 日間(活動日 3 日、移動日 2 日)の活動を各期 1 週間ごと、5 期に渡って実施
活動地:宮城県仙台市及び石巻市
活動内容:被災者宅での農作業支援や生活支援等
<1 日目>
活動初日はフィールドワークに行きました。フィールドワークというのは震災や津波の
被害にあった土地に実際に行き、その地域の現状を見るという活動です。これは派遣先で
あるエマオがボランティアに来た人向けに必ず、最初に実施しているものです。今回は名
取市閖上の海岸、
「閖上の記憶」という資料館、被災当時のままの老人ホームなどを訪れま
した。以前にも来たことはあるのですが、津波の被害を受けたことで更地になってしまっ
た景色を見慣れることはないです。毎回来るたびに心が痛みます。前に来たときの様子と
大きく変わっていたのは海岸沿いでした。昨年来た時には海が見えていたのですが、今年
来てみると真っ白な防波堤がつくられていて海を見ることが出来なくなっていました。津
波で全て流されたことによって、広く見渡すことができる中で海だけが見えないというの
はすごく不自然な感じがしました。これがかえって震災当時のことを強調しているような
気がしました。防波堤以外は見た限り特に大きく変わったところはなく、一年経ってこの
復興の進み具合なら完全に復興したと言えるのは何年後になるのか、疑問に思いました。
<2 日目>
2日目は 2 つのワーク(ボランティア)をしました。午前中は七郷中央公園仮設住宅で
の
ラジオ体操に参加しました。仮設住宅では、孤独死や運動不足を防ぐ目的で集会所でラジ
オ体操が毎日行われています。それに参加させてもらい、終わった後はお茶を飲みながら
色々な話をしました。去年来たときのことを覚えていてくださった方もいて、とても嬉し
かったです。その仮設住宅も、以前より確実に人が減っていました。仮設住宅から復興公
営住宅への移住が進んでいるからです。そんな中で仮設住宅から出たくない人、出れない
人もいます。復興の足並みは人によって違うと感じました。
午後からは、農業法人であるクローバーズファームで農作業の手伝いをしました。休憩
しているときに、農家の方と色んな話をして楽しく過ごしたのが印象に残っています。
<3 日目>
3日目は、前日と同じくクローバーズファームでの農作業でした。震災から時間が経っ
ているので瓦礫の撤去や物資の支援などといった、いわゆる緊急支援と呼ばれるようなボ
ランティアはもうないのですが、心に焦点を当てた中長期支援としてこうした活動があり、
必要とされています。現地の方の作業を手伝いながら他愛ない話をしたり、時には寄り添
ったり、このような活動ははっきり目に見える成果はないです。時々これでいいのだろう
かと思うこともありましたが、きっと人の役に立てているはずだと信じて活動しました。
<全体を通しての感想>
派遣ボランティアに参加するものとして、それから東北出身の人間として震災の問題に
どう向き合うのか、復興のために何ができるのかを今回も考えました。震災、復興ときい
て思い浮かぶのはニュースに出てくるようなことばかりです。だけど現地はそれだけでな
く、心のケアや寄り添いを求めています。一見震災とは関係がなさそうな、何気ない作業
の中にそれができる機会があって、自分たちはそれを手伝わせてもらいました。明日から
も頑張ろうと思ってもらえたり、一瞬だけでも辛いことから離れてくれればいいなと思っ
たり、そんな思いで今回も活動しました。ボランティアとして活動していることもあって
つい、何かをしよう、何かを与えようと考えがちなのですが、時にはもらうことでより良
い関係が築けて良い活動ができると思うこともありました。復興には複雑な問題が絡み合
っていて、自分にできることがあるのかも分からないけどこのような活動なら自分にも手
伝えるかもしれないと改めて思いました。
エマオでの活動を通して、こうしたボランティアは「かわいそう」と思ってするもので
はなく、
「辛いことがあっても乗り越えて頑張っている、乗り越えようとして頑張っている、
そんな尊敬できる人に会いに行くもの」だと学びました。この考え方はこの被災地派遣ボ
ランティアだけでなく、他の場面でも自分に大きく影響を与えています。