一般社団法人「ことばの教育」 小泉清裕氏(昭和女子大学附属昭和

一般社団法人「ことばの教育」
「小学校英語でどんな力を育むか---あるいは、どんな力を育もうとしてはいけないか」
小泉清裕氏(昭和女子大学附属昭和小学校)
柳瀬陽介氏(広島大学)
大津由紀雄(明海大学、本法人代表理事)
小学校への教科型英語の新規導入、活動型英語の前倒しが世間でも話題となる中、
小学校英語の関係者の間では少なからぬ混乱が生じています。そんな中、貴重な分
析、提言がたくさん盛り込まれた柳瀬陽介・小泉清裕『小学校からの英語教育をど
うするか(岩波ブックレット 922)』(2015 年、岩波書店)が出版されました。今
回はこの重要なブックレットの共著者のお二人をお迎えし、本法人代表理事の大津
由紀雄とともに、小学校英語について話し合います。参加者の皆さんとの議論の時
間もとってあります。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。
7 月 4 日(土曜日)
郁文館夢学園 220 号教室(北館ゼミ)
14:30
開場
15:00 - 15:10 開会
15:10 - 15:40 小泉氏講演
15:40 - 16:10 柳瀬氏講演
16:10 - 16:40 大津代表理事講演
16:40 - 17:00 休憩
17:00 - 17:30 3 人談義
17:30 - 18:00 フロアとのやりとり
なお、休憩後の進行状況により多少の延長があるかもしれません。
終了後、学内食堂にて懇親会
参加費:一般の方 1,000 円 ことばの教育会員、学生、大学院生 無料
懇親会費:3,000 円
参加希望の方は、事前に、柳瀬陽介・小泉清裕『小学校からの英語教育をどうする
か(岩波ブックレット 922)』(2015 年、岩波書店)を読んでおかれることをお勧
めいたします。
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各講師の演題と概要
 小泉先生
 演題:小学校英語と出合って 20 年―その間に考えたこととやってきたこと
 概要:1994 年度から、私個人の意志ではなく、学校の都合で小学校英語教育
に足を踏み入れ、それから 20 年以上が経ちました。この 20 年間に、小学校英
語教育の波は日本中に広がり、2020 年度からの新しい展開に向けて急速に動
いています。しかし、今進もうとしている道は、20 年前に私が実践し始めた時
に歩んだ、「間違った道」と同じ道のように思えてなりません。恐ろしいこと
に、どんな道でも皆で歩めば「間違った道」とは感じなくなってしまいます。
全国の 680 万人の小学生にとって、彼らの 20 年後に活きる小学校英語教育に
するために、大人たちが何をして、何をすべきでないかについて私の考えをお
伝えします。
 柳瀬先生
 演題:意味論の比較から考える小学校英語教育のあり方 ―子どもの未分化の
統合的な力を分断してはいけない―
 概要:初等教育では教科担任制をとらず一人の担任教師がほぼすべての時間を
担当することの背景には、子どもの知性・感性がまだ大人のように分化してい
ないことがあります。子どもの力は、未分化のまま統合的である方が、その後
の人生での成長のためには重要であると考えられます。しかし、外国語として
の英語教育では、言語学の伝統的な意味論の考え方が強すぎて、英語の意味は
もっぱら指示(reference)の問題として授業が展開されがちです。今回の講演
では、ダマシオ、デューイ、ルーマンの意味論を提示し、子どもが英語を「あ
たま」で覚えるのではなく、「こころ」と「からだ」で丸ごと経験できるよう
な授業を行うための基礎理論を提示します。岩波ブックレット『小学校からの
英語教育をどうするか』の第一章の議論の発展編なので、できれば同書を予め
お読みいただければありがたい限りです。

大津代表理事
 演題:やはり、小学校英語はやらないに越したことはない。しかし、そうは言
っていられない小学校の先生がたへの応援歌
 概要:わたくしは小学校英語に関して、それが活動型であれ、教科型であれ、
その導入に一貫して反対してきました。いまでも、その考えに変わりはありま
せん。実際、英語狂想曲はその騒々しさを増す一方です。同時に、《災い転じ
て福となす》をスローガンに、現実的な対処方法を探るとともに、小学校英語
導入を年来の主張である言語教育の実現へ向けた第一歩とする方策を模索し
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てきました。今回の講演では、柳瀬・小泉『小学校からの英語教育をどうする
か』に触発されたところをもとに、「ことばへの気づき」育成のために英語を
どう利用することができるのかを考えてみたいと思います。
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