「障害」及び「精神障害」について

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「障害」及び「精神障害」について
1.用語の混乱
「障害」イコール「医学的、生理的現象」という考えが、「障害」を個人
の問題へと矮小化し、身辺自立のための訓練や職業自立ための訓練による
問題解決を重視することになった。(WHOによる国際障害分類の提唱の重要
性。障害者からは「医学モデル」という批判があり、さらなる検討へ。)
「精神病」イコール「精神障害」という考えが、精神保健福祉における「
障害」論の発展を阻害してきた。(障害者基本法と精神保健福祉法の制定
時における明確化)
2.統合失調症(精神分裂病)理解や治療の進展
統合失調症の予後研究や回復過程の解明によって、不治と全快の間で援助
を必要とする病者が多くいることが明らかになった。(福祉的援助の必要性
は、日本では公的な認知が非常に遅れた。)
3.統合失調症(精神分裂病)について
ビデオや参考文献等参照。
4.
「生活障害」、「生活のしづらさ」の発見
リハビリテーション活動の発展により、地域で生活する病者が増えてきて、
地域の生活を継続するために、症状のコントロールだけでなく、「生活の
しづらさ」への福祉的援助が必要なことが実践によって明らかにされてきた。また、
「まわり障害」ということも指摘された。
5.「障害」概念の精神医療への導入
国際障害者年(1981年)を契機とした、新しい障害概念の普及と、精神
科リハビリテーションへの応用。
6.
「精神障害」における疾患と障害の構造(蜂矢英彦の精神障害論)
病気の治療だけでなく、障害への福祉的援助の必要性を主張する理論的根拠として国
際障害分類が活用され、精神保健法での社会復帰施設の設置運営に福祉法人が取り
組むことを認めさせるのに貢献した。
7.
障害の構造に対応したアプローチ
A機能障害と治療的アプローチ、B能力障害と適応的アプローチ
C社会的不利と福祉的アプローチ、D障害の受容と心理的アプローチ
さまざまな評価尺度の開発等。
8.
疾病と障害の共存と障害構造論の再検討
従来の障害構造論は、政策形成に役立ったが、実践においては、疾病と障害の共存
を把握する課題が重要になり、新しい障害論が模索された。また、
世界的には、障害者運動等により地域で生活を継続する上での、社会的要因の重要性
の認識の高まりがあり、障害概念の見直しが開始された。政策と実践に大きな影響を
与える、新しい障害構造論の模索。
9.
WHOによる国際生活機能分類の採択(2001年)
テキスト参照。
10.
わが国の法律における障害(者)の定義
各法律の「障害(者)」の定義参照。
障害者基本法―「この法律において「障害者」とは,身体障害,知的障害又は精神
障害(以下「障害」と総称する。)があるため,長期にわたり日常生活又は社
会生活に相当な制限を受ける者をいう。」第2条
11.
障害者基本法の「障害者」の定義を受けて、精神保健法が精神保健福祉法に改正さ
れた意義
テキスト参照。
12.
「障害」としての「精神障害」の検討
追加資料配布予定。
13.
「生活障害」、「生活のしづらさ」を「人ー環境」、「状況における人」、
「関係性としての障害」から理解することの重要性(障害の理解の難しさ
が本人と家族の苦しみを増幅)
病気の影響だけでなく、薬の副作用、入院体験の影響、生活体験・関係
体験の乏しさ、偏見・差別の影響、社会資源の不足、ソーシャル・サポ
ートの少なさ等からも理解する。障害が見えにくく、時間と状況によっ
て変化する。「相談と医、職、食、住、遊、友、とお金と信・望・愛」
14.「障害」の問題点の列挙よりも、その人の長所・強み(Strengths)を重
視するソーシャルワーク(チャールズ・ラップ等のストレングス・モデル)
資料参照。
参考文献等
http://www.smilenavigator.jp/abc/abc01_01.html
上記は、統合失調症情報局すまいるナビケーターのホームページ。
笠原嘉、1998年『精神病』岩波新書
久保紘章ほか編、2002年『精神障害者地域リハビリテーション実践ガイド』日本評論社
上田敏、2005年『ICFの理解と活用』萌文社