中期成長戦略 Vision 2

中期成長戦略
Vision
2
日本に加えアジアにおける
Only Oneビジネスモデルの確立
中国事業
中国においてサプライチェーンを強化し
Only Oneビジネスモデルを確立します
中国政府は、内陸部や農村部への医療提供体制を強化するとともに、2020年
を目処にすべての国民をカバーする医療保険制度の整備を目指しています。こう
した動きに伴い、中国の医療用医薬品市場は金額ベースで年平均成長率約16%
もの伸びを示しており、中期的にも2桁成長で推移すると予想されます。
スズケンは2008年に、当時中国第2位の卸であった上海医薬集団股 有限公
司の子会社と合弁会社
「上海鈴謙滬中医薬有限公司」
を設立し、上海と青島にお
いて医療機関向け直販ビジネスを中心に事業を展開しています。上海鈴謙滬中の
業績は市場拡大を背景に堅調に推移しており、設立時に23年と想定していた同
社への投資回収は8年目の2015年に達成できる見通しです。
こうした中、次の一手として2014年4月にメーカー支援ビジネスを展開する新
会社
「鈴謙
(深圳)
医薬有限公司」
(以下、鈴謙深圳)
を設立しました。鈴謙深圳は日
系や欧米の医薬品メーカーに対して品目単位でマーケティング戦略を企画・立案
し、販売業務をサポートする企業です。プロモーションについては、現地パートナー
「深圳健安医薬有限公司※2」
が、950人の自社MR
でありCSO※1事業を展開する
によって中国全土をカバーします。鈴謙深圳と深圳健安の強力な連携によって、
医薬品メーカーの中国市場における円滑な事業展開をサポートしています。日本
の26倍の国土に90万軒もの医療機関が存在する中国では人件費の高騰とも相
まって、販売業務を外部委託したいという医薬品メーカーのニーズが高まってお
り、鈴謙深圳には多数の引き合いがきています。
今後は販売支援だけでなく、製品・疾患などの市場調査サービスも含め、日本の
中国事業部長 兼
鈴謙
(深圳)
医薬有限公司 董事長
上海鈴謙滬中医薬有限公司 董事
益満 正悟
卸機能を積極的に取り入れ、中国でのサプライチェーンの一層の強化を図ります。
日本と中国の医薬品市場規模
(医薬品の出荷価格ベース)
(百万米ドル)
中国 年平均成長率16.7%
120,000
98,591
100,000
80,000
87,390
73,871
日本 年平均成長率2.1%
78,089
78,124
80,470
81,590
70,256
60,000
40,000
73,955
109,408
50,361
医薬品メーカーとの契約により医薬品の
マーケティング・販売活動に関わる一連の
サービスやソリューションを提供する機関。
※2深圳健安医薬有限公司
60,471
1985年に設立し、中国全土に155支店を
有する。
3級・2級病院での医療用医薬品
の販売代行および学術販売支援を医薬品
20,000
0
※1CSO
(Contract Sales Organization)
メーカーから受託している。
09
10
11
12
13
14
出所:ⓒ2015IMSヘルス Market Prognosis Global 2015-2019をもとに作成 無断転載禁止
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医療流通プラットフォームの強化
新しい物流拠点の建設とシステム統合を機に
新たな流通モデルの構築を一気に加速したいと
考えています
業界無二の医療流通プラットフォームを構築
スズケングループは
「医療流通プラットフォームの強化」
を目指し、2014年10月
にグループ内のロジスティクス機能を担う5社を再編しました。
これにより、医薬品
メーカーに対する企画提案・コーディネート機能を担う株式会社エス・ディ・コラボ、
メーカーと卸の保管・輸配送実務を担う株式会社エス・ディ・ロジ、
そして、保冷医薬
品を含むメーカー所有製品の全国輸配送を担う中央運輸株式会社の3社を軸に、
メーカー物流と卸物流が一体となった業界無二の医療流通プラットフォームを構
築しました。
スペシャリティ領域で高品質物流と適正コストを実現
近年、特殊で高額な医薬品や厳格な温度管理が必要な医薬品、
また対象患者
が少なく希少性の高い医薬品など
「スペシャリティ」
と呼ばれる医薬品の開発が増
えています。このような環境の中、医薬品卸には、医薬品ごとの製品特性に応じた
流通を総合的にコーディネートする機能が求められています。全国に点在する患
者さまに対して厳格な温度管理とトレーサビリティを保ちながら、在庫量や配送回
数を最小限に抑えるなど、
「安全・安心・確実」
を確保しながら、
いかに適正コストを
執行役員 SCM本部長
田中 博文
実現するかが問われています。
加えて、
スペシャリティ領域では、海外メーカーの日本市場参入の動きが加速し
ており、
「メーカー物流から卸物流までのワンストップソリューション」
を提供するス
医療流通プラットフォーム
メーカー物流から卸物流まで
メーカー物流
原材料メーカー
エス・ディ・ロジはスズケングループのメー
カー物流・卸物流を担っている。
24 Annual Report 2015
医薬品メーカー
医薬品メーカー
工場
倉庫
中期成長戦略 Vision 2
ズケングループへの引き合いも増えています。
このような環境の中、
スズケングループにおけるオーダーメードの流通提案は医
厳格な温度管理を実現
薬品メーカーから高い評価を受けており、2015年5月現在、
スズケングループは医
薬品メーカー10社からスペシャリティ医薬品14品目の独占流通を受託しています。
高度化・多様化する医療機関・保険薬局の物流ニーズに応える
医療流通の効率化は医療機関・保険薬局も高い関心を寄せています。病院グ
ループや保険薬局チェーンからスズケングループが持つ物流拠点や輸配送機能
の共同利用ができないかという相談が増えています。このような要望に応えるた
め、当社グループでは、現在、全国に広がる30万㎡の保管スペースと業界随一を
誇る約3,500台の緑ナンバー車両
(有償で配送する事業用自動車)
の輸配送ネット
中央運輸は厳格な温度管理が必要とされる
医療用医薬品の輸配送において60年以上の
歴史があり、全国で高い評価を受けている。
ワークを社会的インフラとして開放することで、業界全体の効率的な医療供給体
制を構築する取り組みを進めています。その事例の一つが、グループ再編後の半
年で実現した、
チェーン薬局の店舗間で不動品を移動させる物流サービスや
「医師
主導治験における治験薬物流」
など、新たなロジスティクス事業の取り組みです。
新物流センターを建設中
新拠点構想とシステム統合でトップギアへ
物流サービスの向上を目指すとともに、大規模災害に備えた事業継続計画
(BCP)
を強化するため、免震構造を採用し、非常用自家発電機を備えた
「名南物流
センター」
を建設中です。
また、西日本にはメーカー物流と卸物流の2つの機能に、
輸配送ターミナルを融合させた、
日本初となる新しいタイプのセンター建設を計画
しています。
さらに、2016年度にはスズケングループ卸のすべてのシステム統合を
完了する予定で、
これらのタイミングで、医薬品メーカーや医療機関とともに、効果
的・効率的な新しい流通モデルの構築を一気に加速したいと考えています。
院内物流
病院内の物流を支援
卸物流
卸
卸
医療機関
物流センター
支店
保険薬局
25,000㎡のスペースに3万6千品目の保管
が可能。2016年4月出荷開始予定。
患者さま
エス・ディ・ロジでは、全国の医療機関22軒の
院内物流を受託している。
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