経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント

経営戦略としての
ダイバーシティ・マネジメント
立っ
まで
企業
経営戦略としての
ダイバーシティ・マネジメント
近年、
「ダイバーシティ・マネジメント」
が経営戦略として注
な
過程
日本においてダイバーシティ・マネジメントの議論は、
(図
目されている。本稿では、
まずダイバーシティの定義を明らか
2000年頃から始まった。それ以前は、1985年に制定され
れる
にし、
ダイバーシティ・マネジメントの動向を概観する。
そして
た男女雇用機会均等法によって生じた、企業における男
活か
経営戦略としてダイバーシティ・マネジメントを導入している
女間格差を解消する取組み「ポジティブ・アクション」の流
第4
中部地域の企業事例を挙げ、導入のヒントを紹介したい。
れで語られることが多かった。
出す
では、
なぜダイバーシティ・マネジメントが、
とりわけ経営
ダイバーシティとは
戦略として注目されるようになってきたのだろうか。その
一つには、
グローバル化などを背景として企業は不確実性や
「ダイバーシティ」
という言葉は、通常「多様性」
と翻訳さ
ステークホルダーのニーズの多様化などに対応する必要
そ
れる。狭義には
「性別、年齢、人種、民族などの違い」
を表
性がより高くなったことが挙げられる。
このような環境下に
めに
す。
しかし、研究者の立場によっては、
より広義に扱われ
おいて競争優位を保つためには、多様な人材が異なる
域に
る。例えば、所属組織、社会階級、役職、勤務形態、収 入
分野の知識、経験、価値観を持ち寄ることで新しい発想が
進し
など社会経済面から捉える見方や体格、性別、
コミュニ
生まれることなどの
「価値」
に注視せざるを得なくなったのだ。
「
ケーションスタイル、
パーソナリティなど個人的特徴から捉え
またもう一つには、労 働 力人口の減 少が挙げられる
ダイ
る見方もある。つまり、多様性と一口に言っても、その概念
(図表1)。国立社会保障・人口問題研究所によれば、生
を共
はかなり広く、性別など識別可能な表層的なものから、外
産年齢人口
(15∼64歳)
は2017年には60%台を割った後、
業風
から見ただけでは分からない深層的なものまでを含む。
2060年には50.9%にまで落ち込む。中長期的な視点に
参加
88社
図表1 日本の人口推移
0∼14歳
人口(万人)
14,000
15∼64歳
65∼74歳
75歳以上
実績値
(国勢調査)
生産年齢人口割合
(15∼64歳)
10,000
8,000
中部
80
60
(注1)
12,730万人
62.1%(注1)
25.1%(注1)
50
事例
生産年齢人口割合
50.9%
図表
抵
40
30
4,000
0
本稿
合計特殊出生率
70
6,000
2,000
高齢化率
平成24年推計値
(日本の将来推計人口)
12,000
高齢化率
39.9%
20
1.43
10
0
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2013 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060(年)
(注2)
合計特殊出生率
1.35
出所:総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口
(平成24年1月推計)
:出生中位・死亡中位推計」
(各年10月1日現在人口)
厚生労働省「人口動態統計」
(注1)
出典:平成25年度 総務省「人口推計」
( 2010年国勢調査においては、人口12,806万人、生産年齢人口割合63.8%、高齢化率23.0%)
(注2)合計特殊出生率とは、
「 15∼49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」。一人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する。
23
違いを
抵
出所:
ト
立った場合、今後優秀な人材の確保はより厳しくなり、
これ
までのような
「正規男性社員」
を前提としたマネジメントでは、
企業として持続的に成長することは極めて困難となる。
結びにかえて∼ダイバーシティ・
マネジメントを実現するために
「中部ダイバーシティNet」
の幹事社4社に共通していた
なお、企業がダイバーシティ・マネジメントを導入する
のは、以下の3点である。
過 程 では 、下 記 の4つの 段 階を進 むといわれている
は、
(図表2)。第1に現状維持派による否定的な行動がとら
され
れる段階、第2に違い(多様性)は認識するものの上手く
る男
活かせない段階、第3に違いこそ価値だと認識する段階、
の流
第 4に違いを経 営 資 源に活 かしイノベーションを生 み
①経営トップの強いコミットメントがある
②成長戦略の一つとしてダイバーシティ・マネジメント
を掲げ将来ビジョンを明確にしている
③ダイバーシティ・マネジメントを進める一つの柱として
女性にスポットを当てている
出す段階である。
経営
その
性や
中部地域における先進事例の紹介
①②は「社員の意識改革」
という点にもつながってい
る。経営トップがダイバーシティ・マネジメントの意義や目指
必要
それでは実際にダイバーシティ・マネジメントを導入するた
すべき会社の方向性を定期的に繰り返し発信することに
下に
めには、
どのようにしたら良いのであろうか。例えば、
この地
よって、全社員に会社の「本気度」
を伝え、社員の意識醸
なる
域において企業間ネットワークを活かしダイバーシティを推
成を促すことを実に丁寧に行っていた。③は「(多様性を
想が
進している
「中部ダイバーシティNet」
の活動が参考になる。
構成する他の人材に比べ人数の多い)女性が活躍でき
のだ。
「中部ダイバーシティN e t 」
とは、中部 地 域の企 業が
ないのであれば、多様な人材を受け容れ、その能力を十
れる
ダイバーシティ推進に関する情報や「ベストプラクティス」
分に発揮していくことはできない」
という声が聴かれた。特
、生
を共有することにより、人材の多様性を認め尊重する企
に仕事と育児を両立する社員に対する支援策は、
「 今後
後、
業風土を醸成することを目的に、2007年に設立された。
高齢化が一層進み、多くの社員が介護者となる可能性
参加企業・団体はモノづくり企業から自治体まで幅広く、
が高いが、その場合にも生きてくるはず」
との発言もあっ
88社・団体がメンバーになっている
(2015年4月7日現在)。
た。
まず実現可能性の高い課題、優先順位の高い課題
本稿では、同Netにおいて幹事社を務める㈱スズケン、
から着手し、小さなゴールを着実に積み重ねていき、
ひい
中部電力㈱、㈱デンソー、豊田通商㈱(五十音順)
の取組
ては将 来 的な企 業 基 盤を強 化するということを各 社は
事例を紹介する
(25∼32頁)。
実践しているといえる。
点に
口割合
%
最後に、担当部署のみが孤軍奮闘しないための重要な
図表2 ダイバーシティに対する企業行動
抵抗
同化
分離
点を挙げる。それは、
アンケートやヒアリングなどを通して
統合
現状や実績を把握し、女性リーダー層の推移など数字を
使ったコミュニケーションをとり組織を動かすことである。
率
%
抵抗
雇用機会均等
違いに
価値をおく
ダイバーシティ
・
マネジメント
またこの取組みは一朝一夕には実現不可能である。であ
るからこそ図表2などを参照し、
自社のダイバーシティ・マネ
(注2)
生率
口)
する。
違いを拒否する
違いを同化させる
違いを無視する
違いを認める
違いを活かす
競争優位性につなげる
抵抗的
防衛的
適応的
戦略的
ジメントの浸透段階をふまえながら一度掲げた施策を定期
的に見直し、現場の声を反映させつつ柔軟に施策内容を
変えていくことも肝要であろう。
出所:谷口真美『ダイバシティ
・マネジメント』2005年、
白桃書房、p.265よりOKB総研
にて作成
24
経営戦略としてのダイバーシティ
・マネジメント
取組事例紹介①
株式会社スズケン
http://www.suzuken.co.jp/
います 。今までにのべ 約 5 0 名の女 性 社 員 が 参 加しま
乗り
した。
リーダーシップに必要な実践的スキルの習得や意識
いま
向上の良い機会となっており、着実に女性の登用につな
ます
制
がっています。
人材開発部 ダイバーシティ開発室長
松本 雅世さん
ダイバーシティ推進に取り組むきっかけ
当社がダイバーシティ推進に取り組んだ背景には、
(1)
企 業の競 争 優 位の源 泉は「 人 材 」
と捉え、性 別などに
女性社員の上長には女性職位者育成に積極的に関
児休
わってもらうために、
「 上長向けセミナー」
も開催しました。
間勤
セミナーを通じて「マネジメントは男性の仕事」
という古い
入し
意識から、
「 性別に関係なく信じてマネジメントを任せて
や運
みる」
という意識に変わってきました。
援ガ
(2)仕事と家庭の両立支援
(3
仕事と育児の両立が一番難しいと考えられる
「女性
社
関わらず優秀な人材の採用・育成・活用が不可欠であ
MS
社員」
に対象を絞り、
キャリア支援を目的に当社を
風土
ること、
(2)労働人口の減少に伴い当社も労働力不足に
含めグループの医薬品卸売会社のうち4社で2014年より
る模
陥る懸念があったこと、
(3)多様性を考慮した育児・介護
「グループ合同女性営業担当者セミナー」
を始めました。
ハン
休 業などの制 度 がうまく運 用されていなかったことが
仕 事と育 児を両 立 する先 輩や女 性 職 位 者として活 躍
勉強
挙げられます。
する先輩の体験談、助言などを紹介し、
ライフイベントを
とっ
(注)
これらの課題の解決に向け、2009年に「女性活躍推
進チーム」
というプロジェクトを結成し、
まずは約5,000人
の従業員のうち約1,400人の女性の活躍に焦点を当て
た活動を始めました。2010年には別所会長より女性の登
用・活躍に積極的に取り組む旨のメッセージが発信され、
「ワークライフバランス推進室」
という組織が創設されま
1.必要性
3.ダイ
強いスズケングループになるためには、人材のダイバーシティが不可欠だ。これま
でのように同じものの捉え方、考え方をする同質な人が集まって議論しても、新しい
発想は生まれない。性別、生まれ育ち、受けた教育、趣味・趣向、宗教、国籍も違う
人たちが、
自分の思いや考え方をぶつけ合い、共通理解を得ながらやり方を見つけ
ることで、新たな価値が生まれてくる。
(伊藤高人副社長談 薬事日報社『薬事日報』2015.
3.
13より)
した。同年夏には太田社長が全社に女性の積極登用を
2.目的
宣言しています。2014年には「ダイバーシティ開発室」
に
「個を活かす」
ことにより、
「会社」
と
「社員」
が共に競争力を高めて発展する
スズケングループが発展していくために多様な社員が期待される役割に応えて、持
てる能力を最大限発揮することで、会社と社員が共に競争力
(組織能力・職務遂行能
力)
をより高め、成長していくこと
改組し、現在は女性活躍推進に加えシニア社員も対象
に活動しています。
「会社の方向性を決める階層に多様な考え方や価値
会社の成長
(業績向上)
能力
(1)女性活躍推進
(人)
20
社員の成長
(人間力向上)
15
組織の能力
個人の能力
観を取り入れる」
ことを目的に、
「 女性リーダーを継続的に
10
輩出する仕 組みづくり」に取り組みました。
まずは女 性
個を活かしている状態
(=ダイバーシティ)
土台
社員が職位者を目指して成長していける
「女性リーダー
1.自己実現の場
(①最大限能力発揮 ②働きがい)
2.良き家庭人
(①働き続けられる仕組・風土 ②ワークライフデザイン)
育成支援プログラム」
を策定・実施しました。外部講師
からマネジメントやロジカル・シンキングを学び、
自職場の
課題解決に上長や周りの社員を巻き込みながら取り組んで
25
社員
4.取組
成果
取組内容
会社・職
会社
上司
個を活かすための要素
職場
同僚
5
0
20
しま
乗り越えて働いていける会社ということを理解してもらって
意識
います 。現 在は対 象をグループ会 社 6 社まで広げてい
つな
ます。
成果
定量面では、取り組み開始当初(2009年時点)
に比べ
制度面では、①子供が満2歳になるまで取得可能な育
2015年には女性職位者数が約4.5倍、MSの女性比率が
に関
児休業制度、②小学6年生卒業時まで利用できる短時
約2倍に増加しています。今年4月には当社で初の女性
した。
間勤務制度、③365日まで取得できる介護休業制度を導
部長が1名誕生しました。
古い
入し、法定以上の内容に整備しました。
また上長に制度
定 性 面では、経 営 層や育 成 責 任 者( 女 性 社員の上
せて
や運用への理解を深めてもらうために、上長用の両立支
長)
と女性職位者候補の接点を設けたことや、経営層か
援ガイドブックも作成しました。
らの定期的なメッセージにより、女性登用についての全社
的な意識が向上しています。
(3)
ダイバーシティ
(個を活かす)風土の醸成
女性
社員がやりがいを持ち効果的に働くことができる企業
社を
風土の醸成にも取り組んでいます。個を活かして活躍す
年より
る模範的な社員182人の働き方や考え方などを紹介した
た。
ハンドブックを作成して全社員に配布しました。職場での
活躍
勉 強 会に活用したり、紹 介された社員と個 別に連 絡を
ントを
とって自己啓発につなげている社員もいます。
今後の目標・課題
定量目標としては、2016年度末までに25名以上の女
性職位者の登用を掲げています。
定性目標としては、
(1)女性職位者候補の意識改革と
スキル向上、
(2)上長の意識改革とマネジメント強化、
(3)全社員の更なる理解促進、
(4)女性MSの両立支援
の強化です。
また、今後増えるシニア社員の活躍促進も
課題と捉えています。
3.ダイバーシティが実現している状態(目指す姿)
だ。これま
も、新しい
国籍も違う
を見つけ
1.
会社が「自己実現の場」に
なっている状態
2.
社員が「良き家庭人」
として
働いている状態
会社・職場
∼最大限能力発揮∼
多様な社員が活かされ、期待
役割に応えて、最大限能力を
発揮している状態
∼働き続けられる仕組・風土∼
活躍している社員がライフイ
ベントを経ながら、働き続けら
れる仕組や風土がある状態
社員
∼働きがい∼
仕事の中に働きがいや生きが
いを見つけて、
自己実現する
ための目標を持っている状態
∼ワークライフデザイン∼
仕 事とプライベートが 共に
充実し、効果的に働いている
状態
る
応えて、持
務遂行能
アドバイス
まずは自社のダイバーシティが実現している「あるべ
き姿」
を描いた上で、
目的と課題を明確にし、優先順位
を決めて一 つずつ目標を持って取り組んでいくことが
大 切だと思います 。当 社では(1)ダイバーシティ推 進
に向 けたトップのコミットメント、
(2)ダイバーシティに
対する社員の当事者意識の醸成の2つが特に重要な
4.取組の成果(女性職位者の推移)
ポイントでした。
(人)
20
当事者意識の醸成では、全社員へ意識調査を行って
職場ごとに課題解決に取り組みました。
どうしたら社員が
15
もっと個性を活かして活躍することができるかを考えた職
場独自の取り組みが展開されました。
これは一人一人が
10
ン)
同僚
ダイバーシティを
「自分のこと」
と意識するのにとても効果
的でした。
5
(注)MSとは、医療機関や保険薬局を訪問し、医薬品の紹介、商談、情報
0
2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
2015年
4月1日時点
の提供・収集などを行う医薬品卸の営業担当者
26
経営戦略としてのダイバーシティ
・マネジメント
取組事例紹介②
中部電力株式会社
http://www.chuden.co.jp/
ダイバーシティ経営企業
100選(2015年度)受賞
多様な人財活躍支援室長
安田 芳樹さん
ダイバーシティ推進に取り組むきっかけ
ます。加えて、今年から、中堅社員となる、
また出産などの
せん
ライフイベントを迎える30歳直前の全女性社員を対象に
社員
個別面談の機会を設け、一層の成長を促していく予定
して
です。
ると
②としては、今年、5,000名を超える全管理職を対象に、
チ
少人数単位で、女性をはじめとした多様な人財の活躍を
の事
支援するための研修を実施します。特に女性活躍について
ます
は、
「 各々の事情への配慮は必要だが、遠慮せずにチャレ
行政
ンジングな仕事を付与して成長を促すことが重要」
という
ダイ
ことをしっかりと理解させたいと思っています。
に大
中部電力では、少子高齢化、労働力人口の減少、消費
③に関しては、法定を上回る育児休業制度やシフト勤務
者ニーズの多様化といった社会環境の変化に加え、電力
制度などを整備していますが、現在、
より柔軟に働けるよう
システム改革など経営環境も大きく変化する中、
「従業員一
制度の見直しを行っています。
また、女性の約7割が社内
人ひとりがその能力をより一層発揮し、競争力を高めていく
婚ということもあり、
イクメンの推進にも力を入れています。
自身
ことが重要である」
と考え、多様な人財の活躍推進を経営
社内報にイクメンの意義やロールモデルの紹介を行うなど
育児
課題と位置づけ、積極的に取り組んでいます。
して、男性自身や職場の意識改革に努めています。
述べ
女
当社がダイバーシティ推進に本格的に取り組み始めた
のは2007年からです。先ずは女性の活躍を中心に支援す
る専任組織「女性活躍推進室」
を設置し、男性室長以下
当社では、障がい者を
「チャレンジド」
と呼んでいますが、
計 4 名でスタートしました。その後 2 0 1 3 年には、組 織を
中電ウイング
(株)
という特例子会社を設立するなどして、
「多様な人財活躍支援室」へと発展させ、要員を大幅に
彼らの活躍支援に努めています。同社については、当社の
増員し、高年齢者と障がい者を対象に加えて各種の活
副社長が社長を兼任して経営の舵取りをしています。事業
動を展開しています。
内容は、印刷、
ギフト商品販売、園芸事業、事務支援など
取組内容
で、64名のチャレンジドがそれぞれの能力を最大限発揮し
1
・
・
・
て活躍しています。
このうち事務支援については、2013年に
2
発達障がいのチャレンジドを中心にチームを立ち上げ、
(
1
女性の活躍支援については、①女性本人に対する教育
当社本店の業務に関連したデータ入力や集計などの定
1
②管理職への教育 ③制度の充実をはじめとした環境整備
型的業務を幅広く実施しています。
なお、今後は支店業
の3つが重要だと考えています。
務にも拡大していく予定です。
(1)女性の活躍支援
①については、入社4∼6年目の女性を対象に、
ロール
また、同社のチャレンジド2名が、来年3月にフランス・ボル
モデルの話を聞いて自分自身のキャリアを考える
「ロール
ドーで開催される第9回国際アビリンピックに出場します
モデルフォーラム」、管理職一歩手前の主任を対象に、
が、彼らをはじめ多くのチャレンジドが非常に高い技能を
意識啓発とスキルアップを目的とした「女性主任ステップ
持っています。
アップ研修」、育児期の女性に仕事と育児の両立を充実
させるための「ワーキングマザー研修」
などを実施してい
27
(2)障がい者の活躍支援
成果
ます。特に「女性主任ステップアップ研修」では、社長が
女性活躍に関しては、女性自身の意識は向上している
直接エールを送ったり、対話を行う機会を設けたりしてい
と手応えを感じています。管理職比率は決して高くはありま
(
4
3
1
どの
せんが、少しずつ上昇していますし、昨年には初の部長級
管理職を2014年の2倍以上とする」
との数値目標の実現に
象に
社員も誕生しました。
また、管理職予備軍の主任層が増加
努めていきたいと思います。
また、採用においても、当社に
予定
しており、今後徐々にわれわれの取組みの成果が見えてく
目を向けていただけるような採用広報に力を入れたいと
ると思います。
考えています。
に、
また、チャレンジドについては、当社施設の清掃業務を
チャレンジドの活躍については、
例えば、
中電ウイング
(株)
躍を
の事務支援により当社社員の時間外労働が減少してい
始めたいと考えており、準備を進めています。その他にも
いて
ます。
また、
同社には、
これまで国内外から26,000名を超える
できる仕 事は多いと思いますので、業 務の拡 大を進め
ャレ
行政機関や企業関係者、市民の方が見学されており、
法定雇用率を着実に維持していきます。
いう
ダイバーシティ推進に積極的に取り組む当社への理解向上
勤務
よう
に大きく寄与しています。
高年齢社員については、今後増加していくことが予想
されることから、今夏から当室の要員を増員して支援の
充実を図っていきます。
今後の目標・課題
す。
自身および管理職の一層の意識向上」および「女性の
アドバイス
ダイバーシティを着実に推 進していくためには、経営
など
育児期の成長」
と認識しています。
「2.取組内容」で申し
トップが経営戦略としてダイバーシティを進めていくことを
述べたことを着実に進め、昨年策定した「2020年に女性
社内に強く発信する、
これに尽きると思います。当社では
社内
が、
て、
社の
女性の活躍をより推進していくための課題は、
「 女性
会長も社長も大変強い思いを持っており、様々な場面で
性別や年齢などの様々な属性にとらわれず、
多様な個性を尊重し、各々の能力が十分に発揮できる風土の醸成
職場風土、意識、制度・運用等について、構造的な改革が必要
事業
など
揮し
年に
げ、
・育児、介護等と両立して働ける環境整備
・男性の育児・家事参加促進
・長時間労働の是正、労働生産性の向上
店業
80
能を
いる
りま
・女性の職域拡大
・中期的な育成を考慮した配置・ローテーション
・育児期の成長促進
また、女性活躍推進のための専任組織やプロジェクトを
立ち上げる際、女性が多くなりがちです。女性活躍推進は
決して女性による女性のための活動ではなく、会社全体
の課題であり、男性や職場が変わらなければ成果はあが
らないと思います。当社では、男性をトップにしたり、男女
比を半々にしたりしてきました。
この点も参考にしていただ
ければと思います。
2.女性リーダー層の推移
(人)
120
100
ます
女性のキャリア形成
両立支援
の定
ボル
熱く語ってくれています。
1.女性活躍支援の方向性
役付職
3.女性活躍支援の今後の取組み
60
0
女性
2007
(人)
450
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014(年)
主任
●主任
・主任ステップアップ研修
300
●役付職
・役付職ステップアップ
研修
150
0
●若手
・ロールモデルフォーラム
(入社4∼6年目)
・30歳前個別面談
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(年)
2014
管理者
●全役付職を対象にした
教育
・部下の成長促進
・仕事と育児・介護との
両立支援のあり方
・生産性向上に向けた働き
方の見直し 他
全体
●柔軟な働き方の推進
● 育児期の社員への キャリアアップ教育
●男性の家事・育児への
参画促進
・メリハリワークと併せた
「イクメン」の定着
● 男女ともに優秀な 人財の採用
・女性に対する採用活動
の強化
28
経営戦略としてのダイバーシティ
・マネジメント
取組事例紹介③
株式会社デンソー
http://www.denso.co.jp/ja/
また、女性のキャリア形成を後押しする施策にも着手し
ています。
DP−ダイバーシティ
推進室 企画1課長
北村 雅美さん
ダイバーシティ推進に取り組むきっかけ
当社では2006年にダイバーシティ推進の専任組織を設置
グロ
まずは、上司と女性がキャリアデザイン面談で将来につい
バル
て話し合った上で個人別育成計画を作成しています。
もちろ
熟
んPlan(キャリアデザイン面談・育成計画の作成)
だけで終
およ
わらせず、
Do
(育成計画に沿った業務遂行)
→Check
(能力
に合
進展状況の確認)
→Action
(状況に応じ業務・役割の見直
年後
し)へと、育成のPDCAを1年単位で回しています。特に、育
入し
児等のライフイベントの時期に、
いかに仕事と家庭を両立し
修や
て成長し続けていくのかという点を意識的に行っています。
度、
さらに新任女性係長対象の「キャリア研修」
を実施し、
し、女性の活躍推進を中心に活動を行ってきました。
さらに、
当該女性とその上司が、昇格という節目に将来目指したい
デンソーがグローバル企業として社会とともに発展し続ける
姿を考え、キャリアアップへの前向きな意識を醸成する
ためには、
女性に限らず多様な人材がより活躍できる会社に
研修も行っています。
女
より出
なりたいとの想いの下、
全社を巻き込んでダイバーシティ推進
また、育 休中の社員を対 象に、配 偶 者と一 緒に受 講
職場
の流れを加速するため、
2014年、
2015年の2年間限定でDP−
する
「復職準備セミナー」
を開催しています。
セミナーは、
社外
です
ダイバーシティ推進室
を設置しています。DP−ダイバー
講師の講演や先輩社員の両立のコツを参考に、復職後の
社内
シティ推進室は、女性、障がい者、外国人の活躍を進める
働き方や育児分担を夫婦で考える内容となっており、妻も
1月時
企画1課、熟練経験者(50歳以上の従業員)
の活躍を進め
夫も自分のキャリアを大切にし、子育てにも夫婦で取り組む
る企画2課からなり、
現在11名体制で活動しています。
意識を育むきっかけの場となっています。参加者からは
「復
(注1)
当社のダイバーシティとは、
「 多様な人材が性別、年齢、
国籍、職位を超えて高め合い新たな価値を生み出すこと」
帰が楽しみになった」
「お互いの考えについて改めて話し
合うことができた」
などの前向きな声をいただきました。
「多
すが
です。加藤宣明社長(注2)は
「一人ひとりが思いや目標を実
育児期の支援については、2006年の専任組織の設置
現できる会社にしたい」
という力強いメッセージを社内外で
以降、法定を上回る育児休職制度・短時間勤務制度、
なる
様々な機会に発信しており、経営トップの揺るぎない決意と
配偶者の転勤に伴う再雇用制度、事業所内託児所の
述べ
コミットメントが私たちの活動を後押ししています。
設置等、様々な制度を整備してきました。
これにより、出産
取組内容
29
材管
による離職はほとんど無くなっています。
また2014年4月から
は、育児期のキャリア形成を後押しするために一部在宅
女性活躍を中心に説明しますと、製造業である当社の
勤務を導入し、
さらに2015年4月からは子の看護・家族の
女性社員比率は12%と低く、
その中でも管理職候補となる
介護時には終日在宅勤務が可能な環境を整えています。
女性の割合はさらに低くなっています。
そこで2014年は
「女
女性活躍推進以外の活動では、
障がい者に関しては自社
性リーダーの増加」へと目標を定めました。例えば、2014年
での雇用に加えて、
1984年に特例子会社
「デンソー太陽㈱」
11月には総合職の女性(約390名)
およびその上司を対象
を設立しています。
デンソー太陽では、
メータやスマートキー
(約550名)
とする
「女性活躍推進フォーラム」
を開催し、
などの車の部品を生産し、
「ものづくり」
という当社の本業を
加藤社長自ら会社の思いを伝えるとともに、社外有識者に
しっかり担っていただいています。外国人に関しては、
デン
よる講演や参加者同士でのグループディスカッションを実施
ソーグループ全体で共有すべき価値観・信念を示した
「デン
することで、女性活躍推進への理解促進を行いました。
ソースピリット」
の共有活動のほか、
グローバル共通教育や人
当
1
(目
(
決
2
(対
(内
材管理プロセスの整備を行っています。
また2015年には
見据えて、
女性の採用数も増やしていきたいと考えています。
グローバルHPをリニューアルし、
デンソーで働く魅力をグロー
また、
これまでは総合職を主な対象として活動を行って
つい
バルに発信しています。
(http://www.globaldenso.com/ja/)
きましたが、実務職(一般職)、技能職の一層の活躍へも、
ちろ
熟練経験者に関しては、豊かな経験と能力の発揮、
手し
活動の幅を広げていく予定です。
で終
および本人の働きがいの支援を軸に、社員のライフプラン
ダイバーシティの本質は、年齢、性別、国籍等の違いを
能力
に合わせた多様な働き方・生き方を支援するとともに、定
尊重して多様性を企業成長の力にしていくことです。社員
見直
年後も活躍する制度やチャレンジ意欲を高める施策を導
一人ひとりにとっては、30∼40年という長いキャリアの中、
、育
入しています。例えば、50代社員を対象とするキャリア研
結婚、出産、
あるいは介護等いろいろなライフイベントがあ
立し
修や面談、
セカンドライフ準備のための休暇、転進支援制
りますから、
それぞれのキャリアを真剣に考えていただける
度、定年後再雇用制度等があります。
ように活動していきたいと思っています。
成果
女性の活躍推進としては、育児支援制度の充実などに
アドバイス
当社はダイバーシティ推進に関しては後発で、今一生懸
より出産を理由に離職する女性が減少し、女性にとっても
命キャッチアップしているところです。それを前提にお話を
受講
職場にとっても
「働き続けること」が当たり前となったこと
すると、一番重要なのは「ダイバーシティ推進とは経営課
社外
です。
また2014年の新体制後、女性のキャリア形成支援と
題である」
としっかり認識することだと思います。特にトップ
後の
社内の風土改革に重点的に取り組んできた結果、2014年
のコミットメントは重要です。多様性を認識し、それぞれの
、妻も
1月時点で33人だった女性管理職も現在は40名まで増え、
個性を活かすということは、言うは易し行うは難しです。当
す。
し、
たい
する
組む
「復
話し
設置
度、
所の
「多様性を尊重しお互いを認めあう」
ということが徐々にで
すが定着し始めていると思います。
社の場合、
トップダウンで「全社的にダイバーシティを推進
していく」
という強い方針があり、経営層からも支援を受け
ているので、
それが後押しとなって管理職や現場を動かす
今後の目標・課題
ことが可能となり、
ここまでやってこられたのだと思います。
当社では2020年までに、女性管理職数を2014年の3倍と
なる100人にするという数値目標を掲げています。
これまで
述べてきた活動をしっかり行っていくとともに、2020年の先を
(注1)
DPとは、
DENSO PROJECTの略
(注2)加藤宣明代表取締役社長は、
2015年定時株主総会において代表
取締役会長に就任予定
出産
から
在宅
族の
1.
キャリア形成支援(全体像)
(目標値の設定・公表)
2020年までに、女性管理職数を2014年の3倍となる100人とする
(社内外への情報発信)
目標値・取り組みを社内外に積極的に発信し、会社としての揺るぎない
決意とコミットメントを示す
㈱」
キー
業を
、
デン
デン
や人
キャリアデザイン面談
育成計画作成
(上司)
P
l
an
Do
Action
Check
育成計画に沿った
業務遂行
意識改革
す。
自社
3.
個人別育成計画
経営トップのコミットメント
職場・上司
女性
成長につながるチャレンジングな経験提供
出産・育児期でも成長を加速させる働きかけ
女性フォーラム
女性活躍
推進会議
キャリア
研修
個人別育成計画
出産・育児期の働く環境整備
働く場所・時間の柔軟性拡大
育休・復職セミナー
2.
女性活躍促進フォーラム
(2014.11)
(対象)
全女性総合職とその上司
(内容)
社長スピーチ:女性活躍推進に向けた会社の思いを語る
①社外有識者による講演 ②参加者同士のグループディスカッション
状況に応じ業務・
役割の見直し
能力進展状況の確認
上司・本人間のコミュニケーションを継続し、
PDCAを回し続けることで、
キャリアデザインの実現を目指す
4.
キャリア研修(新任女性係長向け)
(対象)
新任女性係長とその上司
(目的)
昇格の節目に将来目指す姿について考え、
キャリアアップへ前向きな意識を持ってもらう
5.
復職準備セミナー
(対象)
育児休職者
復職前に、社外講師や先輩社員との交流を通じて、復職後の働き方や両立のノウハウを伝える
(目的)
※パートナーにも参加してもらうことで、夫婦が協力し合える働きかけも実施
30
経営戦略としてのダイバーシティ
・マネジメント
取組事例紹介④
豊田通商株式会社
http://www.toyota-tsusho.com/
整備しました。現在は制度の利用者が増え、上記の理由
で退職する人が減少しています。
その後、合併やグローバル化による人材の多様性を背
当
景に2013年からダイバーシティ推進に本格的に取り組
氏を
み、2014年7月、加留部淳社長の宣言をグループ全社の
討会
イントラネットで動画配信しました。社長自身の声で①ダイ
切り
バーシティ&インクルージョン
(以下、D&I)
を重要な経営
201
戦 略の一 つとして掲 げていること、② 2 0 1 4 年は「ダイ
質的
バーシティ浸透元年」であることを全社員に伝えたので
さら
す。豊田通商グループD&Iとは、
「さまざまな違いを尊重し
ずみ
当社は2 0 0 6 年に人 事 担当役 員からの発 声で「ダイ
て受け入れ、
『 違い』
を積極的に活かすことにより、変化し
講演
バーシティ推進室」
を創設し、
ダイバーシティの中でも特に
つづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに最も効
クトと
女性の活躍推進・両立支援を柱に活動を開始しました。
果的に対応し、豊田通商グループ全体の優位性を作り上
6チ
当社のダイバーシティ・コンセプトは
「性別や年齢に関わら
げること」
です。
このトップ宣言は、現在、採用HPでも公開
行い
ず、誰もが力を発揮できる組織となり、新たな価値の創造
されています。
チー
コーポレート本部 人事部
ダイバーシティ推進室長
萩原 朗子さん
ダイバーシティ推進に取り組むきっかけ
を目指す」
ことです。当時、女性の退職理由の1位が結婚
使っ
による転居、2位が出産だったため、
まず両立支援制度を
ジェ
ケー
キャリア形成支援「いきキャリ研修」概要
上が
(成果・効果)
目的 個性を活かし、主体的に組織貢献できる人材育成
(年15名)
対象 業務職
一般公募+本部推薦
延べ154人
参加者 (2001∼2010年)
オリエン
テーション
7月
8月
9月
10月
会社のしくみ
を知る
論理的
思考力の
向上
ヒューマン
スキルの
向上
プレゼン
スキルの
向上
研修
研修
研修
研修
OFFJT
職場
OJT
実践
実践
実践
実践
現状の
問題整理
問題の
分析・整理
対策案の
検討
実行計画の
策定
3
11月∼2月
計画の実行
月 役 員 向け最 終 発 表 会
研修
6月
(受講前)
(受講後)
・仕事では大きな変化もなく、
成長機会がなさそう
・今までの業務の枠を超えて
挑戦するようになった
・会社や組織に自分の仕事
がどう関わっているか分から
ない
・自分は会社のことを何も知ら
なかったことを知った
・自身の仕事の幅・スキルが
広がらない
・一歩踏み出す勇気がない
研修・実践の繰り返し時間
(狙い)
・自分1人では継続できなかっ
た
(多くの人に助けられた)
・
「やらされOL」
から
「やります
OL」
になった
2.
実ビジネスへの拡がり
1.
女性の役割認識の変革
総合職はトレーディング事業運営、女性業務職は
「サポート」
「 事務担当」
という役割
認識から、後者を女性目線を活かし商機を創出する総合職の役割認識へと変える
2.
部署を巻き込んだ組織開発
研修で意欲の上がった社員に対して、上司・同僚も育成理解を促進するようにアク
ションプランを実行し、最終的に役員向けプレゼンテーションを実施
3.
心理的支援、人脈づくり
展開
1.
受動的・消極的な意識から主体的・積極的な意識への変化
アクションラーニング型研修
上司・同僚から客観的意見が聞きづらいこと、
ゴール到達までの不安を取り除くことを
失くすため
「メンタリング制度」
を導入
当
値目
少な
増加
定
援す
仕事
の職
・天然資源の再生・回収事業の体制強化 等
も自
3.
業務のプロ
(女性)視点が職場改善・ビジネスにつながった
本部
・流通ルート管理によるコスト削減
・顧客/商品情報共有データベース導入
・女性による市場開発プロジェクト
・新規ビジネスの営業提案 等
4.
研修後も継続できる部署・年次を超えた関係性の構築
・OGフォロー研修
・現役・OGの食事会
(情報交換、応援、研修後の報告など)
※上記は2001年∼2010年に実施された。現在は「いきキャリNEO」
として開催期間を半年とし年2回開催されている。
31
研修
本部
より
つな
ま
理由
取組内容
女性が商品開発に参画し商品化した事例やカザフスタン
において、
日本の女性総合職と現地の女性スタッフが連
を背
当社ではまず2014年6月から川口順子氏、藤沢久美
り組
氏を女 性 社 外 取 締 役として起 用しました。
またD & I 検
社の
討会として、2014年6月に役員検討会を開催したのを皮
ダイ
切りに、1 1 ∼ 1 2月に部 長 検 討 会 、一 般 向け講 演 会 、
経営
2015年1∼3月に室長・GL検討会を行い、各層ごとに本
ダイ
質的なD&Iに関する講演会や議論の場を設けました。
社会に貢献するために、従業員ひとりひとりがイキイキと個
ので
さらに、ANAホールディングス㈱の社外取締役・小林い
性と能力を発揮できる、そんな企業を目指しています。み
重し
ずみ氏、㈱ワーク・ライフバランス社 長・小 室 淑 恵 氏の
んなが会社に来るのが楽しいと思えるような未来を共に
化し
講 演 会を開 催しました。後 者は働き方 見 直しプロジェ
創っていきたいと思っています。
も効
クトとして講演会聴講後には、社内でリーダーを選抜し、
り上
6チーム
(1チーム10人)がトライアルで「働き方改革」
を
拡 大 、② 長 時 間 労 働を含めた働き方 改 善プロジェクト
公開
行いました。
これはチーム目標を設定し、個人の意識や
の促 進 、③ 男性の育 児 参 加 、④ 有 給 休 暇 取 得 促 進な
チームの 関 係 性を良くして 、いかに有 効 的に時 間を
ど制 度 面での支 援の充 実です。特に女 性は将 来どの
使って成果を出すかということを目的とする8カ月のプロ
ように働くとよいのか不安を抱いている方が多いので、
化
た
いる。
携して自動車ビジネスを展開し、
トヨタグループ初の同国
での現地生産を開始した事例も生まれています。
今後の目標・課題
今後は変化の激しいビジネス環境の中で成長し続け、
課 題は、① 女 性 管 理 職 の 登 用 及び 女 性 採 用 数 の
ジェクトです。
このプロジェクトを通じて、チームのコミュニ
「 出 産・育 児などのライフイベントを乗り越える新しい
ケーションが増え生産性高く働くようになったという声が
働き方もある」
ということをさらに伝えていきたいと思って
上がってきています。2015年度は、
これをさらに拡大し
います。
展開していく予定です。
成果
当社では本質的な登用を目指し、
あえて定量面での数
アドバイス
トップのコミットメントが一番重要だと思います。経営陣
が「会社の経営戦略としてダイバーシティを推進していく」
値目標は掲げていません。女性の総合職は全体の5%と
という方針を全社員に示し、新入社員の入社時や新年
少ないのですが、女性の登用においては海外駐在員の
の挨 拶 時など定 期 的にその意 義や重 要 性を発 信して
増加や初の部長昇格者も出てきています。
いくことが大切です。
また私ども現場サイドとしては、
ソフト
定性面では、女性業務職(一般職)
のキャリア形成を支
施策(マインド面)
とハード施策(制度・しくみ)の両輪で
援する
「いきキャリ研修(31頁参照)」
を実施するとともに、
D&Iを進めており、中でも
「企業の風土改革」、
「 働き方
仕事と家庭を両立できる環境づくりを進め、女性業務職
の改善(長時間労働の改善を含む)」の2つが重要だと
の職域拡大を実現しています。
また全社の取組み以外に
考えています。
も自動車本部、金属本部、
グローバル部品・ロジスティクス
本部等、各本部横断で女性総合職を対象とするリーダー
研修を自主的に行ったり、
グローバル部品・ロジスティクス
本部では、女性業務職対象の研修を手厚く重ねることに
より、その職域が拡大するなど各本部の行動に有機的に
つながってきていると思います。
またビジネスにおいては関連会社の第一屋製パン㈱で、
(2015.4.24)OKB総研 調査部 陸田 いずみ
32