顧客 - 月刊コンピューターテレフォニー

顧客、経営者、コンタクトセンター(カスタマー
サービス)「三方良し」実践のための
顧客体験マネジメント
2015.11.12
ISラボ 代表
渡部 弘毅
<コンピューターテレフォニーで連載中>
自己紹介
http://www.is-lab.org
ISラボ 代表
渡部 弘毅
<個人プロフィール>
出身地:愛媛県松山市
学歴:
 上智大学経済学部経済学科 卒業
(1985年)
 青山学院大学 大学院 経営学修士課
程(MBA)卒業(1999年)
<活動団体>
●日本情報システム・ユーザ協会
 アドバンスド研究会 「サービスサ
イエンス研究プロジェクト」
●月刊コンピュータテレフォニー
5年後のコンタクトセンター研究会
カスタマー・エクスペリエンス分科会
<著書>
●「営業変革 しくみを変えるとこんなに
売れる」メディアセレクト 2005/11
Copyright 2015 © Insight Scope Laboratory
<職務経歴>
●1985年 日本ユニバック(現日本ユニシス)入社
 大手法人顧客の担当営業
 新事業 企画部門
 CRM/CTI分野の製品を長年担当し、PBXやCTI/CRM関連商品企画、
マーケティング業務を経験
● 2000年-2005年 日本アイ・ビー・エム、およびIBMビジ
ネスコンサルティングサービス(出向)
 CRMエリア(営業、マーケティング部門やカスタマーサポート部
門)の戦略および業務改革コンサルティング
 IBMで実施された営業改革モデルを手本としたコンサルティングモ
デルの実践
 IBM認定コンサルタント(ICP)取得
● 2005-2012年 日本テレネット
 コンタクトセンターアウトソーシング事業推進、新サービスの企画、
商品化、社内BPR、経営企画担当
● 2012年5月
ISラボ設立
 顧客経験価値の向上を切り口に、経営戦略立案、業務改革支援コン
サルティング活動中
● John Goodman School of Customer Experience
 ラーニングイットが主催するジョン・A・グッドマンのマネージメ
ントフレームワークの研修コースの公認インストラクター兼コンサ
ルタントとして活動中
1
本日お話ししたいこと
「三方良し」を実現するあるべき姿と、その実現を具現化する
方法論や知見をお話しします。
顧客
<高い満足レベル>
カスタマー
エクスペリ
エンス
カスタ
マーサー
ビス
経営者
<存在価値の向上>
<収益の向上>
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顧客満足度の質の違い
満足の仕方には「心で満足」と「頭で満足」がある
頭で満足
心で満足
不満足
全く満足
していない
とても満足
5
4
出典:ハーバードビジネスレビュー 2005年7月・8月特別号
米国ギャラップ・オーガニゼーション
カスタマー・エンゲージメント及びHuman Sigma主席研究員
ョン・フレミング博士
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3
顧客満足度調査
2
1
ジ
3
「心で満足」が経営に与える影響
「心で満足」した顧客は「頭で満足」する顧客より優良顧客になる
クレジットカード会社年間平均利用額
銀行の顧客離反率
頭で満足した
顧客は他社の
いい商品に離
反しやすい
6.0%
5.8%
$251
3.8%
Emotionally
Satisfied
Rationally
Satisfied
Dissatisfied
(頭で満足) (不満足)
(心で満足)
Emotionally
Satisfied
$136
$136
Rationally
Satisfied
Dissatisfied
(頭で満足) (不満足)
(心で満足)
Copyright C2006, 1994-2001 The Gallup Organization, Princeton , NJ All Rights Reserved
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4
カスタマーエクスペリエンスが重要な理由
商品そのものの評判や品質、価格に競合力があるだけでは、
お客様の永続的な信頼を獲得できない。
課題を克服するための重要なキーワード
顧客接点、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)、顧客感情、顧客行動
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カスタマージャーニーとは?
Keyword:顧客接点、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)、顧客感情、顧客行動
【カスタマージャーニーとは?】
顧客がどのように企業や商品との顧客接点を持って認知し、その接点での顧客体験を通じてどん
な感情をもって、購入やサービス利用に至り、その後どんな行動するか、という一連のプロセスを旅
に例えた言葉。カスタマージャーニーを可視化して分析することで、顧客対応活動の最適化をはかることが可
能となる。
潜在意識の
購入先
商品
高まり
選定
選定
通常生活での体験
商品デリバリ
商品使用
決済
購入プロセスでの体験
サービス提供
購入(決済)後の体験
記憶への
定着
通常生活での体験
「いいものを安く!!」といった商品そのものの交換価値、すなわち
「頭で満足」だけでは生き残れない時代になってきたからこその考え方
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お客様と企業がWin & Win関係になるカスタマージャーのあるべきサイクル
カスタマージャーで、ポジティブ体験→心で満足→リピート&口コミのサイクルを回す顧客体験好転サイクル
構築への投資が顧客満足度、新規顧客、収益の拡大につながります。
カスタマージャーニー
潜在顧客
顧客体験①
潜在意識の
購入先
商品
高まり
選定
選定
商品デリバリ
商品使用
決済
サービス提供
<顧客接点>
広告、ネット操作、DM、セールス
店舗応対、商品使用、サービス享受、業
務系CC対応 (受注、処理受付 等)
等
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記憶への
顧客
定着
口コミ
リピート
顧客行動
顧客感情
ネガティブ
ポジティブ
な体験
な体験
頭で
心で
満足
満足
7
カスタマーサービスの位置づけ
ネガティブ体験顧客のリカバリー機能
カスタマージャーニー
潜在顧客
顧客体験①
潜在意識の
購入先
商品
高まり
選定
選定
商品デリバリ
商品使用
決済
サービス提供
<顧客接点>
広告、ネット操作、DM、セールス
店舗応対、商品使用、サービス享受、業
務系CC対応 (受注、処理受付 等)
等
顧客体験②
記憶への
顧客
定着
口コミ
リピート
顧客行動
顧客感情
ネガティブ
ポジティブ
な体験
な体験
頭で
心で
満足
満足
<重要な事実>
リカバリー
ゼロにはならない
チャンス!!
カスタマーサービス
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顧客体験好転サイクルのあるべき姿
ポジティブ体験が増え心で満足(エンゲージ)するお客様を増やす循環系を創り上げることが重要
です。
潜在顧客
カスタマージャーニー
口コミ
顧客体験①
フィード
バック&
改善
潜在意識の
購入先
商品
高まり
選定
選定
商品デリバリ
商品使用
リカバリー
チャンス!!
役割③
VOC
(顧客の声)
アンケート
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顧客行動
定着
サービス提供
<顧客接点>
広告、ネット操作、DM、セールス
店舗応対、商品使用、サービス享受、業
務系CC対応 (受注、処理受付 等)
等
顧客
記憶への
決済
リピート
顧客感情
ネガティブ
ポジティブ
な体験
な体験
申し出/問合せ
カスタマーサービス
顧客体験②
苦情受付センター、ヘルプデスク系
CC、お客様の声掲示板、店舗内カス
タマーサービス 等
役割①
頭で
心で
満足
満足
誘導
心のつながり
チャンス!!
ネガティブ
情緒的な
解消体験
体験
役割②
9
研究会で取り上げた「あるべき姿を実現する方法論や知見」(一部)
 サービスやプロセスの最適設計手法:オムニチャネル、サービスサイエンス
オムニ
サービス
チャネル
サイエンス
オムニ
チャネル
サービス
サイエンス
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サービスサイエンスを取り入れたサービスプロセス設計
お客様の事前期待に応じて6つのサービス品質を使い分ける
お客様
期待と不安の入り
混じった状態
サービス提供者
サ
ー
ビ
ス
の
依
頼
サ
ー
ビ
ス
の
提
供
高い満足
③
好
印
象
共
④ 感
性
信
用
⑥
柔
軟
性
安
心
⑤
感
お客様の依頼の
本質や背景を
理解する
不安を解消する
不安に対応
期待に応える
期待に対応
①
正確性
②
迅速性
正確性
成果
品質
迅速性
共感性
柔軟性
安心感
好印象
プロセス
品質
ベースは正確性と迅速性と好印象
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研究会で取り上げた「あるべき姿を実現する方法論や知見」(一部)
 サービスやプロセスの最適設計手法:オムニチャネル、サービスサイエンス
 満足度レベルの可視化と改善点の発見:NPS(Net Promoter Score)
オムニ
NPS
サービス
チャネル
サイエンス
オムニ
チャネル
サービス
サイエンス
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NPSを結果評価だけに終わらせないで改善策につなげる方法
NPSとカスタマージャーニーの相関分析
満足度を高めるプロセスはどこか?お客様のそのプロセスの評価は?自社の強みは? 弱みは?
XXへの
顕在欲求が高まる
他店と
当店の商品、
キャンペーン内容等
を知る
比較
店舗状況を
外から確認
入
店
意
思
決
定
店舗の環境(交通、建物、周辺、設備等)
アフターサービス
やトータルファッ
ション提案
店舗対応
入店
商品
閲覧
接客受
ける
購入
決定
支払手
続き
退店
相関分析
10~0
×
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カスタマージ
ャーニー(CJ)
での顧客体験
満足度
=
どのプロセス
改善がNPS向
上に有効か
マッピング分析
NPS
NPSのスコア
相関係数
アンケート2
アンケート1
と
の
相
関
係
数
弱みとして優
先的に克服
●
●
●
強みとして強
化
● ●
●
各CJ
●
●
●
●
アンケート2のスコア
13
研究会で取り上げた「あるべき姿を実現する方法論や知見」(一部)




サービスやプロセスの最適設計手法:オムニチャネル、サービスサイエンス
満足度レベルの可視化と改善点の発見:NPS(Net Promoter Score)
カスタマーサービスの収益貢献評価:ジョングッドマン トラブル回復モデル
VOCから痛点改善優先項目の発見と収益貢献評価:ジョングッドマン トラブル防止モデル
オムニ
NPS
サービス
チャネル
サイエンス
オムニ
チャネル
ジョングッドマン
トラブル防止モデル
(Market Risk Model)
ジョングッドマン
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トラブル回復モデル
サービス
(Market Damage Model)
サイエンス
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「グッドマンの法則に見る
苦情をCSに変える『戦略的顧客サービス』」より
(カスタマーサービスが収益貢献する根拠となる)ネガティブ体験をした消費者の普遍的な行動
ほとんどの顧客は苦情を申し出しない
メーカー本社に
申し出:1-2%
不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て企業の対応に満足した顧
客の再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客に
比べて極めて高い。(第一法則)
店舗に申し出:
10-15%
申し出しない:
85%
苦情対応に不満を抱いた顧客のネガティブなクチコミは、満足 ネガティブな体験(トラブル)が多くなるにつれ、価
した顧客の好意的クチコミに比較して2倍も強く影響を与える。 格に不満をもつ。
(第二法則)
10%
2,000人
2人にクチコミ
非常に感動した
1万人の顧客
70%
満足した
20%
不満だった
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1人にクチコミ
7,000人
▲12,000人
6人にクチコミ
▲3,000人
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顧客体験好転サイクルと実現に活用できる方法論や知見(一部)




サービスやプロセスの最適設計手法:オムニチャネル、サービスサイエンス
満足度レベルの可視化と改善点の発見:NPS(Net Promoter Score)
カスタマーサービスの収益貢献評価:ジョングッドマン トラブル回復モデル
VOCから痛点改善優先項目の発見と収益貢献評価:ジョングッドマン トラブル防止モデル
オムニ
NPS
サービス
チャネル
サイエンス
オムニ
チャネル
ジョングッドマン
トラブル防止モデル
(Market Risk Model)
ジョングッドマン
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トラブル回復モデル
サービス
(Market Damage Model)
サイエンス
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カスタマー・サービス・エクスペリエンス(CSX)の進化
CSX1.0
CSX2.0
CSX3.0
特徴的な市場環境
大量生産・大量消費
ハード偏重
ニーズの多様化
超高齢化・労働人口減少
サービス重視(モノからコト) 社会貢献・環境重視
マーケティング変遷
製品中心マーケティング
消費者中心マーケティング
生活者中心マーケティング
トラブルの解消
顧客満足の向上
安心・安全・楽しさの提供
製品使用時のトラブル体験
企業との全接点におけるネ
ガティブ体験
カスタマー
サービスの目的
対象となる
顧客体験
カスタマーセン
ターの位置づけ
将来のネガティブ体験や心
地よい体験(フューチャー・
エクスペリエンス)
コストセンター
経営貢献センター
プロフィットセンター
エンゲージメントセンター
イノベーションセンター
オペレーター
コミュニケーター
コンシェルジュ
重要な人的サービ
スマネジメント
標準化・効率化・バラつき
防止
<正確性・迅速性>
事前期待に応じたサービス
品質の使い分け
<好印象・柔軟性>
人にしかできないヒューマ
ンタッチな対応
<共感性・安心感>
VOCの活用
商品の改善点や新商品のヒ
ントの発見
顧客接点の改善点の発見
将来の顧客体験の予見
ヘルプデスクシステム
FAQ
CRM/CTIシステム
リコメンドエンジン
オムニチャネルシステム
IOT
ビックデータ・マイニング
人工知能
応対スタッフ
重要
テクノロジー例
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