「スコーレ・テクニカル・ブリーフ」第7号 2008年11月 分野:信 頼 性 解 析 テーマ:S-N曲線(両振り応力データ→片振り応力データへの変換方法) 材料の寿命推定をする場合、S-N曲線が必要となる。S-N曲線はJISで規定された標準 試験片を使用して、回転曲げ疲れ試験(JISZ2274)によることが多い。 回転曲げ疲れ試験は、試験片表面に引張りと圧縮の正弦波応力が繰り返し負荷される(両 振り応力)。 しかし、実際には、例えばプレス加工の様に圧縮応力だけが作用する場合、あるいは引張り 応力だけが作用する場合が少なくない(片振り応力)。 そこで、両振り応力のS-N曲線を片振り応力のS-N曲線に変換する方法をまとめました。 【1】 どの応力を使用するのか ・ 材料の降伏:一般的にミーゼス応力で評価。ただし、脆性材料の場合は主応力で評価 することが多い。 ・ 疲労、応力集中:主応力で評価。特に、疲労は引張りの主応力で評価する。 【2】 両振り応力のS-N曲線を片振り応力のS-N曲線に変換する方法 ① 両振りS-N曲線を準備する。 応力振幅 σ1 S-N曲線(両振り) σ2 σ3 σw 104 105 106 破断繰返し数 (注:横軸は対数軸) 1 107 ② ①の応力データを以下の様に置き換える。そして、45°の線を引く。 σ1 104 σ1’ 応力振幅 105 σ2 106 σ3 107 σw 45° 各交点が 「片振り」時の応力 平均応力 真の破断応力 注:上図を「疲れ限度線図」 * 「疲れ限度線図」には、上図以外もあるが省略します。 ③ 各交点の応力(応力をσ1’、σ2’、・・・とする)をプロットし、直線で結ぶ。 応力振幅=平均応力 σ1’ S-N曲線(片振り) σ2’ σ3’ σw’ 104 105 106 破断繰返し数 (注:横軸は対数軸) 107 応力振幅 平均応力 0(ゼロ) 平均応力=応力振幅 2 * 参考文献 1.中村 他著:機械の疲労寿命設計(S58年7月20日)、養賢堂、P82~83 2.金属材料 疲れ強さ設計資料(Ⅰ)(S52年4月15日)、日本機械学会、P1~2 【3】 真応力の計算方法(公称応力から真応力の計算) W:荷重 A:初期断面積 B:変形後の断面積 σ:公称応力 σt:真応力 L0:初期長さ L:変形後の長さ 公称応力:σ=W/A 真応力:σt=W/B ひずみ:ε=(L-L0)/L0 式を変形して、L/L0=1+ε→L0/L=1/(1+ε) ここで、変形の前後で体積は変わらないと仮定する。 A*L0=B*L B=A*L0/L=A/(1+ε) ここで、σt=W/B に B の値を代入して σt=W/(A/(1+ε))=(W/A)(1+ε) また、W/A=σ よって、 真応力:σt=σ(1+ε) よって、破断時の公称応力(荷重)とひずみ(伸び)が分かれば、真の破断応力が計算でき ます。 ********************問題解決のお手伝いをします*************************** (有)スコーレ・ティー・エー・リサーチ 電話:052-723-9227、FAX:052-723-9228 E-mail:[email protected](mx1 の 1 は数字の 1 です) 3
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