礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布

哩号ラ
保田・佐藤 : 礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
一利民島・礼文島・サロベツ原野昆虫相調査報告一
保田信紀
長
大雪山国立公園層雲峡博物館
(〒 078-17
北海道上川郡上川町字層雲峡)
佐藤雅彦
利民町立博物館
(干 097-03
北海道利尻郡利尻町仙法志字本町)
I
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tFaunalSurveyo
fIs.Rishiri , Is.Rebun
andSarobetsuF
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fGroundB
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e
t
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eCommunities
i
nMt.Rebun , Is.Rebun , Hokkaido
By
NobukiYASUDA
SounkyoMuseumo
fNaturalHistory
Sounkyo , Kamika
wa-cho , Hokkaido , 078-17Japan
MasahikoSATO
R
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h
i
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iTownMuseum
Senhosi , Rishiri-cho , Hokkaido , 097-03 Japan
-
e、
はじめに
調査概要
1
.
礼文島は日本の最北端部に位置する東西 6 畑、
南北221冊、総面積約 82knl の南北に細長い島で、南
調査期間
フィルド調査は 1991年 7 月 10 日から 7 月 15 日と
に隣接する急陵な地形をもっ利尻島とは対照的に
8 月 28 日から 9 月 2 日の 2 期にわたって実施され
島全体が比較的平坦な丘陵地からなっている。
た。
Z
1991年度の調査は、礼文島において実施された。
調査地域
この調査は 1990年度の利尻山に引続いて糖蜜を用
調査地域は、礼文岳の東北斜面に位置し、礼文
いた pitfall trap法によって礼文岳の地表性甲虫
岳登山道に沿った標高 15m から 480m の地域であ
類群集の垂直分布調査を行ったものである。その
る。調査地点としては、代表的な植生群落ごとに
結果を報告する。
13個所 (stations
なお本調査地域における「特別保護地区内」で
1-13) が設定された。各調査地
点の植生環境は次のとおりである。
の調査は環境庁長官(平成 3 年 4 月 23 日付環自北
S
t
.
1
許第 183号)の許可を得て実施したものである。
調査地は山頂部の西側で、群落高約 0.3m のハイ
本報告をまとめるにあたり、不明種について同
(標高 480m)
マツ群落の林縁部ではコケモモ、ガンコウラン、
定と御教示いただいた木元新作、森田誠司、大平
マイズルソウが優占し、このほか、ゴゼンタチノ〈
仁夫の諸氏に厚くお礼申し上げる。
ナ、チシマワレモウコウ、ヒロハノシラネニンジ
ン、チシマギキョウなどがみられ、さらに媛性化
a
唱 E・
唱目ゐ
利尻町博物館年報第 11集
図 1
調査地域と調査地点 (Sts.1
1992
-13)
したダケカンパの低木が点在する。 traps はそれら
ラノキ、エゾニワトコなどの低木が点在する。な
の群落地に設置。
お本来は、本調査地は補遺調査地として設けられ
S
t
.
2 (標高 470-480m)
たところである。
調査地は山頂部の北側で、 traps は、ハイマツ群
S
t.8 (標高 230m)
落の空間部に発達したイワノガリヤス群落地と、
トド、マツ林、林床はチシマザサが優占する。
コケモモ、ゴゼンタチバナが優占し、ガンコウラ
traps設置点ではチシマザサのほかにツタウルシ
ン、マイズルソウ、ミヤマアキノキリンソウ、ヒ
が優占し、ナナカマドの若木が点在する。
ロハノシラネニンジン、ダケカンパの若木などの
S
t.9 (標高 180m)
みられる群落地に設置。
S
t
.
3
トドマツ林、トドマツの純林地にわずかにダケ
(標高 450m)
カンパが混在する。 traps設置点の林床ではササ層、
調査地は山頂東側の尾根部で、群落高 0.3-0.5
m のハイマツ群落やダケカンバの点在するところ
草本層のいずれも欠如しており、稚木がわずかに
点在する。
に、イワノガリヤス群落あるいはガンコウラン、
S
t
.
1
0 (標高 100m)
コケモモ、マイズルソウなどの群落がカーペット
調査地は群落高 1- 1. 5m のチシマザサ群落地で、
状に密集して発達する。 traps は主として後者の群
St.ll と同じく海岸段丘上部の平坦な斜面に発達し
落地に設置。
ている。 traps 設置点ではツタウルシが優占し、マ
St
.4 (標高 370m)
イズルソウ、ヤマハハコ、イワノガリヤスなどが
調査地は群落高0.5-1 m のハイマツ群落の密生
みられる。
地で、 traps設置点の林床、林縁部で、 はアカミノイ
S
t
.
l
l (標高 100m)
ヌツゲが優占し、イワノガリヤスが点在する。
調査地は群落高 0.5-1 m のチシマザサ群落地。
S
t.5 (標高 400m)
traps設置点は St . 10 と同じくツタウルシが優占し、
調査地は尾根の北側斜面に発達するダケカンバ
林で、 traps設置点の林縁部ではマイズルソウが優
占し、ツタウルシ、イチイ、チシマアザミ、コガ
ネギ夕、エゾカンゾウなどの低木、草本類がみら
S
t
.
1
2 (標高 30m)
調査地は St.13 と同じく海岸段丘の急斜面に位
置する。オオイタドリが優占し、チシマザサは少な
れる。
S
t
.
6
マイズルソウ、イワノガリヤス、チシマアザミ、
オオヨモギなどがみられる。
い。そのほか、オニシモツケ、チシマアザミ、オ
(標高 280m)
ダケカンパ林。林床はチシマザサが密生する。
オヨモギ、ヨツパヒヨドリ、アキタブキ、ウド、
traps設置点の林縁部ではツタウルシ、マイズルソ
オオバコ、コクワ、ツタウルシなどがみられ、
ウ、ザゼンソウなどがみられる。
traps は主として高茎草本類の根ぎわに設置。
S
t
.
7
S
t.
1
3 (標高 15-20m)
(標高 240m)
調査地は高木林が聞けて高茎草本類の優占する
ところで、 traps 設置点では、チシマアザミ、オオ
点、lrfウド、ウド、オオヨモギなどの草本類に、タ
前調査地と同じくオオイタドリ群落地に含まれ、
traps は類似の植生環境地に設置。
以上、各調査地の植生環境について簡単にふれ
- 1
2-
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
たが、全調査地を構成植物の種類組成から、さら
に次のように区分して表現する(大場、 1988) 。
A
調査結果および考察
1. 採集された甲虫類
ハイマツ群落: S
t
s
.1 -4 。
本調査で採集された甲虫類は 26科 117 種 3080個
B ダケカンパ群落: Sts.5- 6 。
体で表 1 のとおりである。
C
D
E
1
. 全調査地における優占科
高茎草本群落: S
t
s
.7 。
トドマツ群落: S
t
s
.8- 9 。
この調査方法で得られた甲虫類は 26科に属する
チシマザサ群落: Sts.10-11o
ものであったが、これらのうち全調査地をとおし
F オオイタドリ群落 : Sts.12-13o
て平均値以上を記録した優占科は、種数では、ハ
3. ' 調査方法
ネカクシ科30. 8% 、ゴミムシ科 14.5% 、ゾウムシ
誘引物質として糖蜜(黒砂糖、ビール、焼酎、
科 10.3% 、オサムシ科 5.1% 、シデムシ科 5.1% 、コ
そして水との混合液)を入れた pitfall trapj法を
メツキムシ科4.3% 、そしてハムシ科 4.3% の順と
用いた。そして選定された各調査地には各20個の
なっており、これら 7 科で総種数の 74.4% が占めら
trapsC プラスチックコップを使用)が 2-3m の
れていた。また個体数からみると、オサムシ科40. 7
間隔で縁が地上すれすれになるまで埋設された。
%、ゴミムシ科24.9% 、ハネカクシ科 1 1. 8%、コガ
調査は下記の日程で行われた。
ネムシ科9.5% 、そしてシデムシ科 7 %の順となっ
1991年 7 月 10 日: traps を設置。
ており、これら 5 科で総個体数の実に 93.9% が占
7 月 15 日: traps を回収。
められていた。そして種数、個体数ともに優占科と
1991年 8 月 28 日: traps を設置。
して記録されたのは、オサムシ科、ゴミムシ科、シデ
9 月 2 日: traps を回収。
ムシ科、ハネカクシ科の 4 科となっており、これら
回収の方法としては、 traps に採集された全内容
4 科で総種数の 55.6% 、総個体数の 84.4% が占め
物を各調査地ごとに一括してナイロン袋に入れて
られていた。なお他地域における優占科構成は、
持ちかえり、整理、分類した。
羊蹄山(保田・他、 1990) と利民山(保田・他、 199
調
科
名
オサムシ科
ゴミムシ科
ガムシ科
タマキノコムシ科
ヒゲプトチピシデムシ科
チピシデムシ科
シデムシ科
デオキノコムシ科
ハネカクシ科
アリズカムシ科
クワガタムシ科
コガネムシ科
マルトゲムシ科
コメツキムシ科
ジョウカイボン科
ホタル科
ジョウカイモドキ科
ネスイムシ科
ケシキスイムシ科
キスイムシ科
ゴミムシダマシ科
ハムシダマシ科
カミキリムシ科
A
B
1 2 3 4 5 6
2
4 1
6 4
0
8
3 7
6 1
8
5 2
5 1
3 1
4 2
9 4
0 4
5
l
1
6
1
1
2
8
7
1
1
1
7 3
6 3
1 3
5
9 1
0
種
数
体
個
数
6
1
7
1
4
l
2
6
1
3
6
7 2
8 7
8 8
8 3
5
1
2
1 l
l
3 1
5 1
4 8
7 3
5 1
7 9 1
6 2
1 l
8 6
9
1
1
1
2
1
5
l
1
1
1
4
2
2
1
4
1
1
1
1
4
2
1
1
l
2
l
1
l
l
1
2
1
2
5 l
6 1
6 2
8 3
1
4 2
7
8 3
9 3
1
3
数
D
E
C
F
7 8 9 1
0 1
1 1
2 1
3
3
3
8 1
5
0 9
3 2
1 5
8 2
7 1
4
5
5 1
3
1 1
1
3 1
3
2 9
7 7
6 1
7
1
2 1
3 1 1
0 5 5 1
l
ハムシ科
ゾウムシ科
オサゾウムシ科
種
個
体
地
査
2 3
2 1
0
3
1
2
1
4
3
4
2
1
3
1
2
7 1
2
2 1
1
1
1
2
3
2
3 3
2 3
5 3
4 2
7 2
6 4
3 2
1
1
2 1
3 1
8 2
1 3
0 3
1
4 2
0
8 3
0
5 3
7
6 3
0
4 1
7
9 9
1
5
3 4
6 8
6 1
3
5 3
8
2 4
0
1 5
1
2
5
3
7
6
7
1
3
8
1
9
2
1
6
3
6
3
1
5
2
9
2
1
2
3
1
2
l
1
1
2
2
1
3
1
0
6
1
6
4
3
2
l
1
3
5
1
2
l
1
1
7
3
0
8
0
表 L 植整会れ計突事オ暮喜平警?努害警JSP8各警警護義古書官?警告今皇室数・個械を示す。
E: チシマザサ群落、 F: オオイタドリ群落
- 1
3-
利尻町博物館年報第 11集
調
種
名
コレブプスンオジサアカムガシネオサムシ
ヒメクロオサムシ
エゾマルガタナガゴミムシ
エゾナガゴミムシ
アトマルナガゴミムシ
ぁコ,ク
n u.ch凶 sヒpラ
.
ロツヤ
タゴミムシ
オコックゴアトキリゴミムシ
ヒラタ
ミムシ
ルリコガシラハネカクシ
ニセセミゾハネカクシ
A
1
e
o
c
h
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r
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es
p
.
F
A
l
e
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c
h
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i
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a
esp.M
センチコガネ
チカクビスヒサゴコメツシキ
ダマ シ
ナゴミム
個
種
表Z
体
数
A
B
1 2 3 4 5 6
3 1
1
1
2 1 2
2
3 1
6 2
9 4
9 7
3 6
5
1
2 2
4 8
3 1
1
8
6 1
1
2 3 5 1
l 1 7
1
.1
0 4
2 4 2 3
l
8 6
l 2
3
4 8 7 4
6 4 2
7 2
1
2
1 1
8
6
7 1
6
1
1
査
(
7
6
6
5
2
2
1
3
1
D
8
3
1
9
7
1
8
7
2
2
3
2
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l
3 1
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2 3
E
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F
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.
9 1
0 1
1 1
2 1
3
8 7 1
6 l
1
0
4
1 4 2
1
1
9
3
6 8 7 2
2 1
1
1
2
8
5
1
9
1
8 9 9
1
1 1
2 5 3
9
8
4
8
1 1
2
11
0
8 6
8
7 6
9 1
2
4
2 4 1
1
1
4 2
8 3
1
4
4
2 1
9
4 2
2
3
2
1
3 1
0
4
4
1 4
5 1
9 1
9 1
6 2
1 1
1
2
2
1
2 1
1
1
8
01
5
1
2
43
3
1
6
04
2
1
0
12
5
1
7
12
2
1
02
2
1
5
12
5
1
2
11
4
5 2
7
8 7
8
2
7
6
92
4
9
R 7
1
3
1992
個
体
数
1
7
6
4
7
8
5
4
3
1
6
1
8
2
4
4
1
1
5
2
8
7
2
3
1
7
7
4
4
6
4
2
3
1
0
6
2
8
5
1
1
3
1
2
6
3
2
採集された優占種。各種の採集された調査地数・個体数と各調査地(植生群落)の採集された種数・個体数を
db:A-F(表1を参照)。
1)ではオサムシ科、ゴミムシ科、ハネカクシ科、
D: ゴミムシ科43. 396 、オサムシ科39. 396 。
コメツキムシ科の 4 科、そして大雪山系黒岳(保
E: ゴミムシ科39. 596 、ハネカク l シ科28. 696 、オサ
田、 1988) ではオサムシ科、ゴミムシ科、ハネカ
ムシ科 13. 696 。
ク・シ科の 3 科が記録されている。
Z
F: ゴミムシ科34. 496 、シデムシ科2 1. 996 、ハネカ
各調査地(植生群落)における優占科とその
クシ科 16. 396 、オサムシ科 15.296 。
主要構成績
以上の結果、各植生群落地から選出された優占
各植生群落 CA- F) ごとに採集された種数お
科は、オサムシ科、ゴミムシ科、シデムシ科、ハ :
よび個体数を比較してみると、種数(表 l には総
ネカクシ科、コガネムシ科、コメツキムシ科、ハ
数のみ記入)では、
ムシ科、そしてゾウムシ科の 7 科となっていた。
A: ゴミムシ科22. 596 、ハネカクシ科 12. 596 、オサ
そのうち種数、個体数ともに優占科として記録さ
ムシ科 1096 、コメツキムシ科 1096 、シデムシ科
れたのは、ここでもオサムシ科、ゴミムシ科、シ
7.596 、ハムシ科 7.596 、ゾウムシ科 7.596 。
デムシ科、そしてハネカクシ科の 4 科となってい
B: ハネカクシ科27.796 、ゴミムシ科 19. 196 、オサ
戸
れ~O
次に各植生群落 CA-F) から選出された優占
ムシ科 12. 896 、シデムシ科 12. 896 。
C: ハネカクシ科27. 996 、ゴミムシ科20. 996 、オサ
科の主要構成種(優占種)をみる。
A: オサムシ科(レプンオサムシ 73. 696 、その所
ムシ科 1 1. 696 、ゾウムシ科 1 1. 696 。
D: ハネカクシ科3 1. 796 、オサムシ科 14. 696 、ゴミ
属する科における割合)、ゴミムシ科(オコッ
ムシ科 12. 296 、ゾウムシ科9.896 。
クアトキリゴミムシ 37. 796 、エゾマルガタナ
ガゴミムシ 16. 496 、 Synuchus s
p
.
1
4
.896 、
E: ハネカクシ科22. 296 、ゴミムシ科2096 、オサム
エゾナガゴミムシ 14. 89
6)、シデムシ科(ヒラ
シ科 1 1. 196 。
F: ハネカクシ科35. 196 、オサムシ科 13. 596 、ゴミ
タシデムシ 7 1. 496) 、ハネカクシ科(ニセセミ
ムシ科 13. 596 。
ゾハネカクシ 57.196) 、コガネムシ科(センチ
また個体数では
コガネ 10096 )、コメツキムシ科(チビヒサゴコ
A: オサムシ科49. 796 、ゴミムシ科 19. 196 、コガネ
メツキ 73.
ムシ科 1 1. 996 。
3
9
6)、ハムシ科(ワタナベハムシ 60
96) 、ゾウムシ科(キソヤマゾウムシ 4096 、
B: オサムシ科50.296 、コガネムシ科 19. 896 、ゴミ
CuruculionidaeGen.sp.A4
0
9
6
)
"
ムシ科 10. 996 、シデムシ科 8.696 、ハネカク
B: オサムシ科(ヒメクロオサムシ 5 1. 196 、レブ
シ科8.696 。
ンオサムシ 35. 1
9
6)、ゴミムシ科(エゾマルガ
C: オサムシ科66. 596 。
タナガゴミムシ 3 1. 896 、コクロツヤヒラタゴ
噌aA
aaτ
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
5%)、
6%)、ハネカ ー
ミムシ 28.2% 、エゾナガゴミムシ 16.
ガネオサムシ (5.7% 、 10sts.) 、エゾマルガタナ
シデムシ科(ヒラタシデムシ 7 1.
ガゴミムシ (5.2% 、
s
t
s
.
) Synuchuss
p
.(
3.
7
Aleocharinae G
en.sp.M (3 .4 % 、
8
クシ科(ルリコガシラハネカクシ 58. 2 施、ニ
%、
セセミゾハネカクシ 9%) 、コガネムシ科(セ
4sts.) 、エゾナガゴミムシ (2.7% 、 9 sts.) 、ニ
ンチコガネ 95.5% )。
セセミゾハネカクシ (2.1% 、
C: オサムシ科(ヒメクロオサムシ 63 %)、ゴミム
8 sts.) 、
ナガゴミムシ(1. 4%、
シ科(コガシラナガゴミムシ 29 %、ヒラタキイ
ネカクシ(1.
ロチピゴミムシ 16.1% 、コクロツヤヒラタゴ
%、 10sts . ) 。
ミムシ 16. 1%)、ハネカクシ科 (Aleochari­
naeGen.sp.D2
9
.7%、ニセセミゾハネカク
シ 2 1. 6%、ツマグロアカパネハネカクシ 13. 5
%、Bolitobius s
p.B1
0
.8%)、ゾウムシ草ヰ (c­
uruculionidaeGen.s
p
.C 6
0%)
0 .
D: オサムシ科(レブンオサムシ 56.8% 、ヒメクロ
オサムシ 22.2% )、ゴミムシ科(エゾマルガタ
s
p
.
3
5
.8%)、
ハネカクシ科 (Aleocharinae G
en.sp.A2
0
%、ルリコガシラハネカクシ 1 1. 4%、クロモン
キノコノ、ネカクシ 11.4% 、 Aleocharinae G
en.sp.Kl
1.
4%、コマルズハネカクシ 8.6 %、
ナガゴミムシ 45. 9% 、 Synuchus
4%、
9 sts.) 、アトマル
9 sts.) 、ルリコガシラハ
4 sts .) 、セダカオサムシ (0.9
の順となっており、これら 14優占種で総個体数
の 84.1% が占められていた。そめうちゴミムシ科
に属するものは 5 種、オサムシ科は 4 種、ハネカ
クシ科は 3 種、そしてシデムシ科とコガネムシ科
はそれぞれ 1 種という種構成になっていた。
4 各植生群落における僅占種と種構成の特徴
( )内は各植生群落 (A- F) における総個体
数に対する割合を表わす。
A: レプンオサムシ (36. 6% )、センチコガネ (1
1
.9%)、ヒメクロオサムシ (8.4% )、オコッ
クアトキリゴミムシ (7. 2%)、コプスジアカ
ガネオサムシ (4. 1%)、チピヒサゴコメツキ
ニセセミゾハネカクシ 8.6% 、 Aleocharinae "
(3.4%)、エゾマルガタナガゴミムシ (3.
Gen.sp.D8
.6%)、ゾウムシ科 (Hylobitelus
s
p
.2
5%、クロコプゾウムシ 25 %、リンゴノミ
(
2
.
8%)、
ゾウムシ 25% 、マツコプキクイ 25% )。
ゾハネカクシ (2.5% )。
E: オサムシ科(レブンオサムシ 4 1.
8%、コプスジ
1%)、
ヒラタシデムシ (3. 1%)、エゾナガゴミムシ
Synuchus
sp.
(
2
.8%)、ニセセミ
B: ヒメクロオサムシ (25.7 %)、センチコガネ
(
1
8.9%)、レプンオサムシ(1 7 .6 %) 、とラ
1%)、ルリコガシラハネカク
アカガネオサムシ 29.1% )、ゴミムシ科(コク
タシデムシ (6.
ロツヤヒラタゴミムシ 76.4% )、ハネカクシ科
(AleocharinaeGen.sp.M51
.8%、ニセセミ
シ (5 %)、コプスジアカガネオサムシ (4.3% )、
ゾハネカクシ 22.3% )。
エゾマルガタナガゴミムシ (3.4% )。
F : オサムシ科(ヒメクロオサムシ 80.5% )、ゴミ
C: ヒメクロオサムシ (4 1. 9%) 、コプスジアカガ
ムシ科(コクロツヤヒラタゴミムシ 87. 1% )、
ネオサムシ (13 %)、レプンオサムシ (10.2% )、
シデムシ科(ヒラタシデムシ 100 %)、ノ、ネカ
クシ科 (Aleocharinae
ヒラタシデムシ (6.9% )、センチコガネ (6.
Gen.sp.M4
5
.5%、
エゾアリガタハネカクシ 15.9 %)。
9%) 。
D: レプンオサムシ (22.3% )、エゾマルガタナガ
ゴミムシ (19.9 %)、 Synuchus
以上となり、各植生群落において、それぞれ各
科を代表する特徴ある優占種から構成されていた。
s
p
.(
1
5
.5%)、
ヒメクロオサムシ (8.7% )、エゾナガゴミム
a 金調査地における優占種
シ (6.6 %)、コブスジアカガネオサムシ (6 .3
%)、センチコガネ (4.2% )。
全調査地をとおして、平均値以上の個体数が得
E: コクロツヤヒラタゴミムシ (30.2 %)、 Ale­
られた優占種をみると、
ヒメクロオサムシ (17.6% 、 12sts. 総個体数に
ocharinaeGen.sp.
M (
1
4
.
8%)、ニセセミ
対する割合と観察された調査地数)、レブンオサ
ゾハネカクシ (6.4% )、センチコガネ (6.4% )、
ムシ(1 5.5% 、l1 sts. )、コクロツヤヒラタゴミム
レブンオサムシ (5.7% )、コプスジアカガネ
シ (9.3% 、 8 sts.) 、センチコガネ (9.3% 、 12sts. )、
オサムシ (4 %)、ア トマルナガゴミムシ (4
ヒラタシデムシ (5.7% 、l1 sts.) 、コプスジアカ
%)、 Aleocharinae
- 1
5-
Gen.sp.F (4 %)、エ
利尻町博物館年報第 11集
ゾナガゴミムシ (3.
1
9
6)、ヒラタシデムシ (3.1
であるレプンオサムシは F 調査地を除いて各
地に広く優占的に分布しており、利尻山の別
96) 、ヒメクロオサムシ (2. 696) 。
F: コクロツヤヒラタゴミムシ (3096 )、ヒラタシ
亜種リシリオサムシと類似の分布状態を示し
99
6)、ヒメクロオサムシ(1 2. 296) 、
AleocharinaeGen.sp.M (
7
.496) 、カクス
ナゴミムシダマシ (4. 8
9
6)、アトマルナガゴ
ミムシ( 396) 。
ている(保田・他、 1991) 。センチコガネは
利尻山の調査ではその分布上限は標高 700m
デムシ (2 1.
St.13を除くすべての植生群落地から記録され
ているが、本種は低標高地で優占する種で、
以上、各植生群落から選出された優占種は合計
であった(保田・他、 199 1)。同時に残りの
17種で、そのうち、 A では 11種、 B では 7 種、 C
7 種も低標高地から平地部にかけて広く分布
では 5 種、 D では 7 種、 E では 11種、そして F で
する種から構成されており、大雪山系ではヒ
は仕種が優占種として記録されている。次に各植
メクロオサムシとエゾナガゴミムシの 2 種を
生群落における種構成の特徴をみる(表 1 、表 2
除いては、これまで高山帯のハイマツ群落地
を参照)。なお歩行虫類(オサムシ科・ゴミムシ
から記録されていない。これは大雪山系のハ
科)については後項で詳述するため、ここでは簡
イマツ群落が標高 1700m以上の高標高地に分
単にふれておく。
布するのに比べて、礼文岳においてはきわめ
A: ハイマツ群落地で、本調査地からは 40種 320個
て低標高地に分布していることに起因してい
体が得られた。優占種構成は上記の 11種が記
るもので、植生環境というより高度に深く関
録され、比較的多様性の高い調査結果が得ら
連しているものと考えられる。
れている。しかし 1 調査地あたりの平均捕獲
B: ダケカンバ群落地で、本調査地からは 47種 78
種数・個体数は 16種80個体となっており、と
3個体が得られた。優占種構成は上記の 7 種
もに全調査地をとおして最も低い。そしてと
からなっており、
くに山頂部の調査地である Sts.1 、
2 におい
種数・個体数は 33種 39 1. 5個体が記録された。
て著しい。これは高山帯の厳しい自然環境を
これは上部のハイマツ群落地および下部のト
l 調査地あたりの平均捕獲
反映しているものと考えられ、同じハイマツ
ドマツ群落地の針葉樹の調査地に比べて、種
群落地に含まれるものの、比較的低標高地に
数・個体数ともにいずれも多様性の高い調査
あり、またダケカンパ群落地に隣接している
結果が得られている。
4 の謂査地とは明らかに異なった群
優占種のうち、ルリコガシラハネカクシと
集構成が観察される。たとえば表 2 に示され
センチコガネの 2 種は全調査地をとおして本
ている 12種のうち、コプスジアカガネオサム
調査地から最も高い個体数密度が記録されて
Sts.3 、
i
│
1992
シ、ヒメクロオサムシ、エゾマルガタナガゴ
おり、とくに後種は本調査地から 88.696 の個体
ミムシ、アトマルナガゴミムシ、 Synuchus
数が得られている。しかしいずれの種もダケ
sp. そしてヒラタシデムシの 7 種は Sts.3 、
カンパ群落地に特有の種ではない。
4 から実に 80-10096 の高い個体数密度が記
C: 本調査地は高木林の樹冠が明るく開けて高茎h
録されており、その多くは稜線部の厳しい環
草本類の優占するところで、この St.7 の 1 調
境地に侵入を果たしていない。
査地点が補遺調査地として設けられたところ
優占種のうち、オコックアトキリゴミムシ
である。本調査地からは 43種508個体が得られ、
とチビヒサゴコメツキは高山性の種で、とも
優占種構成は上記の 5 種が記録された。その
に本調査地からのみ記録された。なおチビヒ
優占種構成は全調査地をとおして最も少なく、
サゴコメツキは道内各地の高山において最も
比較的小数の種による独占的傾向は強いが、
優占して観察される代表的な群集構成種であ
とくにヒメクロオサムシは本調査地から記録
るが、本調査地では St.1 からのみ記録されて
された甲虫類の総捕獲個体数の 4 1. 996 を占め
おり、その個体数密度も低い。しかし本種は
ていた。そしてまた本種自身も全調査地をと
一般』こハイマツ群落地ではきわめて個体数密
おして本調査地からは 39. 296 の最も高い個体
度の低い種である。本調査地の最大の優占種
数密度を記録していた。しかし 1 調査地あた
噌EA
a
u
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
りの平均捕獲種数、個体数は上記のように 43
た。優占種構成は上記の 6 種が記録され、
種 508個体となっており、いずれも全調査地
調査地あたりの平均捕獲種数・個体数は 24種、
をとおして最も高い。
135個体となっていた。
1
D: トドマツ群落地で、本調査地からは 41種 619個
優占種のうち、本調査地における唯一の特
体が得られた。優占種構成は上記の 7 種が記
徴種はカクスナゴミムシダマシで、本種は全
録され、
調査地をとおして本調査地からのみ全ての個
1 調査地あたりの平均捕獲種数・個
体数は 27.5種309. 5個体となっていた。
体が得られている。そのうち最も低標高地に
優占種のうち Synuchus sp. は全調査地を
ある St.13 から 84. 696 の個体数密度が記録さ
とおして本調査地からは総捕獲個体数の 83.5
れている。本来、本種は海岸や河川近くの砂
%が記録されており、トドマツ群落地の特徴
地で優占する種で、本調査地の特徴がよくあ
種かと考えられる。そしてとくに St.9 におい
らわれている。また本調査地において、本調
て著しい。これは St.8 と St.9 が同じトド、マ
査における第 2 位の優占種であるレブンオサ
ツ群落地に含まれるものの、 St.8 は豊かな林
ムシが 1 個体も記録されていないことは興味
床植生を持つ調査地で、あるのに比べて、 St.
がある。これについても後述する。
9 の調査地ではその林床植生が全く欠如して
いたことにその要因が求められるのかもしれ
1 1.採集された歩行虫類(オサムシ科・ゴミムシ
ない。之のような林床植生を欠く調査地は全
調査地をとおして St.9 のみであったことから、
科)
本調査において採集された歩行虫類は 23種2020
本種はこのような植生環境地に優占する種と
個体(表 3) で、全甲虫類に対して、種数におい
考えられる。そして後述するが、捕獲された
て、 19. 796 、個体数において 65.7% が記録されてい
総個体数が後期の調査によって記録された。
E: チシマザサ群落地で、本調査地からは 45種580
る。本項では地表性甲虫類社会において最も重要
な構成群集をなしている歩行虫類に限定して解析
個体が得られた。優占種構成は上記の 11種か
をこころみる。
らなっており比較的多様性は高い。そして l
1
. 全調査地における優占種
調査地あたりの平均捕獲種数・個体数は 34.5
種、 290個体が記録された。
( )内は総捕撞個体数に対する割合と観察され
た調査地数を表す。
優占種のうち、全調査地をとおして本調査
ヒメクロオサムシ (26. 996 、 12sts.) 、レブンオ
地から最も高い個体数密度を記録した種は、
サムシ (23.7% 、 llsts.) 、コクロツヤヒラタゴミ
アトマルナガゴミムシ (52. 396) 、コクロツ
ムシ(1 4. 296 、
ヤヒラタゴミムシ (6196) 、ニセセミゾハネ
シ (8.7% 、 10sts.) 、エゾマルガタナガゴミムシ
カクシ (57 .
8%)、 Aleocharinae Gen.sp.F
(10096) 、そして Aleocharinae Gen.sp.M(8
(896 、
1. 1%) の 5 種で、いずれも 5096 をこえている。
87. 196 が占められていた。そしていずれの種も 8
なかで・も Aleocharinae の 2 種は本調査地か
調査地以上から観察されており、採集された個体
ら上部のいわゆる森林群落の調査地からはい
数の多い種ほどニッチの幅が広い傾向にある。な
ずれも記録されておらず、本調査地のような
おトラップの回収時期別にその優占種構成を比較
チシマザサ群落地にその分布域の中心をもっ
してみると、
種かもしれない。また本調査地の最大優占種
8 sts.) 、コプスジアカガネオサム
8 sts.) 、 Synuchus
s
p
. (5.7%
、
8
s
t
s
.
)
以上の順となっており、上記 6 種で総個体数の
7 月 15 日(前期)の回収では、
であるコクロツヤヒラタゴミムシは表 2 から
レプンオサムシ (26. 296 、 llsts.) 、コブスジアカ
も明らかなように上記した Synuchus sp. と
ガネオサムシ (22.9% 、 10sts.) 、エゾマルガタナ
はひじように対照的な分布様相が観察される
ガゴミムシ (18.9% 、
が、これらについては後述する。
(10. 896 、
F: 海岸段丘の急斜面に発達するオオイタドリ群
落地で、本調査地からは 36種270個体が得られ
8 sts.) 、ヒメクロオサムシ
9 sts.) 、エゾナガゴミムシ (5. 696 、
9sts.) の 5 種、
9 月 2 日(後期)の回収では、
- 1
7-
利尻町博物館年報
調
種
名
2
A
セダカオサムシ
コプス ヅ アカガヰオサムシ
レプンオサムシ
ヒメクロオサムシ
オオルリオサムシ
ミヤマメダカゴミムシ
ヒラタキイロチピゴミムシ
オオキンナガゴミムシ
マルガタナガゴミムシ
エゾマルガタナガゴミム シ
エゾナガゴミム シ
アトマルナガゴミムシ
エ ゾヒメナガゴミムシ
コガシラナガゴミムシ
ア シミゾ ヒメヒラタゴミムシ
エゾヒメヒラタゴミムシ
2
3
1
1
6
2
1
3
5
7
4
l
2
1
Eコbクnuchus sラpタ.
8
ロツヤヒ
ゴミム シ
ウエノツヤヒラタゴミムシ
Amara s
p
.
アイヌゴモクムシ
ミヤマゴモクムシ
オコックアトキリゴミムシ
個
種
表a
体
数
l
1
4
8
2
4
9
2
6
9
7
4
5
8
7
1
0
1
0
5
査
数塁
2
8
1
7
6
4
7
8
5
4
3
1
9
9
5
l
1
1
6
1
8
2
4
4
7
2
0
6
1
1
1
5
2
8
7
6
2
5
1
2
3
2
0
2
0
lal --1
11
11
11
11
11
1 1 1 1 1 1 1 1l
1i
1l l - - - - l
a温
採集された歩行虫類四各種の採集された調査地数・個体数と各調査地(植生群落)の採集された種数・個体数を示す。
植生区分 :A-F (表 1 を参照)。
ヒメクロオサムシ (36 %、 12sts. )、レブンオサム
シ (22.2% 、l1 sts.) 、コクロツヤヒラタゴミムシ
(20.6% 、 8 sts.) 、 Synuchus
s
p
.(
8
.9%、
8
8%)。
S
t
.9 :Synuchuss
p
.(33.9%)、エゾマルガタナ
ネオサムシ (1 1.
s
t
s
.
)
ガゴミムシ (20.6% )、レブンオサムシ(1
の 4 種が記録されている。
Z
地
S
t
s.
D
E
F
6
7
8
9 1
0 1
1 1
2 1
3
2
4
1
1
1
0
1
0
2
1 2
l
1
0
6 3
1
8
7 1
6
1
1 6
4 2
6
5 5
2 9
7 4
1
9
1
1
7 2
1
2
1
1
8 2
1
3 1
8 3
6
8
2 1
1
2
2
8
5
5
2
3
2
4
3
l
5
1
l
1
1
B
1 7
1
6 1
2 5
1
1
9
2
3 1
8
1
0
4
9
9
9
2
3
2
1
1 1
2
5
3
2
4
l
2
2
3
9
1
6
5
2
5
1
l
6
2 1
2 8
4
8
1
l
8
1 2
3
5
2
1 1
0
8 6
7 6
9 1
2
3
1
2
3
2
1
l
1
3
3
1
4
1
3
2
2
1
2
5 2
5
1
3 3
1
6
4
9 2
4
1
0
8 1
5
1
3
1 1
5
1
2
5 1
8
1
6
9
3 2
0
8
3 3
B
4
5
2
3
1
2
2
3
2
9 4
9 7
3
2 2
4 8
3
3
1
9
9
2
第 11集
6.5%)、ヒメクロオサムシ(1 4.5% )。
各調査地(植生群落)における優占種
本調査において 23種2020個体の歩行虫類が表 3
S
t
.
1
0
.:コクロツヤヒラタゴミムシ (70.6% )。
S
t
.
l
l:コクロツヤヒラタゴミムシ (43.2%) 、レ
のように得られたが、各調査地における平均値以
上の個体数が記録された優占種は次のとおりであ
る。
プンオサムシ (18. 7%)、コプスジアカガ
3%)。
S
t
.
1
2:コクロツヤヒラタゴミムシ (70
ネオサムシ (10.
( )内は各調査地で捕撞された総個体数に対す
8
る割合を表わす。
;
Illit--lltili-
ムシ (22.9% )。
ヒメクロオサムシ (36.9% )、
ヒメ
クロオサムシ (21.4% )。
S
t.
1
3:コクロツヤヒラタゴミムシ (38.7% )、
St.1 :レブンオサムシ (79.3% )。
St.2 :レブンオサムシ (55.2% )、オコックアト
キリゴミムシ (27. 6%)。
つ
St.3 : レブンオサムシ (50.9% )。
S
t.4 :レプ ンオサムシ (46.7%) 、 ヒメクロオサ
St.5 :
%)、
以上のように各調査地から選出された優占種は
合計で 7 種となっていた。そのうち全調査地をと
おして半数以上の調査地から優占種として記録さ
れたのは、レプンオサムシ (10sts.)
オサムシ(
レブンオサ
ムシ (32.4% )。
ヒ
メクロオサムシ (35.5 %)。
とヒメクロ
7sts.) の 2 種のみであった。
次に各植生群落 (A- F) における優占種をみ
る。
St.6 : ヒメクロオサムシ (46.6% )、レブンオサ
A: レプンオサムシ (53.2% )、ヒメクロオサムシ
ムシ (25.7% )、コクロツヤヒラタゴミム
(12.3%) 、オコックアトキリゴミムシ (10.5
シ (9. 1%)。
%)。
St.7 :ヒメクロオサムシ (57. 7%)、コブスジア
B: ヒメクロオサムシ (42.1%) 、レプンオサムシ
カガネオサムシ(1 7.9%) 、レプンオサム
(28.9%)、コブスジアカガネオサムシ (7. 1%)。
C: ヒメクロオサムシ (57. 7%)、コブスジアカガ
シ(1 4.1% )。
St.8 :レブンオサムシ (36.9%) 、エゾマルガタ
ナガゴミムシ (27.4%) 、コプスジアカガ
- 1
8-
ネオサムシ(1 7.9 %)、レブンオサムシ (1 4:
%)。
1
利尻町博物館年報第 11集
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
No.
l
2
3
4
5
6
7
表 4.
査
調
名
種
A
3
.
3
2
9
.
3
6
.
8
2
.
5
2
.
3
コプスジアカガネオサムシ
レプンオサムシ
ヒメクロオサムシ
エゾマルガタナガゴミムシ
Sy nuch凶 50 .
コクロツヤヒラタゴミムシ
オコックアトキリゴミムシ
計
5
.8
50
t
-
地
B
(植
C
生
D
1
7
6
9
1
0
0
.
5
1
3
.
5
3
1
2
6
6
5
2
2
1
3
1
2
5
2
1
5
3
3
9
1
9
.
5
6
9
2
7
1
.5
6
4
8
1
群
落)
E
1
1
.5
1
6
.
5
7
.
5
2
2
6
8
7
.
5
1
2
3
1992
全調査地
F
0
.
5
1
6
.
5
1
4
0
.
5
5
8
.5
1
3.
5
3
6
.
8
4
.
18
1
2.
4
8
.
8
2
2
.
1
1
.8
1
3
7
.
2
各植生群落における優占種。各種の各植生群落から採集された l 調査地あたりの平均個体数を示す。
植生区分 :A-F (表 1 を参照)。
D: レブンオサムシ (27 %)、エゾマルガタナガゴ
るが、その捕漣個体数は前期( 7 月 15 日回収)
ミムシ (24. 1%)、 Synuchus s
p
. (18.8%)、
の調査では 14.5% と低く、後期( 9 月 2 日回収)
ヒメクロオサムシ(1 0.6% )。
の調査で 85.5% と圧倒的に高い個体数密度が
E: コクロツヤヒラタゴミムシ (56.8% )、レブン
記録されている。本調査地においてもすべて
7%)、コプスジアカガネオサム
の個体数が後期の調査において採集されてお
オサムシ (10.
シ (7. 5%)、アトマルナガゴミムシ (7. 5%)。
り、前期の調査では l 個体も記録されていな
い。オコックアトキリゴミムシは本調査で記
F: コクロツヤヒラタゴミムシ (60. 4% )、ヒメク
録された唯一の高山性の種で特徴的にハイマ
ロオサムシ (24.6 %)。
占種は合計で 8 種となっていた。そしてここ
3)。なお本種は、これまで大雪山系、日高
でも半数の植生群落をこえて優占種として記
山系、知床山系、天塩岳、利尻山などの高山
録されたのはレブンオサムシ (A
- E)
から記録されている。
とヒ
メクロオサムシ (A-D 、 F) の 2 種となっ
B: 本調査地からは 15種478個体が得られ、優占種
ていた。すなわちレブンオサムシとヒメクロ
構成はヒメクロオサムシーレプンオサムシー
オサムシは礼文岳の本調査地域における地表
コブスジアカガネオサムシの 3 種が記録され
性甲虫類群集を代表する 2 大優占種というべ
た。そして 1 調査地あたりの平均捕獲種数・
き歩行虫類である。次に各植生群落における
個体数は 12.5種、 239個体である。これは種数
歩行虫類群集の特徴をみる。なお表 4 、図 2
においては C 調査地につづ、 いて第 2 位、そし
は各調査地および各植生群落からともに優占
て個体数においては第 3 位の順位になる。
本調査地では、ヒメクロオサムシとレブン
種として選出された 7 優占種の各植生群落に
オサムシの 2 種による独占的傾向が比較的強
おける種類組成を表したものである。
いが、
A: 本調査地からは 13種220個体が得られ、優占種
1 調査地あたりの平均捕獲個体数にお
構成はレブンオサムシーヒメクロオサムシー
いても両種は全調査地をとおして本調査地か
オコックアトキリゴミムシの 3 種が記録され
ら第 1-2 位の高い個体数密度を記録してい
た。そして 1 調査地あたりの平均捕獲種数・
る。ちなみに大雪山系黒岳のダケカンパ帯(標
個体数は 7 種目個体となっており、種・個体
高 1800-1470m) における調査ではヒメクロ
数ともに全調査地をとおして最も多様性の低
オサムシ (63 %)ーエゾナガゴミムシ(1 6.2
い調査結果が得られている。一般にハイマツ
児)ーダイセツチピゴミムシ(11. 4%) の優
群落の林床は歩行虫類群集の貧弱なところで
占種構成が記録されており、ここではヒメク
あるが、表 3 からも判断されるように、さら
ロオサムシによるきわめて強い独占的傾向が
に高標高地の稜線部の高山的な厳しい自然環
みられた。また 1990年に実施された利尻山の
境をもっ調査地にいくにしたがって、その多
調査では、標高 1000-600m のダケカンパ帯
様性は一層低いものになっている。
からヒメクロオサムシ (39.4% )ーリシリオ
優占種のうち、本調査地ではレブンオサム
サムシ (20.2% )ーエゾマルガタナガゴミムシ
シによる独占的状態はかなり強い。ヒメクロ
(1 8%) ーエゾナガゴミムシ(1 0.3% )ーコブ
オサムシは本調査における最大の優占種であ
スジアカガネオサムシ (7.4 %)の 5 種からな
1ijl
ツ群落の全ての調査地から得られている(表
以上のように各植生群落から選出された優
'EA
n司JW
10
20
初判却制
ー 70
制
90
2
0
3
0
4
0
5
0
1ωa
関
7
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"
9
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自民
U
1
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1
9
9
2
第 11集
ω
1
1
1
利尻町博物館年報
A ・・株排出棺棺綿織棺棚~IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII目 玉護憲仁=-::.w::1
日圃酬憐榊械柑棚童三議護護霊乏:漂i乏ドヰ醐
c ・・圃圃耐持容体一三喜ささき 3三雲雲言語--芸劃
D ・・・出出並出掛社出出掛出三三三三仁=4三竺竺ゴ・・・ 5・・・
圃圃齢制桝柵幅一蹴卿鰍翻蹴縄問射線濁鱒鵬樋脇翻翻糊
.
岡部量三田園圃圃圃圃圃圃E・圃圃圃圃圃園田盟組闘用綴邸調
姐
E---士竺士竺竺士~園田岡田町田町田園田園CIOOOO岡田町世田白抽出世田町
両
図 2.
礼文岳における歩行虫類の優占種の種類組成。 a 各植生群落で採集された優占種の個体数の割合(左から右へ
と表4 と同じ種順 1-7).b: 優占別の各植生群落での出現率(左から右へ植生群落順A-F) 。
植生区分 :A-F (表 1 を参照)、種番号~. :1-7(表4 を参照)。
単ぱ立は%。
る優占種構成が記録されており、ここでは比
4 種が記録された。そして 1 調査地あたりの
較的多様性の高い調査結果が得られている
平均捕獲種数・個体数は 9. 5種、 255. 5個体と
(保田・他、 199 1)。
なっており、これは種数において第 4 位、個
C: 本調査地からは 14種 369個体が得られ、優占種
体数において第 2 位の順位となる。
構成はヒメクロオサムシーコプスジアカガネ
本調査地からは上記した 4 種の優占種が記
オサムシーレプンオサムシの 3 種が記録され
録され、その独占的傾向は弱い。しかし同じ
た 。 そして 1 調査地あたりの平均捕獲種数・
トド、 マツ群落に設置された St.8 と St . 9 の両
個体数はともに全調査地をとおして最も多い。
調査地閣を比較した場合、その優占種構成に
本調査地は高木林の樹冠が聞けて高茎草本
はかなりの相違がみられる。ちなみに先に両
類の優占するところで、記録された優占種は
調査地から選出された優占種 5 種の両調査地
上記の B 調査地(ダケカンパ群落地)と同じ
間における個体数密度を比較してみると、コ
3 種からなる種構成を示しているが、本調査
ブスジアカガネオサムシ (79.
5:2
0
.5=
S
t
.
地ではヒメクロオサムシの 1 種によるきわめ
8 :S
t
.9 、百分率)、レブンオサムシ (70.3 :
て強い独占的傾向がみられる。そして本種は
い個体数密度が記録されている司 またコブス
3:6
6
.6) 、
エゾマルガタゴミムシ (58. 5:4
1
.5) 、 Synuchuss
p
.(
1
2
.
5
:&7.5) となっている。こ
ジアカガネオサムシも本調査地において最も
れは St.8 のトドマツ群落が豊かな林床植生
高い個体数密度を記録してるが、これは前期
におおわれているのに対して、 S t. 9 のトドマ
29.7 ) 、ヒメクロオサムシ (33.
全調査地をとおして本調査地において最も高
の調査においてすべての個体が得られたもの
ツ群落ではその林床植生がまったく欠如して
で、後期の調査においては本調査地から l 個
いるといった両調査地閣の林床植生環境に大
体も記録されていない。なお本種は本調査に
きく起因されているものと考えられる。優占
おいて歩行虫類中の第 4 位にランクされる優
種のうち、エゾマルガタナガゴミムシと Sy-
占種として記録され総個体数で 176個体が得
nuchussp. の 2 種は本調査地において優占
られているが、そのうち前期の調査において
的に観察されており、とくに Synuchus s
p
.
9
4
.996 、そして後期の調査において 5.196 の個
は先にふれた林床植生をもたない St.9 にお
体数密度が記録されており、その発生は前期
いて優占している。そして両種とも調査地 C 、
に集中している。これは先にふれたヒメクロ
D 、 E のような草原的環境地ではきわめて個
オサムシとはやや対照的な季節消長を示して
体数密度が低い。なおエゾマルガタナガゴミ
いる。
ムシは前期の調査において 85. 796 の個体数密
D : 本調査地からは 11種511個体が得られ、優占種
度が、 Synuchus sp. は後期の調査で 10096
構成はレブンオサムシーエゾマルガタナガゴ
の個体数密度が記録されており、その季節的
ミムシ -Synuchus sp.- ヒメクロオサムシの
-
消長は対照的である。
20 ー
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
E: 本調査地からは 14種 308個体が得られ、優占種
海岸地の厳しい自然環境をもっ A 、 F 調査地では、
構成はコクロツヤヒラタゴミムシーレプンオ
種・個体数ともにその多様性は低く、それとは対
サムシーコブスジアカガネオサムシーアトマ
照的に、 B 、 D 調査地などの森林群落、さらに高
ルナガゴミムシの 4 種が記録された。そして
茎草本群落などの発達する C 調査地など中腹部の
1 調査地あたりの平均捕獲種数・個体数は 1 1.
多様な植生環境をもっ調査地にいくにしたがって、
5種、 154個体となっており、種数で第 3 位、
その歩行虫類群集の多様性は高くなる傾向がみら
個体数で第 4 位の順位となっていた。
れる。
本調査地から 4 種の優占種が記録されたが、
コクロツヤヒラタゴミムシによる独占的傾向
11 1.本調査において採集された甲虫類の目録
はかなり強い。しかし本種は、本調査地の上
本調査において採集された 26科 117種の全甲虫
部に続く D 調査地(トドマツ群落)ではわず
類の目録を掲げておく。未同定種もかなり含まれ
か 0.796 とその個体数密度はきわめて低く、同
ているが、それらの種については後日に種名が判
属の Synuchus sp. とは明らかに対照的な興
明しだい改めて報告したい。
味ある分布様相が観察される。また本種は後
なお目録には、種名につづいて、調査期間 (A
期の調査において総個体数の 92. 796 の個体数
:1991年 7 月 10 日一 7 月 15 日、 B:8 月 28 日- 9
密度が記録されている。アトマルナガゴミム
月 2 日)、採集個体数、採集地 (a :ハイマ ツ群
シは本調査地から総個体数の 52. 396 と最も高
落、 b: ダケカンパ群落、
い個体数密度が記録されているにもかかわら
:トドマツ群落、
e
c
高茎草本群落、
チシマザサ群落、
ず、上部の D 調査地からは l 個体も記録され
イタドリ群落)が記入しである。
ていなし、。これは先にふれたコクロツヤヒラ
CARABIDAE オサムシ科
d
f :オオ
タゴミムシと類似の分布状態が観察される。
1
. C
ychrusmorαwitzi GÉHIN セダカオサ
なお本調査の最大優占種であるヒメクロオサ
ムシ
A (1 0, a ,b ,d- f), B(1 8, a-f)
2
. Carabusc
o
n
c
i
l
i
a
t
o
rh
o
k
k
a
i
d
e
n
s
i
s
ムシは全調査地をとおして本調査地からのみ
LAPOUGE コブスジアカガ, ネオサムシ
優占種として記録されなかった。
A(167 , a- f), B(9 , b)
F: 本調査地からは 10種 134個体が得られ、優占種
構成はコクロツヤヒラタゴミムシーヒメクロ
3
.
オサムシの 2 種が記録された。そして 1 調査
Leptocarα bus
AWA)
k
u
r
i
l
e
n
s
i
ssugαi (
ISHIK
レブンオサムシ
A(191 , a-e) ,
B(287 , a-e)
地あたりの平均捕獲種数・個体数は 8 種 67個
体となっており、種・個体数ともに A 調査地
4
. L
. opaculusopα culus
に次いで少ない。本調査地はいずれも海岸段
A(79, b-f
) , B(464 , af
)
5
. Damasterg
e
h
i
n
i
ia
e
r
e
i
c
o
l
l
i
s(HAUSEュ
丘の海側の急斜面に発達するオオイタドリ群
落地に設けられたものであるが、前期の調査
R) オオルリオサムシ
において 7 種 9 個体、後期の調査において 8
種 125個体が記録されたものである。そして
2 種の優占種コクロツヤヒラタゴミムシ (60.
496) 一ヒメクロオサムシ (24.
69
6)群集によ
るきわめて強い独占的傾向があらわれている。
クロオサムシと並んで 2 大優占種ともいうべ
た。
以上、礼文岳における各調査地(植生群落)の
歩行虫類群集の特徴について簡単にふれたが、表
3 、 4 からも容易に理解されるように、高山帯や
A (9 , c , e ,f), B(
1
0, b , d- f)
6
. N
o
t
i
o
p
h
i
l
u
si
m
p
r
e
s
s
i
f
r
o
n
sMORAWITZ
ミヤマメダカゴミムシ
A(b , d ,f)
HARPALIDAE ゴミムシ科
7
. Trechusephippiαtus
また本調査地からは、本調査においてヒメ
きレプンオサムシが 1 個体も記録されなかっ
(PUTZEYS) ヒメ
クロオサムシ
ロチビゴミムシ
BA 'F ES ヒラタキイ
B(5 , c
)
8
. P
t
e
r
o
s
t
i
c
h
u
s sα murαi (LUTSHNIK)
オオキンナガゴミムシ
B(1, e)
9
. P
. subovαtus (MOTSCHULSKY) マルガ
タナガゴミムシ A(1, e)
1
0
. P
.a
d
s
t
r
i
c
t
u
s(ESCHSCHOLTZ) エゾマ
ルガタナガゴミムシ A (138, a-d) , B(23,
- 2
1-
利尻町博物館年報第 11集
a , b ,d)
11
. P
.t
h
u
n
b
e
r
g
i
iMORAWITZ エゾナガゴ
ミムシ
A(41 , a , b ,d ,e) , B(41 , a , b ,d ,e)
1
2
. P
. orientα lis j
e
s
s
o
e
n
s
i
sTSCHITSCHEュ
RINE アトマルナガゴミムシ A(18 , aュ
c ,e ,O, B(26 , a ,b ,d ,e)
13
. P
. subgibbus MANNERHEIM エゾヒ
メナガゴミムシ A(6 , b ,c ,e) , B(1 , b)
1
4
. P
. microcephalus (MOTSCHULSKY)
コガシラナガゴミムシ A(20 , a
-e)
15
. Platynust
h
o
r
e
y
in
i
p
p
o
n
i
c
u
s HABU
アシミゾヒメヒラタゴミムシ
A(5 , e) ,
B(1,a)
1
6
. P
. ezoαnus (NAKANE) エゾヒメヒラタ
ゴミムシ
A (1, b)
17
. Synuchusmelantho(BATES) コクロツ
ヤヒラタゴミムシ
A(21 , e) , B (226 , bュ
o
18
. S.u
e
n
o
i LINDROTH ウエノツヤヒラタ
ゴミムシ
B(6 , c ,e)
1
9
. Synuchuss
p
. B (1 15 , a-d ,O
20
. Amαrasp . B(2 , e ,0
21
. Hcα rpα lus quα dripunctatus α inu HABU
e
t BABA アイヌゴモクムシ A(2 , b ,c) ,
B(3 , a ,c)
22
. H.f
u
l
i
g
i
n
o
s
u
s (DUFTSCHMIDT) ミヤ
マゴモクムシ A(1,a)
2
3
. Cymindisvaporariorumimmαculα tus
DEJEAN e
t BOISDUVAL オコックア
トキリゴミムシ A(11, a) , B(12 , a)
HYDROPHIL
lDAE ガムシ科
2
4
. Hydrophi1idaeGen.sp. A(1,c)
LEIODIDAE タマキノコムシ科
2
5
. Leiodess
p
. B(19 , a , c-O
2
6
. C
o
l
e
n
i
ss
p
. A(1,d) , B(1,e)
2
7
. Pseudoliodesstrigosulα(PORTEVIN)
チャイロヒメタマキノコムシ?
A (l, c)
2
8
. Pseudocolenish
i
l
l
e
r
i REITTER ウスイ
ロヒメタマキノコムシ
A (11, b-e) , B
(5 , c
-e)
COLONIDAE ヒゲブトチピシデムシ科
2
9
. Colons
p
. A(1,c)
CATOPIDAE チピシデムシ科
3O
. Ca
t
o
p
ssparcèpunctαtus JEANNEL 、
-
1992
ヤマチビシデムシ A(7 , b ,e ,O, B(1,0
31
. Cat
o
p
ssp. A(1,e)
SILPHIDAE シデムシ科
3
2
. Nicrophorust
e
n
u
i
p
e
s LEWIS
シデムシ
3
3
.
ヒメクロ
A(7, a , b , d) , B(19 , b ,d ,e)
N. mαculiceps JAKOWLEW カラフト
マエモンシデムシ
B(2 , b
)
3
4
. N.i
n
v
e
s
t
i
g
a
t
o
rinvestigαtor ZETTERSュ
TEDT ヒロオビモンシデムシ
B(2, b)
3
5
. Silphα perforα ta venatoriαHAROLD
ヒラタシデムシ A(1 20 , a- f), B(57, a-c ,
e ,O
3
6
.
Phosphugααtrata (LINNE) クロヒラタ
シデムシ
3
7
.
A(8 , a , b ,e)
(MOTSCHULSュ
KY) ヨツボシヒラタシデムシ
A(1 , b)
SCAPHIDIIDAE デオキノコムシ科
3
8
. Scαphisoma austerum LOBL ニセツマ
キケシデオキノコムシ?
A(1 ,a)
Xylodrepα sexcarinata
STAPHY し INIDAE
ハネカクシ科
3
9
. Megα rthrus s
p
. B(2 , b , d)
4O
. Eusphalerumpar,α llelum (SHARP) キ
イロハナムグリハネカクシ
A(1, a)
4
1
. Oma1iinaeGen.sp. B(1,e)
4
2
. Anotylusv
i
c
i
n
u
s(SHARP) トビイロセス
ジハネカクシ
A(2, 0 , B(1,0
43
. Paederusparαllelus WELSE エゾアリ
ガタハネカクシ
A(2 , 0 , B(5 , 0
44
. S
ti
l
i
c
o
d
e
r
u
ssignαtus SHARP オオクピ
ボソハネカクシ
A(1,0
45
. Domenec
u
r
t
i
p
e
n
n
i
s SHARP コマルズ
ハネカクシ
A(8 , b-d)
4
6
. JGα ntholinus s
p
. A(3, b,c)
47.α hius s
p
. B (1,f)
48
. Philonthusc
y
a
n
i
p
e
n
n
i
s (FABRICIUS)
ルリコガシラハネカクシ
A (37 , b ,c) , B
(7 , b ,d)
4
9
. Rα bigus b
r
u
n
n
i
c
o
l
l
i
s(HOCHHUTH) ホ
ソチャパネコガシラハネカクシ
B(1, d)
5O
. Hesperust
i
r
o(SHARP) ツマグロアカパ
ハネカクシ
A(5 , c
)
51
. Q
u
e
d
i
u
s
?
s
p
. A(1,a)
52
. Mycetoporuss
p
. B(4, e)
5
3
. Lordithonsemirufus(SHARP) クロモン
22 ー
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
キノコハネカクシ
A(1,d) , B(3, d
)
5
4
. B
o
l
i
t
o
b
i
u
ssp.A B(1,b)
5
5
. B
o
l
i
t
o
b
i
u
ss
p
.B A(8, a-d)
epedophilusgermα nus (SHARP) ムク
56
. S
ゲヒメキノコハネカクシ
A(3 , c ,f)
5
7
. Sepedophilussp.A B(5 , e ,f)
5
8
. Sepedophilussp.B B(9, e ,O
59. 、 Tachinus p
a
l
l
i
p
e
srishiriα nus Y.WATュ
ANABEe
tY.SHIBATA キタマルクピ
ハネカクシ A(5 , b ,c ,e ,f)
6O
. Drusillα aino NAKANE ニセセミゾハ
ネカクシ
A(44 , a ,c-e) , B(20 , a-c ,e ,O
61
. AleocharinaeGen.sp.A A(13 , a-d)
B(1,a)
6
2
. A.Gen.sp.B A(1,b)
6
3
. A.Gen.sp.C A(4 , b ,d)
6
4
. A.Gen.sp.D A(4, c ,f), B(15 , b-d)
6
5
. A.Gen.sp.E A(1,d)
6
6
. A.Gen.sp.F A(23 , e
)
6
7
. A.Gen.sp.G A(2 , e
), B(1 , c)
6
8
. A.Gen.sp.H A(1 , f)
6
9
. A.Gen.sp.
I B(1 , c)
7
0
. A.Gen.sp.
J B(2 , b ,e)
7
1
. A.Gen.sp.K B(4 , d)
72
. A.Gen.sp.L B(1,d)
7
3
. A.Gen.sp.M B(106 , e ,O
74
. A.Gen.sp.N B(2, 0
PSELAPHIDAE アリズカムシ科
7
5
. PselaphiidaeGen.sp. A(1,e)
LUCANIDAE クワガタムシ科
76
. Mα crodorcαs striαtipennis MOTSCHュ
ULSKY スジクワガタ A (3 , a-c), B
(2 , d)
SCARABAEIDAE コガネムシ科
77
. Geotrupesl
a
e
v
i
s
t
r
i
a
t
u
sMOTSCHULSュ
KY センチコガネ
A (125 , a-e) , B(165 ,
a
f
)
78
.
Sericα nta sαchalinensis
M ATSUMURA
(5 , b) , B(2 , b)
カラフトチャイロコガネ A
BYRRHIDAE マルトゲムシ科
7
9
. Byrr加s fasciαtus daisetsuzαna KONO
ダイセツマルトゲムシ A(1, a)
ELATERIDAE コメツキムシ科
8O
. Hypolithusrivαris (LEWIS) チビヒサゴ
コメツキ A(6 , a
) , B(5, a
)
8
1
. Hemicrepidiusi
n
o
r
a
t
u
s(LEWIS) キパネ
ツヤハダコメツキ
B(8 , a-c ,e)
8
2
. Selαtosomus p
u
n
c
t
i
c
o
l
l
i
s(MOTSCHUュ
LSKY) コガネコメツキ A(1,0
83
. Dαlopius αinu KISHII エゾナカグロヒ
メコメツキ A(
l, a) , B(l,b)
8
4
. S
e
r
i
c
u
sbrunneus montα nus (MIWA)
チャイロヒメコメツキ A(1,a)
CANTHARIDAE ジョウカイボン科
8
5
.
t
e
m
p
o
r
a
l
i
s HAROLD ウス
イロクビボソジョウカイ
A(1, b)
LAMPYRIDAE ホタル科
86
. Lucidina biplagiαtα(MOTSCHULSK
Y) オパボタル A(2 , e ,f)
MELYRIDAE ジョウカイモドキ科
8
7
. Dαsytes tomokuniiM.SATO ケプカジョ
ウカイモドキ A(1,a)
RHIZOPHAGIDAE ムスイムシ科
88
. Rhizophagusjα:ponicus REITTER ヤ
マトネスイ
A(1, d)
NITIDUL
lDAE ケシキスイムシ科
89. 、 白 rpophilus chα lybeus MURRA
Y
ク
ロハナケシキスイ
A(2 , e
)
9O
. Epuraeαpα rilis REITTER ホソキヒラ
タケシキスイ?
A(1, d)
91
. Epurαea sp.A B(7, d ,e)
9
2
. Epuraeαsp.B B(2 , f
)
CRYPOTPHAGIDAE キスイムシ科
9
3
. Atomαrtα horridula REITTER ケナガ
セマルキスイ
A(1,0
94
. CrypotphagidaeGen.sp. B(1,e)
TENEBRIONIDAE ゴミムシダマシ科
9
5
. Gonocephalumr
e
c
t
i
c
o
l
l
eMOTSCHULュ
SKY カクスナゴミムシダマシ A (6 ,
f), B(7 , O
LAGRIIDAE ハムシダマシ科
9
6
. Lagrian
i
g
r
i
c
o
l
l
i
sHOPE ハムシダマシ
A(1,e) , B(9 , a , c ,e ,f)
CERAMBYCIDAE カミキリムシ科
97
.D
i
s
t
e
n
i
agrαcilis (BLESSIG) ホソカミキ
リ
B (1;
d
)
98
. CoηImbiα succedα neα(LEWIS) アカハ
- 2
3-
Podα brus
ナカミキリ
B(1, a)
利尻町博物館年報
99
.
Plectrúrα metallicαBATES
カミキリ
‘ A(
CHRYSOME し ID んE
100 ・
'8ynetααdαmsi
アカガネ
設置された 13調査地点である。
類が得られた。これらのうち平均値以上の優占科
ハムシ科
BALY カバノキハムシ
は、種数ではハネカクシ科、ゴミムシ科、ゾウム
シ科、オサムシ科、シデムシ科、コメツキムシ科、
TAKIZAWA
, B(3, a)
1
@
2
..
S
t
e
n
o
l
u
p
e
r
u
sn
i
po
n
e
n
s
i
s(LABOISSIュ
ERE) ヒゲナガウスパハムシ
A(3, a ,c)
1
0
3. Aphthonα perminuta BALY ツブノミ
ハムシ
A(2 , b)
1
0
4
. Sphα erodermαtα rsatum BALY ヒロ
アシタマノミハムシ
B(6, a ,c ,O
CURCUL
10NIDAE ゾウムシ科
1
0
5
. Phyllobiusp
i
c
i
p
e
s MOTSCHULSKY
コブヒゲ、 ボソゾウムシ
A (1, b)
1
0
6
. Pseudocneorhinussp.A(2, e) , B(9, e
)
1
0
7
. Byrsopagesk
i
s
oNAKANE キンヤマ
ゾウムシ A G2;a,c) , B (1,a)
1
0
8. Rhα mphus p
u
l
l
u
sHUSTACHE リン
ゴノミゾウムシ A (2, b,d) , B(2, c ,O
1
0
9
. H
y
l
o
b
i
t
e
l
u
ssp.A(2a ,d)
1
1
0. Dyscerusr
o
e
l
o
f
s
i(HAROLD) タマゴゾ
ウムシ
A(2 , c ,e)
1
1
1
. Niphα des variegαtus (ROELOFS) クロ
コプゾウムシ A (
1, d)
1
1
2
. CurculionidaeGen.
sp.A A(2 , a
)
1
1
3. C
.Gen.sp.B A(4 , c) , B(2 , c)
1
1
4. C
.Gen.sp.C A(7, c ,e). , B(2, b ,e)
1
1
5
. C
.Gen.sp.D A(1,0
1
1
6
.Xenomimetesd
e
s
t
r
u
c
t
o
rWOLLASTON
マツコプキクイムシ A(1,d)
RHYNCHOPHORIDAE オサゾウムシ科
1
1
7
..Diocαlandra sasa MORIMOTO ササ
コクゾウムシ?
B(2 , O
Chrysolinαωαtαπα bei
ワタナベハムシ
1
9
9
2
2. 本調査において、 26科 117 種 3080個体の甲虫
4 , a , d)
A(1, d)
1
0
1
.
第 11集
. A(1,b)
ハムシ科の 7 科、また個体数ではオサムシ科、ゴ
ミムシ科、ハネカクシ科、コガネムシ科、シデム
シ科の 5 科が記録された。そして各調査地(植生
群落)における優占科とその主要構成種の特徴に
ついて述べた。
3. 歩行虫類(オサムシ科・ゴミムシ科)は 23種
2020個体が得られた。全調査地をとおして平均値
以上の個体数が得られた優占種はヒメクロオサム
シ、レブンオサムシ、コクロツヤヒラタゴミムシ、
コブスジアカガネオサムシ、エ、ノマルガタナガゴ
ミムシ、 Synuchus sp. の 6 種が記録された。そ
のうちヒメクロオサムシとレブンオサムシは本調
査地域の 2 大優占種ともいうべき代表的な歩行虫
類で、また採集された個体数の多い種ほどその
ニッチの幅が広い傾向にある。
4. 各植生群落にはそれぞれ特徴ある優占種が含
まれており、選出された優占種を中心に各植生群
落における歩行虫類群集の種構成の特徴を延べた。
全体としては、高山帯や海岸地の厳しい自然環境
をもっ調査地では種数、個体数ともにその多様性
は低く、一方で森林群落、さらに高茎草本群落な
どの発達する中腹部の多様な植生環境をもっ調査
地にいくにしたがってその群集構成の多様性は高
くなる傾向がみられた。
5 . 本調査によって採集された全甲虫類の目録を
掲げた。
引用文献
1.林匡夫・森本桂・木元新作(1 984) 、原
色日本甲虫図鑑(町)、
1 -W+438pp. 保育社
2. 黒淳良彦・久松定成・佐々治寛治 (1985) 、
摘要
原色日本甲虫図鑑 (m) 、
1.礼文岳 (490m) における地表性甲虫類群集
1 -X+500pp.保育社
3. 西島浩・保田信紀・岩佐光啓 (1985) 、遠
の垂直分布調査が 1991年 7 月 10 日一 7 月 15 日と 8
音別岳原生自然環境保全地域において糖蜜トラッ
月 28 日 -9 月 2 日の 2 期にわたって実施された。
プで採集された甲虫類、遠音別岳原生自然環境保
この調査は糖蜜を用いた pitfall trap法によって
全地域調査報告書: 431-443、環境庁
行われた。調査地域は礼文岳の北東斜面に位置し、
標高 15m から山頂部までの代表的な植生群落地に
4. 大場達之(1 988) 、利尻・礼文の植生、 日本
' の生物 2 (
6
):2
8
:
-4
0
- 2
4-
保田・佐藤:礼文岳における地表性甲虫類の垂直分布
5. 上野俊一・黒津良彦・佐藤正幸 (1985) 、原
色日本甲虫図鑑 (II) 、 1 - +514pp . 保育社
m
6. 保田信紀 (1987) 、糖蜜トラップによる大雪
山の甲虫類相調査
の自然
V 、小泉岳・北海平、上川町
1
2:3
3-3
8
7 ・保田信紀 (1988) 、糖蜜トラップによる大雪
山の甲虫類相調査 一 四、黒岳(垂直分布)、上川
町の自然
1
3
:17-34
8. 保田信紀(1 988) 、糖蜜トラップによる大雪
山の甲虫類相調査
上川町の自然
E 、黒岳(ダケカンバ帯)、
1
3
:35-50
9.保田信紀 (1989 ) 、日高山系幌尻岳周辺の甲
虫類相調査報告、上川町の自然 1
4
:31-46
10 ・保田信紀・伊藤律子・野田佳之・土屋周三・
矢吹俊男(1 990) 、羊蹄山における地表性甲虫類
の垂直分布、層雲峡博物館研究報告 1
0
:27-53
11. 保田信紀 (1990) .天塩岳で採集した甲虫類
(地表性甲虫類の垂直分布)、士別市立博物館報
告
8:35-41
12. 保田信紀・西谷栄治・佐藤雅彦 (1991) 、利
尻山における地表性甲虫類の垂直分布、利尻町立
博物館年報
1
0
:13-28
-2
5-