愛知県立岡崎商業高等学校 OKASHOP部

平成27 年度 第23 回全国高等学校生徒商業研究発表大会
東海ブロック
愛知県立岡崎商業高等学校
OKASHOP部
伊藤かすみ
佐野ほなみ
成瀬沙恵
中山紗矢香
渡邊雄斗
指導教諭 小澤舞子
■0■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
目
次
平成 27 年度の取り組みの概要
今年度はOKASHOPの常設店舗を地元主導型ショッピングセンター「岡崎シビコ」へ
移転し、経営を開始しました。商店街の中心に位置するシビコを盛り上げ、地域貢献したい
という思いから研究に取り組みました。
第1章
1-1
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.2
1-2
OKASHOP部について・・・・・・・・・・・・・・・
p.2
1-3
常設店舗移転・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.3
1-4
シビコについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.4
1-5
研究仮説・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.4
第2章
調査・分析と企画会議
2-1
通行量調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.5
2-2
専門店対象アンケート調査・・・・・・・・・・・・・・・
p.5
2-3
企画会議・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.6
第3章
企画をかたちに
3-1
シビコでの企画実践・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.8
3-2
地域の方々との共同事業・・・・・・・・・・・・・・・・
p.10
仮説の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今後の展望とまとめ
p.13
第4章
第5章
資
転機を好機に
5-1
今後の展望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.15
5-2
活動のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.15
5-3
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
p.16
料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■1■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
p.18
第1章
1-1
転機を好機に
はじめに
私たちが住んでいる岡崎市は愛知県の中央に位置し、人口約38万人の西三河地域における政
治・経済・文化の中心都市です。今年は“家康公四百年祭”として記念事業が数多く開催され、
また、来年は“市制施行100周年”という節目の年を迎えます。岡崎に生まれた私たちが、ふ
るさと岡崎に愛着と誇りを持って、誰もが、訪れたい、住んでみたいと思う魅力あるまちづくり
に取り組むことが大切だと、改めて感じます。
岡崎商業高校OKASHOP部は今年で創業14年目を迎えました。部員は43名。主な活動
内容として、
「商店街の活性化」を理念とした常設店舗(以下:ショップ)の経営や “天下シリ
ーズ”の商品開発、地域のイベントでのボランティア活動などがあり、これまで様々な地域活性
化事業に取り組んできました。最近の取り組みでは、平成24年度の岡崎市名物の八丁味噌を使
った「天下のたません」の開発と販売、平成25年度に開始した新サービス「高齢者向けおやつ
定期便」
、平成26年度の「企業向けおやつ定期便」などがあります。一つ一つの活動が実を結び、
私たちの活動の知名度が徐々に上がってくると、同じような想いを持つ地域の方々から共同事業
の依頼が次々と寄せられるようになりました。
昨年度、本校3年生の課題研究の授業で岡崎市康生通にあるショッピングセンター「岡崎シビ
コ(以下:シビコ)
」のCMを制作し、
「康生CMフェスティバル」でグランプリを受賞しました。
このことが縁で、康生通商店街にあったOKASHOPの店舗をシビコに移転し、今年度6月に
新装オープンしました。地域の方々の「心のふるさと」である地元主導型ショッピングセンター
(以下SC)
「シビコ」
。今回の研究発表は、シビコでの経営活動を通して学んだ地域密着型小売
業の在り方や、私たちOKASHOP部との共同事業によって地域の方々の「本気」と「魅力」
を再発見することができた取り組みについて報告します。
1-2
OKASHOP部について
以前、岡崎市の中心部における商店街は、岡崎の「顔」であり、人通りが多く活気に満ちてい
ました。しかし今では、地域状況は大きく変化し、市中心部における商店街は活気が失われ、閑
散とした雰囲気が漂っています。そこで、商店街を活性化するために何ができるかを考えた結果、
私たち高校生が商店街で出店・経営を行い、商店街活性化の在り方を模索しようと考えました。
店舗の名称は私たちの通っている高校、OKASHO(岡商)とSHOP(店舗)を合成してO
KASHOP(オカショップ)とし、平成 14 年に創業しました。
商店街での地道な店舗経営やイオン岡崎南店での月1回の定期的な出張販売、地域のイベント
での出張販売、年間 10 回を超えるボランティア活動、そして「天下シリーズ」の商品開発などが
徐々に実を結び、今では地元のお祭りやイベントで引っ張りだこの、地元から愛される企業へと
成長しました。
■2■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
社 是
企業理念
地域活性化
岡崎市を元気に
岡崎市さらに愛知県のPR
NO と言わない OKASHOP
社 訓
元気のよいあいさつをする
常に前向きに考える
不平不満を言わない
整理整頓をする
トイレのスリッパを揃える
岡崎中央総合公園イベントで天下のたません販売(左)
、岡崎自動車学校イベントで出張販売(右)。
1-3
常設店舗移転
私たちは毎日、岡崎市康生通の商店街にあるショップで販売活動を行っていました。夏も冬も、
集客のために外で呼びかけをしていました。暑い日や寒い日に店の外で販売をするのは大変でし
たが、通りかかった人たちが「ご苦労様です。」
「頑張ってるね!」といったような声をかけてく
れると、もっと頑張ろうという気持ちになりました。
しかし、なかなか思うような利益を上げることができ
ませんでした。店舗家賃の負担も大きく、経営が苦しく
なる中、本校3年情報会計科の生徒が課題研究の一環で
「岡崎シビコ」をPRするCMを作成。
「康生CMフェ
スティバル」に作品を応募し、見事グランプリを受賞し
ました。このことがきっかけとなり、低家賃でシビコの
空スペースを貸していただけるというお話しをいただ
きました。商店街の中心に位置するシビコ。シビコが活
性化すれば、商店街がもっと元気になる!と考え、シビ
コに店舗を移転することを決めました。旧ショップの経営と並行しながら移転・開店準備を進め、
平成27年6月、OKASHOPはシビコにオープンしました(地図やシビコのフロアガイドは
資料1~3を参照)。
■3■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
1-4
シビコについて
シビコは岡崎市康生通商店街の中心に立地し
ています。1977年にジャスコを核とした大型
ショッピングモールとして開店しましたが、19
98年にジャスコが郊外へ移転し、現在では地元
の商業者の専門店のみが残っています。古くから
多くのお客様が足を運び、愛されている地元主導
型ショッピングセンター(以下:SC)です。
しかし、シビコが立地する岡崎市康生町の商店
街は、例にもれず郊外型SCの台頭と、それによ
る駅周辺の過疎化により衰退の一途をたどって
います。その一方で、自動車の運転が困難な高齢者などの「買い物弱者」を支える命綱として、
または地域の方々の交流の場として、厳しい商業環境の中「地元密着」を柱に経営されています。
OKASHOP出店準備の様子。店舗レイアウトを考え、必要物品を購入しました。
1-5
研究仮説
シビコへの店舗移転という転機を「好機」と捉え、OKASHOP部の力を今こそ発揮すべく、
今回の研究仮説は以下のとおりとしました。調査・実践が終わった段階で、仮説に関する検証を
行います。
仮説①
OKASHOP部の活動は、地元主導型SCの活性化につながる。
仮説②
OKASHOP部との共同事業により、地域の方々の活躍の場が広がる。
■4■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
第2章
2-1
調査・分析と企画会議
通行量調査
シビコの客層を把握するため、通行量調査を実施しました。
平成 27 年 6 月中の土曜日午前中の客層を調査
シビコ店内の様子
人通りが少なく、お客様の過半数が高齢者であり、駐車場が有料(500円以上の買い物で2
時間無料)で、最寄り駅から徒歩15分と距離があることから、10代~30代のお客様が極端
に少ないという結果になったと考えられます。
2-2
専門店対象アンケート調査
シビコへ移転して1ヶ月が経過した6月末、各専門店の店長に私たちOKASHOPに関する
ことと、シビコに関することについてアンケートを実施しました。
■5■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
主なご意見として、以下のようなものがありました。
・学生ならではの明るさと元気さに期待している
・自分たちが行きたいと思うような店づくりをしてほしい
・地域の状況・商圏について学んでほしい
・お客様にやさしい接客をしてほしい
私たちOKASHOP部に期待していることは、高校生が店内で活動することでシビコをもっ
と元気にしてほしいということでした。また、シビコ全体の雰囲気については半数以上の方が「活
気がない」と感じ、あまり良い印象を持っていないことがわかりました。
2-3
企画会議
OKASHOP部の現状を分析して今後の戦略を導き出すため、アンケート調査をもとに問題
点等を洗い出し、SWOT分析を行いました。
・常設店舗がある
・学生であるがゆえの制約(活動時間等)
・高校生の明るさ・元気
・資金力不足
・授業や部活動で身に付けたビジネスマナー
・高校生だからという甘え
・高校生の行動力と43名の部員(人件費不要)
・社会経験の不足
・幅広い年齢層に喜ばれる商品の
・コミュニケーション能力の不足
強み
ラインナップ
・売り場面積に対して商品が少ない
・シビコへの常設店舗移転
・郊外型 SC への顧客流出
・シビコ入口すぐの店舗配置
・シビコ店舗内の活気の無さ
・シビコの高齢層の常連客
・シビコ店員の高齢化
・様々な企業・団体からの共同事業依頼
・シビコの魅力が少ない
・地域からの期待
機会
OKASHOPのSWOT分析
■6■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
弱み
脅威
SWOT分析をもとに部内で企画会議を実施し、
機会・脅威・強み・弱みをそれぞれ掛け合わせた戦
略オプションの検討を行いました。多くの企画の中
から実行可能で効果的であると考えられる企画を選
定し、プロジェクトチームに分かれて実践をしてい
きました。
OKASHOP戦略オプション
A
シビコをもっと知ってもらおう
B
お客さんとコミュニケーション
C
手伝って学ぼう
D
おばあちゃんと一緒
E
新商品開発
■7■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
企画をかたちに
第3章
3-1
シビコでの企画実践
チームA「シビコをもっと知ってもらおう」
シビコだよりの製作と配布
シビコ内には約50店舗の専門店が営業していますが、常連客はいつも決まった店にしか立ち
寄らず、新規のお客様も取り込みにくい状況がありました。そこで私たちはSWOT分析から、
高校生の行動力と部員の多さ(強み)
、シビコ入り口すぐの店舗配置(機会)、シビコの魅力が知
られていない(脅威)を掛け合わせて、上位階や入り組んだ場所などの、特にお客様が立ち寄り
にくい立地の店舗を中心に取材を行い、
「シビコだより」を配布することにしました。
シビコだよりの内容は、取材したお店の魅力やおすすめ商品、店長さ
んからのメッセージやクーポンなどです。シビコだよりの製作案内を各
専門店に行ったところ、半数以上のご依頼があり、想定していた以上の
反響をいただくことができました。
私たち自身も、これまで知らなかったシビコの魅力を再発見するきっ
かけとなり、専門店の店長さんたちとのふれあいや対話を重ねていくこ
とで、距離が縮まったような気がしました。割引クーポンの交渉は少し
難しいところもありましたが、
「皆でシビコを盛り上げたい」という私
たちの気持ちが伝わり、快く協力してくださって大変嬉しかったです。
それぞれのお店についての情報や魅力を多くの人に知ってもらいたい
と強く思いました。
シビコだよりは毎月1回ずつの発行とし、OKASHOPの店頭で配布することにしました。
チームB「お客さんとコミュニケーション」
いらっしゃいませ運動
SWOT分析から高校生の明るさ元気(強み)
、身につけたビジネスマナー(強み)、コミュニ
ケーション能力の不足(弱み)
、シビコ店舗内の活気の無さ(脅威)を掛け合わせて「いらっしゃ
いませ運動」を始めました。「ビジネス基礎」や「総合実践」の授
業で身につけたビジネスマナー、部活動で練習を続けてきた「いら
っしゃいませ」のあいさつや「会釈」を実践でき、また、高齢者や
ベビーカーを使用されるお客様にとっては不便な店舗入り口の開
き戸の開閉をお手伝いでき、さらにシビコだよりを配る機会が作る
ことができます。そして、いつもはショップを素通りしてしまうお
客様にもOKASHOPを認知していただくきっかけとなり、「あ
■8■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
りがとう、あとでお店に寄るよ」と声をかけてくださる方もいらっしゃいます。OKASHOP
の限られた営業時間の中での運動ではありますが、お客様や他の店舗の方々からも好評をいただ
いています。
チームC「手伝って学ぼう」
人材派遣サービス
ねこの手
高校生の行動力と部員の多さ(強み)
、社会経験の不足(弱み)
、シビコ店舗内の活気の無さ(脅
威)
、シビコ店員の高齢化(脅威)を掛け合わせて、シビコと私たちが互いにWin-Winの関
係となる企画、人材派遣サービス「ねこの手」を立ち上げました。シビコにとっては人員不足の
解消や店全体を盛り上げる一助となり、私たちにとっては社会経験を積む「プチ・インターンシ
ップ」となります。
<「ねこの手」サービス概要(資料5参照)>
・お手伝いは OKASHOP の営業時間帯に行います。
原則 平日 16:15~18:00(木曜日を除く)
土曜日 10:00~16:00
・お手伝いが必要な時にお店にいる生徒に声をかけてください。
・大人数が必要な場合は、あらかじめ予約をお願いします。
・長期間に渡ってお手伝いをする場合は「担当制(毎回同じ生徒を派遣)
」
にすることもできます。
1時間でも!1日でも!
荷物運搬・呼び込み・掃除
etc.
お気軽にお声かけください!
7月からお手伝いをさせていただいている「めがね家」様では、月2回程度、定期的に担当生
徒2名を派遣し店内の清掃を行っています。眼鏡の取り扱いは慎重に丁寧に行わなくてはならず、
陳列棚の拭き掃除はとても緊張します。同じ作業の繰り返しで大変だと感じることもありますが、
お店の方が、経営していく上での心構えや楽しいお話をしてくださるので、とても充実した時間
となっています。
チームC
担当生徒の感想
どんなに地道な作業だとしても、頼まれた仕事は嫌だと思わず、取り組むことが大切だと
改めて感じることができました。また、お手伝い中にお客様から声をかけてくださることも
あり、明るく元気にあいさつすることを心がけています。しかし、初対面の人だとなかなか
上手く雑談を盛り上げることができないので、コミュニケーション能力をもっと高めたいと
感じました。
人材派遣サービス「ねこの手」打ち合わせ(左)と実施の様子(右)
■9■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
3-2
地域の方々との共同事業
チームD「おばあちゃんと一緒」
岡崎市シルバー人材センターと商品開発
売り場面積に対して商品が少ない(弱み)、シビコへの常設店舗移転(機会)、企業からの共同
事業依頼(機会)を掛け合わせて、岡崎市役所長寿課シルバー人材センター「看板娘」様と共同
事業を行いました。センターに所属する高齢者の方々は週に数日、市役所に集まって、帽子や保
育園用かばんなどを手づくりして地域のイベントなどで販売する活動をされています。しかし、
「裁縫は得意だけれどお客様のニーズに合った商品を作ることが
できない」
、
「販売する機会が少ない」といった問題を抱えていらっ
しゃいました。そこで私たちは、商品を企画して提案するだけでは
終わらず、自ら材料を選定、仕入を行い、頻繁に市役所に足を運び
試作品のチェックをするなど、商品開発・製作に細かく携わりまし
た。
高齢者の方々の匠の技と経験と知恵、そして私たちの妥協を許さ
ない熱意と若いセンスは見事に化学反応を起こし、新装オープンに
ふさわしい新商品が次々と完成していきました。これまで取り扱い
がなかった「雑貨」というジャンルをOKASHOPに加えること
ができ、また、高齢者の方々の活躍の場を広げることができ、この
共同事業は大変有意義な取り組みとなりました。
チームD
担当生徒の感想
初めのころは、商品の企画会議で自分の考えや意見を思うように伝えることができません
でした。しかし、何度も足を運んでいくうちにだんだんとシルバー人材センターの方と打ち
解け、積極的に自ら進んで発言・行動できるようになりました。企画した商品は高校生がタ
ーゲット。私たちの商品イメージをセンターの方々にしっかりと伝えて、イメージどおりに
商品を作ってもらうことが一番難しかったと思います。たくさんイメージイラストを描い
て、類似品をお見せして、意思の疎通を図っていきました。この企画を通して、大きく成長
することができました。
岡崎市シルバー人材センターにて試作品の意見交換(左)と商品製作の様子(右)
■10■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
完成した商品
チームE「新商品 天下のポン菓子」
社会福祉法人 愛恵協会と商品開発
常設店舗がある(強み)
、売り場面積に対して商品が
少ない(弱み)
、企業からの共同事業依頼(機会)を掛
け合わせて、市内の社会福祉法人愛恵協会様と商品を
共同開発しました。愛恵協会は障がい者総合支援法に
基づき指定障がい福祉サービス事業を行っています。
障がい者の方が働く場として自主製品生産を行ってお
り、
「ポン菓子」の製造等をされているとのことでした。
私たちは愛恵協会に見学に行かせていただき、障がい
者の方が一つ一つ手作業で、袋詰めや検品などの作業
を丁寧にされている様子を拝見しました。それぞれハ
ンディキャップを抱えながらも自分の仕事に責任を持って一生懸命、そして明るく元気に仕事を
されている姿に心を打たれました。
私たちは、飴・かりんとう・きらず揚げ・ラスクに続く新たな天下シリーズ商品として、
「岡崎
米」を使用した「ぽん菓子」と「ぽんせん」を商品企画として提案しました。
「なつかしいお菓子」
のイメージは大切にしつつ、
「若い年齢層も手に取りやすい」をコンセプトに、ポップなイメージ
のパッケージを考案しました。
「情報処理」の授業で学んだExcelを用いて作成し、印刷して
■11■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
います。リーズナブルな価格とオリジナルのパッケージ、そして優しい味わいは若い世代から高
齢者のお客様に広く喜ばれ、製造が追いつかないほどの大変人気な商品となりました。知名度が
あまり高くない「岡崎米」をこの商品で多くの方に知っていただき、新たな岡崎土産として岡崎
市の魅力を発信できる商品に育てていきたいと考えています。
パッケージデザイン
「天下のポン菓子(¥120)
」
(左)
「天下のぽんせん(¥200)
」
(右)
■12■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
第4章
仮説の検証
シビコ内各専門店の店長及びOKASHOPに来店されたお客様を対象にアンケート調査を
実施しました。
仮説①
OKASHOP部の活動は、地元主導型SCの活性化につながる。
<専門店へアンケート>
<良い>
<ふつう・悪い>
・対応や笑顔が良い
・接客、品揃えインパクトに欠ける
・頑張る姿が好印象
・陳列の仕方を改良すべき
・
「ねこの手」がありがたい
・もっと外にアピールすべき
・若い人が頑張っていると元気が出る
・営業日が少ない、時間が短い
<お客様へアンケート>
アンケートの結果、
「ねこの手」や「シビコだより」については一定の評価を得ているもののま
だまだ知名度は低く、ショップの品揃えや陳列方法、接客面について改善が必要であるとのご意
見をいただき、ショップの経営方法が発展途上であることを再認識することができました。シビ
コでの営業を開始して4ヵ月が経ち、徐々にショップの認知度が上がり、常連のお客様も少しず
つ増えてきました。お客様と顔見知りになり、
「また来るよ」と声をかけていただくと、地域密着
型小売業の温かい雰囲気や地域の方々に喜んでいただいている実感、そして可能性を感じること
ができます。
■13■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
仮説②
OKASHOP部との共同事業により、地域の方々の活躍の場が広がる。
<お客様へのアンケートより>
・お客様の年齢層が高いと思うので、和菓子を増やしてみては。
・ジュースやアイスを置いてほしい
・岡崎市の名産品をもっと取り扱ってほしい
商品開発をするという部活動の特性と常設店舗の強みを生かし、地域の方々に「作る機会」と
「販売する機会」を提供することができました。シルバー人材センターの方からは、
「共同事業を
行うことで互いに刺激を受けることができ、商品のバラエティが広がった」という嬉しいご意見
もいただきました。岡崎市には、あまり知られていないけれど本気でものづくりをしている方々、
魅力ある名品がまだまだ隠れていると思います。今後も、声をかけてくださる企業はもちろん、
私たちからも積極的に企画を提案し、岡崎市の隠れた名品を世に広めるお手伝いができたらと考
えています。
天下のポン菓子の原料となる「岡崎米コシヒカリ」
■14■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
第5章
5-1
今後の展望とまとめ
今後の展望
私たちの授業時間帯はショップの営業ができないことから、せっかく良い立地であるショップ
がデッドスペースとなる時間ができてしまいます。私たちが営業できない時間をどう活用するか、
以下のような企画を考えています。
・ショップ店員として高齢者を雇い、働く場を提供する。
・地域のイベントを紹介するパンフレット等の展示・配布場所として活用する。
しかし、まだまだ問題も多く実践するには至っていません。今後の課題として検討していきた
いと思います。また、売場面積が旧ショップと比較して約2倍に拡大したことから、オリジナル
商品だけではなく岡崎市の土産物や、被災地応援のための東北の土産品などの既存商品の取り扱
いも始めました。OKASHOPの店舗スペースをもっと有効活用できる企画をこれから練って
いきたいと考えています。
5-2
活動のまとめ
今年度の活動を通じて、私たちの活動は市民の認知度が低
く、商店街活性化に繋げるにはまだまだ力不足であることを
実感しました。地元のラジオに積極的に出演したり、シビコ
だよりの発行数を増やしたり、シビコの魅力を伝える方法を
多方面から考え、一つ一つ確実に実行していきたいと思いま
す。いらっしゃいませ運動では、お客様がより気持ちよく店
内に入っていただけるよう、あいさつと会釈の仕方に磨きを
かけていきたいです。人材派遣サービス「ねこの手」は、ご依頼
FMおかざきでの広報活動
がまだまだ少ないので、各店舗に出向いてプレゼンをし、もっと
広めていきたいです。
シビコに移転して、私たちはこれまで
の活動や販売方法などを見直し、お客様
への声掛けやPOP作り、陳列方法など
基本的なところに特に力を入れてきまし
た。OKASHOPを目当てに来てくだ
さるお客様も増え、顔見知りの常連客も
増え、6月のオープンから 2 か月で、既
に昨年度1年間分の売上額を超えました。
■15■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
チームA~Eの5つの新しい企画に取り組んだことで、担当したそれぞれのOKASHOP部
員も、成長することができました。お客様からクレームが来ることもありましたし、在庫過多で
多くの損失を出したこともあります。それでも、チームや部員全員で改善策をその都度話し合い、
一人一人が自分の意見をしっかりと持ち、OKASHOPがより良くなるように、進んで意見を
出し合い、行動に移せるようになりました。
3年生が引退すると、部員は25名になります。創業14年目を常設店舗移転という大きな転
機で迎え、OKASHOPの活動はこれからどんどん変化をしていくでしょう。不安もあります
が、誇りを持って、先輩方から受け継いだ大切なお店をこれからも盛り上げていきます。
5-3
おわりに
地元商店街の商業環境の悪化に伴う衰退の一途をたどっている現状を活性化に導き、かつ良好
なサービスをお客様に提供するためにOKASHOPができることは何か。私たちの研究は、ど
この町にも当てはめることができるテーマであると考えます。私たちがOKASHOPを通して
できること、そして、シビコ全体や商店街の在り方を微力ながら考え、提案・実行していくこと
で、私たちの大切な「心のふるさと」を維持・発展していく力になりたいと考えています。
シビコにとって、商店街にとって、地域の方々にとって、OKASHOPがなくてはならない
存在になれるよう、今後も活動を続けていきます。
■16■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
資
料
(資料1)康生通商店街のOKASHOP旧店舗とシビコの位置関係
康生通商店街
岡崎シビコ↑
↑旧店舗
(資料2)シビコのフロアガイド
OKASHOPは1階に出店
■17■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
(資料3)OKASHOP出店場所
↑OKASHOP
(資料4)シビコだより
■18■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
(資料5)人材派遣サービス「ねこの手」案内広告
■19■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
(資料6)新聞記事①
■20■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
(資料7)新聞記事②
■21■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
■22■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校
[ お問い合わせ
]
愛知県立岡崎商業高等学校
OKASHOP 部 顧問
小澤 舞子
TEL : 0564 – 21 – 3599
FAX : 0564 – 25 – 9221
MAIL : [email protected]
■23■
心のふるさとプロジェクト | 愛知県立岡崎商業高等学校