Title (1)学長奨励研究助成成果報告 Journal 歯科学報, 115(1): 1

Title
Journal
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(1)学長奨励研究助成成果報告
歯科学報, 115(1): 1-7
http://hdl.handle.net/10130/3555
Right
Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College,
Available from http://ir.tdc.ac.jp/
1
平成25年度
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
研究成果報告
⑴学長奨励研究助成成果報告
① スタチン系薬剤の局所的投与は老人性骨粗
にすることを目的とした。
2.材料および方法
鬆症の骨質改善に有効か?
本 実 験 で は,正 常 加 齢 モ デ ル マ ウ ス と し て
口腔インプラント学講座
佐々木穂高
Senescence-accelerated mouse resistant;SAMR
1,老人性骨粗鬆症モデルとして老化促進モデルマ
ウ ス で あ る Senescence-accelerated mouse prone
1.研究背景
加齢に伴う骨代謝障害によって生じる骨粗鬆症
6;SAMP6を用いた。全身麻酔下にて,25週齢,
は,インプラント治療のリスクファクターであるこ
雄性の各モデルマウスの大腿骨に直径1mm の骨欠
とが知られている。骨粗鬆症は,閉経によるエスト
損を形成し,実験群には骨欠損に対してフルバスタ
ロゲン分泌低下に伴う高代謝回転型骨粗鬆症(閉経
チン(Toronto Research Chemicals 社)
含有ゼラチ
後骨粗鬆症)
と,骨代謝機能の低下によって生じる
ン キ ャ リ ア(125μM 含 有=F125,250μM=F250,
低代謝回転型骨粗鬆症(老人性骨粗鬆症)
に分類され
500μM=F500)
を 填 塞 し,対 照 群 は 骨 欠 損 の み
る。老人性骨粗鬆症は,骨髄細胞から骨芽細胞への
(Cont)
と し た。2種 の モ デ ル マ ウ ス,実 験 群3
分化能が低下していることが報告されており,また
種,対 照 群1種 の 計4種 の 条 件 に 対 し て 術 後
女性のみならず男性にも生じることから,安全かつ
0,1,2,3,4週例に対して,放射線学的,組
確実なインプラント治療を確立していくのに重要な
織形態学的,分子生物学的に評価を行った。
課題となっている。
放射線学的評価では,同一個体を経時的に撮影,
高脂血症治療薬の HMG-CoA 還元酵素阻害薬で
比較検討を可能する動物実験用マイク ロ CT
(R_
あるスタチン系薬剤は,骨形成タンパク(BMP2)
MCT,リガク社)
を用いて,術後0日例を基準とし
を発現させ,骨芽細胞の分化促進や骨粗鬆症患者の
た各週例の新生骨の差分量を三次元骨量構造計測ソ
全身的な骨量の増加に効果があることが示唆されて
フト(TRI/3D-BON,ラットック社)にて計測し,
1)
いる 。また in
vivo 研究においてスタチン系薬剤
多重比較検定(Bonferroni 法)
にて比較検討を行っ
の局所的投与による骨治癒の促進の効果について報
た。組織形態学的評価では,各週例毎に屠殺,大腿
2)
告がされている 。しかしながら,スタチン系薬剤
骨を摘出し,通法に従ってパラフィン包埋後に薄切
が老人性骨粗鬆症の骨治癒過程に対して,どのよう
標本を作成し,ヘマトキシリンーエオジン染色後に
な影響があるのかは知られていない。
光学顕微鏡にて観察を行った。分子生物学的評価で
そこで我々は,老人性骨粗鬆症患者に対するイン
は,術後1週例の組織標本に対し DAB 染色による
プラント治療において,顎骨のインプラント埋入部
免疫組織化学染色法にて BMP2の発現ならびに局
や骨造成部に対してスタチン系薬剤を局所的に投与
在性の検討を行った(Fig.
1)
。本実験は,東京歯科
し,機能低下を伴った骨髄細胞の分化を促進させる
大学動物実験倫理委員会の承認を得て実施した(承
ことで,より成功率の高いインプラント治療法が確
認番号:243006)
。
立出来ると考えた。本研究では,老人性骨粗鬆症モ
3.結
果
デルマウスである SAMP6を用いて,大腿骨の骨
放射線学的評価として骨欠損部のマイクロ CT 像
欠損部に対してスタチン系薬剤の局所的投与よる骨
では,SAMR1の術後2,3週例では Cont と比較
形成への影響を比較・検討していくことで,老人性
して F125,F250では皮質骨の連続性と海綿骨領域
骨粗鬆症に対するスタチン系薬剤の有用性を明らか
の新生骨形成を示す不透過像が観察された。一方,
― 1 ―
2
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
SAMP6の 術 後2,3週 例 で Cont と 比 較 し て F
と比較して F125,F250では新生骨量が有意に多い
125,F250において海綿骨領域の新生骨形成,皮質
傾向を示した(P<0.
01)
。一方,F500は F125,
F250
骨の連続性は3週例以降で認められた。術後0日例
より低い傾向を示し,Cont と有意 な 差 を 認 め な
を基準とした各週齢の新生骨の差分量の比較検討で
かった。また,SAMR1では F125と比較して F250
は,SAMR1,SAMP6ともに2,3週例では Cont
の新生骨量が有意に高いにの対して,SAMP6では
Fig.1
Fig.2
実験の流れ
新生骨量の差分計測
― 2 ―
歯科学報
Vol.115,No.1(2015)
F250の 方 が F125よ り 有 意 に 高 い 傾 向 を 示 し た
3
ないことが知られている。フルバスタチンの局所投
与においても至適濃度が存在し,SAMR1と SAMP
(Fig.
2)
。
組織形態学的評価として SAMR1では,F250は
6では異なる可能性が示唆された。
2週例,F125は3週例で骨欠損部の皮質骨の連続
本研究より,フルバスタチンの局所投与は一定の
性が形成され,4週例では皮質骨の緻密化がみられ
濃度(125μM,250μM)
において,老人性骨粗鬆症
たのに対して,Cont,F500では4週例においても
モデルマウス(SAMP6)
の大腿骨骨欠損に対し治癒
皮質骨は梁状を呈していた。SAMP6では,Cont
を促進することが明らかとなった。
と比較して F125,F250では2週例で梁状の新生骨
5.謝
辞
形成が認められるものの,3週例でも皮質骨の形成
本研究は,東京歯科大学学長奨励助成を受けたも
が認められなかった。また,F500は4週例での皮
のです。本研究に際して様々なご指導を頂きました
質骨の連続性形成がみられなかった。
本学口腔科学研究センター兼歯科理工学講座教授の
分 子 生 物 学 的 評 価 と し て 術 後1週 例 に お け る
吉成正雄先生,口腔インプラント学講座教授の矢島
BMP2の免疫組織化学染色では,Cont と比較して
安朝先生に深謝致します。また,研究分担者として
F125,F250では骨断端部の骨膜と骨欠損部の海綿
協力を頂きました口腔科学研究センター兼薬理学講
骨領域内に強い陽性像を認められた。
座助教の田辺耕士先生,実験の主な実施・解析を
4.考
担ってくれた口腔インプラント学講座大学院生の大
察
正常加齢モデルマウス;SAMR1,老人性骨粗鬆
平貴士先生に感謝致します。
症モデルマウス;SAMP6の両方において,Cont
と比較して F125,F250では新生骨の形成量が有意
文
献
に多く,欠損部皮質骨の緻密化がみられた。また,
1)Mundy G, Garrett R, Harris S, Chan J, Chen
F125,F250では骨形成タンパクである BMP2の発
D, Rossini G, Boyce B, Zhao M, Gutierrez G :
現増加が認められた。従来の報告から,スタチン系
Stimulation of bone formation in vitro and in ro-
薬剤は骨芽細胞に対し BMP-2を発現誘導し,分化
dents by statins. Science,286
(5446)
:1946−
1,
3)
促進する事が知られている
。また,SAMP6では
骨髄間質細胞の異常により骨形成能の低下を示すこ
4)
1949,1999.
2)Tanabe K, Nomoto H, Okumori N, Miura T,
とが知られているが ,一方で骨膜細胞では SAMR
Yoshinari M : Osteogenic effect of fluvastatin
1と同等のアルカリフォスファターゼ活性や石灰化
combined with biodegradable gelatin-hydrogel.
5)
能を有していることが報告されている 。免疫組織
Dent Mater J,31⑶:489−493,2012.
化学染色の結果より BMP2の発現が骨断端部の骨
3)Yamashita M, Otsuka F, Mukai T, Otani H,
膜に強い陽性反応がみられたことから,フルバスタ
Inagaki K, Miyoshi T, Goto J, Yamamura M,
チンの局所投与が骨膜細胞を分化させ,SAMP6に
Makino H : Simvastatin antagonizes tumor ne-
おいても新生骨の形成や皮質骨の緻密化を促進させ
crosis factor-alpha inhibition of bone morphoge-
たことが示唆された。
netic proteins-2-induced osteoblast differentia-
フルバスタチン投与群のうち F500は SAMR1,
tion by regulating Smad signaling and Ras/Rho-
SAMP6ともに骨治癒の促進がみられなかった。ま
mitogen-activated protein kinase pathway. J En-
た,術 後2,3週 例 に お い て SAMR1は F250,
docrinol,196⑶:601−613,2008.
SAMP6は F125が多く新生骨量を形成する傾向が
4)Yoshida A, Sasaki H, Furuya Y, Yoshinari M,
みられた。従来の研究から,培養骨芽細胞に対する
Yajima Y : Effect of low-intensity pulsed ultra-
スタチン系薬剤は高濃度よりも低濃度で分化が促進
sound on bone-healing process in murine low-
6)
したことや ,スタチン系薬剤の経口投与により大
turnover osteoporosis model. J Hard Tissue Biol,
腿骨骨密度は高濃度で増加し低濃度では低下するこ
22:301−310,2013.
7)
とが報告されており ,その効果は濃度依存的では
― 3 ―
5)Egermann M, Heil P, Tami A, Ito K, Janicki P,
4
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
Von Rechenberg B, Hofstetter W, Richards PJ :
カルシウムシグナルを調節する膜タンパク質であ
Influence of defective bone marrow osteogenesis
る。今回,骨芽細胞において,アドレノメデュリン
on fracture repair in an experimental model of
やカルシトニン遺伝子関連ペプチドが VDCCs の働
senile osteoporosis. J Orthop Res,28⑹:798−
きを促進することが明らかになったので報告する。
804,2010.
緒
言
6)Maeda T, Matsunuma A, Kawane T, Horiuchi
骨のリモデリングは,骨芽細胞による骨形成と,
N : Simvastatin promotes osteoblast differentia-
破骨細胞による骨吸収のバランスによって行われて
tion and mineralization in MC3T3-E1 cells. Bio-
いる。さらに,このリモデリングがホルモンによっ
chem Biophys Res Commun,280⑶:874−877,
て調節されている。甲状腺の傍濾胞細胞から分泌さ
2001.
れるカルシトニン(以下,CT)
によって骨形成が促
7)Maritz FJ, Conradie MM, Hulley PA, Gopal R,
Hough S : Effect of statins on bone mineral den-
進され,副甲状腺から分泌されるパラトルモンに
よって骨吸収が促進される1)。
sity and bone histomorphometry in rodents. Ar-
電位依存性カルシウムチャネル(以下,VDCCs)
terioscler Thromb Vasc Biol,21⑽:1636−1641,
は,形質膜の脱分極を感知して活性化開口し,細胞
2001.
外から細胞内へカルシウムイオンを選択的に透過さ
せるイオンチャネルであり,細胞の電気的興奮をカ
ルシウムイオン依存的な生理応答に変換する役割を
担う2)。このチャネルは,細胞内へのカルシウムイ
② 白板症の癌化能を予測するための総合診断
システムの構築
オンの流入だけでなく,遺伝子発現の促進,細胞の
How to predict malignant risk for low-
分化・増殖,細胞の生存など,多くの細胞機能を調
grade oral epithelial dysplasia
節することで知られている3−6)。そのために当講座
の研究のメインテーマとなっている。
口腔外科学講座
当講座において,骨芽細胞の VDCCs の生理作用
野村武史
の詳細が明らかにされている7)。開口する電位によ
−本研究の概要は,歯科学報第114巻第6号(2014)
に二次出版で掲載済み−
り VDCC は,高 電 位(∼−20mV)
で活性化する L
型(Cav1)
お よ び 非 L 型(Cav2)
と 低 電 位(∼−60
mV)
で活性する T 型(Cav3)
に大別される。
また,活性型ビタミン D3も骨形成を促進するホ
③ 骨芽細胞におけるカルシトニンファミリー
ルモンとして知られている。我々は以前,活性型ビ
タミン D3が骨芽細胞の VDCCs を促進し,骨芽細
のカルシウム調節機構の解析
胞内にカルシウム流入を促進することにより骨形成
生理学講座
遠藤隆行
を促進する,ということを明らかにした8)。その他
のホルモンの骨のリモデリング調節についての研究
抄
を当講座で解明を進めている。
録
カルシトニンは骨形成ホルモンとして知られてい
CT の働きは,破骨細胞の CT 受容体に結合し,
るが,骨芽細胞にその受容体は無く,破骨細胞のカ
この細胞の骨吸収作用を抑制することにより,骨形
ルシトニン受容体を介して破骨細胞の働きを抑制す
成を促進する,と考えられていた。事実,学生講義
ることにより,骨形成に関与すると知られている。
でもそのように教え,CT の受容体は骨芽細胞には
カルシトニンにはサブファミリーが存在し,それに
存在しないというのが今までの一般的な見解であっ
はアドレノメデュリンやカルシトニン遺伝子関連ペ
た。
プチドが含まれる。電位依存性カルシウムチャネル
CT に構造の似たペプチドが発見され,CT ファ
(VDCCs)
は細胞内カルシウムイオンの濃度および
ミリーと名付けられた。この中には,アドレノメ
― 4 ―
歯科学報
Vol.115,No.1(2015)
5
デュリン(ADM)
やカルシトニン遺伝子関連ペプチ
MC3T3-E1細胞にパッチクランプ法を適用す
ド(CGRP)
が含まれる9,10)。骨芽細胞に ADM の受容
る直前に,アデニル酸シクラーゼ阻害薬である10
体が存在することが報告されている11)。
μM の SQ22536により30分間前処理をして,上記と
様 々 な 細 胞 に お い て,CGRP お よ び ADM が
12−14)
VDCCs を活性化することが報告されている
同様に ADM および CGRP を投与すると,ADM お
。
よび CGRP の L 型 VDCCs 電流促進作用が減少し
当講座からも,脳幹孤束核細胞において CGRP お
た。タンパクキナーゼ A 阻害薬である20μM の PKI
よび ADM が VDCCs を活性化することを 報 告 し
(5-24)
を7分間,細胞内に投与することによって
15)
タンパクキナーゼ A を阻害した細胞に ADM およ
た 。しかし,骨芽細胞での働きの報告は無い。
今回の研究の目的は,骨芽細胞に ADM および
び CGRP を 投 与 し て も,ADM お よ び CGRP の L
CGRP の受容体が存在するか,するとしたら VDCCs
型 VDCCs 電流促進作用が減少した。U-73122がホ
の調節を行うかどうか,を調べることである。
スフォリパーゼ C の特異的阻害薬であることが報
研究方法
告されている17,18)。アデニル酸シクラーゼと同様
培養骨芽細胞である MC3T3-E1細胞に全細胞
16)
に,ホスフォリパーゼ C 阻害薬である10μM の U-
膜記録型パッチクランプ法 を適用し,細胞外液を
73122により15分間前 処 理 を し て,上 記 と 同 様 に
テトラエチルアンモニウム溶液で潅流し,細胞内に
ADM および CGRP を投与したが,この条件下では
セシウムイオンを充填し,全細胞膜記録法パッチク
L 型 VDCCs 電流促進作用は減少しなかった。タン
ランプ法を適用し,電位固定法で膜電位を−80mV
パクキナーゼ C 阻害薬である10μM の GF109203X
に固定し,+10mV への脱分極刺激を与えることに
により30分間前処理をして,上記と同様に ADM お
より,全細胞膜を流れる L 型 VDCCs 電流を記録し
よ び CGRP を 投 与 し た が,こ の 条 件 下 で は L 型
た。電位刺激はアクソン社コンピュータソフトウェ
VDCCs 電流促進作用は減少しなかった。
ア「pCLAMP ver10」で 与 え ら れ,ヘ カ・エ レ ク
ミトゲン活性化タンパクキナーゼ阻害薬である10
トロン社増幅器「L/M-EPC7」を介して細胞に与
μM の PD98,
059により2分間前処理をして,上記
えた。イオン電流の解 析 は「pCLAMP ver10」で
と同様に ADM および CGRP を投与したが,この
行った。CGRP および ADM は灌流液を介して投与
条件下では L 型 VDCCs 電流促進作用は減少しな
した。GTP 結合タンパク質抗体はガラス管電極を
かった。
介して細胞内に投与した。各種セカンドメッセン
こ れ ら の 研 究 結 果 か ら,ADM,CGRP の L 型
ジャー阻害薬,カルシウムチャネル阻害薬は細胞外
VDCCs 電流促進作用のセカンドメッセンジャーシ
液に添加することにより投与した。
グナル経路としてアデニル酸シクラーゼ→サイク
結果および考察
リック AMP→タンパクキナーゼ A 経路を介してい
ADM および CGRP を骨芽細胞に投与したとこ
ることが明らかになった。ADM 受容体からサイク
ろ,骨芽細胞上の ADM および CGRP 受容体と結
リック AMP→タンパクキナーゼ A 経路へと至るシ
合し,L 型 VDCCs 電流を促進することが明らかに
グナル伝達系は他の細胞でも報告されてい
なった。また,細胞内電位を−80mV に保持し,10
る9,19,20)。以前,我々は顎下神経節細胞において,
mV ずつの階段電位を与えていくことにより,電
ADM,CGRP が ア デ ニ ル 酸 シ ク ラ ー ゼ→サ イ ク
流・電圧関係を記録し,ADM および CGRP を投与
リック AMP→タンパクキナーゼ A 経路を介して
することにより,この L 型 VDCCs 電流促進作用が
VDCCs を活性化することを報告している21)。
電位依存性を持たないことを明らかにした。
今後は本研究で得られた知見を元に,臨床的に骨
さ ら に,ADM,CGRP 共 に1nM か ら10μM の
形成を促進する薬剤などの開発などに発展していく
範囲内で濃度依存性の L 型 VDCCs 電流促進作用を
ことを望んでいる。
有することが明らかになった。
結
論
続いて,この ADM,CGRP の L 型 VDCCs 電流
骨 芽 細 胞 に お い て,ADM,CGRP が MAP キ
促進作用のセカンドメッセンジャー経路を調べた。
ナーゼを介してアデニル酸シクラーゼ→サイクリッ
― 5 ―
6
東京歯科大学口腔科学研究センターワークショップ
ク AMP→タンパクキナーゼ A 経路を介して L 型
dullin : A novel hypotensive peptide isolated
VDCCs を活性化することが明らかになった。
from human phenochromocytoma. Biochem Bio-
謝
phys Res Commun,192:553−560,1993.
辞
稿を終えるにあたり,本研究にご尽力下さいまし
10)Muff R, Born W, Fischer JA : Calcitonin, calci-
た東京歯科大学生理学講座の方々に深謝致します。
tonin gene-related peptide, adrenomedullin and
amylin : Homologous peptides, separate recep-
文
tors and overlapping biological actions. Eur J
献
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1)Amara SG, Jonas V, Rosenfeld MG, Ong ES,
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― 7 ―