在コルカタ日本国総領事館管内安全対策情報 平成27年度第2四半期

在コルカタ日本国総領事館管内安全対策情報
平成27年度第2四半期(平成27年7月~9月)
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社会・治安情勢
当館が管轄する西ベンガル州、ビハール州、オディシャ州、ジャールカンド州において
は、極左武装勢力マオイストの脅威が存在するほか、政党間による衝突、爆弾事件などの
脅威が存在しており、今期中は以下のような事案が発生しました。(当地紙報道による)
○ 7月9日、ビハール州 Jamui(州都パトナの南東約 180 ㎞)において、マオイストが
男子小学生1人を誘拐した。4時間後、同小学生は解放されたが、その際マオイストは男
児に対し、「12 日以内に敷地から立ち退かなければ、また誘拐事件が起きると校長に伝え
ろ」と命じた。
○ 7月21日、ジャールカンド州ジャムシェドプル市内において、若い女性への嫌がら
せが引き金となり、争いが一部地域で連鎖的に波及し、結果的にイスラム教徒とヒンズー
教徒の衝突に発展した。
○ 7月25日、ジャールカンド州 Gumla(州都ランチの南西約 90 ㎞)において警察部隊
とマオイストの銃撃戦があり、マオイストの最高指導者が射殺された。また、翌26日に
は、オディシャ州 Tumudibandh 地区の森林地帯(州都ブバネシュワルの西方約 300 ㎞)に
おいて、警察部隊とマオイストの間で銃撃戦があり、
マオイスト活動家2名が射殺された。
○ 7月28日、鉄道当局は、
「マオイストがハウラーやシアルダを含む主要な駅を標的と
した攻撃を行うとの情報がある」として、警戒を呼びかけた。同駅などでは特別警戒が行
われ、警察犬による捜索等も行われた。
○ 8月3日午前9時 30 分ころ、コルカタ市内 Tala 地区において爆弾が爆発し、6歳の
男児が負傷した。被害者が母親と歩いていた際、地面にボール状の物2個が落ちているの
に気づき、1個を蹴飛ばしたところ爆発した。爆発物処理班が現場を捜索し、付近に積ま
れた土管の中から、さらに別の爆弾を発見した。
○ 8月14日夕方、コルカタ市警は、タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)の元活動家
7人を、偽造ID等を使用したとして同市内ホテルで逮捕した。7人のうち5人はスリラ
ンカ人、2人はインド人であった。同人らは取り調べにおいて、コルカタでビジネスを始
めるために来たと説明しているが、警察当局ではインド国内のテロリストとの関係につい
て捜査を進めている。
○ 8月16日、CID (Criminal Investigation Department)がコルカタ市内の運送業
者の倉庫において、爆発物製造に使用される大量の化学薬品を発見した。報道では、
「差し
押えされたのはアンモニウム・ニトレート 600 ㎏、硫黄 500 ㎏、アルミニウム・ニトレー
ト 20 ㎏。1995 年に 168 人が死亡、680 人が負傷し、324 の建物が損壊した、米オクラホマ
での爆発事件では、2,200 ㎏のアンモニウム・ニトレートと硫黄が使用されていたとされ、
今回コルカタで発見された量の倍に当たる」とし、
「コルカタが爆発物のハブになっている」
との報道もみられた。
○ 8月18日、ジャールカンド州 Khunti(州都ランチの南方約 35 ㎞)で警察部隊とマ
オイストの銃撃戦があり、マオイストの指導者1人が射殺され、警察側も指揮官の警視正
とその補佐官が負傷した。
○ 8月21日、西ベンガル州バルドワン(コルカタの北方約 100 ㎞)からジャールカン
ド州 Hatia(州都ランチ付近)に向かう列車に乗車していた28歳の男が、爆弾と大量の
爆薬を所持していたとして警察に逮捕された。
○ 8月25日、オディシャ州 Chitrakonda(オディシャ州とテランガーナ州境付近)に
おいて、オディシャ州の国境警備隊員がマオイストの待ち伏せに遭い、3人が死亡、6人
が負傷した。警備隊員は州境近くの橋の建設現場を警戒中に攻撃を受けた。
○ 8月27日、左翼政党主導によるコルカタ市内の西ベンガル州政府庁舎へのデモ行進
の途中で、市内数カ所で参加者と警官隊が衝突した。
○ 8月30日、ビハール州 Banka(州都パトナの南東約 240 ㎞)において、マオイスト
7人が逮捕された。2日後にモディ首相が Bhagalpur(Banka の北方約 70 ㎞)を訪問する
ため、警察が警戒していた。逮捕されたの者の所持品からは、けん銃5丁、ガソリン、ロ
ープ、ナクサライト(インド極左毛沢東主義)の関連書物が発見された。
○ 9月2日、中央労組主導による24時間ゼネストが西ベンガル州内で実施され、市民
生活に大きな影響が及んだ。州内各地で負傷者、逮捕者が出た。
○ 9月20日午後 11 時ころ、コルカタ市中心部 Haj Lane 地区(当館から北方約8㎞)
において、シンジケートの抗争があり、流れ弾が付近を歩いていた小学生男児の左足を貫
通した。搬送先の医師は、全治3か月のケガと説明した。同地域では、3か月前にも西ベ
ンガル州与党政党トリナムル・コングレス党の職員がけん銃で撃たれ、右足と腹部を負傷
した。
○ 9月21日夕方、西ベンガル州 West Midnapore の Bhadutala(コルカタの西方約 130
㎞)の路上で地雷が発見された。当局が現場に急行して回収し、安全な場所に移動し信管
を取り除いた。警察では、同地雷にはTNT(トリニトロトルエン。通常の摩擦や衝撃で
は爆発しない強力な爆薬)が使用されていたとみている。
○ 9月23日、西ベンガル州のハウラー駅に停車中の列車内に放置されたバックから、
5個の缶(8×3インチ)が見つかり、その中に工業用の爆薬が入っていた。同バックを
所有する業者によると、運搬担当者が置き忘れたとしているが、警察では、同人が爆薬の
運搬に怖じ気づいて逃げたものと疑っている。
○ 9月25日午後、コルカタ市北部の Cassipore 地区において、閉鎖された工場の敷地
内で爆弾が爆発し、付近で枝の切り落としなどの作業をしていた者1名が死亡、2人が負
傷した。爆弾は敷地内の茂みに隠されていたとみられている。住民は、
「評議員選挙を前に、
ならず者がこの地域の平穏を乱そうという目的ではないか」と述べた。
○
9月28日午後、西ベンガル州 Suri において、救急車が3人男性をはね、さらに救急
車に乗っていた者から同3人に向けてけん銃が発砲され、この3人は死亡した。報道によ
ると、西ベンガル州与党政党トリナムル・コングレス党(TMC)の支持者同士による抗
争とみられている。その後の捜査で5人が逮捕され、さらに同地域のTMCのリーダーの
名も事件登録された。
○ 9月29日、昨年10月2日に西ベンガル州バルドワン(コルカタの北方約 100 ㎞)
で発生した爆発事件の主犯の1人が、ジャールカンド州内で逮捕された。同人はテロ組織
ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)の幹部で、事件以来逃亡を続
けていた。
2
一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
当館が所在する西ベンガル州コルカタ市は、人口の都市集中、失業者の増大、貧富差の
拡大等を社会背景として、一般犯罪が増加傾向にあります。殺人、強盗、強姦等の凶悪事
件も多発しており、性犯罪被害は頻繁に報道されています。コルカタ市やビハール州の観
光地ブダガヤなどで、バックパッカーなどの短期邦人旅行者が列車内や駅周辺、繁華街(コ
ルカタのニューマーケットなど)、安宿街(コルカタのサダル・ストリートなど)において、
スリや置き引きの被害に遭っているほか、見知らぬインド人から親しげに声を掛けられ、
一緒に行動するうちに親しくなり、もっともらしい話を持ちかけられ、クレジットカード
詐欺などの各種詐欺犯罪や女性に対するわいせつ目的の犯罪も発生しています。また、最
近では、邦人旅行者がムンバイやチェンナイで見知らぬインド人から親しげに声をかけら
れ、コーヒーやオレンジジュースなどの飲食物を提供され、飲食後に気を失い、所持品を
窃取されるいわゆる睡眠薬強盗の被害が頻発しており、当地においても過去同様の被害に
遭っている邦人がいることから、睡眠薬強盗に対する十分な警戒が必要です。今期中、日
本人が犯罪に巻き込まれた事案には接していませんが、こうした犯罪に巻き込まれないよ
う、十分注意する必要があります。
3 テロ・爆弾事件発生状況
上記1を参照してください。
4
誘拐・脅迫事件発生状況
邦人被害の事案には接していません。
5
日本企業の安全に関わる諸問題
日系企業がターゲットにされた事案及び関連情報はありません。