SD併用ゆるめ破砕工法 ■ 概 要 SD併用ゆるめ破砕工法は、スロット効果により非火薬の破砕薬または、極少量の火薬に より岩盤に破砕面を形成して無発破で掘削する工法で、トンネル掘削における振動低減と掘 削効率の向上を図る工法です。 市街地に近接した山岳トンネルを低振 動で掘削する工法として、これまでにS Dスロット発破工法とSD無発破掘削 工法とを実用化しています。前者は相対 的に掘削効率はよいが振動低減効果に は限界があり、一方後者は振動を大幅に 低減できますが掘削効率は低いといっ た問題があります。 そこで両工法の長所をバランス良く活 用する工法としてSD併用ゆるめ破砕 工法を開発しました。本工法の施工方法 は、まず、SD機によりトンネル外周部 および切羽にスロットを設け、スロット で囲まれた岩盤に装薬孔を穿孔して破 砕薬を装填し、発破と同様の方法で点火 します。 破砕薬はガンサイザーと呼ばれ、カプ セルに充填された非火薬の顆粒状の破 砕薬と専用の着火具(電気雷管と類似の もの)とがセットになっています。点火 により水蒸気が発生し、その圧力で岩盤 を破砕します。その後、油圧ブレーカに より二次破砕を行います。なお、ガンサ イザーの代用に少量の火薬を用いるこ とも可能です。 SD併用ゆるめ破砕工法 2005.5〈1〉 ■ 用 途 ・市街地や既設重要構造物に近接した山岳トンネル、岩盤斜面の掘削 ・掘削に伴うゆるみ低減が重要となる大規模地下空洞の壁面の掘削 ・マスコンクリート構造物の制御解体 ・既設のコンクリートダムの穴あけ ■ 特 長 1.非火薬の破砕薬を用いるため、火薬 の消費許可を得る必要がありませ ん。 2.重要構造物に近接した硬岩トンネ ルなどの振動や騒音公害を解消で きます。 3.制御発破に比べ振動速度は 1/10∼ 1/2 に低減できます。 4.無発破掘削工法に比べ施工能率は 20∼30%向上します。 5.一軸圧縮強度が 200∼250MPa の硬 岩にも適用できます。 6.施工上の注意点として ・火薬の消費許可は不要ですが、保管、 取扱には十分な注意が必要です。ま た、破砕薬の消費量によっては消防 法の適用を受けることがあります。 ・切羽の亀裂状況にもよりますがスロ ット削孔により切羽岩盤が地山と 縁切りされ滑落する可能性がある ので、入念なこそくと作業中の切羽 監視が必要です。 ・飛石の可能性があるので点火時には 発破と同様の退避距離をとる必要 があります。 ■ 実 績 ・本州四国連絡橋公団舞子トンネル中 南工事 ■ 関連資料 土木学会第 50 回年次学術講演会講 演概要集,1995 奥村組技術研究年報,No.21,1995 お問い合わせ先 ―SD工法協会― 〒108-8381 東京都港区芝5-6-1 TEL. 03-5439-0368 技術分室 TEL.03−3452−3908 SD併用ゆるめ破砕工法 2005.5〈2〉
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