1 植物名 品種識別・産地判別研究チーム 3 分析技術の概要 5 連絡先 6

1 植物名
2 開発機関名
3 分析技術の概要
小麦
近畿中国四国農業研究センター 品種識別・産地判別研究チーム
香川県農業試験場 野菜・花き部門
【背景】
近年の消費者の安全志向や国産・地元産志向の高まりから、国産小麦の需
要は増加の一途をたどっており、各地で地域独自の品種開発が行われていま
す。これらの小麦を原材料として使用していることをアピールするため、「さぬ
きの夢2000」のように特定品種名や、「北海道産小麦」「国産小麦」のように生
産地が表示されためん類やパン、菓子等の販売も増加しています。こうしたこ
とから、小麦加工食品を直接分析して原材料の品種識別を行い、表示の正当
性を科学的に証明する技術が求められています。
【開発した方法】
○小麦加工食品毎にDNA抽出法を確立しました。市販のDNA抽出キット
DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)を用いたプロトコールに、食品それぞれの加工
程度や原材料に応じた酵素処理を追加することで条件を最適化しています。
○品種判別用に10組のSSR(Simple Sequence Repeat)マーカーを開発しまし
た。これらは、加熱や加工によって短く断片化されたDNAでも安定的に検出で
きるように、PCRによる増幅産物長が300bp程度以下になるように設計してい
ます。また、小麦以外に由来するDNAを検出しないように小麦特異性が高いこ
とも条件としています。
○国内外小麦58品種(国内41,国外17)について各マーカーによる増幅産物
長のカタログを作成しました。マーカー(PCR産物)の解析には、キャピラリー型
電気泳動装置を用い、増幅産物の長さを数値化したものをマーカー遺伝子型
として用いています。
【判別できる範囲】
○遺伝子型カタログをもとにして、ホクシンや農林61号、さぬきの夢2000等の
ブランド品種や生産量の多い国内品種を特定することが可能です。ただし、一
部のマイナーな国内品種間では、相互に判別出来ないことがあります。
○カタログにある国外品種のいくつかについては、特有のマーカー遺伝子型を
指標として、それらを含む輸入小麦銘柄と国内品種を簡便に判別することがで
きます。
4 公開資料
1.加工食品からのDNA抽出法(DNA多型学会第18回学術集会で発表したポ
スター)
2.小麦品種判別用SSRマーカー(小麦の品種識別法 特許第4114887号)
5 連絡先
近畿中国四国農業研究センター 品種識別・産地判別研究チーム
Tel: 084-923-4100(代表)
6 分析できる加工品
植物体、小麦粉、めん類、パン、主な菓子類
7 妥当性試験
未実施
8 備考
特定の小麦品種名が表示された食品の真偽確認に用いることができますが、
不明な原料品種を特定することは困難な場合があります。また、食品の加工
程度や副原料によっては、分析不可の場合があります。なお、当センターで依
頼分析はお引き受けできません。