地元企業お仕事 100 選 (株式会社サニーライフ) 開催日:平成27年7月11日(土) 場 所:若者ワークプラザ北九州・セミナールーム(小倉北区) 講演者:株式会社 サニーライフ 大西 秀昌氏 下記は、当日お話していただいた概要をまとめたものです。 1 経歴 私はサニーライフの常任顧問の大西と申します。 私はこの仕事を始めて 45 年になります。もともとは美容師でしたが、兄が冠婚葬祭の会 社を立ち上げたのを機に兄の手伝いで入社しました。結婚式場を建てるには、創業当時で 数億円の資金が必要だったため(平成4年に建設したアートクレフクラブは 25 億円)葬祭か ら始めました。 スタート時は戸畑の農協の倉庫を改造し、斎場として使っていました。当時は経済的に 厳しい方が斎場で葬儀を営み、経済力のある方は自宅で葬儀をしていました。この戸畑の 斎場は風呂も無く、泊まる遺族の布団は持ち込みでした。葬儀社の社員が当直をしていま したが3日連続で当直をしたこともあります。 母親が入院していた病院で、院長が母の人柄に感心し 「あなたのような方の息子さんならよい仕事をしてい るだろうから、病院で亡くなった方の葬儀をお願いした い」とお客様を紹介してくれることになりました。 我が社は当初、経済的に厳しい方が利用されていまし たが、段々経済力のある方も利用され始め、次第によい葬儀をすると評判が広がっていき ました。 2 仕事をする上で大切なこと ①日々の勉強 仕事をしていて、いろいろな疑問にぶつかりました。結婚式で使う箸は両端が使えるよ うに尖っているのはなぜか?答えは、片方は本人が食べるためで、もう片方は神様が使う ためのもの。その他にも数珠、焼香などの疑問を私はノートにぎっしりと書き留めていま した。ある時、大正大学の民俗学者、藤井教授の講演があり、200 名近くの冠婚葬祭の関 係者が集まって聴講をしました。その中で 1 時間の質問タイムがあり、ノートに書いてい た疑問をたくさん質問し、色々なことを吸収しました。それからは、葬儀やしきたりの本 を集めて毎日 2 時間読みました。こうして得た知識のおかげで気がつくと、自信を持って 仕事に臨めるようになっていました。 ②思いやり 私は社員には「出来ません、有りません、知りません、分かりません、は使わないよう に」と言っています。また「困った時は、上司に聞くように」と言っています。 15 年前、遺族に出すおにぎりが足りなくなったことがありました。社員が遺族に対して 「有りません」と言っていったので、 「コンビニに行って買って来なさい」と指示したこと があります。どのような仕事においても、相手の気持ちや立場に立って対応する能力は必 要だと思っています。 ③誠意をもった対応 クレームが発生した場合、私は自分から謝りに行きます。その人に誠心誠意を持って頭 を下げると、みなさん理解していただけました。頭を下げて、真心からお詫びをすれば、 きっと許してもらえます。 ④「お・い・あ・く・ま」 これは、本で読んだことですが、若い銀行員が銀行をやめると言うと、母親が「お・い・ あ・く・ま」でやりなさいと話したとの事。お→おこるな、い→いばるな、あ→あせるな、 く→くさるな、ま→まけるな。その若者は銀行員を続け、気が付くと頭取になっていたそ うです。 3 チャレンジ精神を持って仕事をすることの大切さ サニーライフが最初に業界の常識を破って始めた葬儀の形が、瞬く間に日本中に広まっ たことが沢山あります。 ○「お茶を出そう」 私たちの斎場の近くにバス停が無く、葬儀に参列 のお年寄りが遠くから歩いてみえていました。私が お茶を飲んでもらおうと提案しましたが、それまで の葬儀場ではお茶を出す風習が無く社員は反対し ました。茶器は自分のポケットマネーで払うから、 社員に用意するように指示しました。また、お茶を 出す時は当時のホストクラブのマネをして、床に膝 をつけて「お願いします」と言って出すようにしま した。すると皆さんは喜んで飲んでくださり、お茶 を出す葬儀場と評判になりました。 ○「女性の司会者」 葬儀の司会者は、長く男性の仕事と思われていました。しかし、中には酒に酔って欠勤 する司会者などいい加減な人が増えてきました。そこで、とある女性社長と「女性の司会 者を育てよう」となりました。それを聞いた街では、サニーライフは潰れるよと噂になり ました。しかし、これもお茶と同じで、全国で女性の司会者が次々に誕生しました。 このことから、常識は非常識、一回ダメとなっても、検証して、チャレンジしてみると よいと思います。 4 葬祭という仕事 葬祭という仕事は皆さんがイメージされているような嫌な仕事ではありません。私はま ず、ご遺体に挨拶をして、私が触れることの了解を取ります。手を合わせ、手と手の間に 空間を作り、思いを込めて、人の魂を手中に頂きます。すると亡くなった人が、葬儀の間 中、自分を守ってくれているのが分かり、いい仕事が出来ます。 質疑応答 Q.サニーライフさんが始めて、日本に広まったことは、お茶出しや女性司会者の他にど んなものがありますか? A.特に夏の葬儀は暑いため、葬儀の時間を短くできるように、弔辞を読む時に横にアシ スタントを置いて、弔辞の紙の開閉をアシスタントがすることにしました。こうした事で 一人 3 分の節約が出来ました。このやり方はサニーライフが始めたものです。また、少し でもご遺族のサポートができればと、斎場と焼き場を移動する遺族用のバスを葬儀社が用 意したのもサニーライフが始めてでした。 Q.今、日本は少子高齢化で葬儀が多いと思いますが、やがて葬儀も減ってくると思いま す。業界の将来はどうなるでしょうか? A.今は葬儀社が多すぎるため、今まで話してきた「チャレンジ精神」や「相手への思い やり」を持てない葬儀社はいずれ淘汰されていくと思います。 Q.私は前の会社で営業に出て、お客の要望を聞き出せないことがありました。どうすれ ば、要望を聞き出せるのでしょうか? A.あなたはそのお客に何枚の名刺を出しましたか?一枚では足りません。名刺 100 遍と 言うくらい何度も出した方がいいです。また、あなたはお客の信用をまだ取れていなかっ たのかもしれません。私は今日の講演会に来るにあたって、名刺を 8 枚、名刺入れからす ぐ出せるよう、相手の方を向けて用意していました。このような心がけや準備が相手から の信用を得られる最初の第一歩です。
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