地域アクションプラン事例紹介

飛躍への挑戦!
高知県産業振興計画
高知県産業振興計画
地域アクションプラン事例紹介
Vol.3
1
小さな取り組みから、大胆なアクションへ。
未来に向かって伸びる大きな樹。
その種が芽を出し、葉を広げて、
地域の中に少しずつ根付き始めました。
各地域の取り組み事例の中から、
⼒をつけ、輝きを増し、
産業として育っていく様子を紹介します。
目
次
⽥野屋塩⼆郎|安芸地域[安芸郡⽥野町]P.1
有限会社 ⼟佐佐賀産直出荷組合|幡多地域[幡多郡⿊潮町]P.9
NPO法人 佐川くろがねの会|仁淀川地域[高岡郡佐川町]P.15
溜井部落振興協議会|嶺北地域[⼟佐郡⼟佐町]P.21
石⽥蘭園|幡多地域[宿毛市]P.27
株式会社 城⻄館|高知市地域[高知市]P.33
⼟佐備⻑炭⽣産組合|安芸地域[安芸郡東洋町]P.39
協同組合やすらぎ市|物部川地域[香南市夜須町]P.45
JA四万⼗⼥性部⼿づくりキッチン|高幡地域[高岡郡四万⼗町]P.51
株式会社 アースエイド|高幡地域[須崎市]P.57
地域アクションプラン|事例紹介
田野屋塩二郎
安芸地域
[安芸郡田野町]
地域アクションプラン|事例紹介
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“塩の声に耳を澄ませろ!”
田野屋塩二郎
安芸地域[安芸郡田野町]
「日本一の塩をつくる」。そう決めて高知にやってきた一人の男。2年間の修行の後、田野町で塩づくりを始めまし
た。今や、田野屋塩二郎の塩を求めて全国各地から、そして海外からもシェフたちがやってきます。毎日休まず塩
と向き合ってきた塩職人は、さらにその味を極めるとともに、後進の育成に力を入れ、二代目田野屋塩二郎を育て
たいと考えています。
すべてを捨てて、高知県黒潮町へ
東京は広尾生まれ、田野屋塩二郎こと佐藤京二郎さんが高知にやってきたのは、2007年。当時35歳、人生70年
と仮定すると半分に到達し、かねてから思っていた「海の近くで仕事をしながら暮らす」という人生に向けて一歩を
踏み出しました。20年間サーフィンをしていて、自然と海とともに生きることを考え、それには漁師か塩づくりの二者
択一。「漁師は命の危険が伴うが、塩は海水を汲んで乾かせばいい。原料の海水はタダ、塩は腐らないから在庫を
かかえても大丈夫」と考えました。
しかし、塩づくりに関する知識はまったくなく、日本一の職人に師事して学ぼうと決意。そして、黒潮町の塩づくり
名人・吉田猛さんの元を訪れ、「塩の作り方を教えてほしい」と土下座で弟子入りを志願。何度も断られましたが、
仕事もサーフィンもすべてを捨てて塩づくりにかけるという塩二郎さんの熱意が伝わり、4回目にようやく許可が出ま
した。塩に関してはまったくの無知。塩の味にどれほどの違いがあるかわからなかった塩二郎さんですが、吉田さん
の塩を舐めて目からウロコが落ちたと言います。「これを超える塩をつくる」と決め、師匠の味に慣れないために、味
見をしない塩づくりを体と感覚で学んだと言います。
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田野町が拾ってくれた
2年間の修行を経て、師匠の元から独立。最初は他県でと考えていましたが、2年の間に知識と技術が身に付き、
最もおいしい塩が作れるのは高知の海だと認識。自分の製塩施設を作るために、県内さまざまな地域の海水を調
べ、土地を探しました。
候補地はいくつかありましたが、どこも「よそ者はいかん」と取り合ってくれませんでした。しかし、田野町は「ぜひ
来てほしい。田野町で日本一の塩を作ってほしい」と言われ、即断。それを聞いた師匠から「田野の名前を背負っ
て世界に出ろ!」と言われ、『田野屋塩二郎』の名前をもらいました。
「海水のいいところは、山を見たらわかる」という塩二郎さんがこの地を選んだきっかけは、奈半利川の奥に見える
山々。山の状態が良いところは川の水もきれいで栄養豊富。
海水にもミネラルがたっぷり含まれています。潮が満ちてくると、その川の水を含んだ海水がぐっと海岸に近づき
ます。塩づくりには、海水にどれだけ真水を含んでいるかが重要で、奈半利川の河口に近いこの場所は、塩づくり
にとても適した場所。田野屋塩二郎の進出により、ここに初めての塩づくり施設ができたのです。
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塩二郎の塩を育てる
高さ10mの採かんタワーと製塩ハウス2棟が出来上がり、操業を始めたのは2009年の夏。現在、ハウスは3棟に
増えました。満潮3時間前にポンプで海水を汲み上げて地下のタンクに貯め、採かんタワーの上部からシャワーの
ように流します。ジグザグに張られた布を伝って下に落ちた海水は、タンクに戻ってまた上部へ。何度も何度も循環
させ、天気を見ながら約1ヶ月かけて8%の濃い海水(かん水)を作ります。これが塩の原料となり、300種類を超え
る塩二郎の塩はすべてここから生まれるのです。
製塩ハウスには、かん水の入った木箱がずらり。このかん水を攪拌しながら徐々に水分を蒸発させ、塩を結晶化
させるのが塩二郎さんの仕事です。冬場は1時間半に1回、夏場は1時間に1回ぐらいのペースで混ぜますが、冬
は20℃、夏場には70℃にもなるハウスの中では、とても過酷な仕事です。
一定時間ごとに漫然と混ぜるだけで極上の塩ができるわけではなく、「塩の声を聴いて、今どうして欲しいかに応
えることでおいしくなる」と塩二郎さん。「塩は生き物。生きたまま製品にするのが塩職人の仕事」と言います。
木箱の中で息づく塩にはそれぞれ個性があります。同じように太陽の光を浴びた隣り合った箱でも、水と湯ほど
温度の違いが出ることも。それは「塩のやる気が違うのよ」とすべて受け入れ、塩のコンディションに合わせた手入
れで、おいしい塩に育てます。
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1種類だけじゃ話にならん!
種類だけじゃ話にならん!
ハウス内に整然と並ぶ木箱には0.2mm、0.3mm、5~7mmなどと書かれた紙が貼られています。これはすべて塩
の粒の大きさで、お客様のオーダーによるもの。大きさだけでなく、色や味に変化をつけることもできます。「どう
やって?それは僕にもわからない」と繰り返す塩二郎さん。塩の声を聴き、対話をすればできること。毎日触ってい
れば誰でもわかるようになるものだと言います。
操業を始めた当初、塩二郎さんは塩の気持ちが知りたくてハウスの中で寝泊りをしました。塩との接触を密にした
結果、「塩が今、どうしてほしいのかがわかるようになった」。それから後は、どんな塩も作れるようになったと言いま
す。「一つの極上品の塩だけでは、食材すべてに対応できない」というのが塩二郎さんの考え方。「牛肉一つとって
もさまざまな部位があり、味わいが異なる。それに合う塩こそがおいしさを引き立てる」と、オーダーに合わせてさま
ざまな塩を作っています。
丁寧に育て上げ、ゆっくりと結晶した塩を取り出すタイミングは「年齢でいえば18、19歳」と塩二郎さん。箱の底か
ら塩を取り出し、布袋に入れて脱水すれば完成です。出荷作業は、娘を嫁に出す支度と同じように、思いを込めて
お客様のもとに届けます。
塩の半分はオーダーで、半分は小売。思いを込めた塩は、「わかる人だけにしか売らない」というスタンス。「一切
宣伝はしないと決めていた。宣伝しなきゃ売れないようなものは作るつもりはなかった」と、品質の高さがモノを言い
続けてきました。決まった数しかできないことから、常に品薄の状態ですが、自分の目が届く範囲で育てたいという
思いから、生産拡大は考えていません。
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やりたいヤツにはとことん教える
5年間、遊びも休みもなく塩づくりだけに懸けてきた塩二郎さんのこれからの課題は、弟子を一人前にすること。4年前
に塩を作りたいとやってきた地元女性の小松さんを、昨年正式に「田野屋白鷲(はくろ)」という名前をつけて弟子にしま
した。多くを語らない白鷺さんが「塩に話しかけられました」と言った瞬間から、メキメキと腕を上げてきたと言います。今
では40~50種の塩を作りわけられるようになった白鷺さんが、二代目田野屋塩二郎を襲名してくれる日を楽しみにして
います。
塩づくりに興味がある人は多く、いろいろな人がやってきますが、「なかなか続かない」のが現状。それでも、「本気で
やりたいという人がいたら本気で教えたい」と、ガッツのある人を待っています。
田野町への恩返しは塩づくりの実績
田野屋塩二郎のブランドが有名になるにつれて、「田野町の塩づくり」への関心も高まってきました。塩二郎さんのハウ
スでも見学を受け入れていましたが、数が増え過ぎて仕事にも支障が出て困惑していたところ、隣接する土地に田野町
が塩づくり体験施設を建設。塩二郎さんに指導をしてほしいとの依頼がありました。「これは塩二郎の塩とは別物」としな
がらも、海から塩ができることを知ってほしいとの思いから、一部指導を行っています。
田野町が建設した体験施設は、現在、田野町の地域おこし協力隊が運営して、月に100人ほどの見学・体験者を受
け入れ、田野町の新しい観光スポット、教育体験施設として注目を集めています。
「生き方」「職業観」など、さまざまなテーマで講演依頼もある塩二郎さん。「柄じゃない」と言いながらも若者たちに語る
言葉は熱く、「やりたいことを貫く」という姿勢が彼らの心を動かしています。
「田野町に拾ってもらったから今がある。恩返しをしていきたい」と言う塩二郎さん。それは世界一となって、田野町の
名を世界にとどろかせること。田野町への思いと、塩が結ぶ人の縁が大きな恩返しとなっています。
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田野屋塩二郎
高知県安芸郡田野町2703-6
TEL0887-38-2028
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有限会社 土佐佐賀産直出荷組合
幡多地域
[幡多郡黒潮町]
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“女性の力で土佐佐賀の幸を全国に!”
有限会社 土佐佐賀産直出荷組合
幡多地域[幡多郡黒潮町]
地元の新鮮な魚を加工し、食卓に届ける有限会社 土佐佐賀産直出荷組合。子育てや介護をしながらも、「地元で働
きたい」という女性たちの力を活かし、さまざまな商品作りをしています。女性ならではの目線で、安全な品質にこだわっ
た商品開発を行っています。
真摯な姿勢と取り組みが消費者に支持され、売上は増大。生産量を増やすため、新たな加工場を建設し、さらなる事
業の拡大を目指しています。
失職後、たった一人で起業
黒潮の恵み豊かな土佐佐賀。ミネラル豊富な海水からおいしい天日塩を作る塩のまちとしても知られています。
土佐佐賀産直出荷組合を立ち上げたのは、このまちの漁師のもとに生まれ育った浜町明恵さん。平成15年、40歳の
とき、勤めていた水産物加工会社が倒産して働く場所を失いました。新たな職を探しましたが、幡多地域ではパートの
求人しかありませんでした。この地域で、何か自分ができることはないか・・・。幼い頃から、夜ごと「魚に値がつかん」とつ
ぶやく父の言葉を聞き、いいものなのになぜ売れないのかと思いながら育った浜町さん。取れたての魚をすぐに加工し、
新鮮でおいしい魚を誰でも簡単に食べられるようにして販売しようと考えました。最初は知り合いの加工場の一隅を間
借りして、たった一人で鮮魚加工の土佐佐賀産直出荷組合をスタートさせました。
平成17年、加工場を新設。「高知で頑張る企業」に認定され、積極的に全国に営業活動ができるようになり、取引先
が拡大してきたことが、加工場建設の大きな後押しとなりました。同じ「地元で働きたい」という主婦を雇用し、商品アイテ
ムも増やしました。土佐佐賀産直出荷組合のこだわりは、「自分の家族に食べさせたいもの」。安全で品質の高い商品
を作っています。
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女性ならではの商品を開発
その後、毎年1人ずつスタッフを増やし、商品アイテムも増やしてきた土佐佐賀産直出荷組合。カツオのたたき、地元
の天日塩を使った旬の魚の干物やフライ、煮付けなど、小麦粉やパン粉、調味料にもとことんこだわった商品。ブリのカ
マやキンメダイの頭など、通常捨てられる部分にも手をかけ、商品にしてきました。「父が捕ってきた魚を丁寧に食べつく
す母の料理を見てきたから」と浜町さん。使い方や食べ方を書いたレシピも添付します。
土佐佐賀産直出荷組合の商品を取り扱っているのは、浜町さんと同じく、安全で安心な商品を家庭の食卓に届けた
い、と考えている「関西よつ葉連絡会」や「大地を守る会」など。素材にこだわって手づくりする商品は、製造量が限られ
値段も高い商品ですが、浜町さんたちの思いと商品の価値をしっかりと届けることで購入者に支持されています。
暗中模索の中で誕生した「きびなごフィレ」
地元でとれるキビナゴを使った「きびなごフィレ」が誕生したのは、平成20年のこと。地元の商工会が中心となり、黒潮
町の天日塩を使った商品を開発することになりました。「干物では普通すぎておもしろくない」と考えていたところ、商品
開発コンサルタントの方から「キビナゴでアンチョビを作ってみては?」と提案をもらいました。見たことも食べたこともな
いアンチョビを作れるのか?調べてみると、塩とキビナゴとオリーブオイルだけで作れるとわかり、「とにかくやってみよ
う!」と試作を始めました。
塩は、加工場のすぐ前に広がる「塩屋の浜」の海水から作られる「いごてつの塩」を使用。キビナゴは丸のまま使うのか、
頭をとるのか、三枚おろしにするのか悩み、塩の入れ方も漬け込む日数もわからず、いろいろな方法を試しました。透明
な密閉容器にいくつもサンプルを作り、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月。「腐ってないろうかね」と言いながら試食を繰り返しました。
そして、三枚おろしの身と塩をミルフィーユのように重ね、3ヵ月熟成させると一番うまみが出るという結論に、ようやくた
どり着きました。量産するためにキビナゴの身をそぐ方法を模索し、プラスチックバンドや竹ひごを丸めた道具などを試
しましたが、指が痛くなるうえに異物混入のリスクがあるため却下。美しいフィレに仕上げるためにも、一尾一尾、包丁を
使って三枚におろします。
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妥協なき商品づくりが成功の鍵
キビナゴの美しさを見せるため、きれいに並べてビン詰めし、オリーブオイルを注いで完成。試行錯誤の末に出来上
がった「きびなごフィレ」は、「グルメ&ダイニングスタイルショー」で高い評価を受けました。これを機に商品価値をさらに
高めようと、高知県工業技術センターの協力を得て、食品成分を調べてデータ化。黒潮町の天日塩によって独特のお
いしさが引き出されていることを確認し、塩加減や熟成の仕方、熟成期間などを調整し、改良を重ねました。
ブラッシュアップした「きびなごフィレ」は、平成20年の「グルメ&ダイニングスタイルショー」のフード部門で大賞を受賞。
天日塩とともに大ヒットし、全国に黒潮町の名前を知らしめました。
自分たちで考え、作り上げてきた「きびなごフィレ」は、わが子のような存在。悩みながらも独自に商品開発を行い、そ
の成果が認められたことは、土佐佐賀産直出荷組合で働くみんなの大きな力になりました。
黒潮の恵みを無駄なく!
「きびなごフィレ」を生産しながら浜町さんが考えたのは、キビナゴの頭やはらわたなど残渣の活用。「もったいない」と
いう気持ちから、頭やはらわたを天日塩に漬け込んで熟成させ、魚醤を作るアイデアが生まれました。最初はいろいろ
な色のカビができ、ふたを開けるたびに驚きました。それでも、原料はもともと捨てるもの。試作を繰り返し、3年がかりで
1年熟成のおいしい魚醤が完成しました。
その後、港に上がった魚のうち、選別しきれずに海に廃棄する魚を有効利用したいと考え、カタクチイワシを原料とす
る魚醤を開発。「いわしの魚醤」、「きびなごの魚醤」ともに、うまみや香りに特徴がある魚醤ができました。
さらに、魚醤を搾った後の残渣に着目し、できあがったのが「きびなごペースト」。濃厚なうまみが凝縮されており、ニン
ニクを加えて風味豊かに仕上げました。
また、これを使ってバジルペーストを作りたいと考えた浜町さんは、黒潮町の限界集落で農業を営む畦地さんにバジ
ルの無農薬栽培を依頼。それを原料にキビナゴのうまみが生きるバジルペーストを作りました。バジルの栽培ができな
い冬場は、食に対して同じ思いを持つ沖縄の女性グループの無農薬栽培バジルを使用しています。ここでも、浜町さ
んの「頑張っている女性の力を活かしたい」という思いが息づいています。
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女性の力を活かし、事業拡大へ
加工品の開発・販売に力を入れる間にも、フライや煮つけ、たたきなどの鮮魚加工品の売り上げも順調に推移してきま
した。取引先から新たな商品の依頼や相談があるものの、現在の加工場では対応できなくなってきました。新たに、高
知県版HACCPの導入も見すえた加工場を建設し、事業を拡大することを決めた浜町さんは、地域アクションプランの支
援を活用するべく、補助金の申請準備を始めました。産業振興アドバイザーに衛生管理や財務面でのアドバイスをい
ただいたり、地域支援企画員の宮地美智子さんのサポートを得ながら、事業の内容を細かく分析し、今後の計画を練り、
申請書をまとめました。会社経営や財務の詳しい知識がない人にとっては、申請書類の作成はとても難しく、骨が折れ
る仕事でした。宮地さんは土佐佐賀産直出荷組合の事務所に通ったり、電話連絡を取りながら、浜町さんを支援しまし
た。
補助金の審査会では、浜町さんが情熱を持って事業計画を説明した結果、事業が採択され、加工場の建設に着手す
ることができました。春には新しい生産体制がスタートします。
HACCPを導入することで、「厳しい衛生基準がクリアできるため、販路を拡大できる」と浜町さん。スタッフを増員し、さら
に生産力をアップしたい考えです。
現在、産休中の1人を含め、10人のスタッフを抱える土佐佐賀産直出荷組合。「子どもが熱を出したり、学校の行事が
あったり、親の介護もあったりで女性は大変。いつでも「早う行っちゃりや」「よう診ちゃりよ」と言える職場でありたい」とい
う浜町さん。「その分、出てきたときにしっかり働いたらかまんがよ」という明るい声が、まわりを元気にしています。
女性が安心して働ける場所づくり。それこそが、女性の力を最大限に活かす鍵となっています。
有限会社 土佐佐賀産直出荷組合
幡多郡黒潮町佐賀80
TEL0880-31-4188
http://www.tosasaga-fillet.com/
[活用した県の支援策]
産業振興推進総合支援事業費補助金
産業振興推進ふるさと雇用事業費補助金
産業振興アドバイザー制度(専門家派遣)
まるごと高知でのテストマーケティング
こうち産業振興基金(企業団体チャレンジ支援事業)
など
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地域アクションプラン|事例紹介
NPO法人
法人佐川くろがねの会
法人 佐川くろがねの会
仁淀川地域
[高岡郡佐川町]
地域アクションプラン|事例紹介
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“歴史あるわが町、観光のまちに!”
NPO法人
法人 佐川くろがねの会
仁淀川地域[高岡郡佐川町]
平成20年度から「佐川町歴史的風致維持向上計画」に取り組んできた佐川町。上町地区の地元の有志による「佐川く
ろがねの会」の観光ボランティア活動が定着し、喜ばれるサービスとして観光客増加につながってきました。公的支援を
活用して観光資源の整備が進むとともに、くろがねの会を核とする地元パワーによる観光振興が地域を活性化していま
す。
佐川の名家が国の重要文化財に
文教のまちとして知られる佐川町。上町地区には、司牡丹酒造の酒蔵をはじめ数多くの古民家や伝統建築が残って
おり、風情ある独特の町並みが続いています。
その町並みや建造物を観光資源とし、多くの人にまちの魅力を知ってほしいと活動しているのが「NPO法人佐川くろ
がねの会」のメンバーの皆さん。平成19年に竹村家住宅が国の重要文化財に指定されたのをきっかけに、有志が集
まって「ボランティアグループ佐川くろがねの会」を発足し、観光ガイドの活動をスタートしました。さらに、地域の活性化
と産業振興のため、平成21年にNPO法人として改組し、現在75人の会員が活動しています。
発足当初から参加し、現在副理事長を務める吉野毅さんは、「長く佐川に住みながら、町の歴史やゆかりの偉人たち
について何も知らなかった」と当時を振り返ります。知れば知るほど興味深く、見どころいっぱいの佐川町。その魅力を
丁寧に伝え続けてきたベテランガイドです。
くろがねの会の観光ガイドの活動が評価され、「佐川まち歩き」の旅は人気が出始め、仁淀川地域観光協議会による
PRも功を奏して観光客は徐々に増加。数少ない観光ガイドは、日々大忙しになってきました。
佐川くろがねの会・副理事長 吉野さん
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地域アクションプラン|事例紹介
観光ガイド不足を解消せよ!
平成21年から25年にかけて国の「歴史的風致維持向上計画」に認定された後、佐川町の事業として県の地域アク
ションプランに位置付けられ、「高知県観光拠点等整備事業費補助金」等を活用して上町地区の整備が進められてきま
した。旧青山文庫(佐川文庫庫舎)の移設、牧野富太郎博士の生家を再生してゆかりの資料を展示する「牧野富太郎
ふるさと館」の建設、酒造商家の住居「旧浜口家住宅」の改修、江戸時代の郷校「名教館」の移築などが行われ、見どこ
ろが増えたことで、町並みの魅力もさらにアップしました。
その間も観光ガイドの利用者は増加し、平成24年度には1,339人、平成25年度には2,986人と倍増。ガイド不足はま
すます深刻になりました。観光ガイドは豊富な知識はもちろん、人前で話す力やコミュニケーション能力が求められます。
ガイド養成の研修会を開催しても、参加者は集まるものの実際にガイドを務めてくれる人材を確保することはできません
でした。
この課題を解決するため、県の地域支援企画員及び佐川町の「チーム佐川推進課」に相談し、まち歩きガイド養成の
プロ・中村雅子氏によるガイド養成講座を開催。おもてなしの言葉がけ、伝える技術、満足度を上げるための会話など
を身につけることができ、20数名のガイドが誕生しました。その後は100名を超えるお客様にもスムーズに対応できるよう
になり、ガイド1人あたりの負担も軽減することができました。
「佐川の魅力」を独自の発想で!
くろがねの会では、上町の観光ガイドはもちろんのこと、イベントの企画・運営等を行ってきました。切り絵作家・酒井敦
美氏による、土佐漆喰の白壁に光の切り絵を投影する「佐川酒蔵ロード劇場」は、3,000人の人が集まる名物イベントに
成長しました。古民家に伝わるおひな様を展示し、古民家の格子に紙の「格子雛」を飾りつけるひな祭りにも毎年多くの
人が訪れます。また、古民家を会場に写真展やコンサートなどを行い、まちの活性化にも努めてきました。
平成25年度、佐川町のさらなる観光振興を目的に、旧浜口家住宅を拠点とする「一般社団法人さかわ観光協会」が
設立。佐川町の観光総合窓口として、観光客の受け入れや観光情報の発信、観光イベントの運営を観光協会が担うこ
とで、くろがねの会と観光協会、町が連携して、観光客をお迎えするおもてなしの舞台も整ってきました。くろがねの会
では、上町の観光ガイドを中心に佐川の歴史文化を観光客に伝えるとともに、牧野富太郎ふるさと館の指定管理者とし
て牧野博士が残した貴重な資料の展示等により、博士の業績を紹介しています。
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酒蔵ロード劇場 光・映像・音で酒蔵の道が彩られる。
ガイドで10倍楽しむ!
ガイドで 倍楽しむ! 佐川のまち
観光ガイドが案内するのは、上町地区の300mほどの町並み。ガイドなしで歩けば15分ほどの距離ですが、まちの歴
史や建築物の美しさを聞きながら歩くと、1時間半から2時間かかる見どころたっぷりのコースです。町歩きツアーの起点
は、くろがねの会メンバーの1人である模型作家・栗田眞二さんが作った模型が並ぶ「町並み模型展」。江戸時代の町
並みを20分の1のサイズで再現した模型が18軒並ぶ様は圧巻。中の障子や畳まで忠実に再現しており、栗田さんが屋
根を外して中の間取りまで詳しく解説。佐川の町並みへの興味が高まります。
また、ここでは町名の由来や、江戸時代に土佐藩筆頭家老・深尾氏が築いた城下町であること、商業の町として栄え
たことなどの説明もあり、ここから歴史の旅の一歩を踏み出します。
185年前の家と庭がそのままの重要文化財・竹村家住宅。明治時代には9つあった酒蔵が吸収・合併を繰り返し、大
正時代に3つの酒蔵が合併して生まれた司牡丹酒造の酒蔵群。城下町で栄えた豪商の家々。県内3大庭園の一つで
ある清源寺。古い建物をがっしり支える亀甲積みの石垣などの町並みを歩いていると、酒を醸す香りがふわりと漂ってき
て、蔵人たちが忙しく出入りする光景に出会います。
また、文教のまち・佐川は多くの偉人を輩出しており、彼らの功績を残す資料も豊富。それらを保管・展示する青山文
庫は、佐川の英知を集めた場所となっています。
佐川くろがねの会・理事で模型作家の栗田さんが佐川の町並み、歴史を詳しく解説。
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地域アクションプラン|事例紹介
ピンクのジャンバーがまちを元気に!
ショッキングピンクのジャンバーを着て、颯爽と観光客を案内するくろがねの会の観光ガイド。その姿は、佐川の魅力
を再発見するきっかけとなり、まちの人たちにも元気を与えています。町外から来た人たちの「素晴らしいまちですね」、
「いい所ですね」という言葉を聞くにつけ、わが町を誇りに思うようになりました。整備が進む上町地区を見て、「10年先
の上町を見たい」と言った、毎日の散歩を欠かさないおばあちゃん。町の変化、人の変化は、地域の人の生きがいにも
なっています。
「地域の人たちと手づくりでやってきた」というくろがねの会の観光振興の活動。吉野さんは、「これを佐川の他の地区
にも広げていきたい」と考えています。「地球のなりたちがわかる」という佐川の地質に関する資料を集めた佐川地質館。
四季折々の風景を楽しめる長谷渓谷。美しい棚田。甘栗や新高梨、イチゴなどの四季折々のフルーツ。佐川町の各地
区にはまだまだたくさんの観光資源があり、「これをまとめて佐川町の魅力として発信していくことが重要」と吉野さん。さ
かわ観光協会や町と力を合わせ、観光のまちとして大きく飛躍したいと考えています。
「佐川町歴史的風致維持向上計画」が平成30年度まで延長され、高知県の新たな観光スポットとして、さらに注目を
集めています。
NPO法人 佐川くろがねの会
高岡郡佐川町甲1286
TEL0889-22-5240
http://sd806.fas.ne.jp/~sakawa-kuroganenokai.org/
[活用した県の支援策]
産業振興アドバイザー制度(専門家派遣)
観光拠点等整備事業費補助金
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地域アクションプラン|事例紹介
溜井部落振興協議会
嶺北地域
[土佐郡土佐町]
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“桃源郷の風景を観光資源に!”
溜井部落振興協議会
嶺北地域[土佐郡土佐町]
標高1132mの笹ヶ峰のふもとにあり、山の斜面に美しい棚田が広がる土佐町溜井(ぬるい)地区。棚田の絶景と、この
地域ならではのおいしい食、田舎暮らし体験などを組み合わせたプログラムで、田舎を楽しんでもらおう、という実験的
な観光振興の取り組みが始まりました。平成24年から25年にかけて12回のツアーを行い、たくさんの嶺北ファンを獲得。
県内外からのツアー参加者と農家民泊や体験活動を通じて交流し、「楽しかった」との言葉を受け、地域のよさが改め
て認識されました。本格的な観光振興の実現に向けての課題も明らかになり、対応策と具体的な取り組みが検討されて
います。
山奥に広がる棚田の美観
国道439号から車で10分ほど走ると、広い空の下に棚田が広がる桃源郷のような風景に出会います。急峻な山が並
ぶ嶺北地域にあって、穏やかで心和む風景。四季折々に美しい表情を見せる溜井地区は、写真家たちの撮影スポット
にもなっていて、のどかな美しい日本の風景をカメラに収めようと、プロ・アマ問わず大勢のカメラマンがやってきます。こ
の棚田を潤すのは山の湧水。上部のため池からゆるゆると水路を通り、それぞれの田へ引き込まれています。寒暖差の
大きい山の気候とこの水が、おいしい米を作っています。
土佐町の棚田の風景
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地域アクションプラン|事例紹介
溜井のファンを作れ!
高齢化が進み、人口が減少する課題を抱えているのは、どの中山間地域も同じ。嶺北地域では早くから移住促進に
取り組んでおり、移住者の定着率も高い地域です。しかし、それでも人口減少、民力の低下は進み、さらなる魅力の発
掘が必要となってきました。
溜井地区は50世帯、160人が住む集落。この風景と田舎の暮らしを魅力として発信し、人を呼び、地域を活性化しよう
という動きが持ち上がったのは平成24年のこと。土佐町役場で移住や観光を推進する立場だった長野保さんは、役場
を退職した後、自分の住む溜井地区の地域振興に目を向けました。「このままじゃあ、いかん」。
かつては米作りだけで生計を立てていた農家も、消費者の米離れとともに兼業を余儀なくされている現状。味には自
信がある溜井の米ですが、「作っても売れん」と言うだけでなく、「売れるようなファン作りが必要」と考えました。溜井に来
てもらい、地域の食や自然を体験してもらうことでファンを増やそう、と動き始めました。農林水産省の「食と地域の交流
促進対策交付金」を活用し、まずはこの地を訪れてもらうことから着手。10年前に大阪からUターンし、山の再生や移住
促進に力を注いできた山本福太郎さんをはじめ、役場やJAなどに勤務する地元の有志に声をかけ、「溜井部落振興協
議会」を発足させました。そして、溜井地区の魅力を整理し、知恵を出し合い、田舎を体験するツアーを企画しました。
棚田での田植えや稲刈り体験、地元の食を楽しむ農家レストラン、地元の人と交流する農家民泊、こんにゃくづくりな
ど、田舎でしか体験できない活動を盛り込みました。長野さんは「地域の人の手を借りれば、溜井の魅力を活用したツ
アーができる」と考えました。
長野保さん
山本福太郎さん
観光資源の見直しと発掘
棚田のほかに観光名所がない溜井地区。けれども、手つかずの自然が何よりの自慢。この自然を堪能してもらうため
に、どんなアプローチをするべきか。棚田に水を送る用水路に沿って散策道を設け、ゆっくりと歩きながら景観を楽しめ
るセラピーロードの整備を考えました。溜井の大池、子守神社、梅雨の頃には美しい大輪の花が咲き誇るアジサイ街道
など、見どころがたくさん。田んぼに育つ米の様子も間近に見られます。独特の植生もあり、全長4キロの道は「歩けば
心身ともに癒される」と、長野さん。今後も、この経験を基に地域の特性を活かした活用を図っていきたいと考えていま
す。
さらにツアーを充実させるため、土佐さめうら観光協会と連携し、早明浦ダム湖でのフライボードや土佐あかうしバーベ
キューなど、嶺北全体を楽しめる内容を盛り込みんでいきました。
地域アクションプラン|事例紹介
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手づくりのツアーでおもてなし
ツアーを企画し、実際に募集を始めると、参加者集めそのものが難しいことに気づきました。高知市内に住む知り合い
に声をかけ、人集めに奔走。その後、都会の人、田舎暮らしの経験がない人にこそ来てほしいと、「嶺北地域観光・交流
推進協議会」と連携し、田舎体験ツアーのPRを行ってきました。大阪にある嶺北地域の産直サテライトセンター「とさ千
里」でもPRするほか、土佐町のブランド米「雲海の光」を扱う米店を通じて募集したり、都会で開催する移住相談会でも
募集を行いました。その結果、ツアー客は増加し、嶺北地域観光・交流推進協議会が連携する都市部の大学や専門学
校から、田舎暮らしを体験したい、地域のことを学びたいという学生たちがやってくるようになりました。中山間地域活性
化を学ぶ授業のフィールドワーク体験の場としても活用されています。
体験ツアーは、田植えや稲刈り、こんにゃくづくりなどの体験をしながら農家に民泊するスタイル。民泊や農業体験は、
地域の人にとって大きな負担となりますが、長野さんは部落集会などで説明を繰り返し、有志が率先して進めながら協
力を仰いでいきました。その結果、地域の女性たちが食事づくりや民泊に進んで協力してくれたことが大きな力になりま
した。
実際にツアーが始まると、村に若い人たちや子どもたちの元気な声が響き、地域の人たちにも笑顔があふれました。
棚田でとれたお米を食べ、農家のお母さん手作りの田舎料理に舌鼓を打ち、「楽しかった」、「また来ます」と帰っていく
姿が、地域の人たちにとって大きな喜びとなっています。最初は「たもっちゃん(長野さん)らぁがやりゆうことやき」と関心
を示さなかった人々にも徐々に理解が広がり、地域全体で取り組む下地ができてきました。
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地域アクションプラン|事例紹介
移住促進のノウハウを観光に活用
先祖の田畑や山を守るために、退職後に家族を置いてUターンしてきた山本福太郎さんは、旧知の友であった長野さ
んと協力し、さまざまな地域貢献に取り組んできました。都会で「山の仕事をしたい」という人を集めて森林ボランティア
グループを作り、補助金を活用して必要な道具を購入したり、専門家の指導を受けるなどして、年に数回、間伐体験の
ツアーを実施。数年かけて溜井の山の手入れを行い、それは今も嶺北の山を守る活動につながっています。
また、都会に住んだ経験を生かして移住促進にも力を入れてきました。長野さんと二人で「れいほく田舎暮らしネット
ワーク」を立ち上げ、1町村だけでは対応しきれない仕事や住宅の要望に広域で取り組む仕組みづくりを行いました。
都会の人と地元の人の間を埋める存在として活動し、嶺北への移住を定着させてきました。その活動は、現在は若い人
たちに引き継がれて、ますます活発になっています。「移住の魅力があるなら観光の魅力も大きいはず!」と、そのネット
ワークを利用して、さらに観光・交流人口の拡大に取り組みたいと考えています。
山や自然を「この地のかけがえのないもの」と考える山本さんは、「木を知ることで独特の地質や気候・風土を知ること
ができる」と、用水路を活用する溜井式セラピーロードの整備に積極的。山の重要性、田んぼの多機能性などをきちん
と説明できるガイドの育成を行い、次世代に引き継いで行きたいと話します。
次世代に残すために汗をかく
平成24年度・25年度と、国の事業として行ってきた観光・交流人口拡大の取り組みは、平成26年度から溜井部落振
興協議会独自の資金で行っています。これまで補助金で運営してきた部分をどうするのか、受け入れ体制をどう体系づ
けるのか、事業化するための人づくりなど、課題が山積。しかし、長野さんは「地域活性化の糸口は確かに見えた。一つ
一つ解決していきたい」と話します。自分たちが考える「田舎の楽しさ」が、都会の人に通用するのか不安でしたが、嶺
北の自然や営みを体験した人たちのイキイキと輝く笑顔を見るうちに「自信が持てた」と長野さん。
風景の美しさ、星空の美しさ、鳥や虫など命の豊かさが人々に感動を与えていること。そして、それを見た地域の人々
が溜井に誇りを持ち、「この暮らしを守りたい」と思う気持ちが、「この溜井の宝をもっと磨いて行こう!」という活力となり、
溜井の人々の絆をより一層強くしています。
「この集落には若い人も多く、将来への危機感を持って取り組めば必ず実を結ぶ」と言う長野さんと山本さん。次世代
に元気な溜井を残すために、種をまく作業が続いています。
溜井部落振興協議会
担当:長野 保
地域アクションプラン|事例紹介
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石田蘭園
幡多地域
[宿毛市]
地域アクションプラン|事例紹介
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“日本の洋蘭生産の核を目指す、六志会”
石田蘭園
幡多地域[宿毛市]
高知県は、洋蘭の栽培が盛んな地域で、品質、生産量ともに国内トップレベルを誇ります。若い二代目たちが洋
蘭生産の未来を確かなものにするために、「蘭遊 六志会」を結成し、チームで切磋琢磨しながら品質を高め、新
たな市場を開拓して、安定した出荷ができる体制を作ってきました。中でも、石田蘭園は県内の蘭の集出荷に着手
し、新たな流通によりさらなる高知県産洋蘭の販売拡大を目指しています。
洋蘭生産、日本トップレベルを走り続ける高知県
洋蘭には、胡蝶蘭、シンビジューム、デンドロビューム、エピデンドラム、グラマトフィラムなど非常に多くの種類が
ありますが、高知県ではシンビジュームの栽培が最も盛んです。卓越した栽培技術により、品評会でも高い評価を
得る生産者が多く、質・量ともに一大産地となっています。
設立から41年を迎える高知県洋蘭生産組合は、ピーク時には54軒の生産者が加盟していましたが、バブル崩壊
後の不況によって花の市場が縮小し、経営難になったり、組合員の高齢化や後継者不足も重なって、現在は半数
の27軒となりました。
宿毛市平田にある石田蘭園は、創業から41年を数え、品評会で数々の賞を受賞した名園です。品評会で、威風
堂々の大輪の蘭が高評価を得る一方、早くから家庭の中で楽しむ小ぶりなテーブルシンビや、東洋蘭と洋蘭を掛
け合わせたオリエンタルな雰囲気を持つ和蘭などの新種開発に取り組んできました。
苗から出荷まで1,000日、新種の開発・育種には数年かかるという蘭の栽培。就農して7年になる2代目・石田隆
博さんは、父・石田力(つとむ)さんが手掛けてきたテーブルシンビを主力に、さらなる新しい洋蘭の栽培・販売に取
り組んでいます。
また、今後の洋蘭生産者の経営を考え、新たなチームでの生産・販売に取り組むべく、隆博さんも含め6人の県
内若手蘭農家が集まり、「蘭遊 六志会」を結成しました。
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地域アクションプラン|事例紹介
蘭のスペシャリスト「六志会」の発足
「蘭遊 六志会」は、「持続可能な洋蘭事業経営」を目指し、南国市の3園、香南市の1園、宿毛市の2園の2代目が
タッグを組むチーム。2013年の2月からチームの活動として動き出しました。
蘭は「5大属」という中心を担ってきた大きな種類がありますが、6番目の新しい蘭を作り出したいという思いと、6年後の
経営もしっかり見据えていきたいという思いから、「六志会」と命名。6人での新たな取り組みがスタートしました。
日頃からSNS(※)を使って情報交換を密にし、種苗の共同購入や生産技術の共有、PR活動などを行っており、2013
年には六志会として初めて国際フラワーEXPOに出展。隆博さんは「高知の蘭を知ってもらう成果は大きかったし、これ
からの課題が明確になったことが収穫」と話します。
※ソーシャル・ネットワーキング・サービス。インターネット上の交流を通して社会的ネットワークを構築するサービスのこ
と。代表的なものに、Facebook、Twitter、mixiなど。
チームの力でさらなる高みへ!
シンビジュームは栽培期間が長いため、育種にも長い年月を要し、新しい品種を安定して供給できるまでには10年ほ
どかかります。例えば、シンビジュームの原種は60種ほどですが、それらを交配して園芸品種を作り出すことで、その花
の種類は無限大になります。石田蘭園では現在100種類ほどのシンビジュームを出荷。育種や開発中のものを入れると、
その数はなんと2,000種を超えます。
育種の技術に長ける石田蘭園では、アレンジを加えながら新たな少量多品種のシンビジュームを開発・栽培していま
す。市場に新しいシンビジュームを提案しながら需要を生み出す、シンビジュームの生産を牽引する存在です。さまざ
まな提案をする中で、手応えがあった品種は六志会や他の県内生産者の仲間に声をかけ、一緒に生産することで需要
をまかなうことができます。新商品の開発、営業を担う石田蘭園と、クオリティの高い商品を生産する六志会メンバーや
他の県内生産者との力強い連携が、提案力・供給力を高めています。
地域アクションプラン|事例紹介
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また、大きな案件があった場合、最高のコンディションで出荷するためには出荷数の2~5倍の生産が必要となります
が、そこはチームの力があれば、「ギリギリの品質のものを出さずに済む」と隆博さん。生産者同士が連携・協力すること
によってレベルが高く、品質の良いものを揃えることができ、顧客の満足に、ひいては高知県の洋蘭のブランド力強化
につながります。
チームで取り組む最大のメリットは、お互いが切磋琢磨することにより個の力が伸びること。花の出荷には個選と共選
があり、共選は決められた基準内のものを作ることが使命ですが、六志会は共選ではなく個選。生産者自らが出荷基準
を決めるので、共選では出荷されることのない「個性豊かな花」を出荷することが可能です。誰かがいいものを作って評
価を受けたら、他のメンバーが追随する。結果的にチーム全体の力が底上げされていきます。
石田蘭園の挑戦、未来へ!
石田蘭園は、長年、鉢物を主体に生産してきましたが、取引先から「切り花で欲しい」と言われて出荷したところ、とて
も反応がよかったことから、近年本格的に切り花も手掛けるようになりました。鉢物の販売店が切り花を珍しがったり、切
り花を買った人が自分で育ててみたいと鉢物を購入したりと、市場が相互に広がってきました。顧客の幅も広がり、「次
はこんな蘭が欲しい」という声が耳に入ってくることも多くなり、新しい品種や商品を作るヒントがたくさん見えるようになり
ました。
また、これまで「規格外品」とされてきた、茎が曲がった蘭や花落ちした蘭も、生け花やフラワーアレンジメントでは特定
の用途があることが、新たにわかりました。そこで、これまで用途がなかった規格外の花を、「ブーケ用」、「アレンジメント
用」と、その特定の用途向けの商品として付加価値を付けて販売を始めました。
生産技術の向上もさることながら、他の生産者が拾い切れていない顧客のニーズを敏感に察知し、販売のチャンネル
を広げていくことも重要な経営戦略の一つ。隆博さんは、常日頃から顧客のニーズがどこにあるのか思いを巡らせ、柔
軟な思考と発想で、新たなビジネスチャンスを作っています。
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地域アクションプラン|事例紹介
集出荷ターミナルで地域活性化へ
個人宅配、小売り、卸売りと幅広く手掛ける石田蘭園。2014年2月、高知県産の蘭を全国に販売・出荷する拠点施設
として、県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用して集出荷ターミナルを建設しました。県内の蘭を仕入れ、
箱詰め・梱包作業を行い、お歳暮のピーク時には週3日、1日に1,000〜2,000鉢、切り花1,000本を出荷します。
昔は、「注文は1週間前までに」が当たり前でしたが、今は午前中に受けた注文を翌日東京に届けられるシステムがあ
ります。インターネットなどの情報ツールを駆使し、鮮度抜群で状態のいい花をタイムリーに顧客に届けることで、石田
蘭園はもとより、高知県産洋蘭の評価や信頼も上がってきました。
「今後は蘭に限らず、県産品はなんでも扱っていきたい」と隆博さん。石田蘭園のシンビジュームの出荷作業は10月
〜4月ですが、他の花や宿毛の特産品などを扱い、年間を通じた出荷作業を可能にすることで、ターミナルで働くスタッ
フの雇用を安定させたいと考えています。
また、南国エリアから蘭を運んでくるトラックの帰りの便を活用し、県中央部に農産物などを運搬・出荷できるよう、生産
者と話し合いをしています。「蘭に限らず、荷物がまとまればターミナルはもっと有効に使えるはず。また、荷物に付随す
る情報が集まってくれば、さらなる地域ビジネスを生み出せる」。宿毛のターミナルがしっかりと稼働すれば、地域をさら
に活性化することができると、隆博さんは考えています。
このターミナルを石田蘭園のツールからチームのツールに、そして産地のツールとして価値を高めていくことが隆博さ
んの使命。1,000日先の市場を読みながらの蘭づくりはとても難しいものです。「自分が失敗したらみんなやりたくなく
なってしまう。プレッシャーもありますよ」と言いながらも、「この仕事が本当に楽しい!」と話す隆博さん。将来的には南
国市にも集出荷ターミナルを作りたい、と未来を見据えた戦略を思い描いています。
新しい蘭の需要掘り起こせ!
高級ギフトとしての用途が多い蘭ですが、より身近なものとして親しんでもらうために、今後は食品や化粧品としての商
品化の可能性も探っていきたいと考えています。栽培コストがかかるだけに、生花で出せないものを別の形で商品にす
るということも一案。「シンビジュームを食品に応用できる可能性もある」と隆博さん。高貴な香りを生かした化粧品にも可
能性を感じており、薬効についてもこれから調べていきたいと考えています。
6年後に、「不安なく続けられる」と思う経営を、次世代に安心してバトンを渡せる蘭づくりを、と始まった六志会の活動。
「蘭のことなら六志会に言えば何でも解決する」、「大きな案件も六志会なら安心して任せられる」という第一人者グルー
プを目指し、日夜奮闘中。隆博さん自身も「しんびすと」を名乗り、シンビジュームの第一人者として活躍しています。
先見性と行動力を併せ持つ若い力、そしてチームの力で、日本で指折りの洋蘭産地の実績を、さらに確かなものにし
ています。
地域アクションプラン|事例紹介
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石田蘭園
宿毛市平田町黒川2826
TEL 0880-66-1508
http://www.ishidacymbidium.com/
蘭遊六志会
(すくも洋ラン、公文蘭園、(有)森尾花園、(有)南国オーキッド、南国土居農園、石田蘭園)
https://ja-jp.facebook.com/6th.orchid
[活用した県の支援策]
産業振興推進総合支援事業費補助金
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地域アクションプラン|事例紹介
株式会社 城西館
高知市地域
[高知市]
地域アクションプラン|事例紹介
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“心が動く高知体験をプロデュース!”
株式会社 城西館
高知市地域[高知市]
NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送が追い風となり、観光客がどっと押し寄せた平成22年。
城西館では、龍馬伝ブームの前から「着地型観光(※)」に目を向け、新たな事業として取り組んできました。「高
知をよく知る人が、自分の好きな高知を案内する」。歴史ある老舗旅館として、地域と深くつながっている城西館だ
からこそできるプログラムの数々が、高知のファンを増やしています。
※従来の旅行会社を中心とした「発地型」の観光と異なり、旅行先の地域が主体となって、地域の良さをアピール
し、旅行プランなどを組み立て、集客につなげようとするもの。
高知の魅力は龍馬だけじゃない!
「龍馬伝」の製作が始まった平成21年。城西館は、「大河ドラマで盛り上がった後の観光はぐっと冷え込む」という
過去の傾向を見越し、これを回避すべく動き出しました。これまでどおりの料理付き宿泊プランだけではお客様をつ
なぎとめることはできない。減少する観光客を取り合うのではなく、「高知に行きたい」という楽しみや目的を持った観
光客を増やしていくことが重要だと考えました。他に追随されない魅力ある商品。それがさまざまな体験活動を盛り
込んだ「着地型観光」でした。出発地の旅行会社が考えた旅行プランに沿って観光地を巡る従来型の旅行とは異
なる、「地元の人がいいと思うもの」を体験する、城西館手づくりの旅。「とさ恋ツアー」と名づけた旅行事業を牽引し
たのは、宿泊部長の藤本幸太郎さん。城西館にとっては新たな事業展開であったため、すべてが未知数。先が読
めないことに不安を抱えながらも「2年あれば準備できる」と考え、新事業に乗り出しました。
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地域アクションプラン|事例紹介
フロントからツアーコンシェルジュへ転身
旅行業のスタートにあたり、専属のスタッフに選ばれたのが当時フロント業務を担当していた近澤真弓さん。ある日、上
司から「来週からツアーコンシェルジュに」と言われ、わけもわからぬままに就任しました。地元の人が楽しいと思うもの、
おいしいと思うものを集めて旅程を組み、商品に作り上げる仕事。何もかも初めてのことで、企画の立て方や交渉の仕
方、金額設定など右も左もわからず、困惑する毎日でした。
早く商品を形にしたいと焦る中、平成21年に四国経済産業局が行った「食を活かした地域観光サービス業競争力支
援事業」の中で、高知県内の旅館・ホテル8社が参画する「NPO法人 高知の食を考える会」が食を中心とした集客ソフ
トづくりを受託。城西館は高知の食を絡めた着地型ツアーの実施を決め、着地型観光の専門家からノウハウを学び、試
行錯誤の末に「弘化台市場の朝げツアー」と「まち歩きツアー」を完成。これがツアーコンシェルジュとしての初めての商
品となりました。
第2種旅行業登録で「高知県」をまるごと売る!
種旅行業登録で「高知県」をまるごと売る!
まち歩きツアーを企画する際、毎日電車に乗ってまちへ出かけ、商店街の人と話をし、徹底リサーチを行った近澤さ
ん。もともとは添乗員を志望していただけに、ツアーコンシェルジュの仕事にも力が入りました。その後も、体験の受け入
れ先を何度も訪れては思いを伝え、コミュニケーションを深め、アイデアを膨らませてお客様に満足していただける内容
に作り上げてきました。
当初、城西館は第3種旅行業として登録しており、企画旅行は高知市と、高知市に隣接する土佐町、土佐市、いの町、
南国市の5ヵ市町の範囲内に限定されていました。しかし、県内各地で育ちつつある体験型観光と連携し、高知県全体
をツアーに組み込んで紹介できるよう、第2種旅行業に登録変更。さらに、近澤さんが自ら添乗してお客様をご案内で
きるよう、旅程管理者の資格を取得し、ツアー構成の幅がぐっと広がりました。初年度の平成21年にはわずか8つだった
プログラムは、平成24年には36コースまで増え、利用者は200人から2,000人と10倍に増加。お客様からは喜びの声が
寄せられ、リピーターも確実に増えています。
地域アクションプラン|事例紹介
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城西館ならではの信頼とネットワーク
ツアー商品を拡充するにあたり、大きな力になったのは人のネットワーク。「最初の1~2年は、とにかく人と知り合うこと
から始めた」と近澤さん。まわりの人に「城西館がツアーガイドを始めました」と声をかけ、地元密着で取り組みたいという
思いを伝えると、「それならこんな人がいる」「こんなことを入れたら面白いのでは?」と紹介を受けました。そこから新た
なつながりが生まれ、全県下に広がっていったと言います。大手旅行会社が交渉しても実現できないような小さな工場
や農家、地域の人々が、「城西館なら」と引き受けてくれることも多く、長い歴史の上に培ってきた信頼によって実現でき
たツアーもたくさんあります。
藤本さんは、「高知にはおいしいもの、おもしろいもの、楽しいことがたくさんある。けれど、それがすべて点。点と点を
結んで線に、さらに面に広げていくことが人を呼ぶ力になる」と言い、それを担うのが城西館の旅行事業だと考えていま
す。
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地域アクションプラン|事例紹介
地域の人と一緒に作る旅の醍醐味
とさ恋ツアーの旅プランは、城西館スタッフと地域の人が一緒になって作るもの。お仕着せの旅ではなく、お客様
が本当に高知を体感し、高知の良さをじっくりと味わえる旅を目指しています。
平成26年の秋から始まった「山菜採りと高知の皿鉢作り体験」は、城西館から車で40分の高知市鏡吉原での体
験ツアー。山村峰子さんを代表とする「吉原ふれあいグループ」の女性たちとともに山を歩いて山菜を摘み、山菜
の天ぷらと田舎寿司を一緒に作って皿鉢に盛り付けます。目の前の川で獲れたツガニを使った地域自慢のツガニ
うどんを添えて、一人2,300円という価格。おいしい料理があり、季節ごとの風景があり、美しい川での川遊びがある
ツアーは、年齢を問わず好評で、県内在住者からも参加があるほど。桜の葉、もみじの葉、よもぎ、ふきの葉など季
節によって山菜の種類が変わること、皿鉢料理の由来、ツガニ汁の作り方など地域の人との語らいも大きな魅力で
す。
ツアーを受け入れる山村さんらも、「おいしかった」「楽しかった」と言ってもらうことが何よりの喜び。そして、「吉原
に人が来ることが嬉しい」と、自分たちだけでなく地域の人たちにとっても元気のもとになっていると言います。
何度も吉原を訪れ、ツアーを作ってきた近澤さんは、「私たちのこんなことをしたいという思いを汲んで、さらに楽
しいアイデアを出してくださるお母さんたち。お母さんたちなくしてこのツアーは実現しませんでした」と話します。
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次の高知旅につながる喜びと感動を!
当初の課題は、城西館が企画する「とさ恋ツアー」の知名度を上げることでした。県の産業振興推進総合支援事
業費補助金を活用してパンフレットやホームページを作成。モニターツアーを実施して、個人旅行者や旅行会社
に周知を図りました。こうした取り組みが徐々に浸透し、旅行会社が「現地企画はすべてお任せ」という案件も増え
てきました。県内各地域の観光協会とのタイアップ企画の相談も多く、今後さらに内容を濃く、厚くしていきたいと考
えています。
「とさ恋ツアー旅行パンフレットは、他のパンフレットとは全く違います!」という近澤さん。商品づくりは安易な方法
に流されずに、一つ一つのコンテンツの価値を高め、その価値をお客様にきちんと伝えること、お客様に心から喜
んでいただくことを念頭に置いています。そうしてでき上がった旅行商品だからこそ、他とは一味も二味も違う、魅
力たっぷりの商品として提供されています。
商品は、すべてターゲットを想定して旅程を組んでいますが、ご利用のお客様によってアレンジが可能。また、全
商品をいつも新しい目で見直し、さらに楽しくなるようブラッシュアップしています。「すべてのコースに思い入れが
あり、全部おすすめです!」と言う近澤さんです。
近澤さんが手がける最大の商品が、「土佐の旅オーダーメイドプラン」。ここに行きたい、あれが食べたい、あの人
に会いたいなどの要望をすべて盛り込んだうえ、おすすめのコンテンツを入れながら旅程を作成。通常のガイド
ブックにはない情報をたくさん持っている近澤さんだからこそのプランとガイドで、お客様の旅心を十二分に満たし
ています。「また来ますから別のコースで楽しませてください」と言われたことがとても嬉しかったという近澤さん。お
もてなしの心が通じた時の喜びが、新たな旅行商品造成の原動力となっています。
この5年間の間に積み上げたノウハウと、お客様の喜びの声が何よりの宝。今後増加する外国人観光客向けのパ
ンフレットも完成し、着地型観光事業の発展とともに、ますます進化する城西館。「とさ恋ツアー」による誘客が、高
知県の観光・経済をますます活性化していきます。
株式会社 城西館
[活用した県の支援策]
高知市上町2-5-34
産業振興推進総合支援事業費補助金(ステップアップ事業)
TEL 088-875-0111
http://www.jyoseikan.co.jp/
とさ恋ツアー
http://www.tosakoi.jp/
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地域アクションプラン|事例紹介
土佐備長炭生産組合
安芸地域
[安芸郡東洋町]
地域アクションプラン|事例紹介
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“産地復活、未来に続く地場産業に!”
土佐備長炭生産組合
安芸地域[安芸郡東洋町]
ウバメガシなどのカシ類が群生する東洋町と室戸市は、古くから上質の「上土佐(かみとさ)備長炭」を生産しています。
高知県は、紀州(和歌山県)や日向(宮崎県)と並ぶ備長炭の3大産地の1つです。原料調達が困難となって一時衰退
していた東洋町の炭焼きですが、生産性の向上を目指して2009年に「土佐備長炭生産組合」を結成。
原料の仕入れから炭の生産・販売・出荷まで一貫して行うことで、スケールメリットを発揮しています。生産量は飛躍的
に伸び、地場産業として地域を活性化するとともに、若者の雇用の場にもなっています。
個を束ねて生産力アップへ
長時間燃焼し、火力が強く煙が少ないのが特徴の備長炭。焼き鳥店、焼肉店、料亭などの飲食店のほか、吸湿、吸
臭、水の浄化などの目的でも利用され、需要が伸びています。その備長炭に最適な原料がウバメガシ。黒潮からの風
が吹く場所に自生し、高知県東部・西部、徳島県、和歌山県などに多く見られます。東洋町と室戸市は、100年ほど前
からそのウバメガシを活用した炭焼きが盛んで、上質の上土佐備長炭を産出してきました。
一時期、外国産の安い木炭に押されて販売が伸び悩んだものの、近年、品質のよさが見直されて需要が回復してき
た備長炭。しかし、東洋町や室戸市では原木調達が難しくなり、炭を焼けない状態が続いていました。高齢化に伴い廃
業する人も出始め、地域全体の生産量は激減。「このままでは炭焼きの仕事が成り立たなくなる、産地としても生き残れ
ない」。危機感を感じ、「炭焼き業者の経営を安定化させたい、後進を育てたい」と立ち上がったのが、西岡尚宏さんと
百々瑛(どど あきら)さんです。2009年4月、東洋町と室戸市の一部の生産者とともに「土佐備長炭生産組合」を立ち上
げました。
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地域アクションプラン|事例紹介
経験による勘がもの言う炭焼き
炭焼きは、長年の勘と体力が勝負の仕事。炭焼き窯は幅4.2メートル、奥行き4.3メートル、高さ3.3メートルもある
巨大な窯で、1回に14t~15tのウバメガシを焼くことができます。屋根にある鉄蓋を開けて原木を入れ、空気がうま
く流れるように組み上げたら、下の焚口に薪をくべ、生木を乾かすこと1週間。その後、小さな2ヵ所の風口を残して
すべて塞ぎ、火を入れて約1,200~1,300℃の高温で10日~12日間焼成します。窯の内部を見ることはできず、焼
き上がりは天井に設けられた穴から立ち上る煙で判断します。「煙がだんだん青くなってきたらあと2日ばぁ。ぜんぜ
ん出んなったら焼き上がり」と西岡さん。この煙の様子だけを頼りに中の炭の出来具合を予想し、風口を少し開ける、
閉めるの調整を繰り返し、火の調節をします。
頃合いになったら窯の口を開け、空気をたくさん入れて窯の中を一気に高温に。鉄蓋の穴からは赤い炎が吹き
出し、「この赤い火がだんだん青い火になる」と、窯出しのサインを待ちます。「ここぞ!」という瞬間を見極めて窯出
し。備長炭を長い鉄の棒でグッと引き寄せると、空気に触れて高温になり、木の皮が焼け落ちていきます。このキラ
キラとした輝きが収まった頃を見計らって1本1本取り出し、白灰をかけて冷まします。全部の炭を取り出すまで繰り
返し、その量は12キロ入りの箱、170~180箱分。高温になり過ぎると炭が硬くなり、火が付きにくくなるため、窯の
奥の炭にダメージが及ばないよう手早く作業を進めなくてはなりません。「冬はまだかまんけんど、夏は大変よ」と西
岡さん。「年寄りの経験と若い力のどっちも必要」と話します。
共同利用方式の窯で技術継承
土佐備長炭生産組合の組合員数は20名、炭を焼く窯は東洋町・室戸市合わせて26基。東洋町の相間地区には、
共同窯7基があり、数名が共に作業をしています。炭の選別・出荷を行う保管庫や製材所、事務所もあり、生産組
合の拠点となっています。このうち、共同窯4基と保管庫は、県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用し
て整備しました。
ここでは、後継者育成のために県の特用林産業新規就業者支援事業費補助金を活用して研修生を受け入れ、
育ててきました。ベテランと一緒に作業をすることで技術を受け継ぎ、勘を養うことも目的の一つ。若手同士が情報
を共有しながら切磋琢磨する場でもあります。数年間、給料をもらいながら先輩の仕事を手伝い、仕事を覚えた後
に一つの窯を任されますが、仕上がりが良いも悪いも自分次第。出来が良ければ儲かるし、悪ければ損をします。
厳しい見極めと判断が問われ、結果ははっきりと製品に現れる仕事。厳しい世界ですが、独り立ちするためには欠
かせないステップです。何よりも、「いいもの」を作る技術が受け継がれる現場です。
地域アクションプラン|事例紹介
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問屋との絆で確実な販売
土佐備長炭生産組合では、確実に販売につなげるための販路を模索した結果、燃料の知識が深い東京と関西の問
屋と販売契約を締結しました。全国各地で「いい炭が欲しい」という需要が広がる中、問屋からも「上土佐備長炭」を扱
いたいという声があり、問屋を通して供給することが最もよいと考えたのです。問屋を通すことで中間マージンがとられる
ものの、確実な収入が得られるうえ、専門家の目から見た上土佐備長炭の良さをPRできました。
大きな木を裁断して炭に加工するため、さまざまなサイズ、形状の炭ができます。木のそのままの形を生かした備丸
(びんまる)、木を2分の1、4分の1に割ってから炭焼きした備割(びんわり)、形が不揃いな割れなど、サイズによっても
ランクが分かれ、商品数は19種に上ります。
また、炭の端っこ、規格外の大きさの炭、割れた破片なども需要があり、量を集めることで商品になります。用途を考え
て細かく選別した炭は他にはなく、新たな需要の掘り起こしにもつながっています。
それらをすべて箱の蓋を開けた状態で保管庫に集め、専任のスタッフが検品して出荷。厳しい基準に適合した商品を
収めることで消費者の満足度が高く、問屋にとってもクレームが少なく引き合いの多い人気ブランドとなっています。
伐り手を守りながら原料調達
原木不足の課題に積極的に取り組んできた百々さんは、「高知県の山には、まだまだウバメガシがある」と言います。
儲からないから伐る人がいないのが現実で、木を伐る仕事を成り立たせることが重要と話します。
土佐備長炭生産組合では、ウバメガシが自生する山をまるごと買い上げて、ウバメガシだけではなくすべての木の伐
採を委託する方法をとっています。山のふもとから順に伐採を進めることができ、山から木を運び出す作業もスムーズ。
炭の原木も雑木も同じ金額で買い取り、伐り手の仕事をしっかりと守っています。
運び込まれた木は、カシ類は適当な大きさに切って炭焼きの原料にし、カシ類以外の雑木は白炭や薪として製品化し、
問屋に卸しています。原料を無駄なく製品化することで、販売を伸ばしてきました。
「今後は伐り手の育成が必要」と西岡さん。自身が組合長を務める芸東森林組合と連携し、若手を育てていきたいと
考えています。
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地域アクションプラン|事例紹介
イキイキと暮らせる地域へ
現在は、需要に対して供給が追いつかず、もっと生産量を増やしたい状況の土佐備長炭生産組合。生産量アップの
ために、原料の調達と人材の育成に力を入れています。「とにかく問屋がほしいという量を作ることが先決」と言う西岡さ
ん。その先にはある一つの構想があります。それは、みんなが仲良く、イキイキと暮らせる「炭焼きの村」。地域には、か
つては炭焼き職人だった腕のある高齢者も多く、力仕事は無理でも、火の番にかけてはプロ。もう一度、現場で活躍し
てほしいと考えています。生産量が上がれば、選別や検品にも人手が必要となり、女性たちにも雇用の機会が増える。
炭焼きの仕事のまわりに、多くの仕事を作っていきたいと話します。「伐り手、焼き手、問屋がしっかり手を組むことでい
いものを量産できるし、それぞれに利益が出る」と、現在のシステムに手ごたえを感じている百々さん。「炭焼きはまだま
だ伸びるで!」と、未来に向けてさらなるステップアップを目指しています。
土佐備長炭生産組合
[活用した県の支援策]
安芸郡東洋町大字野根丙2673
産業振興推進総合支援事業費補助金
TEL 0887-24-1911
特用林産業新規就労者支援事業費補助金
地域アクションプラン|事例紹介
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地域アクションプラン|事例紹介
協同組合やすらぎ市
物部川地域
[香南市夜須町]
地域アクションプラン|事例紹介
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“地場の加工品で魅力をアップ”
協同組合やすらぎ市
物部川地域[香南市夜須町]
香南市夜須町の農産物直販所「やすらぎ市」。施設園芸が盛んなこの地域ならではの野菜や果物が店頭に並び、多
くの買い物客が訪れる人気スポットとなっています。しかし、夏場は青果の入荷が減少するため、「せっかく足を運んで
も商品がない」という状況でした。商品不足による顧客の不満と、売り上げの落ち込みを解消すべく、地元の特産品を
活用した加工品の製造に乗り出しました。
お客様に喜んでいただける「ここだけの商品」を目指し、新たな取り組みを始めて1年。人気商品も誕生し、「おいし
い!」の声にやすらぎ市は活気づき、さらなる地域活性化を目指した取り組みが進んでいます。
夜須の農産物が一堂に!
「ごめん・なはり線」の開通に合わせて整備された海水浴場「ヤ・シィパーク」、道の駅やすに隣接するやすらぎ市。平
成14年にオープンし、平成18年に現店舗に移転しました。面積は約2.5倍になり、品揃えも拡充。210人の生産者が四
季折々の野菜や果物、花を出品し、10時半と15時半には近くの漁港からとれたてピチピチの鮮魚が届きます。
夜須は温暖で日照時間が長い気候風土を活かし、古くから施設園芸が栄えてきました。トマトやキュウリ、サツマイモ、
ニラ、ナス、ゴーヤなどが栽培され、露地栽培では生姜も多く生産されています。中でも、優れた品質を誇るエメラルドメ
ロン、ルナ・ピエナスイカ、フルーツトマトは「トレフルッタ」と呼ばれる夜須の三大特産品。厳しい品質基準を定め、ブラ
ンド品として流通しています。季節によってはやすらぎ市にも規格外品が並び、安く手に入ると大人気。また、JAと提携
して贈答用の規格品も扱っており、県外発送も行っています。店内には、生産農家の女性たちが営むフレッシュジュー
スとアイスクリームの店「ベジフルッタ」と、いも天の店があり、どちらもできたての味を楽しむことができます。
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地域アクションプラン|事例紹介
最大の課題は夏場の品薄
施設園芸では、冬場に収益性の高い野菜や果物が収穫できる反面、7月から10月の暑い時期には栽培環境が整わず、収
穫が少なくなります。それに伴って、やすらぎ市で販売される商品も減少するため、お客様に喜んでいただける夏場の商品
づくりが課題となっていました。
そこで、地域の農産物を使ってのオリジナル加工品を作り、「ここでしか買えない商品」を販売することで、集客・販売増に
つなげたいと考えました。特に、メロン、スイカ、トマトは人気が高く、遠くから買いにくる人も多い特産品。これらを生かしたや
すらぎ市ならではの商品を、新たな名物にしようと動き出しました。
しかし、事業の拡大には設備投資を伴うことから、組合員の中には「手を広げるよりも現状維持を考えるべき」という慎重な
意見もありました。それでも、何度も話し合いを重ねることで、組合員の理解も得られ、いよいよ加工品作りへと動き始めまし
た。
加工品の製造販売をスタート
平成25年度に県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用しての加工施設整備に着手。大釜や乾燥機を備えた調
理場とパン加工場の2棟が出来上がりました。また、同時に加工場で働くスタッフの雇用・研修を行い、商品開発も推進。特
産のトマトとメロンを使った特徴のあるパンを作ろうと試行錯誤を重ね、出来上がったのがメロンのジュレを包み込んで焼き上
げたゴロゴロメロンパンと、トマトをふんだんに使用したトマトカレーパンです。パン職人から指導を受けて技術を習得し、試食
を重ねて味を調えていきました。同じ形、同じ味に焼けるようになるまで練習を積んだと言います。
これまで、パンの加工場で手がけたパンは77種。いろいろな味や食感にチャレンジしながら新商品を生み、試行錯誤を繰
り返しながら、30種ほどのパンが商品として定着してきました。最近のスタッフの一押しは、棒状にした4色の生地を編み込ん
で作る「気まぐれ食パン」。イチゴやスイカ、黒ごま、ホウレンソウ、ヨモギなど季節の野菜や果物を使い、カラフルに焼き上げ
ます。その名のとおり、味は気まぐれ、その日の食材次第。地域の食材を愛する気持ちから生まれたパンは、地元の人たち
からも愛されています。また、農産物の旬に合わせて、季節ごとに新商品が誕生する楽しみもあります。
加工場はやすらぎ市から1.5kmほど離れた場所にあり、製パン部門は朝5時半から作業を開始。焼き上がったものを順次
やすらぎ市に運びます。店舗に併設する形での建設が望まれましたが、やすらぎ市は海のすぐ近くにあるため、津波対策と
して加工場は離れた場所に決定。1階で商品を加工し、2階は重要な書類やデータなどの保管に利用されています。
地域アクションプラン|事例紹介
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原料は旬のもの、訳ありのもの
加工場では、旬の時期のトマトやメロンを加工用として冷凍保存し、必要に応じてメロンジュレやトマトソースに加工し
ます。同じく特産品の生姜を利用して生姜シロップと生姜チップスを作るほか、地元の果物を使ってジャムやマーマ
レード、ゼリーなど、季節ごとにさまざまな商品を作っています。その時にあるものをどう生かすか。キズや日焼け、形が
不揃いなど、青果として価値がないものを、加工することによって価値ある商品にしていきます。
店頭で売れ残ったものを買い取ったり、生産者と契約して規格外品を仕入れたりして原料にしますが、ときには生産
者から「何とかならんろうか」と訳あり品が持ち込まれることもあります。ある時、「かぼちゃが出来過ぎた。傷むき何とかし
てほしい」と大量に持ち込まれた時には、急遽レシピを用意し、試作品を作って検討。かぼちゃのプリンなどを作って販
売しました。青果は鮮度が命。キズがあるものは特に傷みやすいため、青果としての販売は難しいですが、まとめて買
い取り加工品の原材料にすることで、付加価値を付けての販売が可能になりました。
やすらぎ市の加工場は、いつも同じ原料で同じ商品を作るのとは違い、「その日仕事」の大変さがありますが、利用者
にとっては「季節によって違うものが買える」と好評。商品の多彩なバリエーションが、やすらぎ市の楽しみの1つになっ
ています。
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地域アクションプラン|事例紹介
地元の人にも愛される店に
やすらぎ市のオリジナルの加工品は、すべて「キッチンマーメイド」のシールを貼って販売しています。「マーメイ
ド」は組合員から募集して決めた名前。ヤ・シィパークでは毎年「ミス・マーメイドコンテスト」を実施していることから、
夜須のイメージにぴったりの名前として選ばれました。稼働から1年が経ち、「キッチンマーメイド」の商品は、地元の
素材を使った手づくりのオリジナル商品として徐々に浸透。レジでは「おいしかったよ」という声もよく聞かれるように
なりました。店長の三野由賀さんは、お客様の声を必ず加工場のスタッフに伝え、次の商品づくりに生かしています。
今後は、夜須で栽培されている米「イクヒカリ」の米粉を使った米粉パンに着手しようと、嶺北にある米粉を使った
パン屋さん「米米ハート」への視察や、研修を実施。さらに、かつての人気商品である、摘果メロンを活用した漬物
「おばちゃん漬け」を復活させようと準備を進めています。
「1年で結果が出るものではないので、数年ごとに見直し、成果を振り返りながら新たな挑戦をしていきたい」と、理
事長の井澤傳さん。しっかりと足元を固めながら、次のステップに進みたいと考えています。
生産者、加工スタッフ、やすらぎ市の地域一丸となった取り組みが、夜須町の魅力ある食材の価値を、さらに一段
上へと高めています。
協同組合やすらぎ市
[活用した県の支援策]
高知県香南市夜須町千切537-90 道の駅やす内
産業振興推進総合支援事業費補助金
TEL 0887-55-2370
土佐まるごとビジネスアカデミー(農業創造セミナー)受講
http://www.yasuragiichi.jp/
地域アクションプラン|事例紹介
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地域アクションプラン|事例紹介
JA四万十女性部手づくりキッチン
JA四万十女性部手づくりキッチン
高幡地域
[高岡郡四万十町]
地域アクションプラン|事例紹介
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“地域に輝きをもたらす女性たち”
JA四万十女性部手づくりキッチン
JA四万十女性部手づくりキッチン
高幡地域[高岡郡四万十町]
10年ほど前から、全国各地で女性たちによる農家レストランの取り組みが始まり、地域活性化の一翼を担っていま
す。JA四万十の女性部にも「やってみたい!」との想いがありましたが、実現に至らず年月が経ちました。平成26年、
JA四万十の直販所「みどり市」のリニューアルに伴い、「地消地産」の弁当と惣菜を製造・販売するイートイン・テイク
アウトのコーナー「手づくりキッチン」を併設。長年の想いをカタチにし、女性部による、地元の食材を使った安全・
安心な食が地域の人を支えています。
これからも愛され続ける「みどり市」に
JA四万十が運営する直販所「みどり市」は、生産者が週に1回開く小さな対面販売の店として昭和59年にスタート
し、平成16年には現在の場所での営業を開始。当時のJA四万十とJA大野見の合併により組合員数も増え、直販
所の規模も拡大しました。野菜や果物、米や肉など地域の新鮮な農畜産物が安く買える、地元の人々にとってなく
てはならない直販所です。
平成26年に四万十町役場がJA四万十の本所前に移転することが決まり、みどり市のリニューアルが計画されまし
た。その際に持ち上がったのが、JA四万十女性部による「農家レストラン」の併設。現在、女性部長を務める山脇国
恵さんは、「地域の食材をおいしく食べてもらえる場を作りたい」という長年の女性部の想いを汲み、実現に向けて
歩み始めました。
農家レストランを運営するといっても、女性部もJAの担当者も右も左もわからない素人ばかり。まずは県内外の道
の駅や農家レストランなどを視察し、どのような形態で運営されているのかを探りました。その後、県の産業振興アド
バイザー制度や産業振興推進総合支援事業費補助金(ステップアップ事業)を活用するなどして、専門家のアド
バイスを受け、事業計画の策定を行っていきました。さまざまな角度から調査・検討した結果、人口が少なく、高齢
者が多いこの地域で、レストラン方式は難しいと判断。店内で調理したものを販売し、店内でも食べることができる
イートイン・テイクアウト方式を採用することとなり、女性部が主導する「手づくりキッチン」の運営が決まりました。
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地域アクションプラン|事例紹介
料理上手、地域思いのJA
料理上手、地域思いのJA四万十女性部
JA四万十女性部
JA四万十の組合員は5,414名で、そのうち女性部は417名の組織。地域ごとに7つの支部に分かれていますが、とても
仲が良く、活動も活発です。地域の食材を使って料理を作る機会も多く、夏には女性部の手料理が並ぶ飲み放題・食
べ放題の「ときめきビアホール」を1日限定でオープンしています。全国の市場関係者や組合員が視察に訪れる際の懇
親会も女性部の料理でおもてなし。JA四万十が主催する小学生対象のイベント(あぐりスクール)でもビュッフェパー
ティーを行っており、そこに並ぶ「おふくろの味」には定評があります。
女性部が運営する「手づくりキッチン」のコンセプトは、地産池消とは少し異なる「地消地産」。地域の人のために、地
域のものを使って生み出す食です。何よりも地域の人に役立ちたい、喜んでほしいと考えています。
また、昔から地域で食べられてきた食材や、昔ながらの郷土料理を次の世代に伝えていくことも重要な役割だと認識
していて、「手づくりキッチン」がその継承・発信の場になろうとしています。スーパーマーケットやコンビニで惣菜や弁当
が手軽に買える時代。地元の食材を使った安全・安心な料理で差別化を図り、「手づくりキッチンならではの味、ひと手
間かけた手づくりのおいしさ」をモットーにしています。
地域アクションプラン|事例紹介
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私たちらしい手づくりの味、心通う店に
手づくりキッチンの立ち上げに本格的に動き出したのは、オープン1年前のこと。事業計画を策定すると同時に、すべ
ての女性部員を対象にアンケートを行い、運営に関わるスタッフを募集しました。応募のあった12人が役員幹部とともに
立ち上げメンバーとなり、県の主催する「農業創造セミナー」に参加。食品表示や食品衛生の勉強、メニューの開発な
どに取り組みました。セミナーの講師からは、「みなさんの料理はとてもおいしく十分商品化できる。パックの詰め方や陳
列の仕方など、見せ方を工夫して」とアドバイスをもらいました。
しかし、それまで女性部の活動の中、いろいろなシーンで料理を作ってきましたが、販売するのは初めてのこと。対価
をいただくということは、大きな責任が生じます。同じ野菜でも一つ一つ味や香り、柔らかさが異なり、レシピ通りに作っ
ても同じ味には仕上がりません。素人にとっては、同じ料理を毎日同じ味で提供することはとても難しいことでした。
平成26年4月。産業振興推進総合支援事業費補助金(一般事業)を活用して整備を進めていたみどり市がリニューア
ルオープンし、いよいよ手づくりキッチンが始動。初日から大勢の客が訪れました。衛生管理に気を配りながら、料理を
作る手順の効率化、スピードも求められる現場。キッチンリーダーの橋詰春子さんは、「目の前の仕事をこなすのに精一
杯の毎日でした」と振り返ります。
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地域アクションプラン|事例紹介
「おいしい!」の笑顔に応えるために
オープンから1年。手づくりの弁当・惣菜は人気を博し、固定客がついて販売数も伸びてきました。厨房は細かな改善
やスタッフが作業に慣れたことにより作業効率がアップ。マンネリ化しないよう新メニューの開発も行っており、この1年で
弁当の種類も増えました。新メニューの開発は厨房スタッフと女性部役員、JA職員が月に1回集まって会議を行い、そ
れぞれアイデアを持ち寄ります。アイデアをまとめてレシピを作り、短期間で商品化するのはとても骨の折れる作業です
が、チーム力が上がってきたことで対応ができるようになりました。季節の食材をふんだんに取り入れた週替わり弁当も
登場し、「今週は何かな?」と楽しみにしている人も増えてきました。
弁当・惣菜のほかに、集まり事や来客時に皿鉢の代わりになるオードブル(惣菜の盛り合わせ)の受注販売も行ってい
ます。ふんだんに盛り込まれた家庭の味にほっとする人も多く、法事や地域の行事の打ち上げの席などでも重宝されて
います。
食材はみどり市のものを使いますが、必ず朝一番に届いた新鮮なものを使用。四万十町は昼夜の寒暖差が大きいた
め、「野菜に甘みがある」と評判で、新鮮な食材と、その食材の持ち味を存分に引き出す丁寧な調理がおいしさの秘訣
です。厨房と売り場が近いからこそ聞こえてくる「おいしい」の声。団体予約のお弁当は、食べる人の年齢によって好み
そうなおかずを入れ、量も調整します。中学生からもらった「おいしかった!ありがとうございました」という感謝のメール
や、店頭で聞かれる「硬かった」「辛かった」などの改善を求める声も、スタッフ全員で共有。次へのモチベーションにし
ています。
地域振興、元気創造に向け力を結集
リニューアル後、集客数・売上ともにアップしたみどり市。イベントをしたり、生産者はレシピを置くなどしており、女性部
は月に2回「ミニミニ料理教室」を行ってそれぞれの支部で考えた料理を試食・紹介しています。「直販所とキッチン、女
性部、生産者が連携することでお客様が喜ぶ店になり、みんなに収益が上がるようになる」と山脇さん。
一方、「女性部のみなさんの想いは、お金には替えられない」と言うのは、みどり市店長の沼増水(ぬま ますみ)さん。
女性たちの食に対する想いが伝わることが大切で、やりがいや達成感、喜びを感じながら、みどり市ならではの商品を
作ってほしいと話します。昼時は弁当を食べる人でにぎわい、笑顔があふれるイートインコーナー。ごはんは炊いてある
からと、惣菜を買って家路につく人々。食は元気の源。沼さんは、手づくりキッチンが地域を明るく元気にする存在にな
ると実感しています。
今後実施していきたいのが、手づくりの料理をずらりと並べてのビュッフェ。「作りたての料理を存分に味わってほしい。
最初は単発のイベントとして、ゆくゆくは定期的に行っていきたい」と話します。
地域アクションプラン|事例紹介
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食を満たし、安心して暮らせる地に
今後の課題はスタッフの増員と商品力の向上。当初より生産力はアップしたものの、販売量が増えているのでスタッフ
の負担は増えているのが現状。オードブルの受注がある日は残業もやむを得ません。「きちんと休みをとれる体制を整
えたい」と話します。
一方、数年後を見据え、「手づくりキッチンの事業を地域に役立てたい」と沼店長。みどり市に足を運ぶことができない
高齢者に、安否確認を兼ねて弁当の宅配サービスを行うことを考えています。「町や警察、消防、宅配業者との連携が
不可欠」としながらも、「地域に密着するJAだからこそ取り組むべき」と言います。JAの福祉サービスと連動し、官民一体
となった取り組みを行うことで、四万十町が「高齢になっても安心して暮らせる地域」になっていきます。
手づくりキッチンの地域に根差した「地消地産」の取り組みで、地域の人々の絆を一層強固なものにしていきたいと考
えています。
四万十農業協同組合
[活用した県の支援策]
高岡郡四万十町榊山町586-2
産業振興推進総合支援事業費補助金(ステップアップ事業)
TEL 0880-22-5179
産業振興推進総合支援事業費補助金(一般事業)
http://www.shimanto.ja-kochi.or.jp/
産業振興アドバイザー制度(専門家派遣)
土佐まるごとビジネスアカデミー(農業創造セミナー)受講
JA四万十 みどり市
高岡郡四万十町榊山町5-8
TEL 0880-22-1008
http://www.shimanto.jakochi.or.jp/midoriichi.htm
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地域アクションプラン|事例紹介
株式会社 アースエイド
高幡地域
[須崎市]
地域アクションプラン|事例紹介
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“人生を懸け、とことん葉にんにく!”
株式会社 アースエイド
高幡地域[須崎市]
日本では高知県と沖縄県の一部にしか食文化のない「葉にんにく」。それをすり潰して味噌などを加えて調味し、
刺身につけて食べる「ぬた」は高知独特の食文化です。他にはない高知のぬたに魅了され、旬の時期にしか食べ
られないぬたを年中いつでも食べられる調味料として販売したいという思いから、葉にんにくの栽培・加工を始めた
嶋崎裕也さん。自動車メーカーの開発エンジニアから一転、地元・高知で株式会社アースエイドを立ち上げ、葉に
んにくの栽培・加工のエキスパートとして新たな目標に向かっています。
きっかけは、心を掴まれた土佐の美味
高知県に生まれ、兵庫県淡路島で育った嶋崎さん。幼い頃から自動車のテストドライバーに憧れ、大学卒業後に
自動車メーカーに就職。入社1年で高倍率の難関を突破し、見事にテストドライバーの夢を実現しました。しかし、
その憧れの職は長くは続かず、エンジン開発部門へと異動となりました。社運をかけた事業への抜擢によるもので
したが、自分の仕事に違和感を覚え始めた嶋崎さん。このまま今の仕事を続けていていいのだろうか?と疑問を抱
くようになりました。須崎市に住む父の今後を考える時期とも重なっていました。
そんなある日、帰高して親戚の集まりに出席した嶋崎さんは、葉にんにくのぬたと出会いました。高知独特の刺身
の食べ方に衝撃を受けるとともに、そのおいしさに感銘を受けました。その後、お盆に帰高した際、「おばちゃん、
あのぬたの刺身が食べたい」と言ったところ、「冬場にしかないわね」と言われ落胆。ケチャップやマヨネーズのよう
に、いつでも食べられたらいいのに、と思いました。
どうしても食べたくて、ぬたを探しましたが、見つかったのはすりおろしたにんにくを緑色に着色したものばかり。
前に食べて感動したぬたとは味も香りも全く異なるそのぬたに、再び落胆。あのおいしさをいつでも好きな時に味
わいたい。全国に誇れる郷土の味ではないのか、何とかできないのか、と思い始めました。
平成19年。会社に勤めながらも次第にその思いは大きくなり、自ら事業を起こす準備を始めました。まずは、これ
まで学んだことのない簿記や財務、労務、マーケティング、営業や食品加工などの知識を身につけるため、起業創
造塾や食品の加工・保存に関するセミナーに次々と参加。起業に必要な知識をどんどん吸収していきました。いざ、
ぬたを作るとなると、葉にんにくを生産する農家がそもそも少なく、原料の仕入れができないことがわかり、自ら葉に
んにくを栽培することを決意。平成21年12月、会社を退職し、いよいよ事業の立ち上げに乗り出しました。
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地域アクションプラン|事例紹介
新たな道を行く!勉強に次ぐ勉強
親戚の耕作放棄地を譲り受けたものの、農業の経験がなく、右も左もわからない状態。葉にんにくの専門書を読み漁
り、日本生物環境工学会や中四国農研機構等の学会、各種セミナーへもどんどん参加し、栽培の知識を得ていきまし
た。全国の葉にんにく農家を訪ね歩いたうえ、中国や台湾からも取り寄せて集めた葉にんにくの球根は18種。栽培に適
した日照時間、土壌、気温、湿度などあらゆる条件下で栽培を試み、徹底して研究した結果、圃場のある須崎市浦ノ内
西分での栽培に適した数種を選別しました。そこからさらに、遮光シートをかけて育てたり、ハウスの中で育てたりと条件
を変えながら、納得がいくまで何度も試作を繰り返しました。
初年度は、近所の人に除草剤や農薬、化学肥料を使う方法を教わり、それに従ってきたものの、何か違うと感じた嶋
崎さん。もともと自生していた植物なのだから、余計なことをしない方がよいのではないか、と考えました。畝立てした畑
に遮光シートを敷き詰め、小さな穴を開けて球根を植え付けることで雑草を生やさないようにしました。必要となる器具
や道具は、エンジニアの経験をいかんなく発揮し、すべて手づくり。
農薬を使わないとなぜ病気になるのか。化学肥料以外で成長を補う方法はないのか。1つ1つ仮説を立てて実験を繰
り返し、得られた結果をベースに、平成24年9月より本格的に加工用葉にんにくの無農薬栽培をスタートしました。現在
は有機JASの認定を受けています。
地域アクションプラン|事例紹介
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独学から独創、失敗を重ねて行き着いた「本物」
食品加工についても全くの素人で、国会図書館で文献を借りて調べ、高知県工業技術センターの食品開発課研究
員と検討会を実施。大手の食品・飲料メーカーなど全国各地の食品工場を視察し、原料を生産する植物工場や農園に
も足を運び、研究を重ねました。
「葉にんにくのぬた」は、収穫した葉にんにくをすり潰し、ペーストの状態で冷凍保存したものに、味噌や酢を混ぜて調
味・加工しています。最初はハンディータイプのミキサーですり潰す作業をしていましたが、作業効率が悪いうえに粒が
粗く、なめらかな口当たりが得られません。また、冷凍したペーストを粉砕するために大変な労力を要していました。
これらの課題を解決し、生産・販路を拡大していくため、県の産業振興推進総合支援事業費補助金を活用し、大型の
フードプロセッサーと大型プレハブ冷凍庫を導入。その結果、作業の効率化が図れ、商品の品質も向上・安定してきま
した。
一方、加熱処理を一切しない生ものであるため、酸化による風味の劣化や変色が大きな課題となり、さらなる研究を重
ねました。「生ものである以上、鮮度が一番」。葉にんにくの収穫に適した気温は0℃前後であることを突き止めたことか
ら、収穫は冬の気温が0℃前後の早朝に行います。そして、その鮮度を維持するため車で5分ほどの加工場に運んで、
ただちにペースト状にして密閉容器に入れ、マイナス26℃の冷凍庫で急速冷凍。密閉していても表面は酸化してしまう
ため、加工する際には表面の酸化している部分を削り取って、変質していない中の部分だけを使用。混ぜ合わせる味
噌や酢もしっかり冷やしたものを使用します。獲ってすぐの鮮度と低温加工。この徹底的な鮮度へのこだわりが、色鮮や
かに、風味豊かに仕上げる秘訣です。
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地域アクションプラン|事例紹介
品質重視でモノには自信! 認知度の向上を
販売を開始したのは平成24年のこと。「ぬた」という言葉は、全国的にはからし酢味噌を指すことが多いため、嶋崎さ
んは「葉にんにくのたれ」という名称で売り出しました。野菜や焼肉に合う「コクの和風麦味噌」と、刺身に合う「さっぱり和
風白味噌」、そして飲食店とのコラボから生まれた「ジェノベーゼ風イタリアンソース」の3品。酸化を防ぐため冷凍での流
通・販売を行い、さらに容器にもこだわっています。
品質を保持するためには、今のところこれが最善の方法ですが、冷凍の商品は普通の調味料と同じ常温棚に陳列で
きず、また持ち帰りがしづらいという弱点があります。化学調味料や食品添加物を使って加工すれば、こうした弱点の解
消は可能ですが、「添加物を入れると味がぼやけてしまい、葉にんにく独特の味や香りが損なわれてしまう」と、扱いや
すさよりも品質を重視しています。こうしたこだわりの商品づくりが評価され、平成26年度高知県地場産業大賞の奨励賞
を受賞しました。
商品の品質には絶対の自信がありますが、課題は「葉にんにく」の認知度の低さです。「葉にんにくという野菜がほとん
ど知られていない状況。とにかく試食をしてもらって、認知度を上げたい」と話す嶋崎さん。県外での試食販売や食品見
本市への出展などを積極的に行っています。その結果、最近はメディアに取り上げられることも増えてきましたが、店舗
での販売・流通がまだまだ充実していないため、なかなか購入するという行動にまで結びついていないのが現状です。
今後は認知度のさらなる向上と販路の開拓に力を入れたいと考えています。
青果の品質が評価され、新たな展開に!
「葉にんにくのたれ」の加工に重点を置く株式会社アースエイド。平成27年1月、中華料理の有名店に葉にんにくを青
果として出荷するチャンスが訪れました。高知県貿易協会の関係者を通じ、テレビ番組「料理の鉄人」でも人気を博した
中華の第一人者・陳建一さんに試食をしてもらったところ、葉の柔らかさや香り、味でとても高い評価を受けました。そし
てなんと、陳さんがオーナーを務める「四川飯店グループ」で、嶋崎さんの葉にんにくが採用されることになったのです。
もともと本場四川の料理には葉にんにくが使われているのですが、日本では葉にんにくが流通していなかったことから、
キャベツなどで代用されてきました。
陳さんは品質の高い葉にんにくに出会えたことを大変喜び、四川飯店の回鍋肉と麻婆豆腐に嶋崎さんの葉にんにく
を使うことにしました。ゆくゆくは青果の出荷も考えていた嶋崎さんですが、有名シェフに認めてもらえたことで新たな道
が開けたと言います。今後は青果の需要に応えるとともに、栽培技術を生かしてニンニクの生産・出荷も手がけていきた
いと考えています。
新鮮な葉にんにくには体にいい成分が含まれていることもわかってきて、現在、高知大学と連携して機能性を検証し
ています。「健康効果が認められれば、より人に喜んでもらえるものになる」と、期待を込めています。
高齢化が進み、人口減少が進む須崎市浦ノ内西分地域では、農業の担い手も少なくなり、耕作放棄地も増加傾向に
ありますが、「今後、葉にんにくの需要が伸びれば、耕作放棄地を葉にんにくの畑に変え、産地にしていくことも可能」と
嶋崎さん。人生を変えた葉にんにくでの、須崎の農業の発展、そして新たな雇用の創出へと夢はどんどん大きく広がり
ます。
「こだわり抜いた本物の食で、みんなを幸せにしたい!」。嶋崎さんの飽くなき探求が、今日も続いています。
地域アクションプラン|事例紹介
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株式会社アースエイド
[活用した県の支援策]
須崎市浦ノ内西分2622
産業振興推進総合支援事業費補助金
TEL050-8809-1031
マーケットイン型商品づくり支援事業
http://www.earth-aid.jp/
「まるごと高知」でのテストマーケティング
「まるごと高知・食の商談会」など各種展示商談会への出展
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地域アクションプラン|事例紹介
高知県産業振興計画
地域アクションプラン 事例紹介 Vol.3
平成27年3月作成
高知県 産業振興推進部 計画推進課
〒780-8570
高知市丸ノ内1丁目2-20
地域アクションプラン事例紹介 WEB
http://sanshin.pref.kochi.lg.jp/keikaku/action.html
地域アクションプラン事例紹介[動画サイト:YOU TUBE]
http://www.youtube.com/user/KochiActionPlan
高知県産業振興計画についてもっとお知りになりたい時は…
【冊子】第2期高知県産業振興計画PR版
(郵送しますので計画推進課までご連絡ください)
【WEB】高知県産業振興計画ホームページ
http://sanshin.pref.kochi.lg.jp/keikaku/index.html
地域アクションプランに関することは…
高知県産業振興推進部 計画推進課
TEL 088-823-9334
E-mail:[email protected]