第 1 回国土交通大臣賞 コモンシティ星田HUL−1 地区建築協定運営委員会・同街並み保全委員会 (平成 19 年度報告) 受賞を契機に新たに取り組んでいること 1. 建築協定の更新 運営委員会の当面の最重要課題は、平成 22 年 11 月に期間満了を迎える建築協定の 更新延長問題である。そのため、住民に対してこの協定の更新延長の必要性の有無につ いて理解を深めてもらうよう、数年前から様々な啓発活動を行ってきた。 そこで今年度は、①協定の更新に関する外部専門家による指導・支援の依頼、②協定 内容と更新手順に関する建築協定解説ガイドブックの作成、③更新のための準備委員会 の発足、④中古住宅販売会社への協定に関する説明会の開催等を行った。 当地区の建築協定は開発者による一人協定であり、分譲開始時期に開発者から示され て承諾した協定の内容について、必ずしも全ての住民が十分理解しているとはいい難い。 また、日当たりや風通しを綿密に計算された建売住宅であったために、北側斜面という 条件を感じないまま住み続け、増改築や外構、造園、垣、柵などの新設・変更により隣 家に大きな影響を及ぼすおそれがあることに気づきにくく、この協定の本来の必要性に ついて理解が浸透しているとは言い難い。そのうえ、この 10 年で約 2 割の住宅で住人 が変わり、新たな住人への説明が不十分なケ ースも考えられる。そこで、協定の更新が認 められた場合にスムースに更新することがで きるよう、17 年度から「住まいとまちなみ研 究所」 (代表者 増田史男氏)に協力を依頼し、 ご指導を賜っている。 まず、地区計画と建築協定、街並み協定に ついて、それぞれの内容や役割・必要性につ いて、住民に理解してもらうための建築協定 解説ガイドブックを作成し、8 月に各戸および 関係先に配布することができた。 さらに今年は、委員会の広報での数回に亘 っての呼びかけや、協定に強い関心をもつ住 民(当運営委員や自治会の役員の経験者や建 築に関する専門家など)に直接呼びかけを行 い、更新のための準備委員会(当委員会の下 部組織)の発足にこぎ着けた。 1/3 建築協定解説ガイドブック 第 1 回国土交通大臣賞 コモンシティ星田HUL−1 地区建築協定運営委員会・同街並み保全委員会 (平成 19 年度報告) これから更新に向けた具体的な活動が始まるが、そこで行う住民への協定や更新に関す るアンケートの内容や方法について現在アドバイスを受けている。 このほか先にも触れたとおり、住民の住み替えで開発者以外の住宅販売会社が仲介す るケースが増えてきて、建築協定の存在そのものが知らされずに持ち主が変わることを 避けるため、開発者にも協力を要請し、主な中古住宅販売会社に呼びかけ、協定につい ての説明会を開きこれに参加してもらった。 これらの活動にあったっては、当委員会の発足当初からの専門委員である鈴木映男氏 のご尽力によるところが大きく、感謝している。 2.公園、公共緑地の維持整備 当地区は、3 つの公園及び住宅周辺に多くの公共緑地を有している。これらの公園や 緑地の環境を維持するため、これまでも、除草等の環境美化活動に力を入れてきた。 公園や公共緑地の整備の中でも特に今回、隣接する自治会との境界にあたる遊歩道の 整備を行ったのであるが、これは数年来附近の住民が要望されてきた問題である。当地 区はもともと自然の豊かな地域ではあるが特に緑の豊かさには気を配って開発されて おり、隣接する住宅地にくらべ圧倒的に緑地帯が多く、近隣からも犬の散歩に訪れる人 が絶えない。分譲時の緑にあふれた環境を維持していきたいと考えているが、十数年経 過して残念ながら境界線の生垣が枯れるなどして正式の出入り口以外からも進入でき るようになり、糞の始末がされなかったり附近の有志がつくる花壇も踏み荒らされるな どしてきた。そこで外部委託により残った生垣を剪定し竹垣を張るなどして整備した。 このたびの賞金の活用を契機に、自治会や近隣の自治会にも働きかけ、立て看板を設置 するとともに、糞の持ち帰りのお願いを広報紙に掲載してもらった。 3. 調査検討経費の使途(19 年度分) 19 年度 ① 外部専門家による指導・支援 ② 建築協定解説ガイドブックの作成 ③ 遊歩道の整備等 2/3 第 1 回国土交通大臣賞 コモンシティ星田HUL−1 地区建築協定運営委員会・同街並み保全委員会 (平成 19 年度報告) 近い将来取り組むべき課題 当地区の最大の課題は快適な住環境を守るための建築協定の更新延長問題である。平 成 22 年の更新切れを間近に控えやっと今年本格的な活動が始まり一先ず安堵している。 ただ 20 年という月日を経て時代も人も変化しており住民の要望や問題点も少しずつ変 わってきている。高齢化の問題もあり、協定を維持しつつ内容については緩やかな運用 で対応する必要があるだろう。 委員会の抱える課題は、26ha のコモンシティ星田全体の 16%を占める緑地の管理と、 リフォームや建て替えへの対応である。 まずは緑地の管理であるが、コモンシティ星田内に3つある公園は HUL-1地区に接 した場所にあり、そのため1つについては平成 12 年度より当委員会の会計より年1回 除草の外部委託を行ってきた。そのほか交野市より年 2 回、星田自治会住民で年 2 回、 HUL-1地区住民で年 1 回の除草、清掃を行ってきた。しかし昨年交野市から年 2 回の 除草は難しく 1 回しかできないと告げられており、なんとか 2 回はお願いしたいと要望 している状態である。万一、1 回しか行われなかった場合には、公園については集合住 宅を含む自治会全体の合意を得て新たに費用を徴収するのも一つの方法ではあろう。ま た、HUL-1地区には、公園以外にも遊歩道や準幹線道路沿いの緑地帯、住宅地の中の コモンスペース(公共緑地)やセミパブリックスペース(私有地)などさまざまな緑地 があり、公園以外にも外部委託など機械による一斉清掃を定期的に行うことなども考え られる。遊歩道、準幹線道路沿い緑地帯、コモンスペース、セミパブリックスペースは 一見すると所有者の区別がつきにくいが、私有地以外は日常の除草剪定など附近の住民 の多大な負担により維持されているし、私有地は素人には難しい高木を含む樹木の管理 を求められ勝手に花壇にすることはできないなど個人の自由に使えず統一した管理が 求められている。が、実際には個々の管理に任されるため「統一した管理」がなされて いるとは言い難い。住民による手作業の除草は住民の交流や地区への愛着を増す効果は 大きいが、緑地の管理としては現実的にはそれだけでは充分ではない。 もうひとつの課題は、子どもの成長や住民の高齢化からくる、リフォームや建て替え への対応である。まだ建て替えの例はないが、これから特に駐車場や玄関へのスロープ の設置が予想される。外構や玄関へのアプローチ、駐車スペースの統一した様式は街並 みの美しさに大きく影響するが、現在の形を変えることになるのでモデルとなる形を明 らかにするべきではないかと考えられる。特にスロープを設置する場合は現在の協定に 違反してしまう可能性があり、実際にはひとつひとつ形の異なる家にどのような設置例 を示していけるのか、今後の課題である。 3/3
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