日銀金融政策決定会合に対する市場の反応は?

しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp
投資環境
2015 年 10 月 23 日
日銀金融政策決定会合に対する市場の反応は?
1.政策変更のタイミング
日銀は、
「量的・質的金融緩和」を導入した 2013 年 4 月以降、
“戦力の逐次投入はしない”という黒田総裁
の方針の下、追加緩和については、これまでのところ小出しにせず、昨年 10 月に「量的・質的金融緩和」を
大幅に拡大させた 1 回のみとなっています。
追加緩和とは別に、2 年程度としている「物価安定の目標」の達成時期の解釈については、何回か変更させ
てきました(図表 1)
。これまでのところ、追加緩和や「物価安定の目標」の達成時期の変更については、
「展
望レポート※」の公表、もしくは「中間評価※」のタイミングで行われてきました。
今月 30 日にも、日銀金融政策決定会合に合わせ、
「展望レポート」が決定/公表されます。今回の「展望
レポート」では、物価見通し、経済成長見通しが若干下方修正されるとみられています。また、「物価安定の
目標」の達成時期についても、
“2016 年度前半頃”から“2016 年度頃”に先送りされる可能性が伝えられて
います。
達成時期の先送りについては、緩和政策が長期化するとの見方ができ、株式市場や債券市場にはプラスとも
考えられますが、「量的・質的金融緩和」政策の終了が全く見通せない状況下では、金融市場への影響も限定
的です。逆に、先送りするだけで追加緩和なしなら、失望感が強まる可能性があります。
図表 1. 「物価安定の目標」の達成時期の変遷
「物価安定の目標」の達成時期
「量的・質的金融緩和」導入。
2013 年 4 月 4 日
消費者物価の前年比上昇率 2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に
置いて、できるだけ早期に実現する。
2014 年 1 月 23 日
2014 年度の終わり頃から 2015 年度にかけて、「物価安定の目標」である 2%程度に
(中間評価)
達する可能性が高い。
2014 年 4 月 30 日
2014 年度から 16 年度までの見通し期間の中盤頃(2015 年度を中心とする期間)
(展望レポート)
に、「物価安定の目標」である 2%程度に達する可能性が高い。
2014 年 10 月 31 日
(展望レポート)
2015 年 4 月 30 日
(展望レポート)
2015 年 10 月 30 日
(展望レポート)
「量的・質的金融緩和」を拡大も、物価目標の達成時期は変えず。
「2015 年度を中心とする期間」から「2016 年度前半頃」に変更。
(2%程度に達する時期は、原油価格の動向によって左右されるが、現状程度の水準
から緩やかに上昇していくとの前提にたてば、2016 年度前半頃になると予想)
「2016 年度前半頃」から「2016 年度頃」に変更?
(出所)日銀の資料を基に、しんきん投信作成
※「経済・物価情勢の展望」(展望レポート):先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検し、そ
のもとでの金融政策運営の考え方を整理。4 月、10 月に公表。
「中間評価」:「展望レポート」以降の情勢の変化を踏まえたうえで、先行きの経済・物価見通しを評価。1 月、7
月に実施。
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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投資環境
2015 年 10 月 23 日
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2.市場の反応は?
日銀の追加緩和は、金融市場調節の操作目標であるマネタリーベースの拡大(物価を上げ、景気を回復させ
ることを目的に、国内に出回るお金の量を増やすこと)ですが、その手段としての資産の買入れについては、
①
長期国債の買入額の拡大
②
買入れ対象の長期化(償還までの期間が長い、長期債、超長期債を中心に買入額を拡大)
③
買入れ対象の拡大(国債だけでなく、政府機関債や地方債の購入なども買入れ)
④
指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(Jリート)買入額の拡大
などが考えられます。また、資産の買入れのほかに、
⑤
付利(金融機関が日銀に預けている当座預金の超過準備に付けている金利、現在 0.1%)の引き下げ
などが挙げられます。
仮に日銀が、追加緩和に踏み切った場合に想定される市場の反応は、緩和の規模、事前の織り込み度合い、
また他市場の反応などにより様々ですが、ざっくり考えると、
長期金利:①~③、⑤なら低下。ただし、株高・円安でリスク選好が強まると、低下が抑制される可能

性。⑤が見送られると、低下も限定的

国内株式:①~⑤なら上昇。ただ、④が見送られると失望売りも

ドル円

Jリート:①~⑤なら上昇。ただ、④が見送られると失望売りも
:①~③、⑤なら円安
などになりそうです。
これまで黒田総裁は、市場にサプライズを与え、金融緩和の効果を大きくしてきました。今月 30 日に追加
緩和を決定するか否かについては、予断を許さない状況です。30 日の会合までは手控えムードが続くことが
見込まれますが、追加緩和を催促して、あるいは期待して相場が大きく動く展開(催促相場)となった場合に
は、日銀の決定次第では、金融市場が不安定な動きになる可能性があります。追加緩和見送りで、株売り、債
券売りが強まった場合には、市場の落ち着きを待って、押し目買いのタイミングを探ることになりそうです。
(参考) 株価、為替の推移
「質的・量的金融緩和」拡大
(円)
140
20,000
130
18,000
120
「質的・量的金融緩和」導入
110
14,000
100
12,000
90
10,000
80
8,000
70
6,000
60
12/1
12/4
12/7
12/10
13/1
13/4
13/7
13/10
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16,000
(年/月、日次)
日経平均株価(左目盛)
1.2
(%)
(参考) 国内債利回り、Jリート推移
(ポイント)
「質的・量的金融緩和」拡大
「質的・量的金融緩和」導入
1.0
2,500
2,000
0.8
1,500
0.6
1,000
0.4
0.2
500
0.0
0
12/1
12/4
12/7
12/10
13/1
13/4
13/7
13/10
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
22,000
(円)
ドル円(右目盛)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
10年債利回り(左目盛)
(年/月、日次)
東証REIT指数(右目盛)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
(シニアストラテジスト 鈴木和仁)
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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