欧州債市場が再び不安定化 - しんきんアセットマネジメント投信

しんきんアセットマネジメント投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
Sh inkin Asset Management Co., Ltd 加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
〒104-0031東京都中央区京橋3丁目8番1号 URL:http:// www.skam.co.jp
投資環境
2015 年 6 月 5 日
欧州債市場が再び不安定化
1.ドラギ総裁発言を受け、欧州金利上昇
欧州中央銀行(ECB)が 3 月に国債買入れを開始したことを受け、4 月にはドイツの長期金利(10
年国債利回り)が一時 0.1%を下回るなど、堅調な動きとなっていた欧州債市場ですが、4 月下旬以降不
安定な動きが継続しています(図表 1、2)
。
ECBのドラギ総裁が、5 月 14 日に国債購入を含む量的緩和政策を予定通り 16 年 9 月まで実施する
ことを改めて表明したことや、5 月 19 日にクーレ理事が債券購入を 5 月、6 月に加速させる方針を示し
たことから、欧州債市場は一旦落ち着きを取り戻しつつありました。しかし、ドラギ総裁が 6 月 3 日の
記者会見で、高まる市場の変動性(ボラティリティ)を容認したことを受け再び不安定化し、4 日には
ドイツの長期金利は一時 1%付近まで上昇しました。ドラギ総裁は記者会見で、量的金融緩和策を続け
る意向を示したものの、2015 年の物価見通しを上方修正し、更に「金利が非常に低い水準にある際、
資産価格のボラティリティは高まる傾向にある」、「市場はボラティリティが高い期間に順応する必要が
ある」と述べたことが、更に市場のボラティリティを高めてしまった模様です。
4.0
図表1. 独長期金利
(%)
図表2. 独利回り変化:4月20日~6月4日
1.6
(%)
1.4
3.5
1.2
3.0
1.0
2.5
0.8
2.0
0.6
1.5
0.4
1.0
0.2
0.0
0.5
-0.2
政策金利
10年債利回り
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
15/1
14/7
14/1
13/7
13/1
12/7
12/1
11/7
11/1
10/7
10/1
0.0
-0.4
0
(年/月、日次)
5
10
15
変化(4月20日~6月4日)
20
25
4月20日
(年限)
30
6月4日
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
2.慣れてくれば
これまでに経験したことのない中央銀行による巨額の国債購入を受け、債券市場が不安定な動きにな
ったのは、日銀による「量的・質的金融緩和」政策を受けて長期金利が乱高下した 2013 年 4 月~5 月
の日本の債券市場にやや似ています(図表 3)
。国債購入で債券市場の流動性低下が懸念されるとともに、
「量的・質的金融緩和」を受けて株高・円安が進行し、債券に下落(利回り上昇)圧力がかかる中、黒
田日銀総裁が「経済・物価の見通し改善で徐々に金利が上昇していくのは当然」との認識を示したこと
から、長期金利は 1.0%まで上昇しました。その後、日銀は不安定な債券市場に配慮し、国債買入れオ
ペレーション(公開市場操作)の実施日数を増やすなど、市場動向を踏まえて弾力的に運用することを
決定しました。日銀が金利の過度な上昇や変動性(ボラティリティ)を抑える方針を示したことから、
国内の債券市場は落ち着きを取り戻すこととなりました。
先日のドラギ総裁の記者会見では、当然市場に配慮した発言がなされると思っていたものが、逆に市
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
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投資環境
2015 年 6 月 5 日
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場を突き放すような発言がなされたことから失望感が広がり、債券が急落した形となりました。
ドラギ総裁は、“超低金利政策に加え、中央銀行による巨額の国債買入れで市場の流動性が低下する中、
ボラティリティを抑えることは難しいので、市場はそれに慣れてくれ”というのが本音かもしれません。
“ボラティリティが高い”→“リスクが高い”→“リスクに見合った利回りの上乗せを要求”となりますから、
欧州の長期金利は下がりにくくなることが想定されます(図表 4)。少なくとも、4 月のような長期金利の
低下は、期待薄な状況です。
もっとも、今回のドラギ総裁発言で市場のECB頼みの姿勢が弱まると、ECBに何らかの行動(市
場への配慮)を期待して金利が上昇する“催促相場”は影をひそめそうです。ドラギ総裁は量的金融緩和
を完全に実施する姿勢を示しており、超緩和政策はまだまだ続きます。また、インフレ率についてもま
だ 0.3%と、ECBが目標とする 2%弱とは大きくかけ離れています(図表 5、6)
。ドラギ総裁の言うよ
うに、今の環境に“慣れ”てくれば、欧州の金融市場は徐々に落ち着きを取り戻すことが想定されます。
(%)
日銀:2013年4月4日、「量的・質的金融緩和」決定
12
ECB:2015年3月9日、国債買入れ開始
10
0.8
8
0.6
6
4
0.4
2
0.2
0
15/1
14/1
13/1
12/1
11/1
10/1
09/1
08/1
07/1
06/1
-1.0
(年/月、月次)
ユーロ圏消費者物価指数(CPI、前年同月比)
政策金利
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
15/1
14/1
13/1
12/1
11/1
10/1
09/1
08/1
07/1
06/1
期待インフレ率(5年)
15/4
0.0
15/1
1.0
14/10
2.0
(ドイツ)
14/7
3.0
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
-0.4
(%)
14/4
4.0
05/1
05/1
図表6. 市場が織り込む期待インフレ率
図表5. ユーロ圏の政策金利とインフレ率
04/1
金利差(10年債-1年債)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
(%)
03/1
(年/月、週次)
長期債のボラティリティ
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
02/1
04/1
(月/日)
日本の長期金利(2013年1月~9月)
独の長期金利(2015年1月~)
02/1
-2
9/1
8/1
7/1
6/1
5/1
4/1
3/1
2/1
1/1
0.0
5.0
(ドイツ)
03/1
1.0
図表4. ボラティリティと長短金利差
(%)
14/1
1.2
図表3.国債買入れ開始前後の長期金利
(年/月、日次)
期待インフレ率(10年)
(出所)Bloombergよりデータ取得し、しんきん投信作成
(補足)流動性の高い市場の定義:
「参加者が大口の取引を小さな価格変動で速やかに執行できる市場」
(財務省より)
(シニアストラテジスト
※最終頁の「本資料に関してご留意していただきたい事項」を必ずご確認ください。
鈴木和仁)
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