ローコスト・最強の卸売業情報システム構築法 (内容)

ローコスト・最強の卸売業情報システム構築法
㈱ユース流通システム 鈴木
(内容)
はじめに
[1] 卸売業の業務概要
・・・
[2] ローコスト卸売業基幹系情報システム構築法
・・・13
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[3] マルチ・ソリューション結合方式の情報システムモデル・・・19
----------------------------------------------------------------はじめに
卸売業は中間流通業として古い歴史を持つ業界です。
しかし、直近20年を振り返ってみれば
販売チャネルの変化、とりわけ中抜き取り引きなど
中堅以下の卸売業は特に厳しい経営環境となっています。
他方、基幹系情報システムの中心にはオフコン時代のソフトウエアが残っています。
古い情報システムは使い慣れていますから、社内の業務処理には
何の不便も無いかも知れません。
しかし、情報技術はパラダイムが変わってしましました。
インターネットは情報伝達のスピードとコストの壁を破壊してしまいました。
そのため、異なるシステムのデータ連携を簡単に実現できるようになりました。
情報システムの形態では、クライアント/サーバ方式は古いと言われます。
WEBがITの主流になっています。
ところで、古いオフコンのデータとオープン系の情報システムのデータはそのコード
体系が異なっています。
あなたはご存知でしたでしょうか。
あなたの古いオフコン系システムのデータをインターネットを介して
オープン系の情報システムへデータを送るためには、
コード変換が必要になります。
つまり、インターネットの世界ではあなたのオフコン系情報システムは自由には外部
とデータ交換は出来ないということです。
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今やオープン系システムが主流の時代です。
オフコン系の古い情報システム(ソフト、ハード)を維持管理することはコスト高になりま
す。車に例えればクラシックカーを維持するのと同じです。
このような状況に関しては、あなたの会社の情報システム部門長はご存知です。
中堅卸売業の基幹系情報システムでは古いオフコンのソフトウエアが70%残ってい
るといわれています。
オフコンのソフトをオープン系に移行することをオフコンマイグレーションと呼ばれ
ています。
日本と違って、アジアの国々ではオープン系のコンピュータから使い始めました。
日本はコンピュータの歴史が長く、アジアの国々に比べてオープン系への移行が遅れ
ています。
オフコンの成功体験が壁になっています。
詳しくは
「なぜ日本の情報システムは遅れているのか」
㈱プラネット社長 玉生昌弘 著
日本能率協会マネジメントセンター
に述べられています。
ではオープン系情報システムへ移行が後れている具体的な理由は何でしょうか。
主な原因を挙げると
・ 情報システム部門がオープン系システムの技術に弱いこと
・ 情報システム全体を再構築する確実な方法が見えないこと
・ 全面再構築には大きな投資が必要なこと
・ 大きな投資に見合う効果が期待できないこと
しかし、オフコン系情報システムを使い続けると維持費が高くつくことは明らかです。
例えば、プログラミング言語のコボルを使っていれば、最早プログラマーを探すこと
が難しくなっています。
若い人は、コボルを学ぶ人はほとんど居ません。
コボルのソフトウエアはまだ沢山使われていますが、維持が難しくなります。
ではどうすればようのでしょう。
・情報システム部門は変わらなければならない。
あなたの会社ではソフトウエアを作らないという選択肢があります。
オープン系ソフトウエアの言語は多様です。
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バッチ系処理に向いている言語でも複数あります。
WEBのプログラムを作る言語も複数あります。
あなたの会社の情報システム部門でオープン系ソフトを自社開発するには人材確保が
難しいのです。
昔のように、コボルだけ知っていれば80%のソフトが
自社開発が可能な時代とは違うのです。
これからは自社でソフトを開発・維持するのは難しいですね。
自社開発に徹するのであれば相当のコストがかかります。
情報システム部門はどう対応すれば良いのでしょうか。
・ 業務プロセスエンジニアを目指す
情報システム部門のあなたは業務プロセスエンジニアを目指すべきです。
情報システム部門のあなたは、
情報システムの守護神ではなく、現場業務のサポータに徹することです。
情報システム部門のあなたの使命は、自社の業務プロセスを設計して、
これを検証して、現場の業務改善をサポートすることです。
業務手順をキチンと「見える化」(ドキュメント化)するスキルを磨くのです。
オープン系情報システムに関して、その活用技術を学ぶのです。
さらに、プロジェクトプロセスマネジメントスキルを学ぶのです。
ひとつは、社内プロジェクトの推進役としてプロジェクトを企画し、進捗を管理する
スキルが重要です。
さらに、情報システムベンダーからシステムを調達するには情報システムの調達スキ
ルが大事です。
キーワードは
・業務プロセス設計スキル(ドキュメント化スキル)
・オープン系システムの知識(技術に深入りは不要)
・プロジェクトプロセスマネジメントスキル(プロジェクト企画、推進、調達マネジメント)
です。
これらのスキルが情報システム部門には求めれれるのです。
・アプリケーションソフトの動向
5年前まではパッケージソフトのカスタマイズで自社の基幹系情報システムを構築す
ることがまず検討されました。
自社に適合するパッケージが見つからない場合には、自社開発しました。
今はASPサービス(アプリケーション・サービス・プロバイダー)という新しいサービスが登場し
ています。
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インターネット回線を利用してベンダーのサーバにあるアプリケーションソフトを
使って、自社の業務処理を行うというものです。
サーバとソフトウエアを毎月の利用料を払って使います。
自社にはASPセンターに接続するWEB用PCを用意するだけです。
例えば以下のようなASPサービスがあります。
・ 受発注代行ASPサービス
・ WMS(倉庫管理システム)ASPサービス
・ トラック配車計画のASPサービス
・ トラック運行管理のASPサービス
などインターネットを使ったシステムソリューションが
急速に普及しています。
基幹系の卸売業向け安価なパッケージシステムも販売されています。
特に、ASPサービスは
ベンダーのASPセンターに設置したサーバとベンダーのソフトウエアを
インターネット回線を使って、
あなたが利用できるのです。
あなたはサーバを所有しません。
なたはソフトウエアを所有しません。
あなたは、サーバ管理のわずらわしさから開放されます。
また、ソフトウエアのバージョンにあわせてレベルアップの心配も不要です。
サーバを 5 年サイクルで更新する必要はありません。
月々のサービス料を払えば、サーバとソフトを使用して
システム運用サポートが受けられるのです。
情報システムは今やオーダーメードで開発する前に
出来るだけソフトを「作らない・所有しない」でサービス利用の可能性を検討します。
ところで、情報システムは業務を効率化・迅速化するための手段です。
大事なことは、業務の手順、業務の流れを効率的な手順に組み立てることです。
これを業務プロセス設計といいます。
業務プロセスエンジニアの仕事です。
業務手順の設計が大事です。
業務手順の標準化です。
業務手順の標準化が情報システムのローコスト化に最も効果的な対策です。
よく情報システムはお金がかかるということが言われます。
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その原因は業務手順が標準化されていないことが主な原因です。
例えば、請求書の作成方法が取引先によって異なることがが請求システムの
開発工数を増大させます。
請求業務の基本形を用意して取引先と交渉すれば、標準化された部分と
その他の例外処理に区分して請求書が作れます。
取り引き相手も支払い計算はシンプルにしたいはずです。
シンプルな精算方法は取り引き先も望むはずです。
出来るだけシンプルな手順に標準化をしておくことが大事です。
こうした問題は情報システム以前の業務手順段階で決まることです。
あなたの会社の業務手順をいかにシンプルに標準化するかによって
情報システムの開発費とランニングコストが大きく変わるのです。
複雑な情報システムを開発すれば、当然、初期開発費だけでなく
ランニングコストも高くなります。
良いシステムを表現する言葉があります。
シンプル イズ ベスト (Simple is Best)です。
業務手順についても
「シンプル
イズ
ベスト」
ですね。
シンプルに業務手順を標準化するには
トコトン考えてスリムな業務手順を設計しなければなりません。
さらに、取引先の理解を得るための交渉も必要になるかも知れません。
業務改革を始めても、取引先の壁で諦めてしますことが多いですね。
シンプルな業務手順を実現することは容易ではないのです。
しかし、諦めず取引先にもメリットのある処理手順を提案し
取引先の理解を得ることを粘り強く続けることが大事です。
こうした難しい問題解決に挑戦することで、
あなたの会社の問題解決能力が向上します。
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[1] 卸売業の業務概要
卸売業の業務の概要について説明しておきます。
卸売業は以下の業務ユニットが連携して、毎日の業務が動いています。図式化す
ると次のようになります。
・ 卸売業の業務ユニット概要
卸売業の業務は下記の通りです。
マーケテイング
新顧客の集客。新商品の導入
営業活動
既存顧客の売上拡大。集客した新規顧客への営業活動
受注・出荷・配送
EOS受注、電話・ファックス受注、訪問受注
発注・入荷・格納
商品の発注、入荷検品、格納作業
商品・在庫管理
ロケーション管理、倉庫環境整備、棚卸作業
売掛・請求
売上確定、回収管理、請求業務
買掛・支払
仕入確定、支払確定、支払業務
経理・財務
会計管理、資金繰管理
総務・人事
人事、給与、職場環境整備、コンプライアンス徹底
・卸売業業務の特徴
卸売業の方には釈迦に説法ですが卸売業の業務の特徴を整理しておきます。
卸売業は販売会社ですから、マーケテイングと営業が会社成長の原動力です。
営業活動を後方で支えるのが商品の在庫管理と配送のしくみです。
在庫管理は卸経営の回転軸と言えます。
在庫をコントロールするのは発注業務です。
あなたの会社は発注のしくみは長年取り組まれてきたはずです。
しかし、案外発注のしくみが卸売業業務の最大課題であるという位置づけに
なっていないのではないでしょうか。
発注問題が最大の課題であることを理解はしても、現状以上に優れた発注のしくみ
は無理と諦めていませんか?
発注問題の構造を正しく理解する必要があります。
詳しくは
下記をクリック願います。
http://www.use-r.co.jp/sub20.html
(コントロールキーを押してクリック)
又、上記解説で述べられている、発注の改善で在庫率(在庫金額/売上高)を適正水
準に誘導することは在庫圧縮とは考え方が異なります。
在庫率を一定のルールで目標の在庫率に自動的に誘導するのです。
発注データを人間が調整する方式では数千アイテムの発注データをコントロールする
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ことは困難です。
発注問題の難しさは商品アイテム数が多いことに起因しているのです。
短時間で高速処理をするコンピュータの活用で解決できるのです。
発注問題は自動化しなければ本当の解決は出来ません。
これまで、卸売業経営改善の重点は物流改善にあったといってよいでしょう。
今こそ、卸売業経営の原点である発注のしくみを改善することが重要な課題であるこ
とを再認識することが必要ではないでしょうか?
次の図は卸売業務の概要をまとめたものです。
この全体図の個々の業務のポイントについて次ページからご説明します。
卸売企業のコックピット経営モデル
仕入先
得意先
物流センター
WMS
得意先
カイゼン担当
仕入先
仕入先
得意先
営業担当
発注
カイゼン担当
業務プロセス日々カイゼン
「見える化」実践
商品・得意先
ロジステイクス
営業プロセス
取引情報管理
改革チーム
改革チーム
データベース
支払
業務プロセス
革新チーム
経営者
情報システム担当
買掛
受注
回収
総務
経理
ホームページ
プロジェクト推進
メールマガジン
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「見える化」を実践
売掛
マーケテイングチーム
業務プロセスの作り込み
ITソリューション調達
①マーケテイング
マーケテイングはまだ見えない新規顧客との接点を作ることが目的です。
昔はチラシ、新聞・雑誌の公告、人脈で新規顧客開拓をしていました。
今はインターネットが有力なマーケテイング媒体です。
インターネットマーケテイングと言われる世界です。
インターネットではホームページとメールがマーケテイングに不可欠です。
新規顧客のメールアドレスを集めて、メールでセールスレターを送ります。
メールは郵送料はゼロです。
コストが掛からないのです。
使わない手はないといえますね。
あなたのホームページはバーチャル店舗です。
ネット広告またはメールで見えない新規顧客をバーチャル店舗に呼び込むのです。
そこで出会った新規のお客様へ、あなたの営業が始まるのです。
この考え方はBtoBでもBtoCのビジネスでも同じです。
ネット広告やメールとホームページの相乗効果で集客力が何倍にもなります。
ホームページで注文をとって直接販売お客様に販売することももちろん出来ます。
通信販売の場合がそうですね。
BtoCの商品販売ビジネスです。
ホームページはその目的を明確にして制作することが大事です。
ご参考ですが、「インターネット起点の経営」を下記ホームページで
ご確認ください。
http://www.use-r.co.jp/sub12.html?bbs_mode=read&bbs_code=1&code=18
(コントロールキーを押しながらクリック)
ローコスト・良質なホームページ制作法は下記ホームページをご覧願います。
http://www.use-r.co.jp/sub12.html?bbs_mode=read&bbs_code=1&code=19
(コントロールキーを押しながらクリック)
②営業活動
営業活動の目的は既存顧客への販売の拡大です。
新規顧客開拓は既存顧客への販売拡大に比較すると数倍のコストが掛かります。
営業マンが新規顧客の集客をするとコストが掛かりすぎます。
新規顧客の集客はインターネットを使うべきです。
集客された潜在顧客に対して、営業マンが訪問すれば営業効率が数倍上がります。
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インターネットで問い合わせてくる新規顧客はあなたの会社の商品に関心のある方
です。
集客と営業活動を分離する
2 ステップマーケテイングの考え方が大事です。
③人が中心の業務
マーケテイングと営業、在庫管理、物流業務が卸経営の中心軸ですね。
配送はアウトソーシングしているケースが多いかと思います。
業務はあなたの会社の社員がします。
情報システムはあなたの業務を支援するものです。
あなたが情報システムに仕事をさせているのです。
情報システムが処理する部分が多くなっても、業務は人が中心ですね。
人がする仕事には必ずムダが発生します。
必ずカイゼンの余地があるのです。
それゆえに、業務改革・改善が大事ですね。
あなたの会社にはたくさん改善したいことがあるはずです。
改革のためのプロジェクト体制が必要ですね。
プロジェクト実施の詳しい説明は下記ホームページをご覧願います。
http://www.use-r.co.jp/sub03.html
(コントロールキーを押しながらクリック)
改革プロジェクトで最も大事な部分は、あなたの会社の業務プロセスがキチンとドキ
ュメント化され「見える化」されていることです。
④見える化がキーワード
そこで何を「見える化」すればよいのでしょか。
在庫の「見える化」の効果が大きいですね。
また、営業活動では顧客情報を「見える化」することで
営業情報の共有化を図ることができます。
改革を始める前に、何を「見える化」するのかを決めることが大事です。
それには、改善すべき項目をすべて書き出して、効果の高い順に並べて
取り組みの優先順位をつけなければなりません。
何が問題かという分析に重点をおくのではありません。
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何を解決してどのような効果を上げるかという目標を決めるのです。
会社のすべての業務プロセスに関して改善目標を決めることが大事です。
目標をきめて、その達成のための組織的活動を
業務改革プロジェクトと呼びます。
たとえば、発注業務を改善して、発注の自動化プロジェクトを起こします。
プロジェクトは目的を明確化することが大変重要です。
目的必達がプロジェクトの条件です。
目的達成のための活動を企画します。
そこから行動が開始可能になるのです。
会社の業務活動に関しても、各部門の業務の改革・改善項目を「見える化」
することが、失敗しないプロジェクトの必要条件です。
そのためにトコトン考え抜くことが絶対に必要です。
人は大ピンチでは真剣に考えますが、平和なときには真剣に考えないのが
普通です。
真剣に考えるにはそれ相当の工夫が必要ということです。
⑤在庫管理業務
お客様があなたの会社の受注情報をコントロールしています。
あなたはこれをコントロールできません。
在庫管理であなたがコントロールできるのは発注情報だけです。
在庫管理の目的は 2 つです。
・ キャッシュフロー管理。
・ 欠品による機会損失の予防。
商品在庫は流動資産であり現金と同じです。
在庫の回転は出来るだけ速いほうが良いですね。
あなたは、全体の在庫水準を全体のい販売高に対して
0.25 とか 0.5 とか決めた在庫水準で推移してほしいと思いますね。
在庫を持たないで販売できることが
キャッシュフローの視点では最も良いことです。
しかし、在庫があるからすぐにお客様にお届けできます。
在庫が少ないと欠品して販売機会を失うことが起こります。
この 2 つの相反する目的に沿うコントロールをコンピュータ支援で行っています。
しかし、この発注問題は膨大な商品アイテムに関しては大変複雑で難しい問題です。
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自社開発のソフトウエアでは十分なコントロールは出来ません。
優れた専門家が開発した自動発注システムを導入する必要があります。
詳しくは
下記ホームページをご覧願います。
http://www.use-r.co.jp/sub12.html?bbs_mode=read&bbs_code=1&code=16
(コントロールキーを押してクリック)
⑥倉庫管理業務
卸売業経営の中で企画・営業と並ぶ経営の経営効率化の決め手は在庫管理業務です。
この在庫管理を「見える」ようにすることにコンピュータは使われています。
在庫をコントロールすることの方がより大事なことです。
在庫をコントロールするのは発注業務です。
あなたの会社の発注業務はコンピュータの在庫データと営業からの販売計画を参考にし
て発注担当者の判断で発注データを作成していませんか。
この方法でも在庫は回ります。
しかし、数千アイテムの商品を毎日万遍なく見て、タイムリーに適正な発注データを作
成することは人手では無理なことですね。
これを解決する自動発注エンジンがあります。
詳しくは
http://www.use-r.co.jp/sub20.html
(コントロールキーを押してクリック)
の自動発注に関する解説欄を参照願います。
シーコムス社の自動発注エンジンAILSは大手卸売業5社で導入され
在庫削減効果20%以上
発注作業時間削減効果 50%
の実績を持っています。
在庫の適正化は人の判断では限界があります。
コンピュータで売上の増減にあわせて自動的に在庫を調節して発注データを作成する方
法が選択肢としてあります。
これを検討し、自社に適合するかどうか判断することです。
あわせて投資効果を評価して、導入を決定することが賢明な対応です。
倉庫内作業や配送の効率化も大事です。
その前に在庫のコントロールのしくみを作ることの方が大事ではないでしょうか。
⑦3PL業務
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卸売業は自社商品の保管管理だけでなく、他社荷主の商品を倉庫にお預かりし
、荷主からの出荷指示で荷主のお客様へお届けするサービスを行います。
これは3PL(Third Party Logistics)と言われています。
3PLサービスの業務は倉庫管理業務です。
入荷・格納、出荷依頼受付、ピッキング作業、仕分作業、配送業務といった作業をしなけ
ればなりません。
規模が一定以上の倉庫になると、物流センターの効率的な運営のために庫内作業をコ
ンピュータで支援することが有効です。
そのための情報システムはWMS(Wharehouse Managemennt System)と呼ば
れています。
WMSを提供するASPサービスやパッケージソフトが提供されています。
3PLサービスではWMSが効率化の決め手といってよいでしょう。
1000以上の商品・製品アイテムを保管管理し、数十以上の納入先へ出荷・配送す
る仕事は手作業では効率が悪いですね。
・荷主の出荷指示をオンラインで受信する
・ 納入先別ピッキングリストを作成する
・ ピッキング作業をする
・ 送り状を作成する
・ トラックに積み込む
・ 配送納品をする
・ 荷主に入出荷データを報告する
・ 荷主に在庫データの報告をする
これら一連の業務はコンピュータで効率化することが出来ます。
⑧売掛・請求
売掛・請求業務処理は長年情報システムで処理されてきました。
売掛・請求は毎日の売上データを累積して締め日に請求書を作成します。
したがって、物流系のデータ処理とは切り離して、処理が出来ます。
出荷データを毎日、売掛システムへ渡しておけばよいのです。
そこで、売掛システムは既存システムを使い、物流システムは新規にオープン系
システムを導入して、両者をデータ連携しておけばよいのです。
つまり、既存システムは使える部分を残し、改善したい物流システムを新規に構築
する方法がローコストでシステム改築・増築することが可能なのです。
⑨買掛・支払
買掛・支払業務処理は長年情報システムで処理されてきました。
買掛・支払は毎日の仕入データを累積して締め日に支払明細を作成します。
仕入先からの請求書と支払明細を突合チェックし、仕入先に仕入代金を振り込みます。
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売掛・請求と同様に、物流系のデータ処理とは切り離して、処理が出来ます。
仕入データを毎日、買掛システムへ渡しておけばよいのです。
そこで、買掛システムは既存システムを使い、物流システムは新規にオープン系
システムを導入して、両者をデータ連携しておけばよいのです。
つまり、既存システムは使える部分を残し、改善したい物流システムを新規に構築
する方法がローコストでシステム改築・増築することが可能なのです。
⑩人事・給与業務
人事・給与の業務詳細ではなく人事評価の考え方について触れておきます。
これは経営の根幹に関わる問題です。
部分的に成果給の考え方を採用されている会社が多いと思います。
人事・給与のあり方では、社員が公平であると感じられるしくみがもっとも大事かと思
います。
公平かどうかは情報が公開されて始めて社員の納得を得られるのです。
以上を念頭において考える必要があります。
評価と給与の問題です。
当然社員によって会社への貢献度がことなりますから、貢献度の高い人が給与を多くも
らうのが当然です。
しかし、昇進して部下が増えるということになると、リーダシップのある人が昇進すべ
きですね。
一般的に昇進と給与が比例するのが普通だと受け止められています。
しかし
・仕事の能力が高いために給料が高い
・リーダシップが優れているために給料が高い
という2つのケースは同じ土俵で評価することではないと思います。
リーダシップが高い人は多くの社員の生産性を挙げることで会社に多大の
貢献をします。
しかし、特定の個人のリーダーシップの評価には人の判断しかないですね。
さらにお客様に好感を持たれることも大事です。(この部分は人の判断です)
あなたのお客様からの評価があなたの仕事の能力の要素のひとつです。
それには仕事を標準化しておくことが必要です。
さらに、仕事の能力を測る物指しが必要です。
また情報を公開して、共有することが、評価の公平感を納得してもらうために必要です。
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そのためには社員の行動規範を定めて、行動履歴を行動規範のものさしで評価すること
が原理・原則です。
すべてに社員の行動を評価指数化することは出来ませんね。
指数化の限界があることも事実です。
コンピュータは人の判断・経験に基づく暗黙知の世界を開拓してきました。
例えば、ロボットの進化を見れば分かります。
昔はテイーチング方式と言われる、教えたことしかやらないロボットでした。
今では、経験を積むと、行動が進化するロボットになっています。
コンピュータの適用分野は急速に進化しています。
コンピュータで処理した方が効率的な処理はほとんどコンピュータ化されています。
それでもさらにコンピュータで処理可能な領域は拡大します。
新しいソフトウエアは続々と登場しています。
そういうことですから、常に新しいソリューションに注目していることが大事です。
話を戻します。
最後に管理者の仕事に関してひとこと。
管理者は業務を標準化し、その業務プロセスの改善に努めることが仕事です。
つまり管理者は業務プロセスを管理することが大事な仕事なのです。
部下(人)を管理することだけが使命ではないのです。
「見える」しくみと「情報共有」のしくみを作りこみ、それを管理するのが
管理者の大事な仕事なのです。
⑪経理・財務
経理・財務は多く卸でパッケージソフトを導入されています。
会計作業は会計基準という標準化された手順がありますから
パッケージソフトが適合します。
基幹系情報システムの売掛、買掛処理とデータ連携することも容易です。
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[2]ローコスト卸売業情報システム構築法
以上のような卸売業の情報システムの現状はいかがでしょうか。
オフコン時代の卸売業情報システムは物流作業支援、倉庫管理、配送支援など
現場作業系を支援する機能が無かったいといってよいのではないですか。
販売管理中心のシステムでした。
あなたの会社のシステムはいかがでしょうか?
販売中心のシステムの名残が残っているなら、入荷・格納・在庫管理・出庫・仕分・・
配送の作業支援でコンピュータ活用の余地があります。
このような状況の情報システムを完全オープン系に移行するにはどうすればよいでし
ょうか?
2つの方法があります。
① 情報システム全体を一括で情報システムを入れ替える。
②
物流系と商流系に分けて段階的に入れ替える。
① は大きな投資になります。小規模卸でも数千万、中堅卸なら数億円の投資が
が必要でしょう。受・発注、売掛・買掛のシステムはまだ使えます。
恐らく、あなたの会社は全体一括オープン系への移行を選択しないですね。
② は物流系を新規に構築し、商流系システムは既存システムを残す方法があります。
現状のシステムは以下のような問題点を抱えています。
・ 既存の在庫管理ではロケーション管理ができない。
・ 入荷作業では格納場所が定まらないので場所を探すムダが発生している。
・ 格納場所が変わるので出荷作業者が商品を探すムダな作業時間が発生している。
・ 棚卸作業でも同様に商品を探すムダな業時間が発生している。
・ 既存の在庫管理は棚卸在庫管理で、入荷検品・出荷検品が不十分で在庫が合わな
い。
こうした問題解決のため、物流システムを導入する方法があります。
その場合の選択肢は
① 物流のパッケージソフトを導入
② 自社開発
③ WMS(倉庫管理システム)のASPサービスを利用する。
これらのベンダーから見積を頂いて比較検討すれば良いですね。
チョット待ってください。
見積を取る前にしなければならないことがあります。
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あわてて見積もりをとっても後悔します。
あなたの会社の物流作業、在庫管理の仕事の手順を明確にして、誰にも分かるように
文書化しなければなりません。
業務プロセスの「見える化」です。
業務プロセスの「見える化」はあなたの会社では誰も経験が無い
とおっしゃるのでしたら、専門家のサポートが必要です。
多くの卸売業では情報システム仕様書はベンダーが書いてくれるものだと考えてき
ました。
これが間違いなのです。
業務プロセス定義書が無ければ正しい情報システム仕様書は作成できないのです。
世の中に情報システム構築の失敗例はたくさんあります。
その失敗のほとんどは業務プロセス定義書を発注側が作成しないことに起因してい
るといえます。
よくいう「仕様書の不備」といわれているものです。
「仕様書の不備」は「業務プロセス定義の不在」が原因です。
ソフト開発40年の経験から断言できることです。
発注側は業務プロセス定義書を自社メンバーでかけないなら専門家のサポートを受
けても作成すべきものです。
業務手順という視点で言えば
業務プロセス定義は仕事をキチンと描写することです。
情報システム仕様書はコンピュータの処理に関わる業務手順しか対象にしていませ
ん。
従って、2つの関係は図式的に言えば以下の関係です。
業務プロセスと情報システム仕様書の関係
業務プロセス定義書
商品企画、発注・入荷・格納・・・
情報システム仕様書
営業、受注・出庫・検品・配送
発注、入荷・検品・・・受注、出荷・・
情報システム仕様書は
業務プロセスをすべて
カバーしていない。
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情報システム仕様書の検証をしても、は業務プロセスの検証にはならないのです。
情報システムを導入した場合、業務プロセスと適合するかどうかの事前検証は情報シ
ステム仕様書だけでは出来ません。
業務プロセス定義書が必要です。
このことを理解しておかないと、情報システム開発はシステム設計のスタートで誤り
を犯していることになります。
・ITのトレンド
ご存知のようにコンピュータはオフコンの時代が長く続きました。
クライアント/サーバ方式の時代になって約10年です。
今やWEBの時代です。
正確にはWEBとクライアント/サーバ方式の混在の時代です。
5年後にはクライアント/サーバ方式も古いといわれるでしょう。
インターネット通信の急速な進化がWEB化を後押ししています。
クライアント/サーバでやれることのすべてがWEBでは出来ない部分があるとい
う誤解もあります。
WEBで何でも出来ると主張する人がいます。
SaaS(Software as a Service)というサービスが登場しています。
セールスフォースドットコムという会社のASPサービスがそれを実現しています。
SaaSの考え方は以下の10項目です。
1. マルチクライアント方式(共同利用)
2. 高性能・高信頼性(堅固で強力なコンピュータパワー)
3. ビジネスアプリケーションの民主化(小企業でも大企業でも使える)
4. 大量データによるカスタマイゼーション(データを管理するデータをもつ)
5. Mush-Up(異なるWebシステムの連携)
6. WEBサービスベース
7. 開発環境をサービスとして提供
8. アプリケーションの選択
9. マルチアプリケーションの提供
10.マルチデイバイス対応の提供(モバイル端末、携帯電話などユビイキタス
対応を可能)
(セールスフォースドットコム社 CEO マークベニオフ氏の講演より)
SaaSの最大の狙いはローコスト基幹系情報システム構築なのです。
これからの情報システムを選択する中で、以上のITトレンドを頭の隅に置いて
考えることが必要ですね。
ではどうすればよいか。
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・ローコストで情報システムを構築する方法
はじめに、あなたの会社のどの業務を情報システムで支援するかを決めなければな
りません。
その業務に対する、パッケージまたはASPサービスを探します。
私がソリューションを探すお手伝をします。
もちろん、そのソリューションベンダーの候補は用意しています。
その適合度合いを検証し最適のベンダーを御紹介します。
その中からあなたの会社の業務にもっとも適合するパッケージまたはASPサービ
スを選択するのです。
従来は基幹系情報システムはオーダーメードかつオールインワンで、
ベンダーを一社選んでそこにお任せが普通の調達方式でした。
これからは、業務ごとに最適のソリューションを選択してインターネットでつなぎ
合わせて使う時代です。
マルチ・ソリューション結合方式です。
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[3]マルチ・ソリューション結合方式の情報モデル
次頁は卸売業データ処理モデルとそれをASPサービスとパッケージを結合して構
築している情報システムモデルです。
ホームページ
潜在顧客
潜在調達先
メール、DM
ホームページ、メール、DM
営業担当
企画・マーケテイング
商品部門
営業部門
ホームページ管理(集客)
発注
受注
入荷
出荷
格納
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これを4つのソリューションの連携で情報システムをいかのように構築します。
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ASPサービス
卸売業業務は従来のようにオーダーメイドのソフトを開発しないで
ソリューション(ブルーの枠)で基幹系情報システムを構築できます。
あなたの会社の情報システムをマルチ・ソリューション結合方式で
構築すればオーダーメードに比較してコストは半分以下になるはずです。
ユース流通システムでは長年の卸売業情報システム開発の経験を生かして
お客さまに最適のソリューションを御紹介し
基幹系業務システムの増築・改築を御支援いたします。
単にソフトウエアを御紹介するだけでなく
マルチ・ソリューション導入の調達支援、
開発と保守を円滑にするための契約書作成支援
導入成果に責任を持つコーチングサービスで「人つくり」の
御支援をさせていただきます。
なお、マルチソリューションコーデネートとは?
は下記をクリックしてご覧ください。
http://www.use-r.co.jp/sub01.html
(キーボード左下のコントロールキーを押しながらクリック)
お問い合わせ先
㈱ユース流通システム
マルチ・ソリューションコーデイネータ:鈴木
TEL:03-6380-3201
メール : ke-suzuki @use-r.co.jp
URL:http://www..use-r.co.jp
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