株式会社ユナイテッドアローズ 株主価値向上に 向けた取り組み

株式会社ユナイテッドアローズ
株主価値向上に
向けた取り組み
2015年5月22日
株式会社ユナイテッドアローズ
IR室 室長 丹 智司
1
会社概要
2
会社概要 ∼事業内容・沿革・業績等∼
事業内容
衣料品等小売業(紳士服、婦人服および雑貨等の企画・販売)
※セレクトショップ:国内外から調達したブランド品やデザイナーズ品とオリジナル企画商品を
ミックスして提案。高感度と高収益性を両立。
沿革
1989年 創業
1999年 株式店頭公開
(現:ジャスダック)
2002年 東証2部上場
2003年 東証1部指定
業績等
売上高 1,310億円
経常利益 115億円
店舗数 334店舗(うち海外2店舗)
(2015/3期連結実績)
企業グループ
当社と連結子会社3社の計4社で構成(全て100%出資)
株式会社ユナイテッドアローズ、株式会社フィーゴ、
株式会社コーエン、UNITED ARROWS TAIWAN LTD.
※すべて同セグメント、展開商材・エリア・価格帯等が異なる
3
経営体制
経営体制
組織形態 監査役設置会社
取締役 5名(うち1名独立社外取締役)
監査役 3名(全員が独立社外監査役)
※2015/6より独立社外取締役2名体制
代表取締役 竹田 光広 プロフィール
1986年
2004年
2005年
2008年
2010年
4月
4月
9月
7月
6月
兼松江商㈱(現 兼松繊維㈱) 入社
兼松繊維㈱ 欧米輸入製品部 部長
当社入社 ブランドビジネス部 部長
上席執行役員 事業開発本部 本部長
取締役 常務執行役員
第一事業統括本部 統括本部長
2011年 4月 取締役 副社長執行役員
2012年 4月 代表取締役 社長執行役員
4
経営理念
経営理念
私たちは、世界に通用する
新しい日本の生活文化の規範となる
価値観を創造し続けます
社是
店はお客様のためにある
社会との約束
5つの価値創造
(お客様、従業員、取引先様、社会、株主様)
5
株主価値向上に向けた取り組み
6
主な受賞(IR・企業活動系)
2002年 日本IR協議会 IR優良企業奨励賞 受賞
2003年 日本IR協議会 IR優良企業賞 受賞
2005年 日本IR協議会 IR優良企業賞 受賞
2012年 日経アニュアルリポートアウォード 特別賞 要約版 受賞
2012年 東京証券取引所 企業価値向上表彰 大賞 受賞
2013年 ポーター賞 受賞
2013年 日経アニュアルリポートアウォード 特別賞 要約版 受賞
2013年 日本IR協議会 IR優良企業特別賞 受賞
2014年 日本IR協議会 IR優良企業大賞 受賞
7
株主価値向上に向けた取り組み
・株主価値向上を経営理念の要素の一つに掲示
・株主価値の向上に向け
→業績向上
→資本政策の充実
・・1
→資本効率の向上(ROE20%以上)
→IR活動の地道な改善
・・・・・・・・2
8
1.業績向上・資本政策の充実・資本効率の向上
・ 第一に業績の向上と資本政策の充実を目指す。
・ 業績が不安定な時期は必要に応じ追加資本政策を実施。
(DOE基準への一時的な変更、自社株取得等)
・ 上記実施により資本効率の継続的な向上を目指す。 円安等の対応遅れにより減
業績低迷した2009/3
期∼2011/3期の3期
はDOE4.5%基準を短信
に明示し配当実施。
■連結売上高と経常利益の推移(億円)
1,400
売上高
益した2015/3期は自社株
取得でROE20%維持(取得
なしでは18%程度)
経常利益
160
140
1,200
120
1,000
100
売上高 800
80
600
経常
利益
60
400
40
200
20
0
0
04/3期
05/3期
06/3期
07/3期
08/3期
09/3期
10/3期
11/3期
12/3期
13/3期
14/3期
15/3期
配当性向
10.2% 10.3% 10.9% 11.8% 27.6% 82.8% 84.2% 29.9% 22.7% 23.0% 26.9% 39.1%
1株当配当(円)
6.6
8.0
10.0 10.0 25.0 25.0 28.0
29.0 36.0 53.0 67.0
78.0
DOE
1.9% 1.9%
2.9% 2.3% 4.7% 4.6% 5.1%
6.8% 5.9% 6.6% 6.8%
7.7%
総還元性向 10.2% 10.3% 208.4% 11.8% 54.3% 82.8% 84.2% 325.9% 22.7% 23.0% 26.9% 110.9%
ROE
20.2% 20.2% 28.0% 21.8% 18.8% 5.6% 6.1% 18.7% 29.2% 32.7% 27.8% 20.2%
※2005/3月期までは単体のみのため単体実績、以降は連結となります。1株当配当金は株式分割を勘案した金額となっています。
9
2.IR活動の改善 ∼IRの基本姿勢∼
・企業理念「5つの価値創造」の1つに掲げている
株主価値創造に向けた取り組みを真摯に実行。
・株式上場以来、上記の実現に向け、トップ自らが
積極的にIRを遂行。
・業績低迷から回復・再成長を経て、さらなる企業
価値向上に向けた経営を推進。
・小売業として、個人株主はもちろん、アナリスト・
機関投資家も「株主様」=「お客様」として
おもてなし。
・近年は「情報格差の是正」をテーマに、直接説明が
難しい方々へ有益な情報をお伝えすべく活動を推進。
10
2.IR活動の改善 ∼2014年 IR優良企業大賞 選定理由∼
・ IR活動を高い水準で実行し、継続して改善している。
・ 情報開示は質・量ともに優れ、フェアディスクロージャーの
意識も高い。
・ 資本効率向上の姿勢がよくわかり、資本コストの考え方などの
説明も明快である。
・ フィードバックを重視しており、投資家の意見を社内に工夫して
伝えている。
・ 経営トップも投資家との対話を前向きに経営に活かそうとしている。
・ IR部門は問い合わせに対し迅速で丁寧に対応し、信頼感がある。
・前述の「IRの基本姿勢」に基づいた各種取組み・改善活動を
ご評価いただいたものと考えます。
11
2.IR活動の改善 ∼IR優良企業大賞で評価いただいた点∼
投資家の視点を経営判断の参考に
・ 長期、中期計画ともにROE目標を明示
資本コストを意識した投資判断の決定
プロセスの説明
投資家の意見・要望は速やかに経営陣へ伝達
投資家が理解・納得できるような定量・定性面の
十分な説明の準備ができているか、トップ自らが
入念にチェック
中長期計画 定量目標説明スライド
経営理念を株主と社員で共有
[審査委員のコメント]
「①情報開示、②問い合わせの対応、③経営環境・業績が変化し
たときの説明、④資本効率向上に対する姿勢は全て優れており、
評価できる内容」「中長期経営戦略の開示、ROE目標の開示など
が優れている。また投資規律、資本コストの考え方など投資家の
求める説明をクリアに実施。同様の考え方が現場へ浸透している
など、先進的な企業との評価」「経営トップもIR担当も投資家との
ディスカッションを建設的に進めて、事業経営に活かそうとの姿勢
が顕著であり、高く評価できる」
投資家面談チェックシート→とりまとめて経営へ
当ページは日本IR協議会様作成の「2014年IR優良企業講座」弊社IR活動ご紹介ページを元に作成いたしました。
12
2.IR活動の改善 ∼IR優良企業大賞で評価いただいた点∼
開示情報の一貫性
四半期毎にトップが報道機関やアナリスト
向けの説明会に登場し、直に説明
EC担当者とのミーティングなど、事業部門の
理解深堀に役立つ機会を多く提供
決算説明会動画(IRウエブサイトより)
動画のアップロード、質疑応答における
詳細なコメントをウェブサイトに開示
[審査委員のコメント]
「従前より安定したIR体制を敷いており、信頼感がある。社
長にも市場のニーズが十分伝えられていると感じている。」
「IR活動自体が高いレベルにあるがさらに最近改善された
点は、毎月の月次発表後に投資家やアナリストから寄せら
れた質問に対する答えを集約し、それをメール並びに自社
HPで関係者に開示するようになったこと。情報の偏りを無
くすよう努力されている」
月次概況の質疑応答集(IRウエブサイトより)
当ページは日本IR協議会様作成の「2014年IR優良企業講座」弊社IR活動ご紹介ページを元に作成いたしました。
13
ご参考
株式会社ユナイテッドアローズのIR実務
(2014年 IR優良企業講座より)
14
組織およびIR体制等 ∼全社組織図∼
お客様
店舗
ウ
商
品メ
部ン
ズ
事
業
戦
略
部
販
売
部
U
A
本
部
商メ
品ン
部ズ
店舗
ウ
商
品メ
部ン
ズ
ィ
商メ
品ン
部ズ
ィ
販
売
部
店 舗
事
業
戦
略
部
B
Y
本
部
C
H
本
部
店舗
店舗
D
R
W
部
A
S
T
部
第
一
S
B
U
本
部
店 舗
事
業
戦
略
部
販
売
統
括
部
商
品
部
店舗
店舗
店舗
店舗
店舗
店舗
A
E
部
O
E
O
部
J
C
部
B
C
部
C
D
部
事
業
戦
略
部
第
二
S
B
U
本
部
G
L
R
本
部
第一事業統括本部
店舗
O
L
T
本
部
第二事業統括本部
生産支援部
業務推進部
商品支援本部
仕入支援部
事業支援本部
品質管理室
情報システム部
販売支援部
デジタルマーケティング部
計画管理部
管理本部
経営戦略本部
財務経理部
総務法務部
経営企画部
人事部
IR室
店舗開発部
内部監査室
ファッションマーケティング部
社長
(2014年4月1日現在)
15
組織およびIR体制等 ∼IR体制およびIR関連業務遂行部門∼
■IR組織体制
IR室(4名、うち1名時短社員)
社長−IR担当役員(取締役専務執行役員)の直下
■IR関連部門の組織体制と業務(2014年4月1日現在)
IR室
管理本部・
IR担当役員
管理本部
(業務の詳細は後述)
財務経理部
・決算短信の作成
・有価証券報告書の作成
総務法務部
・株主総会関連業務
・株式事務
計画管理部
・単年度、中期計画策定
・期中の見込み策定
社長
経営戦略
本部
経営企画部
・広報業務
店舗開発、
人事部門等
(事業支援部門・事業部門)
16
IR部門の具体的活動 ∼直接的IR活動∼
■アナリスト・機関投資家向け直接的IR活動・フィードバック
・決算説明会・・年4回開催、すべて社長が経営方針や重点課題の進捗等を説明。
説明会前日にIR部門にて電話会議開催。短期業績等に関する
質疑に対応することにより、翌日の説明会で社長が戦略や中長期
課題に対する質疑となるよう促進。
・スモールMTG・・社長スモールMTGは毎決算説明会後1∼2回開催、他に
投資家が関心を持つ事業について責任者によるスモールMTGや
マーケティング部門によるトレンド解説MTG、店舗見学会等を
複数回開催。
・海外IR・・アジア(香港、シンガポール)を中心に年間数回実施。
・投資家個別訪問・取材対応・・年間約300回実施。(訪問がメイン)
・国内カンファレンス・・年間6回程度参加。すべてマネジメントが参加。
・経営へのフィードバック・・個別面談等における経営・資本政策等へのご意見をFB。
面談時の質問を月次で定量分析し、関心事項を的確にFB。
決算説明会開催約1ヶ月前より複数回トップとIR部門で
MTG。業界および当社への投資家の期待と懸念を分析し、
投資家の知りたい情報をタイムリーに説明会に盛り込む。
17
IR部門の具体的活動 ∼間接的IR活動∼
■間接的IR活動、個人投資家向け活動
・アニュアルレポート・・日本語版、英語版双方発行。投資家面談等で獲たニーズを
もとに毎期少しずつ改善。2012年、2013年2年連続で
日経アニュアルリポートアウォード特別賞要約版受賞。
・株主通信・・年2回発行。アニュアル同様、社内デザイナー協力により当社らしい
デザイン、内容を心がける。
・データブック・・年2回発行。業績や売上等の詳細データを掲載。
投資家・アナリストの分析系業務の工数改善を目指し改善。
・IRホームページ・・特に近年は情報格差の是正に向け、各種改善を実施。
ゴメス、日興IR、大和IR等のIRサイトランキングで入賞。
・個人投資家向けIR・・証券会社営業担当者様向け説明会、支店説明会実施。
・株主総会・・集中日を避け夜間開催。総会終了後立食パーティ形式で株主懇親会
実施。
18
近年特に力を入れた取り組み
(1)情報格差の是正
(2)コーポレートガバナンスの充実
(3)フィードバックの強化
19
(1)情報格差の是正
20
(1)情報格差の是正
■情報格差の是正①
決算説明会WEB資料の充実
→決算発表直後にスクリプト付き決算説明会資料をUP。
説明会終了後2営業日を目処に説明会動画および質疑応答集をUP。
決算説明会動画
質疑応答集
スクリプト付き決算説明会資料
21
(1)情報格差の是正
■情報格差の是正②
月次売上概況資料(毎月初2営業日目に開示)のブラッシュアップ
→全社のみの売上情報開示から、ビジネスユニット(事業)別の状況も併せて開示。
→好調なアイテムについては、商品写真を掲載することで理解促進。
月次概況で
は業界初
(おそらく)
好調アイテムの写真掲載
事業別での月次売上情報開示
22
(1)情報格差の是正
■情報格差の是正②
月次売上概況資料のブラッシュアップ(続き)
→ 月次概況発表時の投資家・アナリストの質疑応答内容について、
月次概況発表後数日以内を目処に質疑応答集を開示(PDF版およびHTML版)。
機関投資家・個人投資家から非常に好評。
参考:株主通信アンケート(2014/1実施)
からいただいた個人投資家のご意見
毎月月次を出すだけでなく質疑応答を掲載して、数字の根拠を
丁寧に説明してもらえるので業績予想が立てやすく非常にあり
がたい。突然決算発表で数字だけ知らされる会社に比べて、た
とえ下方修正になっても継続保有できる理由になる。
上場企業の中でもトップクラスのわかりやすさがある。現状認識
や課題の策定、中期計画の策定など企業としてやるべきことを
すべてやっているので他企業を見る目を養うことができる。これ
からも月次とその質疑内容は継続して出してほしい。現状のIR
が続くなら株を売るつもりはない。
月次概況の質疑応答集
月次概況で
は業界初
(おそらく)
23
(1)情報格差の是正
■情報格差の是正(③反動の対策)
決算説明会実施前からスクリプト付説明会資料を掲載するなど、開示を以前より
充実させた結果、決算説明会アンケートで以下のようなご意見も・・
「決算説明会前日の決算発表日に電話会議があり、シナリオもアップされるので、
予習+授業効果で理解が深まる。一方、せっかく出席した説明会ではそれ以外のことも情報と
して欲しい。資料以上の開示は必要ないが、情報に立体感を持たせるなど工夫してほしい」
・説明会のみで定量情報を追加開示することは不可能(公平性の観点から)
・パワーポイントでは文章のみで説明している項目について、説明会では
ビジュアル、動画、商品、使用している実際の冊子等を多用し、説明会に
足を運んでいただいた方へ、可能な限り「立体感のある情報」をご提供。
24
(1)情報格差の是正
■決算説明会の充実事例
① 説明会開始前に事業のタイムリーな
取り組みについてのPR動画を投影。
② オープン前の店舗や競争力の強化に向けた
本部の新規施設等についてビジュアルで紹介。
海外店舗の完成予想CG
本部の新設プレスルーム
本部のアトリエ(サンプル工房)
本部の企画資料室(現:日本服飾文化振興財団所有)
25
(1)情報格差の是正
■決算説明会の充実事例
③ 説明会同日に注目度の高い取り組み等を
30分程度で説明する「付帯説明会」を開催。
(事例はグループ会社の概要や取り組みの付帯説明会資料)
④ 営業施策等について、口頭説明に加え、
ビジュアルで紹介。(事例はEC通販における
自社撮影画像のメリットについて説明)
・上記施策実施後の説明会アンケートより
→ ビジュアル化された説明内容となり良かった。
→ 説明会での開示内容が非常に充実している。いつもきめ細かい対応をされ、大満足である。
→ (上記では④)自社撮影の写真の比較はよくわかり参考になりました。こんなに違うのですね。
26
(2)コーポレートガバナンスの充実
27
(2)コーポレートガバナンスの充実
■コーポレートガバナンスの充実
2012年度のIR優良企業賞審査結果でコーポレートガバナンスが他の項目
に比べ低い→経営にフィードバックし、IR部門の重点課題の一つとして取り組み。
・2013年度の取り組み
① 2013年5月に発表した長期ビジョンで売上、利益に加えROE目標(20%以上)を開示。
② 2013年5月に配当性向目標(25%)を開示。(それまでは定量目標非開示)
③ アニュアルレポート(AR)2013およびIRウエブサイトのコーポレートガバナンスに
「取締役の報酬額の決定に関する方針」の項目を追加。
④ 同じくARおよびIRウエブサイトに社外監査役や新任社外取締役のメッセージを掲載。
・2014年度の取り組み
① 長期に加え、投資家から要望の多い中期経営計画を発表、中期でもROE20%以上を明示。
② 2013年度末にネットキャッシュがプラスになったことを踏まえ、配当性向目標を30%に。
③ SR活動を充実。いただいたご意見から招集通知の議案記載内容を改善。
(取締役選任議案のページに「新任・再任」、「社内・社外」の別および取締役会出席率掲載)
④ アニュアルレポート(AR)2014およびIRウエブサイトのコーポレートガバナンス項目に
「経営管理体制」の項目を追加し、①収益責任の明確化、②投資基準、撤退基準の明確化
を掲載。資本コストの考え方などを明示。
⑤ スチュワードシップコードの策定を受け、決算説明会にてトップより「スチュワードシップコード受入
機関投資家様へのご協力・ご対応についての方針」を説明し、ウエブへ掲載。
28
(2)コーポレートガバナンスの充実
※参考:AR2014 コーポレートガバナンス 経営管理体制記載例
・収益責任の明確化と重要指標管理
当社では、直営全店舗を個別に損益管理
し、それを積み上げた各事業(ストアブラン
ド)単位での損益を管理することで、事業ご
との収益責任を明確化しています。また、売
上高・商品消化率・換金率・商品ROI・買上
率などの重要指標(KPI)について目標値を
設定し、それらを達成するための行動計画
を部門・店舗や従業員単位で設定した上
で、その進捗状況などについて日次・週次・
月次・シーズン・年次で管理しています。そし
て個人・店舗・部門がそれぞれの目標を達
成することにより、全社的な経営目標が達
成される体制を構築しています。
・投資基準、撤退基準の明確化
当社では、営業活動の結果得たキャッシュの有益な活用に向け、新規の営業設備投資や大型改装に当
たっては、社内で設定した資本コストを勘案した投資回収年数、正味現在価値(NPV)や内部収益率
(IRR)の算定を行い、自社が設定したハードルレートを超過することを条件として投資判断を行っています。
また、新規事業については、3年目で単年度黒字化、5年目で累積損失解消が不可能と見込まれた場
合、収益改善に向けた全社的なバックアップを行いながら、改善不可能な場合には撤退の判断を行いま
す。2008年3月期以降、3年にわたる業績低迷時においては、22あった展開事業のうち、10の不採算事
業の撤退を実施することで、収益性の回復を図りました。
29
(2)コーポレートガバナンスの充実
※参考:スチュワードシップコード受入機関投資家様へのご協力・ご対応についての方針
(2014年11月開催の2015年3月期 2Q説明会で説明+IRウエブサイト掲載)
2014年2月に政府の成長戦略の一環として「スチュワードシップコー
ド」が策定されました。企業の持続的成長と企業価値の向上を促す取り
組みとして、当社においても真摯に対応していきたいと考えます。特に
原則3の「投資先企業の状況を的確に把握すること」、ならびに原則4
の「目的を持った対話を通じて投資先企業と認識の共有化を図ること」
について、事業会社として可能な限りご協力いたします。
原則3については、短期および中長期的な業績動向といった「財務情
報」に加え、外部・内部の環境要因や経営戦略、財務戦略、ガバナン
ス・リスク管理体制等の「非財務情報」についても、真摯にご説明いた
します。原則4については、当社の経営理念の1つである「5つの価値
創造」に則り、投資家の皆様に対して常におもてなしの心で真摯に対
応することで、健全な信頼関係を構築していきたいと考えます。また、皆
様との対話からいただきました貴重なご意見については、今後の経営
活動や事業活動に有効に生かしていきます。以上の取り組みにより、
投資家の皆様と相互理解を深め、認識の共有を図っていきます。
各種取り組みにより、IR優良企業賞審査の「コーポレートガバナンス」偏差値が向上。
(2012年度:51.60 → 13年度:57.57 → 14年度:68.35)
30
(3)フィードバックの強化
31
(3)フィードバックの強化
■経営へのフィードバック
① 月次および随時
・ アナリストレポート(随時)および各社業績予想のとりまとめ
・ 個別面談でのご意見・要望+質問項目の定量分析
・ 上場同業他社との株価、出来高、PER、PBR比較
・ 上場同業他社の適時開示情報とりまとめ(業績修正、資本政策他)
② 決算説明会に向けた準備(上記に加え)
・ 投資家から見た業界および当社への期待と懸念分析
・ 上場同業他社の直近業績分析(幅広く、業界全体の業績傾向分析)
・ 前回説明会アンケート結果分析のおさらい
・ 投資家の要望、ご意見の適時・適切な経営へのフィードバック
・ 業界や同業他社と比較した資本市場からの評価の確認
・ 幅広く業界を見ている投資家と視野や視点を近づける
32
(3)フィードバックの強化
※参考:使用資料イメージと流れ
IR面談質問項目定量分析
IR月間報告
業界・当社への期待と懸念分析
個別面談時チェックシート
プラス他社決算
分析、アンケート
分析等
・資本市場の期待と懸念共有
・決算説明内容の検討・決定
33
(3)フィードバックの強化
■社内へのフィードバック
・ 四半期毎の決算説明会後に社内報にて社長が説明内容、質問、反応等を解説。
・ 必要に応じ、年に1度の全店店長会で資本市場の期待と懸念等を社長が解説。
(2015年2月の店長会では、自社株取得の意義、キャッシュフロー経営の重要性
を社長が解説)
・ IRウエブページの掲載充実やIRお知らせメールの適時発信による社内IR効果。
・ IR部門の情報収集に協力いただいた部門・店舗へ業界の情報や市場の反応を
フィードバック。
・ 説明会・見学会等で投資家対応いただいた部門・店舗へ感想や反応のフィードバック。
■ 決算説明会アンケート結果の投資家へのフィードバック
・ 四半期毎の決算説明会場で投資家・アナリストからいただいたアンケートは、集計と
ともにご意見、ご質問への回答を記載し、翌営業日中にメーリングリストで配信。
・ 社内・社外の双方向のコミュニケーション強化・理解促進
34
終わりに
「日々の活動で心がけていること」
35
日々の活動で心がけていること
・投資家からのご意見や各種アンケートのフィードバックは
宝箱。改善に向けたヒントが詰まっている。
・ご意見やアンケートに応えた活動・改善を実行すると、
さらに活発な意見交換につながり、新たな改善のヒントが
見つかる。
・改善のアイデアはチーム全員でひねり出す。
・外部評価等から弱点領域を特定し、先進事例を参考に
潰しこむ。(以下、近年の当社事例)
→お会いできる方とできない方の情報の差を埋める。
→コーポレートガバナンス開示の充実。
・小さな改善の積み重ねと真摯な対応がIRの質的向上に
繋がり、必ず高い企業価値向上・評価に繋がる(と信じている)
36