船橋市グループの取組み - 水産多面的機能発揮対策 - 1.地域の概要 当グループが活動する船橋市は、千葉県の北西部、東京湾の最奥部に位置する。中核市に指定されており、 人口は約 61 万人、面積は 85.64 ㎢。9 路線 35 駅が通り、充実した住環境を誇るとともに、京浜コンビナートの 一角であり、食品製造業が盛んである。最近では、市の非公認キャラクター「ふなっしー」が市の PR に一役買 っている。また、船橋沖は三番瀬と呼ばれる東京湾最奥部の干潟が広がり、江戸時代には徳川家の御菜浦(お さいのうら)として、将軍家に魚介類を献上するなど、古くから地域を代表する漁業が行われてきた。現在も 良好な漁場となっている。 船橋市の主な漁業は、三番瀬における海苔養殖とアサリやホンビノスガイなどの採貝漁業、その沖合の漁場 ではカレイ、スズキ等を漁獲する小型機船底引き網漁業、スズキ、イワシ等を漁獲するまき網漁業等である。 ■アサリ 2.地域(干潟)の現状と課題 ■バカガイ ■ホンビノスガイ ■その他 7,000 千葉北部地区(三番瀬を中心としたエリア)はアサリの漁獲量減少が著しく、1980 年代には 3,000~10,000 トン前後だったが、近年は 500t 以下にまで落ち込んでいる。 当地区のアサリ漁獲量減少の要因として、冬季減耗(波浪・水鳥の食害など)や漁場 環境悪化(底質の泥化や固化など)による稚貝発生量の減少、河川出水時における江 戸川放水路からの泥濁水の放水、そして東京湾奥部で発生する貧酸素水(青潮)の発 生などがあげられる。中でも、冬季風浪によるアサリの散逸、青潮や出水などの一過 性の環境悪化による大量へい死、ハジロガモ(スズガモ)やツメタガイによる食害は 深刻な問題となっている。 漁獲高(t) 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2 S59 S61 S63 H2 H4 3.グループ(活動組織)の概要 H6 H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 H22 H24 船橋市の漁業(採貝漁業) 上記課題に対応するため、平成22年度から環境・生態系保全対策、平成25年度からは水産多面的機能発揮対策に取り組んでいる。船橋市漁 協の組合員と地域住民を中心として、2つの活動組織を設立し、「船橋市グループ」として地域一体となった活動を展開している。 干潟・浅場の保全活動項目 船橋三番瀬保全活動グループ 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 実施組織 客土 全組織 耕耘 船橋三番瀬活動グループ 機能低下を招く生物の除去(腹足類) 船橋市漁協活動グループ モニタリング 全組織 機能発揮のための生物移植 船橋市漁協活動グループ 教育と啓発の場の提供 全組織 漁村の伝統文化、食文化等の伝承機会の提供 船橋三番瀬活動グループ 船橋市漁業協同組合活動 グループ 凡 例 活動エリア モニタリング地点 (アサリ資源量調査地点) ※機能低下を招く生物の除去のうち、(腹足類)は主にツメタガイを中心に除去している。 4.グループ(活動組織)の活動状況 【モニタリング】 2011 年の津波でアサリ漁場の柔らかい表層砂が流出し固い地盤になったためにアサリ稚貝の 着底が悪くなったと考えられたので、2012 年、2013 年に漁場耕耘を行った。2014 年にはアサリ 稚貝の発生が良かったが、活動グループでは耕耘による効果がでたものと考えている。 年6回(2 ヶ月に1回) 、26 箇所の定点において、アサリ資 源量のモニタリングを実施。大捲籠に 2mm の網を張って砂ごと アサリを採集し、砂をふるって残ったものを7段階の篩でふる い分け、各ふるいに残ったアサリ等を計数。 図中の青潮では稚貝よりも成貝(殻長 27mm 以上)の死亡率 が高くなるため、青潮発生後の漁獲量は大きく低下する。青潮 はアサリ漁業に大きな被害を与える。 アサリ資源量(個/m2) 漁獲高(t) 500 120 耕耘(底曳き船のケタで海底を耕す) 客土(H26 年度は約 512m3 を投入) 機能低下を招く生物の除去(腹足類) H26 年度はツメタガイ約 56kg 回収 400 青潮 青潮 450 30mm~ 27~30mm 100 23~27mm 16~23mm 350 80 250 11~16mm 7~11mm 青潮 出水 300 60 3.8~7mm アサリ漁獲高 青潮 200 150 40 100 20 50 0 教育と啓発の場の提供 (乾海苔つくり体験) 漁村の伝統文化の継承 (みなとまちの町歩き) 平成26年度 2月 4月 6月 8月 10月 12月 2月 4月 6月 8月 10月 12月 2月 4月 6月 8月 10月 12月 2月 4月 6月 8月 10月 教育と啓発の場の提供 (漁業体験) 0 2 水産多面的機能発揮対策事業 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 :青潮 :出水
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