ウシ精巣性ヒアルロニダーゼ活性に及ぼすオリゴ糖の影響

ウシ精巣性ヒアルロニダーゼ活性に及ぼすオリゴ糖の影響
○柿崎育子 1, 小泉英誉 1, 陳鳳超 1, 多田羅洋太 1, 須藤晋一郎 2,
後藤昌史 2, 4, 黒田喜幸 2, 中村敏也 2, 3, 遠藤正彦 1
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弘前大・院医・高度先進医学研究セ・糖鎖工学, 2 糖鎖医学,
弘前大・院保・医療生命科学・生体機能科学, 4 サンスター(株)研究開発部
ウシ精巣性ヒアルロニダーゼ(BTH)は、ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸
に作用する酵素である。本酵素は、加水分解反応と糖転移反応を触媒するが、反応機
構の詳細は明らかにされていない。BTH の阻害剤は、反応機構に関する研究や医学応
用を目指した研究に有用と考えられる。本研究では、BTH の加水分解反応および糖転
移反応に及ぼすグリコサミノグリカンオリゴ糖の影響を検討した。
ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸由来のオリゴ糖は、BTH(シグマ アルドリ
ッチ(株), Type 1-S)による部分分解あるいは化学処理により調製した。BTH によ
る加水分解反応には、ヒアルロン酸(
(株)フードケミファ, Mr=80,000)あるいはヒ
アルロン酸 8 糖を基質として用いた。糖転移反応には、ピリジルアミノ化したヒアル
ロン酸 6 糖をアクセプター、また、ヒアルロン酸(Mr=80,000)をドナーとして用い
た。反応生成物の分析は、YMC-Pack Polyamine II カラム((株)ワイエムシィ)を用
いた HPLC で行った。
BTH の加水分解反応において、コンドロイチン 4-硫酸及びコンドロイチン 6-硫酸
の 4 糖、6 糖が濃度依存的に阻害効果を示した。糖転移反応においては、ヒアルロン
酸、コンドロイチン 4-硫酸、コンドロイチン 6-硫酸の 4 糖、6 糖が濃度依存的に阻害
効果を示したが、コンドロイチン硫酸の阻害効果の方が高い可能性が示された。2 糖
である N-アセチルヒアロビウロン酸、N-アセチルコンドロシンは両反応において阻害
効果を示さなかった。加水分解反応と糖転移反応の反応系は異なるが、現在、さらに
オリゴ糖を調製し、両反応におけるオリゴ糖の阻害効果の違いについて検討中である。