BSSJ Newsletter No.02

日本蝶類科学学会
The Butterfly Science Society of Japan
www.butterflysociety-jp.org
バタフライ・サイエンス
ニュースレター
2015年4月1日
Butterfly Science
NEWSLETTER
No.2
平成 26 年度会員総会が開催される
3 月 14 日(土)午後1時から、東京都千代田区一ツ橋の日本教育会館で平成 26 年
今号の内容
度会員総会が開催されました。
開会宣言の後、朝日純一運営委員長が議長となって議事が進められ、伊藤建夫会
1
総会、決算報告
長の挨拶の後、平成 26 年度の運営・活動報告および決算報告がありました。続いて、
2
講演要旨
3
鱗翅目和名あれこれ
平成 27 年度の運営活動計画の報告、そして第8期副会長・理事の補充選任があって
「アカボシゴマダラ」
4
新書案内
5
アメリカン・バタフライズ
氏に賞状と副賞が伊藤会長から授与されました。そして、会のシンボルマークのデザ
6
千夜一蝶物語
インを作っていただいた、理事の池沢隆一氏には感謝状が贈られました。
6
お外にでましょ
7
ネットニュース
議事が終了しました。
その後、表彰式があり、バタフライ・サイエンス賞として黒滝敏文、村上貴文の両
議事等が終了したので記念講演会に移り、高橋真弓、東城幸治、矢後勝也の3氏
の講演のあと、同じ日本教育会館の中国料理・泰南飯店で懇親会(写真)が行われ
ました。
日本蝶類科学学会 平成 26 年度定時会員総会
平成 27 年 3 月 14 日(土)
1.開会宣言. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 運営委員長(副会長) 朝日純一
(議長選任・総会出席者人数発表)
2.会長ご挨拶. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 会長 伊藤建夫
3.議事 1)平成 26 年度運営・活動報告の件
・運営・活動報告. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 運営委員長 朝日純一
・平成 26 年度決算報告. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 財務委員長 山田成明・財務副委員長 小林真一郎
・監査報告. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 監事(議長代読)
2)平成 27 年度運営・活動計画報告の件
3)第8期 副会長・理事 補充選任の件
・副会長として、中村英夫氏(編集委員長・東京都町田市)、麻生紀章氏(企画委員長・神奈川県川
崎市)、山田成明氏(財務委員長・東京都杉並区)が選任されました。
・理事として、森一弘氏(北海道札幌市)、長谷純氏(大阪府牧方市)、大床豊治氏(千葉県船橋市)、
島谷光二氏(北海道札幌市)が選任されました。
4.各委員会からの報告
1)運営委員会. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 運営委員長 朝日純一
・事務局所在地の表示変更
2)編集委員会. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 編集委員長 中村英夫
・会誌 Butterfly Science の現在の発行・編集進捗状況、今後の発行計画、投稿規程・原稿募集など
3)企画委員会. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 企画委員長 麻生紀章
・
会誌の装丁・ロゴの一新、BS ニュースレターの発行状況と今後の発行計画、バタフライズフォー
ラムなどの活動企画
5.
「バタフライ・サイエンス賞」の発表・授与式. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 伊藤会長(麻生企画委員長)
平成 26 年度受賞者:
・黒滝敏文氏「九州地域産ゴマシジミの形態・斑紋変異」(B-S:No.65 掲載 )
・村上貴文氏「九州のゴマシジミ」(同上)
6.閉会
2 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
表彰式
日本蝶類科学学会にはバタフライ・サイエンス賞、日本蝶類科学学会賞の2つの賞があります。
バタフライ・サイエンス賞はその年度にバタフライ・サイエンス誌〈2014 年度はバタフライズ (f) 誌〉に掲載された
なかで最も優秀な論文等に与えられます。
日本蝶類科学学会賞はその年度またはそれ以前の会、および蝶界ほかへの功績に対して贈られます。
今回は日本蝶類科学学会賞は該当がありませんでしたが、バタフライ・サイエンス賞は次のお二人が受賞されました。
お二人には伊藤会長から賞状と副賞が授与されました。
黒滝敏文氏
バタフライズ (f) № 65 に掲載された論文「九州地域
産ゴマシジミの形態・斑紋変異」が優秀論文と認め
られたため。
村上貴文氏
バタフライズ (f) № 65 に掲載された論文「九州のゴ
マシジミ」が優秀論文と認められたため。
APR 2015 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | 3
平成 26 会計年度 (H26 年 1 月~ 12 月 ) 決算 (H27.3.14.)
一般会計
【収入】
1.会
費
¥2,447,000.-
2.会誌売上
¥345,700.-
3.総会・フォーラム・懇親会
¥13,000.- 4.そ の 他
¥67.-
―収入合計―
¥2,805,767.-
(非会員参加料など) (受け取り利息)
【支出】
1.会誌・ニューズレター ¥2,939,956.-
1)印 刷 費
¥2,483,887.- 2)編 集 費
¥189,098.-
3)送
¥266,971.-
料
2.総会・フォーラム・理事会
¥503,798.-
1)会 場 費
¥200,291.-
2)会合費用
¥93,507.-
3)講師謝礼など
4)表彰費用
(B-64/65/66 号 ;NL53/54 号・号外 ;BSNL1 号)
(標本写真撮影・写真借用費用含む)
¥130,000.¥80,000.-
3.事務費
¥100,590.-
1)会務通信費
¥45,899.-
2)会務運営費
¥28,690.-
3)銀行手数料
¥3,430.-
4)その他(文具など)
¥22,571.-
―支出合計―
¥3,544,344.-
―当期収支― ▲¥738,577.-
―前期繰越―
¥1,401,989.-
―次期繰越―
¥663,412.-
(A1 口座預金期末残高
¥303,442.-)
(A2 残高
¥197,898.-)
(B 口座預金期末残高
¥162,072.-)
特別会計
基金期初残高
¥9,262,415.- 期中取崩・積立
¥0.-
送金手数料・受取金利など
基金期末残高
¥1,472.¥9,263,887.- (基金銀行口座期末残高)
4 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
平成 27 年度活動計画
・定時会員総会・理事会(H27/3 月 14 日)
・運営委員会・編集委員会(両委員会兼用 / ほぼ毎月)
・バタフライズ・フォーラム(H27/11 月予定)
・会誌発行
H26 年度分
Butterfly Science(BS) 1 号 :H27/3/1 発行
H27 年度分
BS 2 号 :H27/5・6 月発行予定
BS 3 号 :H27/9・10 月発行予定
BS 4 号 :H28/2・3 月発行予定
・バタフライ・サイエンス・ニュースレター発行(2/3/4/5 号発行)
・その他(表彰・保全活動・啓蒙活動・分布記録集積など、必要に応じて基金を活用して推進)
平成 27 会計年度 (H27 年 1 月~ 12 月 ) 予算 (H27.3.14)
一般会計
【収入】
1.会
費
¥3,200,000.-
2.会誌売上
¥350,000.-
3.総会・フォーラム・広告など
―収入合計―
¥10,000.¥3,560,000.-
【支出】
1.会誌・ニューズレター
1)
印 刷 費
¥3,130,000.¥2,600,000.- (BS-1/2/3 号 ;BSNL-2/3/4/5 号分)
2)
編 集 費
¥150,000 .- (標本写真撮影委託料・写真借用費含む)
3)
送
¥250,000.- (会誌・NL・諸通知配送料)
料
4)
デザイン料
¥130,000.-
2.総会・フォーラム
¥400,000.-
1)
会 場 費
¥200,000.-
2)
会 合 費
¥90,000.-
3)
講師御礼
¥75,000.-
4)
表彰費用
¥35,000.-
3.事務費 ¥115,000.-
1)
事務所・業務委託費
¥0.-
2)
会務通信費
¥50,000.-
3)
会務運営費
¥30,000.-
4)
送金手数料
5)
その他(文具など)
―当期収支予定―
¥5,000.- ¥30,000.▲¥85,000.-
―前期繰越(決算額)―
―支出合計―
―次期繰越予定―
( 表紙・ロゴ・封筒の刷新に伴う特別経費 )
¥663,412.¥3,645,000.-
¥578,412.APR 2015 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | 5
記念講演要旨 ①
蝶と共に生きる 高橋真弓氏(元日本鱗翅学会会長)
高
橋真弓先生は静岡昆虫同好会の創立者でキマダ
ラヒカゲが2種いるということを発見したこと
でよく知られていますが、今回は生い立ちから現在ま
での長い蝶人生を自由に語っていただきました。
先生は戦前に東京で生まれ、山形県の鶴岡で幼少の
頃を田んぼや自然に囲まれて育ち、小学生の頃三重県
の津市に移ってからはトンボが大好きになりました。
1941 年に戦争が始まると軍国主義の日本になりました
が、8 月 15 日に戦争が終わると、軍歌のレコードを叩
き割り、神棚まで焼いたというお話は、穏やかななか
にも烈しい一面がおありだということが分かります。
中学生になるとトンボから蝶に興味が移ったの
は、当時の図鑑で全部名前が分かるのは蝶だけだっ
たから、ということでした。
先生は採集と標本を大切なものとされますが、そ
れは標本の価値として、
1.分類学的な価値
然史博物館をつくり、学芸員も採用されて軌道に
乗っているということです。
蝶はなぜそこにいるのか、そして蝶の種とはどう
2.生物地理学的価値
いうものか、ということが先生の研究のテーマで
3.生態学的な価値
すが、高校の生物部のときに富士川の東と西では
4.自然史上の価値
蝶の分布が違うということに興味を持ったという
さらには教育的価値があるからだということで
ことです。オオムラサキ、クロヒカゲモドキは東
す。一昨年のフォーラムの時に書いていただいた
にはいない、西にはヒメシロチョウ、ゴマシジミ
色紙にもそう書いてあります。
がいない。食草や環境はあまり変わらないのにな
静岡に自然史博物館が無いので静岡大の隣の廃校
ぜなのか。ご出身の静岡大のコロンビア・アンデ
になった高校の建物に標本1万箱が収容できる自
ス学術調査隊に加わり南米に行くと、地球の裏側
にも種は存在することがあらためてわかり、種の
あり方、起源、歴史について研究することが生涯
のテーマになりました。
先生の業績でよく知られたキマダラヒカゲについ
ては、平地型、高地型の色などから2種に分かれ
ることを突き止め、「蝶と蛾」に発表しました。
近年は台湾、モンゴル、中国、ロシア、韓国へ蝶
の調査に行き、日本の周辺から日本の蝶の位置づ
けを探る研究をされています。
80 歳を超えられてますますお元気ですので、い
つまでも蝶の研究でご活躍されることを願ってい
ます。(麻生記)
6 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
記念講演要旨 ②
日本列島の地の利を活かした昆虫の系統地理学 東城 幸治(信州大学理学部生物科学科・進化生物学講座)
日
本列島は小さ
音開き」型の離裂であったと考えられている。また、
な島嶼にすぎ
1500-500 万年前のフォッサマグナの影響も大きいと思
ないが、列島全体が
われる。
生物多様性の「世界
加えて、「地震列島」や「火山列島」とも称される日
的ホットスポット」と
本列島は、世界的にも主要な 4 つもの地殻プレートが
して位置づけられて
ひしめき合っている唯一の地域でもある。このことに
いる。小笠原諸島や
より、現在もなお激しい地殻変動がもたらされ、第四
伊豆諸島など、
「海洋
紀以降の激しい造山活動や山体崩壊などがつづいてい
島」的要素も含まれ
る。当然、生物たちもこれらの影響を強く受けながら
るが、大部分は「大
系統進化を遂げてきたはずである。
陸島」からなる。一
歴史を紐解く際、太古の時代よりも比較的新しい時
般に、大陸島の生物
代の史実の方がより高い精度で解明できることと同様
相は
「大陸の出店
(サテライト)
」的であると表現されるが、
に、生物の進化史においても、比較的新しい時代の進
日本列島における生物相の豊富さはたいへん興味深い。
化史の方がより高精度で究明できる。すなわち、本邦
この要因としては、
(1)南北に長い列島であり、亜
における劇的な地殻変動とそれに伴う生物の進化史を
寒帯から亜熱帯までの複数のバイオームを縦断するこ
紐解く研究は、地震・火山列島ならではの「地の利」
と、
(2)アジアモンスーン気候の影響により、湿潤環
を活かした研究であると言える。
境が維持されていること、
(3)日本アルプスに代表さ
このような観点から、日本列島の形成当初からの影響
れるような 1500-3000m 級の複数の脊梁山脈が実在し、
を受けたと思われる昆虫種群を対象にした、分子系統地
随所において標高差のある多様な環境が維持されてい
理学的な研究成果を紹介した。中でも河川源流部に生息
ること、
(4)陸橋を介した分散や島嶼間を渡る分散など、
するカメノコヒメトビケラ類の研究では、全世界に 9 種
複数ルートが存在する(した)ことなどが挙げられる。
知られているうちの 6 種が日本列島から記録されており、
しかし、これら以上に大きく寄与した要因として、
世界の二大系統の分化が日本列島内の糸魚川 - 静岡構造
特殊で複雑な列島形成史が挙げられる。約 2500 万年前
線付近で生じているという興味深い結果が得られた。二
には大陸東縁に位置していた日本列島が、その後 1500
大系統群の分岐の深さ(分岐年代の古さ)から考えても、
万年前頃までに大陸から離裂したとされ、古地磁気学
東日本と西日本が独立に起源したことと深く関係する遺
的研究からは、東日本・西日本それぞれが独立した「観
伝構造であると考えられる。
図 1 日本列島の形成史(Otofuji et al., 1985 を参考に改変)
図 2 カメノコヒメトビケラ類の二大系統の分化とその境界
APR 2015 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | 7
記念講演要旨 ③
チョウ類、最近のいろいろな研究成果 矢後勝也(東京大学総合研究博物館)
2003 年以前まで、演者は主
に形態に基づいたチョウ類の
やシロオビアゲハの擬態遺伝子に関する研究などについ
ても概説した。
分類や進化を九州大学にて研
なお、これらの研究成果の多くはすでに論文等で発表
究していたが、2003 年春に現
されているが、その概略を分かりやすくまとめた書籍「遺
在所属する東京大学に移って
伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界(仮)
」
(悠書館)
か ら は、 こ れ に DNA の 塩 基
が今春に出版される予定となっている。本書には演者の
配列データ等を用いた分子系
他に、伊藤建夫会長や本日のご講演者・東城幸治信州大
統学的研究を融合させた系統分類学や系統生物地理学、
准教授など総勢 11 名が執筆に携わり、昆虫に関する最
進化系統学を軸としながら、生態学的研究を含む保全
新の自然史学的情報が満載となっている。本書のご購入
生物学的研究も行ってきた。
を是非ともお勧めするとともに、ご購入希望の方はお申
そこで本講演では、これらの手法により創出された、
演者自身によるここ最近の様々な研究成果を紹介した。
具体的には、日本産シジミチョウ類数種(ゴマシジミ、ク
ロツバメシジミ、シルビアシジミ)や外国産タテハチョウ
類(イナズマチョウ属)などを用いた系統地理学的研究、
移入種(外来種)や温暖化などの環境変化によるチョウ
類の保全生物学的研究などである。
一方 で、 演者による研 究の 他に、 ここ 10 年 以 内に
Nature 等の国際誌で発表されたチョウ類に関する興味深
いトピックス、特にドクチョウ類の交雑種による種分化、
シロスジヒメシジミ属の種分化による強化、ドクチョウ類
8 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
し出頂けると幸いである([email protected])
。
懇親会
左上:乾杯の挨拶 狂言の人間国宝 山本東次郎師
右上:東次郎師と伊藤会長
右下:伊藤会長の挨拶
APR 2015 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | 9
神奈川県にて 伊藤哲夫氏撮影
鱗翅目
和名
アカボシゴマダラ
猪又敏男
近出版された日本産昆虫目録の蝶類(猪又ほか、
最
の方はこれに先んじて使用されている(宮島 , 1899)
2013)ではアカボシゴマダラという名称が標準
ことが書いてあった。ただし、前者の文献は未見であ
和名として採用され、( ) 内にアカホシゴマダラという
る。しかし、日本産(奄美産)が正式に認知されたの
別呼称和名(異名)を提示した。
は 1955 年のことで、それまでは分布域が “ 琉球または
本種には (1) アカホシゴマダラと (2) アカボシゴマ
沖縄本島 ” などという不明確なイメージが先行してい
ダラの2つの呼称が提示されており、いずれも " 赤い
た。つまり、アカホシゴマダラまたはアカボシゴマダ
星 " を意味していて単にカタカナの " ホ " が濁るかそう
ラという呼称は台湾産か大陸産(それぞれ別亜種)に
でないかの差異であり、本質的には両者に相違がある
たいしてあてがわれたものと解釈していいと思う。日
ものとは言えない。(1) は藤岡 (1975) に使用されてい
本産(奄美大島産)を顕著な新亜種として記載した白
るが、川副・若林 (1976)、猪又ほか (1986)、猪又・松
水博士はアカボシゴマダラを採用し、その後の『原色
本 (1995) では (2) のホが濁った “ ボ ” が用いられている。
台湾蝶類大図鑑』でも台湾産の本種にたいしても “ ア
前記したように “ 赤い星 ” を示す意味合いはどちらで
カボシゴマダラ ” としている。
もよいが、できることなら統一した表示が望まれる。
“ ホシ ” という日本語は曲者で、ふつう “ 星 ” と “ 干し ”
そこで、和名の付された歴史を知るための好著「蝶
という意の2つの語源が考えられる。後者は名詞と結
類名稱類纂」(高野 , 1907)をひもとくと、前者(1)
合すると “ うめぼし ” や “ 甲羅干し ” などのように本来
は黒岩(1901)がもっとも古い使用例であるが、
後者(2)
“ 干す dry” という語をもとにしているにもかかわらず、
10 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
“ ボ ” と濁って発音することを誰でも知っている。一方、
文 献
“ 星 star” の場合はどちらかということはないようであ
藤岡知夫 , 1975. 日本産蝶類大図鑑 . 2 vols. (312 pp. 142
る。
私は野球ファンではないが、かつて阪神タイガース
pp.). 講談社 , 東京 .
猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一
に在籍していた赤星選手の読みだけは気になっていた。
郎 , 2013. 日本昆虫目録 第 7 巻第 1 号 . xxv + 119 pp. ある日、同選手の背中に提示された名称(姓)を確認
櫂歌書房 , 福岡 .
することができた。そこには明確に ”Akahoshi” とあっ
猪又敏男・池田真澄・岸田泰則・板垣有而・金田喜高 ,
た。ここでは “ ホ ” と濁っていなかった。だからといっ
1986. 大図録・日本の蝶 .499 pp. (86 pls.). 竹書房 , 東
て、赤星が “ あかほし ” とするのが正しいとは言えな
京.
いが、時と場合によっては濁ったりそうでなかったり
猪又敏男・松本克臣 , 1995. 蝶 . 255 pp. 山と溪谷社 , 東京 .
することは許容しなくてはならない。
川副昭人・若林守男 , 1976. 原色日本蝶類図鑑 . 全改訂
不特定多数の事象についてはこのようなことに執着
する必要はないと思われるが、単一の生物種を示す名
称(和名)としてたとえ近似のものであっても複数の
呼称があること自体は良好な状態とはいえない。
新版 . vii + 422 pp., 72 pls. 保育社 , 大阪 .
宮島幹之助 , 1899. 日本産蝶類圖説 . 動物学雑誌 (129):
233-248.
Shirozu, T.,1955. New or little known butterflies from
the northeastern Asia,with some synonymic notes.
Sieboldia 1: 229-236, pls. 30-34. 白水隆 , 1960. 原色台湾蝶類大図鑑 . 481 pp., 76 pls. 保
育社 , 大阪 .
高野鷹蔵 , 1907. 蝶類名稱類纂 . 348 + 75 pp., 1 pl. 警醒
社 , 東京 .
神奈川県にて 伊藤哲夫氏撮影
APR 2015 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | 11
新刊案内
グリーンブックス 蝶類生物学英和辞典
日本大学教授 岩野秀俊 監修/鍛治勝三 著
定価 2,700 円(税込)
B6 判 178 頁 2015 年 4 月 21 日刊行予定
本書は、蝶類関連の英語版の論文や記事、図鑑、専門書を読んだり書いたりする
際に役立つ「蝶類の生物学」に関する英和辞典です。蝶類学、鱗翅学、昆虫学、
応用昆虫学の分野を中心に、関連する生物学や分子生物学なども包含した幅広い
学問分野で使用頻度が高いと思われる英単語や英用語など 8,803 語が収載されて
います。巻末には、付録として、日本産蝶類全 275 種の英名・和名を相互に引け
る英和・和英辞典も掲載してあります。
会員特別価格販売実施中!(2015 年 5 月末日まで)
特別価格 2,300 円(税・送料込。但し国内発送分に限る)
下記宛に日本蝶類科学学会会員であることを言って、メール・電話などで申し込
むと、郵便振替用紙が送られてきます。入金確認後、本が送られてきます。
お申込みは ㈱ニューサイエンス社 編集部 角谷(かどや)まで
〒 108-0074 東京都港区高輪 3-8-14 Tel: (03) 5449-4698 / Fax (03) 5449-4950
E-mail: [email protected]
文献をひも解く その 1 キトリナ双書 4
中谷貴壽・朝日純一・荒木崇著
定価 3,000 円(税込・送料別)A4 判 147 頁 2014 年 12 月 12 日発
行
寺章夫氏が主宰するキトリナ通信に掲載された、特に蝶類についての文献にまつ
わる記事を集め、書下ろしも加えた双書シリーズの第4弾です。著者は文献に関
しては博学で知られている中谷貴壽、朝日純一、荒木崇の3氏で、内容は、
・現代古書事情、戦前の蝶類図鑑と昆虫図鑑戦争ほか(中谷)
・北満と北鮮のウスバキ秘話(大脱線付)・同後日譚(朝日)
・謎の青森県産ヒメウスバ、Curt Eisner 氏と甥の Thomas、アメリカ蝶学の黎明期
と図鑑戦争ほか(荒木)
となっています。いずれもたいへん面白く、貴重な文献の写真なども多く掲載さ
れていて、蝶ファンなら一読すると時間を忘れて読みふけることでしょう。
なお、キトリナ双書の既刊 1 ~3号は、「欧州の蝶」辻えつ子著 その1~3が販
売中です。
お求めは、寺章夫 [email protected]、六本脚、南陽堂へ。(麻)
12 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
ア メ リ カ ン ・ バ タ フ ラ イ ズ
第2回
アザミで吸蜜するフタオトラフアゲハの♂。アリゾナ州にて。
フタオトラフアゲハ ~2つの学名をもつ蝶~
白岩康二郎
北
アメリカで一番大きな蝶はどの種類かと尋ね
た ら、 多 く の 人 は オ オ タ ス キ ア ゲ ハ Papilio
cresphontes をあげるだろう。確かに、多くの本にそう
書いてあるし、オオタスキアゲハのメスには巨大にな
るものがあるが、平均的な大きさで言えば、このフタ
オトラフアゲハ Papilio multicaudata に軍配があがるで
あろう。日本のモンキアゲハの大きさには及ばないが、
北アメリカの蝶の中ではかなり大きな蝶で、特にメス
は学名にある、
複数の(multi-)尾(caudata)が発達し、
なかなか迫力がある。
フタオトラフアゲハは、アメリカ合衆国西部からガ
テマラまで分布しており、合衆国西部に亜種 pusillus
Austin & J. Emmel, 1998、 合 衆 国 南 部 か ら メ キ シ コ
に原亜種、そしてメキシコ中部からガテマラに亜種
grandiosus Austin & J. Emmel, 1998 の 3 亜 種 が い る。
アリゾナ州では州蝶に指定されており、アザミなどで
よく吸蜜し普通に見られる蝶であるが、不思議と南カ
リフォルニアでは非常に稀で、食樹があるのにもかか
フタオトラフアゲハ♂(上)とオオタスキアゲハ♂(下)どちらも平
均的な大きさの個体。
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わらず、記録が非常に少ない。
男性とも女性とも取れる種名を使用している。その為、
ところで、フタオトラフアゲハを調べると、2つの
その後 Papilio 属の蝶たちは記載者によって男性や女性
学 名 を よ く 見 か け る。Papilio multicaudata と Papilio
などで記載された。multicaudata もこの様な時代に記
multicaudatus である。なぜこのような事が起きている
載されたものである。そして 1954 年に ICZN が Papilio
のか。それは、国際動物命名規約(ICZN)にある、種
を男性として定義するに至るまで、この混乱は続いて
名がラテン語やギリシア語の場合、それらの文法に従
しまった。
い、属名の性と一致させるよう種名の語尾を変化させ
ICZN に よ る Papilio 属 の 性 別 が 決 定 し た 時 点 で、
る、というルール(以下「性一致ルール」と称する)
multicaudata は multicaudatus と修正されるべきであっ
が関連している。
た。ところが、鱗翅目の研究者の多くがこの変更に賛
日本語や英語と違って、学名によく使用されるラテ
ン語やギリシア語などの言語は名詞などに性別が付け
同せず、記載時の綴りを使用することにこだわってい
る。
られている。Papilio 属は男性とされているので、そ
例えば、
「オーストラリアの蝶」のブレイビー(M. れに属するフタオトラフアゲハの種名も属の性に合
Braby)や、
「モロッコ、アルジェリア、チュニジアの
わ せ て、 語 尾 を 男 性 の -us と し、multicaudatus と な
蝶」のテネント(J. Tennent)
、
「新熱帯の鱗翅類地図」
る。仮に Papilio 属が女性であったのであれば、語尾
のラマス(G. Lamas)
、
「合衆国とカナダの蝶類カタロ
を 女 性 の -a に 変 化 さ せ、multidaudata と す る。 と な
グ」のペラム(J. Pelham)など、多くの著者がそれぞ
ると、フタオトラフアゲハの文法上正しい種名の綴り
れの著書で ICZN の性一致ルールによる語尾の変更を
は multicaudatus という事になる。ところが、現在見ら
無視して、オリジナルの綴りを使うことを表明してい
れる本やウェブサイトでは、女性の multicaudata が主
る。彼らは、この様な綴りの変更は複数の種名を発生
流だ。2015 年 3 月時点の Google 検索結果を見ると、
させ、不便と混乱を招き、ICZN の「名前の安定」とい
multicaudata が 約 8,250 件、multicaudatus は 約 3,050
う本来の目的に反すると論じている。
件となっている。フタオトラフアゲハ以外にも同様の
「 西 ア フ リ カ の 蝶 」 の 著 者 で あ る、 ラ ー セ ン(T. 問題を抱えている蝶がいくつかいる。前回紹介したマ
Larsen)は同著で特定の種を例に、性一致ルールに関
リンカクモンシジミ Leptotes marina やキジマドクチョ
して発生した混乱について取り上げている。イチモ
ウ Heliconius charithonia などだ。これらも、間違った
ンジホソチョウモドキ Pseudacraea lucretia はクレイ
綴りの方が主流となっている。
マー(P. Cramer)によって記載時女性の種名を使用し
そもそもこの様な混乱が発生した背景には、学名の
た Papilio lucretia と記載された。しかし、Papilio が男
生みの親であるリンネ(Carl von Linné)が Papilio 属
性となると、lucretia は男性の lucretius とすべきだが、
を男性とするか、女性とするかをはっきりさせなかっ
Papilio lucretius は今のキオビフタオチョウ Charaxes
たことにある。当初リンネが記載した Papilio 属(当
lucretius がクレイマーによって同時に Papilio lucretius
時全ての蝶がこの属に分類されていた)の種は、全て
として記載している。これをシノニムとして扱おうと
イチモンジホソチョウオドキ(左)とキオビフタオチョウ(右)。どちらも Papilio lucretius ?
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する論文があったが、それは間違いだという。また、
この様にフタオトラフアゲハに2つの学名が未だに
そもそもイチモンジホソチョウモドキに付けられた種
多く使用され続けているのは、ICZN のルールに従い、
名は古代ローマのルクレティア(Lucretia)に因んで名
正しい文法を使用すべきという人々と、名前の安定を
付けられたもので、キオビフタオチョウに付けられた
優先し、文法は無視すべきという人々が互いの主張を
ローマの詩人、ルクレティウス(Lucretius)とは違う。
譲らない事に原因がある。そんなわけで、当分の間、
この場合、種名を変更することで、種名の意味が大き
フタオトラフアゲハは2つの学名を持ち続けることに
く違ってしまう問題があるという。
なりそうだ。
ソマレール(Sommerer)は、鱗翅目は多くの研究者
がおり、分類の再検討が頻繁に行われている為、分類
参考文献
が変わる都度に性が変わったり変わらなかったりして、
Braby, M. E., 2000. Butterflies of Australia: their
混乱を来すと危惧している。
人によって、属の扱いが違う場合も不便が生じる。
identification, biology and distribution. Volume One. Csiro Publishing. xx+458 pp. オオムラサキマネシアゲハの話をする時に、Chilasa 属
International Commission on Zoological Nomenclature,
として扱う人は Chilasa paradoxa と呼び、Papilio 属と
2000. INTERNATIONAL CODE OF ZOOLOGICAL
して扱う人は Papilio paradoxus と呼ぶことになり、大
NOMENCLATURE, Fourth Edition.
変ややこしい。
国際命名規約第4版にある「第4版への緒言」に、
性一致ルールを規約から外す動きがあったが、見送ら
れ た と あ る。 一 方 2002 年、 欧 州 鱗 翅 学 会(Societas
Europaea Lepidopterologica) は、 性 一 致 ル ー ル を 無
Lamas, G., 2004. Atlas of Neotropical Lepidoptera.
Checklist: Part 4A. Hesperioidea – Papilionoidea.
Scientific Publishers. xxxvi+439 pp.
Larsen, T.B., 2005. Butterflies of West Africa . Apollo
Books. 595 pp.
視して、オリジナルの綴りを使用することを決議し
Pelham, J.P., 2008. A Catalogue of the Butterflies of the
ている。北米蝶類協会(The North American Butterfly
United States and Canada. Journal of Research on the
Association)も協会発行のチェックリストを見る限り、
Lepidoptera 40
性一致ルールを無視しているようだ。私が知る多くの
Sommerer, M. D., 2003. To agree or not to agree – the
欧米の蝶屋たちも、このルールの廃止を主張し続けて
question of gender agreement in the International Code
いる。
of Zoological Nomenclature. Nota Lepidopterologica
25(2/3): 191-204.
Tennent, J., 1996. The Butterflies of Morocco, Algeria
and Tunisia. Gem Publishing Co. xxxvi+217 pp.
Welter-Schultes, F.W., 2002. Guidelines for the capture
and management of digital zoological names
information, version 1.0, released on June 2012, Global
Biodiversity Information Facility, 126pp.
オオムラサキマネシアゲハ。
あなたは Chilasa paradoxa 派?それとも Papilio paradoxus 派?
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送は白黒になります。メール配信を希望される会員は、bssj@
butterflysociety-jp.org まで送信希望のメールアドレスをお知らせ
ください。
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「千夜一蝶物語」では会員の皆さんの投稿を募集しています。標本など蝶の写真と、それにまつわるお
話をお寄せください。自慢の標本のことでも結構です。会のホームページにあるアドレスか、編集担当・
麻生のアドレス([email protected])までメールでお送りください。
F
o
r
t
u
n
a
幸運の女神が二度微笑んだ日
中村英夫
長
年蝶採りをやっていると、異常型とか、超珍品
集者が行かないだけあって登路ではギフがまったく見
の新産地発見、珍奇な迷蝶との遭遇などといっ
られずニホンセセリモドキが翔ぶくらいである。最後
た幸運に一度ならず恵まれることがあるであろう。
の登りを終えて東御殿跡の尾根にたどり着いたところ
異常型と言えば、これから季節を迎えるギフチョ
でやっと 2 頭のギフが出迎えてくれた。慎重にネット
ウにも特徴的な遺伝型がいくつもある。そんな中に
インして 1 頭を取り出してみたところ、それがまさか
「杣山型」と称される黒条が乱れるものがある。この異
の杣山型!こんなラッキーがあるものかと驚喜したも
常型は福井県嶺北地方南部で稀に出現するが、イエロー
のだ。その後、山頂の本丸跡、西御殿跡と巡った。し
テール等といったよく知られた異常型にくらべて出現
かし、すでに先客達が好ポイントを抑えており、後発
頻度は遥かに低いという。これを採るには、その名の
が割り込む余地はなく、登山道を行き来しておこぼれ
由来となった南条郡南条町(現・南越前町)杣山が狙
に与るしかなかったが、そんな悪条件でも杣山型をさ
い目とされる。
らに 1 ♂追加したのだった。この日は、10 ♂ 1 ♀しか
そまやま
私は京都在住時に、福井県方面へ幾度か足を運んで
採れなかったが、そのうちの 2 ♂が完品の杣山型とい
おりギフを求めて杣山も訪れている。初挑戦は完全な
う大幸運。先客で大漁の人は三桁も採っているのに全
フライングで、好天にもかかわらず目撃すらできなかっ
てノーマルで、この日杣山型をゲットしたのは私だけ
たが、1993 年 4 月 3 日、前年の雪辱を果たすべく出撃
だったらしい。
した。ここではギフ採集者は、駐車場から尾根道を一
この日に優るような幸運は未だ巡ってこないが、私
直線に杣山城跡をめざし、西御殿跡あたりに陣取るの
はこれで運を使い果たしたとも思っていないので、フォ
が定石のようだが、少し出遅れたこともあり、人が行
ルトゥーナが再度微笑みかけてくれることを信じて蝶
かない左側から東御殿を巡るコースに踏み入った。採
を求めて野山を駆け巡る日々が続くのである。
同じ日に採れた杣山型ギフチョウ。
16 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
まりんちゃんの
お外に出ましょ(最終回)
梅が満開を迎えました。フ
ユシャクの数が減り、越冬
明けの寝ぼけた蝶に出会う
と、いよいよ春の訪れを感
じます。
我が家もカメも冬眠から目
覚めました。私はヤギとア
ヒルと一緒に暮らすのが夢
です。
長く続けさせていただきま
したコラムも、今回で最終
回です。
春です。皆さん、お外にで
ましょ。
2015 年 陽春 本間丸鈴
インターネットに掲載されている、蝶や昆虫の関連ニュースを集めてみました。
■ペンシルベニア州のドレクセル大学でサトオオイナズマ Lexias pardalis の雌雄型が羽化(右下写真)。
(The Washington
Post, アメリカ 1 月 8 日)
■日本昆虫学会と日本鱗翅学会は、熊本県山都町にある水力発電所の工事により、種の保存法で指定されている希少なゴイ
シツバメシジミの生息地に悪影響を与えないよう求める要望書を、発電所を所有する東京の企業と関係省庁に送付した。
(日
本経済新聞 1 月 25 日)
■姫路市の市蝶「ジャコウアゲハ」の保護や飼育を通して姫路のまちづくりを考える「ジャコウアゲハサミット」が、県立大学
新在家キャンパス講堂(同市新在家本町)で開かれた。
(産経ニュース 2 月 13 日)
■アメリカ合衆国魚類野生生物局は、個体数が急激に減少し絶滅危惧種指定が検討されている、オオカバマダラの保護策
に対して 320 万ドルの支援することを発表。個体数現象の背景には農薬や食草のトウワタの減少があげられている。
(CNN,
アメリカ 2 月 17 日)
■アメリカ合衆国農務省は、アジアからの帰化種で材木に大きな被害をもたらしているアオナガタマムシ対策として、それに
寄生するオナガコマユバチの一種を輸入することを検討中。害虫対策として寄生蜂が利用されるのは 4 種目。過去にマイ
マイガ対策に輸入した寄生蜂はその他 140 種の鱗翅目に悪影響を与えたため、輸入に対して懸念する声も上がっている。
(Aljazeera America, アメリカ 2 月 20 日)
■長野県は、近年激減しているチャマダラセセリが生息する木曽郡木曽
町開田高原の一部を、県希少野生動植物保護条例に基づく「生息地等
保護区」に指定する方針を明らかにした。
(信濃毎日新聞 2 月 20 日)
■倉庫業、港湾運送業の苫小牧埠頭(苫小牧)で社長を務める長岡久人
さんが、長野県以北の高山帯などに生息するベニヒカゲの研究成果な
どをまとめた本「ベニヒカゲ百名山」を2月下旬に出版。
(北海道新聞
2 月 21 日)
■蝶を中心とした世界の昆虫標本約 6 千点が福知山市自然科学協力員の
吉井雅宏さんから、福知山市に寄贈された。
(両丹日日新聞 3 月 10 日)
■シャープ、アサギマダラの翅の「くびれ」と「うねり」応用のプラズマク
ラスター扇風機を発売。
(ASCII 3 月 16 日)
Photo: Isabelle S. Betancourt/ANSP Entomology
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ロゴデザイン決定!
当学会のロゴは下の図案(池沢隆一氏の案を元にした
もの)
に決定しました。網掛けバージョンと、
カラーバー
ジョンも作ってもらいました。
会誌の表紙が新しくなりました
会誌バタフライ・サイエンス Butterfly Schience の表紙
は寺章夫氏のデザインです。学会誌らしい知的なデザ
インで、新生、日本蝶類科学学会にふさわしい表紙が
できました。
日本蝶類科学学会
運営委員会
ニュースレターはオールカラー版をメール配信してい
ます。まだプリントで受け取っている会員はメール配
信の届けをしてください。
届け先 [email protected] 日本蝶類科学学
会事務局
平成 27 年度の会費が未納の
会員は納入をお願いします
平成 27 年度会費(1万円)を受け付けています。
会費は下記口座にお振込みください。
郵便振替口座 00170-0-729645 「日本蝶類科学学会」
編集後記
会員総会も終わり平成 27 年度が始まりました。今年
も日本、世界、そして蝶や自然科学の世界もいろい
ろな出来事があるでしょう。日本の自然も開発や鹿な
どの食害が心配ですが、これ以上採集や観察の場所
Butterfly Science NEWSLETTER No.2
発 行 日:2015 年 4 月 1 日
発
行:日本蝶類科学学会
編
集:麻生紀章
レイアウト:白岩康二郎
が減らないようにしたいものです。今年は終戦 70 年
ですが、次の 70 年後には会員のほとんど全員が地上
にはいませんし、どんな世の中になっているか想像も
できません。この 70 年の変化以上の変化があること
でしょうが、どんなに科学文明が進んでも、人間の
故郷は自然だということは変わらないでしょう。70 年
後にも網を持った子供たちが自然のなかにいてほしい
ものです(麻生)
18 | BUTTERFLY SCIENCE NEWSLETTER No.2 | APR 2015
日本蝶類科学学会
The Butterfly Science Society of Japan
〒 100-0013 東京都千代田区霞が関 1-4-1 日土地ビル 4 階
新霞が関綜合法律事務所 朝日純一 気付
email: [email protected]
Website: www.butterflysociety-jp.org