2015年 01月 21日 東京大学准教授,佐藤淳構造設計事務所 佐藤 淳 「建築構造計画概論」2014 年度 期末レポート課題 ●課題 この講義の内容、配布した資料などを参考にして、建物(構築物)を一つ取り上げ、その構造上の特徴につい て解説するポスターを作成してください。 力学、幾何学、材料、部材、実験、施工、法規、災害、コラボレーションなど、構造に関連する事項について 各自で調査、考察、想像(このような力学が働いているのではないか、このような実験ができれば検証できる、 なども良い)し、できるだけビジュアル(計算式なども含めるとよい)にまとめてください。 取り上げる建物は下記とします。 ・各自が「建築設計製図第一」において設計した建物が望ましい。 ・ 「建築設計製図第一」を履修していない場合、または特に選択したい建物がある場合は、任意に選択してよ い。 (この講義で紹介していない建物でもよい。この講義で解説した建物のうち佐藤淳構造設計事務所が携 わったものは除く。 ) ・比較のために他の建物(構築物)を挙げても構いません。 ●用紙:A3 判 1 枚,片面とする。返却はしません。進学してからの質問は受けます。 ●文章、図版など手書きでも構いません。図版など別紙の貼り付けは不可。貼り付けたい場合は、貼り付けた後 に全体をコピーしたものを提出してください。 ●レイアウト、内容は参考例の通りでなくて構いません。 ●各自の設計した建築物を取り上げる場合は各階平面図を必ず掲載するものとし、その他、立面図や模型写真な ど建築物の形状が分かるようにすること。 ●意匠設計者(自分の場合はその旨) 、構造設計者を、分かる範囲で記載すること。 ●参考文献(インターネット等含む)がある場合は記載すること。 ●学籍番号,氏名の記載を忘れないこと。 ●提出期限:2015 年 2 月 20 日(金)17:00 ●提出場所:佐藤研究室の「建築構造計画概論」と記載された提出ポスト 本郷キャンパス,工学部 11 号館 8 階,エレベーターを降りて左の扉に設けます。 (ポストが分からない場合は職員に聞いてください。他の所に置く、誰かに託す、といった不確実 な手段は取らないでください。 ) 建築構造計画概論,期末レポート課題,参考例 ●「群馬県農業技術センター」の構造 意匠設計:SALHAUS(安原幹,日野雅司,栃澤麻利) 構造設計:佐藤淳構造設計事務所 延床面積:2400 m2 階数:地上2階 垂れた形状は幾何学的非線形解 析により求めている。 木造はクリープ現象,メカノソ ープティブ現象による変形の進 行に配慮する必要がある。 そこで、1年3ヶ月に渡り、4 mの材を引っ張り続ける試験を 行った。 メッシュ状(格子膜状)の 木造屋根をテントのよう に張った構造。 この構造は主に、 ・3本の鉄骨支柱 ・その間に張られた木造 屋根 ・端部を引っ張るテンシ ョンロッド、 で構成されている。 引張試験の様子。4mの材に 3tfの張力を与え続けた。 単純梁:曲げモーメントのみが発生する。 気温,湿度の変動 木材の含水率の変動:23~8%で変動した。 張力を与えるとたわみが減る。 木材の伸び 参考:針金にオモリを吊るし、端部がスライドするよう に置いてあると折れてしまうが、両端をしっかり 持っていると折れずにぶら下がる。 屋根は、スギ(E50)90 x 75 mm @ 450 mm を2段に並べている。 木部材は、重量によって少し垂れた状態で張られる。曲げ強度よりも引張強度が勝る材料でできた、やや硬い材では、張力を与え てたわみを減らしたほうが大きな荷重に耐えられる。 また、膜構造に比べ、硬い材を張っていることは風による上下のバタつきを抑える効果も期待できる。 木部材端部詳細図 初期変形後の伸びは2mm程度となった。 年間の伸びは年を経るに従って落ち着いてくること、張力が実際には1~2tfであること、を 考慮して年間1mmと考えると、 長さ20mの材では年間5mm、10年で50mmとなる。 そこで100mmのクリアランスを設ければ充分と考え、将来の締め直しが可能な納まりにして いる。 なお地震時には、 梁間方向ではテンションロッド,鉄骨ラーメン 桁行方向では鉄骨ラーメン,木部材による水平ブレース が主な耐震要素となっている。 張力を与え、材1本で20mを架け渡す試験の様子。
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