フライアッシュを外割混合したコンクリートの強度発現に関する研究 ―混合量の影響とポゾラン反応開始時期について― 研究目的 石灰石微粉末とフライアッシュそれぞれの外割混合量を細かく設定することで粉体の混合量に対する強度増進の変化を確認し、強度発現 メカニズムの違いを、実験室実験により水セメント比の違いも合わせ検討した。強度発現メカニズムを把握するために、セメントペース トにより熱分析を行い、自由水量、水酸化カルシウム含有量及び結合水量と圧縮強度との関係について検討した。また、熱分析はセメン トペーストとモルタルで行い比較検討も行った。 研究結果 90 LP混入,W/C:55% LP混入,W/C:65% FA混入,W/C:55% FA混入,W/C:65% 材齢7日 80 35 材齢 91日 W/C55% 80 セメント100g中の結合水量[g] 90 C C : FA55% D : FA65% 50 C A 50 B 40 40 30 30 20 2 4 6 8 10 12 混入率[%] 25 16 18 20 0 20 20 15 N65 LP65-4 LP65-8 LP65-12 LP65-16 LP65-20 5 0 図3 20 40 2 4 6 8 2 LP混入,W/C:55% y = 47.1 + 0.531x R = 0.561 2 LP混入,W/C:65% y = 39.7 + 0.607x R = 0.906 2 y = 48.5 + FA混入,W/C:55% 1.36x R = 0.829 y = 44.3 + FA混入,W/C:65% 1.34x R = 0.948 25 20 15 2 10 12 混入率 [%] 14 16 18 材齢[日] 60 80 100 25 15 10 FA65-12 FA65-16 FA65-20 5 20 40 材齢[日] 60 FA55-4 LP55-20 FA55-12 20 図2 20 0 LP55-12 LP55-4 0 FA65シリーズ N65 FA65-4 FA65-8 N55 80 FA55-20 10 20 モルタルの圧縮強度と混和材混合量の関係 LP65シリーズ 10 LP混入,W/C:55% A LP混入,W/C:65% B セメント100g中の水酸化カルシウム含有量[g] セメント100g中の水酸化カルシウム含有量[g] 図1 14 A FA混入,W/C:55% C FA混入,W/C:65% D B D 0 D 60 30 セメント100g中の水酸化カルシウム含有量[g] 圧縮強度[N/mm 2] B : LP65% 60 70 2 R = 0.952 2 R = 0.972 2 R = 0.918 2 R = 0.956 2 y = 28.0 + 0.612x y = 21.1 + 0.546x y = 25.6 + 0.817x y = 21.1 + 0.716x 圧縮強度[N/mm ] 70 A : LP55% 100 圧縮強度とセメント 100g 中の水酸化カルシウム含有量の経時変化 40 材齢[日] 60 80 100 結合水量の経時変化 25 20 15 10 水酸化カルシウム含有量 N55 LP55-12 FA55-4 LP55-4 LP55-20 FA55-12 FA55-20 5 0 図4 20 40 60 材齢[日] 80 100 モルタルにおける経時変化 (1) モルタルの混和材混合量と圧縮強度の関係からフライアッシュを大量に混合することによりポゾラン反応の開始時期に変化が生じ ると考えられ、材齢 28 日以前でもポゾラン反応が発生していると考えられる。 (2) セメントペーストにおいて、フライアッシュ混合の長期材齢時に結合水量が減少するのは、フライアッシュのポゾラン反応には水を 必要とするため、フライアッシュ周辺にある水和物から結合水を奪い消費している可能性があり、W/C65%では、自由水などの未反応の 水が W/C55%に比べ多いことから、ポゾラン反応には未反応の水が使用され、結合水の消費は W/C55%よりも減少したと考えられる。 (3) 石灰石微粉末混合における水酸化カルシウム含有量は大量に混合すると水和生成物の生成の阻害による減少は圧縮強度に影響がな いと考えられる。 (4) フライアッシュ混合では初期材齢から水酸化カルシウム含有量の減少が確認され大量に混合されたものにおいて、圧縮強度も大きく 増進していることから、大量混合の状態でのフライアッシュによるポゾラン反応は材齢初期からでも発生すると考えられるが、圧縮強度 増進には水酸化カルシウムの消費とは別の要素が関係していると考えられる。 (5) モルタルとセメントペーストによる熱分析の比較は、自由水量はモルタルの方が低く、混和材による影響は同様であった。モルタル における結合水量と水酸化カルシウム含有量は砂の影響で正確な傾向をつかむことが困難だと考えられる。
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