透析患者におけるABCG2トランスポーター

日本痛風・核酸代謝学会
ＣＯＩ開示
大山博司
演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある
企業などはありません。
第46回日本痛風・核酸代謝学会総会
透析患者におけるABCG2トランス
ポーター機能の検討
大山博司1)、大山恵子1)、諸見里仁2)
藤森新3)、松尾洋孝4)、中山昌喜4)
市田公美5)
1)両国東口クリニック、2)つばさクリニック
3)帝京大学医学部内科
4)防衛医科大学校分子生体制御学講座
5)東京薬科大学病態生理学教室
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
はじめに
• 成人発症の痛風をきたす主要な原因遺伝子
としてABCG2（ATP-binding cassette
transporter subfamily G、member 2）が報告さ
れた
• ABCG2トランスポーターは、高容量性の尿酸
排泄輸送体であり、遺伝子ABCG2における輸
送機能を低下させる変異が痛風と関係してい
る
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
目的
• 高尿酸血症が末期腎不全発症リスクを増加
させることや高尿酸血症の改善により抑制さ
れることが報告されている
• 透析患者におけるABCG2トランスポーター機
能を調べたという報告はない
• 透析患者におけるABCG2トランスポーター機
能を調べたので若干の考察を加えて報告す
る
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
方法
• 血液透析患者22例のABCG2トランスポーター
機能を推定した
• トランスポーター機能はABCG2遺伝子多型を
決定することで5群に分類した
• 22例中男性21例、女性1例、透析導入後痛風
発作群4例、導入前痛風歴有群9例、痛風歴
無群9例であった
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ABCG2の排泄能異常と痛風の関係
健常人865名
UA <=7.0 mg/dl
0.9%
12.7%
ABCG2の尿酸排泄能
機能なし
痛風161症例
gout
Q126X T/T Q141K C/C
23.3%
機能 1/4
35.6%
10.1%
T/C
A/C
機能 1/2
T/C
C/C
50.8%
C/C
A/A
45.3%
発症リスク
25.8倍
（患者の1割）
発症リスク
3.02倍以上
（患者の8割）
機能 3/4
C/C
A/C
機能正常
C/C
other gout risks
21.4%
C/C
H Matsuo, et al. Sci Transl Med, 1: 5ra11, 2009.
結果
GR-0516
GR-0517
GR-0518
GR-0519
GR-0854
GR-0855
GR-0856
GR-0857
GR-0858
GR-0859
GR-0860
GR-0861
GR-0862
GR-0863
GR-0865
GR-0872
GR-0875
GR-0864
GR-0866
GR-0873
GR-0874
GR-0876
性別
男
女
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
男
年齢
64
49
45
75
66
64
69
71
70
69
69
68
64
60
77
49
42
64
61
71
44
71
100(wt-wt)
50(wt-homo)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
100(wt-wt)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
100(wt-wt)
100(wt-wt)
100(wt-wt)
100(wt-wt)
100(wt-wt)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
75(wt-het)
ABCG2機能(%)
100
50
75
75
75
100
75
75
75
75
75
75
100
100
100
100
100
75
75
75
75
75
Q126X
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
Q141K
C/C
A/A
C/A
C/A
C/A
C/C
C/A
C/A
C/A
C/A
C/A
C/A
C/C
C/C
C/C
C/C
C/C
C/A
C/A
C/A
C/A
C/A
UA(mg/dl) 透析歴(月）
10.8
31
10.9
14
9.1
197
10.3
46
9.1
31
8.4
115
7.3
119
7.5
108
9.7
47
7.9
29
8.8
33
9.6
48
8.3
391
6.9
132
7.2
33
8
21
7.9
127
8.3
105
8.4
80
8.1
36
8.3
53
8.6
27
痛風歴
＋
＋
＋
＋
＋
－
－
－
＋
＋
＋
－
＋
－
－
－
－
－
＋
＋
＋
＋
導入後発作
＋
＋
＋
＋
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
－
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
透析導入後発作群
GR-0516
GR-0517
GR-0518
GR-0519
性別
年齢
男
64
女
49
男
45
男
75
ABCG2機能（％）
Q126X
Q141K
UA（mg/dl) 透析歴（月）
痛風歴
導入後発作
100(wt-wt)
100
C/C
C/C
10.8
31
＋
＋
50(wt-homo)
50
C/C
A/A
10.9
14
＋
＋
75(wt-het)
75
C/C
C/A
9.1
197
＋
＋
75(wt-het)
75
C/C
C/A
10.3
46
＋
＋
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
透析導入前痛風発作有群
性別
年齢
ABCG2機能（％）
Q126X
Q141K
GR-0854
男
66
GR-0858
男
UA（mg/dl) 透析歴(月）
痛風歴
導入後発作
75(wt-het)
75
C/C
C/A
9.1
31
＋
－
70
75(wt-het)
75
C/C
C/A
GR-0859
男
69
75(wt-het)
75
9.7
47
＋
－
C/C
C/A
7.9
29
＋
－
GR-0860
男
69
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.8
33
＋
－
GR-0862
男
64
100(wt-wt)
100
GR-0866
男
61
C/C
C/C
8.3
391
＋
－
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.4
80
＋
－
GR-0873
男
71
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.1
36
＋
－
GR-0874
男
44
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.3
53
＋
－
GR-0876
男
71
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.6
27
＋
－
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
痛風歴無群
性別
年齢
ABCG2機能（%)
Q126X
Q141K
GR-0855
男
64
GR-0856
男
UA(mg/dl) 透析歴(月）
痛風歴
導入後発作
100(wt-wt)
100
C/C
C/C
8.4
115
－
－
69
75(wt-het)
75
C/C
C/A
GR-0857
男
71
75(wt-het)
75
7.3
119
－
－
C/C
C/A
7.5
108
－
－
GR-0861
男
68
75(wt-het)
75
C/C
C/A
9.6
48
－
－
GR-0863
男
60
100(wt-wt)
100
GR-0864
男
64
C/C
C/C
6.9
132
－
－
75(wt-het)
75
C/C
C/A
8.3
105
－
－
GR-0865
男
77
100(wt-wt)
100
C/C
C/C
7.2
33
－
－
GR-0872
男
49
100(wt-wt)
100
C/C
C/C
8
21
－
－
GR-0875
男
42
100(wt-wt)
100
C/C
C/C
7.9
127
－
－
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
結果のまとめ
• 22例中ABCG2トランスポーター機能100％群7
例(31.8%)、75％群14例(63.6%)、50％群1例
(4.5%)であり25％群と0％群は存在しなかった
• 透析導入後痛風発作群4例中3例でABCG2機
能低下を認めた
• 導入前痛風歴有群では、9例中8例でABCG2
機能低下を認めた
• 痛風歴無群では、9例中4例でABCG2機能低
下を認めた
MEDICAL CORPORATION TSUBASA
考察
• 日本人の健康診断受検者では、53％にABCG2
の機能低下を認めることが報告されている
• 痛風歴の無い透析患者9例中4例でABCG2機能
低下を認め健康診断受検者と同等と考えた
• 痛風症例では、79％にABCG2機能低下を認める
ことが報告されている
• 痛風歴を有する透析患者13例中11例でABCG2
機能低下を認め、ABCG2機能低下を示す群が多
いことが示唆された
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