薬剤師の役割を考える 疑義照会③

薬 は30日 間でぴった りと
飲 めました
01日 5回 、食 前 食 後 の 薬 を服 鷹 して しヽる Kさ ん
力
彊
含資会社どんぐり工房 菅野
粘膜病変に対するものであ り、 胃潰瘍 の治療 のための もの
ではあ りません。それにザ ンタック錠 の真 の尿中未変化体
患者さんはKさ ん、67歳 男性、糖尿病、高血圧です。糖
排泄率はOη で、logPが -12で あることか ら、ザ ンタック
尿病は進んでいて腎症を合併 しています。処方されている
錠は腎排泄型薬物 と判断され、安定 した吸収が得 られるこ
薬は、次のとお りです。
とがわか ります。
Rp.)1.ア マ リー ル錠 lmg 2錠
メル ビン錠 250mg
2錠
分 2朝 夕食前 30日
2.グ ル コバ イ錠 100mg 3錠
分 3毎 食前 30日
3.ガ スロンN錠 4mg 2錠
ザンタ ック錠 75
分 2朝 食後
75mg 2錠
就寝前 30日
4.レ ニベー ゼ錠 10 10mg l錠
コニール錠 8mg
l錠
ラシックス錠 20mg l錠
分 1朝 食前 30日
Kさ んは毎食前 と朝食後と就寝前で、1日 5回 薬を飲 ん
でい ます。仕事が忙 しいため「 ときどき薬を飲み忘れる」
と言います。そこで、
「Kさ んの月
艮用回数を減 らしてコンプ
ライア ンスを改善することはできないだろうか」 と考えま
した。Kさ んは「食前の薬はあまり忘れない」 とお話 しし
ていました。朝食、昼食、夕食 とも定時に食べ ています。
問題は、朝食後、就寝前に投与 しているガスロンN錠 とザ
ンタック錠です。これを朝食前 と夕食前にできないかと考
えました。
まず、ガスロンN錠 です。ガスロンN錠 は添付文書では 1
従 って、就寝前投与 にこだわる必要はなさそ うであ り、
朝夕食前投与への変更を処方医に相談 しました。
○処方医 に 1日 3回 毎食前投与を推薦
処方医は「どうも昼と夜のグルコバイ錠を飲み忘れるら
しく、HbAlcが少しずつ上がってきて、7%を 超えたのです。
なんとか確実に服薬できるように指導してください」との
ことでした。そこで処方医に「今までは、朝食前だけ一包
化 していたのですが、1日 3回 食前服用 にして、全部一包
化 してみてはいかがでしょうか ?」 と提案 し、結果的には
下記のような処方に変わりました。
Rp.)1.ア マ リール錠 lmg 2錠
メJレ ビン錠 250mg
2錠
ガスロン N錠 4mg 2錠
ザンタ ック錠 75 75mg 2錠
―包化 分 2朝 夕食前 30日
2.グ リレコバイ錠 100mg
3錠
―包化 分 3毎 食前 30日
3.レ ニベー ゼ錠 10
10mg l錠
コニール錠 8mg l錠
ラシックス錠 20mg l錠
―包化 分 1朝 食前 30日
日 1∼ 2回 投与で食前、食後の指示はありません。それに
そして一包化してから1カ 月後、
「前にもらった薬は30日
血中濃度半減期が152時 間であることから、朝と寝 る前の投
間でびった りと飲めました。昼の分も、夜の分 もちゃんと
与を朝夕食前 に変えても血中濃度にあまり影響がないこと
飲んでいますよ」 とKさ んはニコニコしなが らおっしゃっ
がわかります。
ていました。
ザ ンタック錠の就寝前投与"
次いでザ ンタック錠です。“
薬の服用 回数や時間は患者さんの生活習慣に合 わせるこ
は胃潰瘍 において、夜間の胃酸分泌を少なくして潰瘍部位
への胃酸の暴露を防ぐための ものです。Kさ んに投与され
とが必要です。月
風用回数や時間の変更を処方医に提案す る
際に大切なことは、薬物動態を把握し、処方医に科学的な
ているザンタック錠は降圧薬や血糖降下薬の投与 による胃
提案をすることだと思います。
FresIB Lal AUTUMN 2010