序 論

序
論
乳製品に対する世界的な需要は、新興市場において乳及び乳製品の消費量水準が伸び
ていることに支持されて、増加を続けている。都市化、収入の増加、及び社会人口統計
の変動でもって、栄養のある食品、特にたんぱく質に対する強い需要が推進力となり、
これら市場に対する重要な動向になっている。
2013 年の当初は、北半球において異常に長くて寒い冬となり好ましくない気象状況
をもたらした。これにニュージーランドにおける干ばつが連動して、乳製品供給に厳し
い制限をもたらし、国際乳製品市場において価格が急騰する結果となった。2013 年の
後半は、世界市場向けの多くの主要な供給国が、好ましい気象条件と飼料経費で生乳生
産に強い増加が見られた。この良好な供給状況は、2014 年も続いた。酪農乳業に対し
てプラスの長期需要が増加している展望によって、乳製品生産と処理能力に関する世界
的な投資を促進し続けている。
酪農乳業に対する長期見通しについて、楽観的になりうる正当な理由がある一方で、
価格の不安定さが酪農乳業界と政策決定者に対し取り組むべき問題を残したままであ
る。2013 年は歴史的に国際的乳製品の価格が高い期間であったけれども、2014 年上半
期は生乳生産が世界的に期待されたよりも強いことと、需要がひかえめな水準である要
因でもって価格に弱まりが見られた。
市場参入、国内産業改革、食品安全、持続可能性などの領域における政策的立場が、
全体的に世界的な乳製品の需給状況に影響をもち続けている。ロシアによって課せられ
た最近の貿易制限など地政学的動向の影響を、国際乳製品市場においても受けている。
この世界の酪農情況報告書は、世界的に酪農乳業を代表して支援する IDF の使命の一
助 ѐ として毎年出版している。
この包括的な出版物が、マクロな乳製品の需要と供給動向、並びにそれらに影響を与
える広範囲な政策要因と経済要因について、あなたが理解を進める価値を見出されるこ
とを希望する。
報告書に対して時間と専門的知識の貢献をして下さった全ての組織、会員及び専門家
に感謝申し上げたい。
本出版物を作成した Productschap Zuivel (PZ)と Centre National Interprofessionnel de l'Economie Laitière (CNIEL)のチームに対して特に感謝を表します。
Sarah Paterson
Nico van Belzen
酪農政策・経済常設委員会委員長
IDF 事務総長
(2014 年 9 月 10 日まで)
- 1 -
要
約
2013 年は、主に年当初における気象状況によって記録が破られた。結果として、生
乳の生産遅れが輸出向け生乳の入手可能性を低下し、かつ絶え間ない世界的な強い需要
が、例外的な高い平均価格をもたらした。生乳生産は 7 億 8,200 万トンに達し、2012
年と比較すると 1.3%の増加であった。
2013 年において、大部分の乳製品の世界生産量は増加したが、大方の場合は前年よ
りも遅い生産ペースであった。世界市場における乳製品の価格が上昇したために、大方
の乳業会社は米ドルで表して総売上高の増加を経験した。企業の合併と買収が増えて、
ますます世界的なものになってきている。
71 億人に達していると推定された人口でもって、乳製品の平均1人当たりの世界的
入手可能性は、生乳換算で表して 2013 年は 109.6 キログラム、または 2012 年と比較し
て 0.2%増であった。
2013 年における世界乳製品の貿易動向は速度が低下した。国際貿易は、生乳換算で
もって、約 6,290 万トンの量に達したが、2%未満の上昇で、上昇率は前年の平均よりも
かなり低かった。
年間を通して、乳製品市場価格は上昇水準のままであった。その結果、生乳の生産者
価格は例外的に高かった。ニュージーランドと同様に欧州における酪農家は、2013 年
の全期間を通して酪農家が以前得たような高い乳価をこれまで受けとることがなかっ
た。同じように米国における乳価は、2011 年の記録水準以下に留まっていたけれども
比較的高かった。
市場における転換期が 2014 年の初めに到来した。2014 年 2 月以降、価格が下がり始
めた。それにもかかわらず、EU は、最初の 6 カ月にわたって生乳生産が記憶に残る 5.1%
の増加を示し、同じ期間における米国の増加は 1.7%を示し、オセアニアにおける新し
い季節年度の生産予想も良好である。この動向に基づくと、2014 年の総生産量は 8 億
500 万トン前後と見積もられていて、この量は 2013 年と比較して 3%の増加を意味して
いる。一方で、酪農家は、低い生産者価格に対する応答を開始していて、その結果によ
る低い生乳生産で、2015 年第 2 四半期における価格に十分な影響をもたらすものと、
我々は予想している。したがって 2015 年には、我々は気象状況が普通であって、需要
に厳しい混乱がないものと仮定して、2%の生乳生産増加を推定している。
全体的に見て、2014 年における貿易量は、平均増加率パターンの上を示すものと予
想されている。しかし 6 月までの動向に基づくと、増加は予想されているものより少な
くなるであろう。この理由は、2014 年下半期において、現在の国際的な政治的不確実
性によって、貿易の増加が抑制されるとみられることによる。2015 年において、重要
な貿易関係が多かれ少なかれその時までに正常化していて、貿易は正常で、長期の平均
- 2 -
の増加率パターンを取り戻すことを期待すべきである。このことは、貿易量がさらに
4%増加して、7,000 万トンの生乳換算目標を初めて上回るかもしれないことを意味して
いる。
国際的な予測では、2050 年に 90 億の人口が予測されているので、したがって来たる
べき数十年は食品の必要性の増加が予測されている。OECD(経済協力開発機構)と FAO(国
際連合食糧農業機関)による 2014 年から 2023 年の農業展望によれば、世界的に1人当
たり平均の乳製品消費量が、2011 年-2013 年と 2023 年との間で 13.7%の増加をしなけ
ればならない。人口増加に推進されて、開発途上国においては収入水準、都市化、消費
量がいっそう増加することになる。
- 3 -
一目で分かる世界の酪農乳業(2013 年)
(英文5-7頁)
- 4 -
乳製品別世界貿易の動き:輸出国・市場・貿易パターン
(英文 224-228 頁掲載)
(横向きで良いです)
- 5 -
Ⅰ
世界の酪農・乳業情況
1. 生乳生産
1.1. 概要
2013 年 1-2 月において、EU 及び米国などの主要酪農地域における生乳生産は、異常
に長くて寒い冬のために、低下したままであった。これと類似して、ニュージーランド
ではかんばつの到来が、生産シーズンの末期と結びついて、生乳供給に更なる制限を引
き起こしてしまった。このことは、世界市場において 3 月末から原料乳製品価格の高騰
をもたらした。2013 年の下半期において、気象状況の改善、高騰乳価と比較的手頃な
飼料経費でもって、価格の上に圧力をもたらすことなく、生乳生産の段階的な増加を確
実にした。最終結果として、2013 年は例外的に高い平均価格に特徴づけられた。高い
生乳生産者価格は、順繰りに確実に生乳生産を助長したけれども、2013 年上半期の不
足量を補うには十分でなかった。
上記の主として牛の生乳生産量の増加不足と、全ての乳用家畜種全体では生乳生産の
大変穏やかな増加で、結果として 2013 年の総生乳生産量は 7 億 8,200 万トンわずか 1.3%
(1,000 万トン増)の増加に終わった。これは過去の平均 2.3%よりもかなり下である。
牛の生乳生産は 0.9%のみの増加であったが、水牛の生乳生産は 3.3%で前年の水牛の動
向であった。
1.2. 牛乳
牛乳の生産は世界の総生乳生産量の 83%を占めている。2013 年における牛乳増加率は
0.9%で、平均の趨勢(2.3%)よりもかなり低かった。全ての地域が、生乳生産において
低い増加水準を示した。これに対する例外は EU であった。EU における年間の平均増加
率は、0.2%(2000 年から 2013 年)であるが、しかし 2013 年においては下半期間がか
なり良好な生産状況であったためシーズン開始が遅かったにもかかわらず 0.9%であっ
た。すなわち好まし気象状況、高い乳価と有利な飼料価格であった。特にドイツ(2.7%)
とオランダ(4.6%)の増加は顕著である。
アジアは増加率水準において最大の低下を示した。生乳生産は 1.9%増加していたけ
れども、2000 年から 2013 年間の動向は 5.2%であった。これは主に中国の動向によるも
のである。2013 年の中国は、生産を 5.7%に減らし 3,500 万トンになったが、一方で年
次増産動向は 2000 年以降 11.7%増である。
アジアにおける 1.9%の増加は、牛の生乳生産量(0.9%増)の世界的な増加より未だ
に上にあって、アジアが世界的シェアを 28%以上に再び上げたことを意味している。同
じことが約 11%のシェアを有する南米に見られて、これは主としてブラジル(3.5%増)
- 6 -
における強い増加によるものである。アフリカもシェアは 5%以上になっていて、主と
して南アフリカ(5.4%増)の強い増加によるものである。
オセアニアにおいて、生乳の 1.1%減が報告されたけれども、ニュージーランドは 1.8%
減で、豪州が 0.4%増のプラスの結果になっている両国間の差に留意することが重要で
ある。
(図表 1)
1.3. 水牛乳
水牛の生乳生産は、世界の総生乳生産の 13%以上を占めている。2013 年における水牛
の生乳生産は、牛の生乳生産(0.9%増)よりも非常に速く増加している(3.3%増、300
万トン以上に等しい)
。世界における水牛の生乳生産量は 1 億 300 万トンにのぼり、初
めて 1 億トンの目標を超えている。よく知られていているように、世界の水牛乳の生産
は、インドとパキスタンが最大生産国であり、2013 年には、それぞれ 69%と 24%のシェ
アを持っていて、それぞれ 5.5%と 3.0%の増加率である。
1.4. 羊乳、山羊乳及びその他家畜の乳
総生乳生産量において山羊乳は約 2.6%、羊乳が 1.2%、駱駝乳が 0.4%を占めている。
このカテゴリーの製品は、平均の生産動向以下の増加率を示している。
2012 年の FAO データによると、山羊乳は主にアジア(世界生産量の 57%)、アフリカ
(24%)、欧州(15%)で生産され、一方、羊乳の生産はアジア(47%)と欧州(30%)で
あり、駱駝乳は大部分がアフリカ(70%)とアジア(28%)で生産されている。
1.5. 2014 年及びそれ以降の動向
1.5.1
2014 年及び 2015 年の予測
市場における転換期は、
2014 年当初に到来した。
価格は 2014 年 2 月から下がり始め、
2011/2012 年における前の転換期の水準である。しかし、生産者価格が強いままだった
ので、生乳生産は上昇した。生乳生産者価格と飼料価格が良い気象状況と相まって好都
合であったので、生乳生産の低下や価格の回復がみられていない。生産者価格が下げ始
めたのは、この夏にすぎない。
これまでに、EU は当初 6 カ月間の生乳生産を 5.1%とする印象的な増加を注目してい
たが、米国は同じ期間に 1.7%を示している。北半球における生乳生産は未だに増加を
示していて、酪農業は有益なままであり、かつオセアニアにおける新しいシーズンの生
乳生産予測も良好である。
今年の上半期の動向に基づくと、2014 年の総生産量は約 8 億 500 万トンと見積もら
れていて、これは前年と比較して 3%の増加を意味している。2014 年に、酪農家は低い
生産者価格に対する対応を始めて、結果として生じる生乳生産の減少でもって、2015
- 7 -
年第 2 四半期の価格に最大効果をもたらすことが期待されている。2015 年について、
我々は気象状況が普通であって、かつ需要に混乱がないものと仮定して、2%の生乳生産
の増加を見積もっている。
1.5.2. OECD(経済協力開発機構)/FAO(国際連合食糧農業機関)による 2014 年から 2023
年の予測
新興国は、増産に関する重要な役割を演じるとともに、世界の生乳生産量における新
興国のシェアに関しても重要な役割りを担うであろう。今後 10 年間における生乳生産
の平均年間増加率は 2.0%と見積もられているけれども、これは過去 10 年間に達成した
2.2%よりも低い。
インドが EU を凌いで最大の生乳生産国になるであろう。インドにおける総生乳生産
量の殆んどが新鮮乳で消費されて、ごく僅かな生産量が処理加工されている。
2015 年における割当て制度の終了が、EU の総生乳生産量に重要な影響を及ぼすとは
予想されていないけれども、終了はいくつかの地域において生乳生産に更なる集中をも
たらすであろう。2014 年米国農業法(US Farm Act 2014)の影響について、市場におけ
る該法の効果がまだ明白になっていない。
ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド輸 出の 増 加 は 、 さ ら に強 い通 貨 、 生 産 費 の 増加 、環 境 規 制
(environmental restraints)によって、ここ 10 年間と比較して減少するであろう 。
それでもなお、生産の増加は、他の大きな輸出国と比較して強いままで、ニュージーラ
ンドにおける余剰生産は、ほとんど全てが輸出に向けられている。
中国における供給の停滞
世界市場が熱を帯びるかどうかの大部分は中国の動向にかかっている。2013 年
における中国の輸入は約 50%増加していて、その輸入が近いうちに変わることはな
いと思われる。この理由は、ここ数年間にわたって経験されている生乳生産の停
滞である。これは 2013 年のケースであるけれども、未だに回復のサインが見られ
ていない。
生乳生産の停滞は、グラフに図示しているように、消費の増加に応ずるために輸
入を増加していることを説明している。この最も明白な理由は、2008 年における
メラミン問題と、それ以降における乳業部門における品質改善政策であるが、これ
が過度的な問題を引き起こしている。
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2. 生乳の処理及び加工
2.1. 牛乳の出荷
50 カ国以上を含む IDF 各国国内委員会及び他の機関からの収集したデータによれば、
牛生乳出荷量は 2013 年に丁度 0.5%全世界的に増加した。これは前年の動向と比較して
みて急落を意味し、ここ 10 年間に観察された平均(1.9%増)よりもかなり下であった。
生乳出荷動向におけるこの減速が、EU、米国、オセアニアなどの世界の主要酪農地域に
おける生乳生産に重大な遅れを大きく生じさせて低下した。その結果、生乳出荷の動向
は、やや守勢的(米国 0.3%増, EU 0.6%増)、またはさらにマイナス(ニュージーラン
ド 1.8%減)であった。それに加えて、中国は近年観察された増加と大きく異なって、
さらに少ない出荷量となった(1.7%減)。この理由は生乳生産の減少であった。それで
も生乳出荷量は、生乳生産量よりも相対的に減少しなかったことは、相対的に多くの生
乳が処理加工場に出される移動が続いたことを示唆している。この移動は、これまでよ
りも品質要件に多くの焦点が置かれた政策によっても動機づけられている。
世界的な動向に対するプラスの例外はブラジルである。ブラジルでは国内市場の発展
で、ここ数年以上にわたって出荷量が持続的に増加したために公的なミルクプールへ生
乳の更なる移動をもたらしている。アフリカでは、エジプトと南アフリカが安定した増
加を示した。前者のエジプトにとって、生乳増加は地方で生乳の入手可能性を押し進め
るために牛に対する重点的な投資を反映している。後者の南アフリカの増加は、南アフ
リカの小区域における輸出機会の増加が一部関連している。EU においては、オランダ、
アイルランド、ドイツ、デンマークなどの北西部諸国における生乳出荷動向が、EU の
平均値よりもかなり前進していて、クォータ制度(2015 年)の来るべき廃止を予想し
て、生産を拡大する投資の論理的反映を形成していた。
2.2. 乳製品生産の概要
2013 年における世界の生産量は、前年よりも遅いペースであったけれども、最も主
要な原料乳製品が増加した。これは観察された生乳出荷の減速と一致している。結果的
に、生産動向のペースは過去 3 年間の平均増加率よりも遅かった。
生鮮乳製品類については、連結した数値や広範囲な数値が利用不能である。世界的な
傾向のみは、国家統計値に由来している。しかし本報告書のために収集したデータによ
ると、2013 年における飲用乳の生産は相当強いペースを保持したけれども、増加が過
去 3 年間の平均増加率よりもわずかに低かった。生産量の増加は、中国やインドなどが
主導するアジア市場において輸入量が増加する強さによって特に決定された。一方、発
酵乳製品も米国や欧州双方などの既存市場、及びアジアなどのいろいろな新興市場で持
続的な増加を示した。
2013 年上半期に生乳の入手可能性が不足したことを反映して、生産動向は粉乳、バ
ター及びバターオイルとチーズですべて均衡が取られた。これらの製品カテゴリーは、
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3 年間の平均以下に全てが明らかに留まった。特に脱脂粉乳においては、一方において
いくつかの既存生産国による生産の減少、他方において種々な新興市場における生産の
増加の結果から全体の動向が停滞した。加糖れん乳において、世界的な生産における
EU と米国の影響は、歳月がたつにつれて弱くなっているけれども、依然として完全に
支配的である。このように 2013 年における減少した生産は、EU と米国において単なる
減少した生産か、又は淀んだ生産かを反映したもので、一方において世界のどこかほか
の特定諸国における現実の増加が示されなかった。
(図表 2 及び 3)
2.2.1. 飲用乳及び生鮮乳製品類
2013 年における世界の飲用乳生産量は 2.3%増加した。飲用乳の全体的な情勢におい
て、諸国間でかなりのばらつきがある。メキシコ(2.6%減)を除いては、大部分の新興
国において持続して増加が続いていて、中国(9%増)、インド(6%増)の増加が最大な
る影響を与えている。エジプトは、約 45 万トン上げて 160 万トン(37%増)にし、比較
的最大な生産量を拡大した。一方において、米国(2.5%減)、EU(0.8%増)
、日本(2.2%
減)など多くの先進国においては、生産量が減少するか、軽微な増加をするのみであっ
た。
発酵乳製品の生産量は世界の大部分の地域で増加した。中国(8%増)
、EU(2%増)
、米
国(5%増)が、世界的動向へ最も貢献した。EU 域内における生産量の動向は加盟国間
で大きく異なっていて、ポーランドは印象的な増加(19%増)を占めていて、したがっ
てプラスの EU バランスにおける大きな原因となっている。
2.2.2. バター及びその他の乳脂肪製品
バター及びその他の乳脂肪製品(バターオイル、ギー)の世界生産量は約 1,000 万ト
ンと推定される。この 3 分の 2 以上はインド(47%)と EU(20%)で生産されている。
他の主要な生産国は米国(8%)
、パキスタン(7%)
、ニュージーランド(5%)である。
世界の生産量は 2012 年と比較して 2013 年に 2.1%増加した。これは、ここ数年にお
いてかなり平均を下回った増加であった。
インドは、世界的な生産動向においては群を抜いて決定的な要因である。インドの
2013 年における生産量は、約 5%増加して 470 万トン以上になった。一方において EU の
生産は 0.8%低下して 200 万トンになった。この低下は、他の多くの加盟国の生産が安
定しているか、わずかに減少しているか、又は、わずかに増加していたものの、フラン
ス、ドイツ、ポーランドにおける減少によって強く表れた。世界的に、南アフリカ(53%
増)、メキシコ(13%増)
、カザフスタン(15%増)
、ジンバブエ(29%増)などの諸国にお
いて、適度あるいは低い水準から始まったけれども、2013 年において比較的最も強い
生産増加をもたらした。
- 10 -
2.2.3. 乳業によるチーズ
2013 年におけるナチュラルチーズ(すなわちプロセスを除外した全てのチーズ)の
世界生産量は約 2,300 万トンである。乳業工場に出荷された生乳から製造した牛乳のチ
ーズ(すなわち乳業によるチーズ)は、世界のナチュラルチーズ生産の 80%以上を占め
ている。残りは農場製品と自家製製品並びに他家畜の生乳(羊、山羊、水牛の生乳)か
ら製造したチーズから成り立っている。 乳業における牛の生乳由来によるチーズの世
界生産量は、2012 年と比較して 2013 年において 1.8%増加した。世界のチーズ生産は、
EU 諸国と米国によって占められていて、合わせて総量の 70%以上を占めている。
生乳出荷量の減少や優先権の変更(priority shifts)が生産量にマイナスな影響を及
ぼした豪州(10%減)とニュージーランド(5%減)を除いて、2013 年における全ての世
界主要生産諸国のチーズ生産は増加した。輸出機会によって駆り立てられて、EU にお
ける全体の増加率は前年と比較してわずかに低下したのみだった。同じことが米国でも
行われた。したがって、このように年当初の月間における低迷した生乳生産が、これら
輸出先国のチーズに向けた生乳の量へは真に影響しなかった。エジプトにおけるチーズ
生産は、2012 年における後退から 64 万トンまで 12%以上増加して、強く回復したよう
だ。世界的にみて、韓国が低レベルではあるが、最大の相対的増加率(30%増)を示し
た。
2.2.4. 粉乳類
2013 年における全粉乳の世界生産量は約 490 万トンと推定されている。この約半分
は、ニュージーランドと中国に関係していて、2012 年と 2013 年との間で 0.9%増加した
が、ここ数年の平均増加率よりも低かった。輸出機会によって駆り立てられ、最も主要
な全粉乳生産諸国における生産量は増加した。しかし全体像は、過去 10 年余の中国に
おける全粉乳の平均の生産率(5%増)との著しく対照的に、中国(12%減)における生
産が強く低下したことによってマイナスの影響を受けた。中国におけるこの生産の減少
が 2013 年における世界市場動向に対して大きな衝撃となり、中国からの需要の増加を
もたらして、他の当事国における多くの輸出活動を呼び起こすことになった。通常の全
粉乳生産国は別として、
2013 年において生産をかなり促進した国はウルグアイ(36%増)、
ベラルーシ(30%増)及び米国(24%増)であった。
2013 年における脱脂粉乳の世界生産量は、ここ数年にわたって増加した期間後の景
気停滞時における 410 万トンと推定されている。2013 年の総量は前年よりもわずかに
低い水準(0.2%減)で終わった。世界の生産量の半分以上を単独で占めてている EU と
米国の双方が、生産量の減少を示した。米国における減少は、前年に観察された相当な
増加と著しい対照となった。EU に関する状況は全く混在していた。生産量の減少は、
フランス、特にポーランドにおいて低下が大量に決定されている一方で、他の加盟諸国
(例えば英国、スウェーデン、デンマーク)は、自国の生産を促進していた。主要な当
- 11 -
事国の他にも、他の多くの国で脱脂粉乳の少量を生産していた。一方において、次の国
は注目に値する増加を示した。すなわちインド(9%増)、ベラルーシ(22%増)ブラジル
(7%増)。
2.2.5. 加糖れん乳
加糖れん乳生産の地理的分類は、過去 30 年間にわたってかなり変わった。1980 年代
に EU、米国、旧ソ連に支配されていた加糖れん乳の世界生産が、極東(マレーシア、
タイ、シンガポール、中国)及び南米(ブラジル、ペルー、チリ)における著しい貢献
によって現在ではさらに散在している。FAO では、2010 年から 2012 年の間における加
糖れん乳の世界生産量は約 500 万トンでやや安定していると推定している。
2013 年の EU における加糖れん乳生産は、2012 年における大幅な増加が減少の期間を
早めて、急激に低下した(9%減)
。生産量は、平均して年当たり 1.3%の長期下落に続い
た 2000 年の生産量より下の 20 万トン超であった。しかし 2 つの主な生産国であるドイ
ツとオランダは、異なる動向パターンを示している。ドイツが 2012 年を除いて、段階
的に低下の線を辿っている一方で、オランダの生産量は輸出と密接に連携して 2000 年
と 2012 年の間に増加した。
EU の他に、米国とペルーが世界の加糖れん乳主要生産国の中に存在している。米国
が 2013 年にわずかな増加を示す一方で、ペルーは過去 10 年間において加糖れん乳の活
発な生産動向を続けて、約 7%増で、2000 年における生産の 2 倍以上の 47 万トンを超え
る生産を促進している。
(図表 4)
編者注:仮訳の全体は会員頁をご参照ください。仮訳の正確性、完全性、有用性等についてはい
かなる保証をするものではありません。参考資料として扱い、内容に疑義が生じた場合は英文の
原文をご確認ください。
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