日 本語 ・ 日 本文化 国際科目

日本語・日本文化
国際科目
筑波大学 人文・文化学群
日本語・日本文化学類
学類長の挨拶
目 次
近年、大学のグローバル化が叫ばれていますが、私た
日本語・日本文化学類の「国際科目」
……………………
1
◉日本語教育実習…………………………………………
2
◉異文化理解実習
4
◦ 韓国実習(ナヌムの家・高麗大学校ほか)……… 6
◦ スロベニア実習(リュブリャーナ大学)… ……… 8
◦ ロシア実習(モスクワ市立教育大学)
……………
ち日本語・日本文化学類は1985年の学類開設以来、
その
中心的な目標として国際性を育てる教育を掲げています。
学類教育のグローバル化のために私たちがこれまで積極
的に推進してきた取り組みの一つが海外からの留学生の
受け入れであり、
もう一つが海外への学生の派遣です。
留学生の受け入れに関しては、
日本語・日本文化研修
留学生(日研生)の受け入れをはじめ、最近開始した日本
語・日本文化研修プログラムなどを通して、1学年の正規生
(定員40名)
を優に上回る数の留学生を毎年様々な国か
ら受け入れており、
日本人学生と留学生が肩を並べて学
習する授業風景や日本人学生と留学生との交流は学類
において日常的なものとなっています。
一方、学生の海外派遣については、開設当時より日本
語教育実習の一環として行ってきましたが、特にここ5年あ
まりの間に学類全体のカリキュラムのなかで海外での実
習を徐々に拡充・整備し、現在は海外各地で行う日本語
実習のほか、
スロベニア、
ロシア、韓国での日本語教育・異
文化理解実習を「国際科目」
として開講しています。
この
パンフレットは現在学類が提供する「国際科目」の総合案
内です。
これらの「国際科目」の運営にあたっては、筑波
大学からのインターンシップ資金に加え、国際交流基金や
日本学生支援機構からも資金援助を受けており、数多く
の学生がそうした経済的支援を受けて海外で実習を行っ
ています。
また、教育のグローバル化を進めるために様々
な海外機関との交流を拡げ、
「国際科目」を一層充実さ
せたものにしようと努めています。在学生の皆さんには是
非そうしたチャンスを生かして積極的に海外での経験を
積み、国際感覚を磨いてもらいたいと願っています。
日本語・日本文化学類の「国際科目」
日本語・日本文化学類では、実践性と国際性を重視し、20年以上前から海外の大学・教育機関と連携した実習授業を
提供してきました。2015年3月までに、日本語教育実習では255名の学生が、異文化理解実習では165名の学生が海を渡
り、海外の大学で学んでいます。また、学類では実習の記録と学生によるレポートを毎年、報告書として刊行しています。
「国際科目」のあゆみ
1992年 海外での日本語教育実習を開始。
当初はリュブリャーナ大学(スロベニア)から始まりました。
2001年 日本語教育実習が正規の授業となる。
2007年 日本語教育実習がインターンシップ授業となる。
これまでに、カターニア大学(イタリア)、静宜大学(台湾)、ボアジチ大学(トルコ)、
リヨン第3大学(フランス)など、世界各地の大学で実習を行ってきました。
2009年 異文化理解実習としてロシア実習、スロベニア実習を開始。
2010年 異文化理解実習として韓国実習を開始。
2014年 日本語教育企業研修を開始。
『日本語・日本文化実習報告(海外編)』
第 1号(2011年)~
2010 年以前の報告書
『日本語教育実践報告』
第 1号(1997 年)~第 14 号(2010 年)
『2009 年度 モスクワにおける「国際教育実習」』
『2009 年度 スロベニアにおける「現代国際文化事情Ⅱ」』
日日新書
『スパスィーバ・モスクワ!ロシアにおける「国際教育実習」』2010 年 3月
『涙と笑いの海外実習―先輩達の奮闘記―』2007 年 3月
『フランス・リヨン第三大学の日本研究』2004 年 2月
『イスタンブール・ボアジチ大学の日本語講座』2002 年 9月
『スロヴェニア・リュブリャーナ大学の日本研究専攻』2000 年 7月 ほか
1
日本語教育実習
科目名:日本語教育国際研修/日本語教育企業研修
実施時期と期間:
日本語クラス
授業の実践
日本語教育現場
の視察
異文化
コミュニケーション
の実践
❶8~9月 3週間 : リュブリャーナ大学(スロベニア)
1週間 : ブレイン・グループ(東京都渋谷区)
❷2~3月 3週間 : マレーシア工科大学他(マレーシア)
モスクワ市立教育大学(ロシア)
❸1~3月 3ヶ月間:ウィスコンシン大学(アメリカ)
プログラムの内容
日本語教育を行っている教育機関や
企業と連携し、日本語教育の教壇実習を
行います。現地では学生の家にホームス
テイなどをしながら、インターンシップ生
として日本語教師としてのスキルを磨き
ます。実習中は授業の見学や補助、教材
や教案作成、そして実際の授業と、非常
にハードな内容ですが、参加した学生た
ちは皆、海外で日本語を学ぶ同世代の学
生たちとの交流を通じ、日本語教員の卵
学習者の方々と一緒に
リュブリャーナ大学
としての自覚を高め、人間的にもひとま
わり成長します。
日本語を学ぶ中学生との交流
マレーシア
日本事情についてプレゼンテーション
ウィスコンシン大学
モスクワ市立教育大学の学生たちと
研究室での授業前準備
リュブリャーナ大学
ブレイン社での日本語テキストの見本作成
モスクワ市立教育大学での授業風景
2
JAPANESE LANGUAGE EDUCATION
こんなところで学びます!
◉リュブリャーナ大学
University of Ljubljana
所在地:スロベニア共和国 リュブリャーナ市
スロベニア共和国
ウィスコンシン大学マディソン校
モスクワ市立教育大学
スロベニア共和国
マレーシア
◉ブレイン・グループ
Brain Corporation
所在地:東京都渋谷区
日本
◉マレーシア工科大学/テュン・ファティマ中学校
Universiti Teknologi Malaysia / Junior high school, Fatima Tae~yun
所在地:マレーシア ジョホールバル州ジョホールバル
マレーシア
◉モスクワ市立教育大学
Moscow City Teachers' Training University
ロシア連邦
所在地:ロシア連邦 モスクワ市(首都)
ロシア連邦
スロベニア共和国
◉ウィスコンシン大学マディソン校
日本
アメリカ合衆国
マレーシア
University of Wisconsin-Madison
所在地:アメリカ合衆国 ウィスコンシン州マディソン
アメリカ合衆国
参加者の声
伊達 直紀 (2014 年度参加者・リュブリャーナ大学)
野村
綾 (2014 年度参加者・ブレイングループ)
媒介語を使わずに? 90 分の授業を2 週間? 今回の実習に参加するまで
一般企業という現場で、大学とは違った貴重な経験を得ることができま
初級学習者の方に日本語を教えたことはなく、不安で不安で仕方がありま
した。教科書の作成過程を見学し、また広報活動にも参加させていただく
せんでした。実習が始まると教案・教材作成から授業後のアドバイスまで、
ことで、本を「売る」ことの難しさを学びました。自分たちの活動一つ一つ
先生方が毎日丁寧にご指導くださり、無事に 2 週間の教壇実習を終えるこ
が会社の利益につながる、それ故に緊張感も高まります。いただいた課題
とができました。学習者の反応や質問から多くのことに気づき、日々成長で
「日本語教材『まるごと 初級』のキャッチフレーズを考える」では、学生 4人
きた気がします。何より実習を終え
で教材を研究し、考えに考え抜いた言葉
たときの達成感は忘れられません。
が好評を得て、達成感を味わいました。し
将来につながる大きな自信となりま
かし同時にとある書店で辛辣な意見もい
した。3週間スロヴェニアに滞在し、
ただき、言葉を扱うことの難しさを身に染
日本語教育の経験を積むことがで
みて感じました。自分の将来を考える良
き、
充実した実習となりました。
いきっかけにもなると思います。是非とも
参加してみてください。
実習の概要
◦説明会実施時期:5月
◦参加人数制限:各校 2 ~ 4 名前後
◦標準履修年次:2 ~ 4 年
◦費 用:15 ~ 30 万円(2 週間)
◦滞 在:ホームステイまたは寮・ホテル
3
ロシア実習
異文化
コミュニケーション力
の向上
科目名 :
日本語・日本文化国際研修Ⅴ/ Ⅵ
実施時期と期間:10月上旬 9日間
プレゼン
テーション力の
向上
日本語教育の
現場への理解
プログラムの内容
モスクワ市立教育大学の日本語学科
は、モスクワ市で 2007 年より「日本語」
が公立の初等・中等学校で正課として導
入されたことを受け、その教員養成を主
目的として発足しました。実習では、大
学や公立学校における授業見学や生徒
との交流を行うほか、日本語学科で学ぶ
モスクワの学生たちと、相互の文化紹介
日本の言語や文化について
紹介する交流会
や討論、ホームステイを通じて交流を深
めることにより、異文化に対する理解の
初等・中等公立学校における授業見学
方法を身につけ、日本語や日本文化につ
いて深く考える機会を得ます。
モスクワ市内の見学
日露関係や日本語・教育に関する討論会
大学における日本語コースの授業見学
事 前 学 習
6
月
ロシアの歴史・文化事情と
初級ロシア語の学習
4
10
月
月
履修説明会
5
月
4
文化交流の計画
7
月
ロシアに
向けて渡航!
プレゼンテーションの
作成と練習
Russian Federation
こんなところで学びます!
モスクワ市立教育大学
Moscow City Teachers' Training University
所在地:ロシア連邦モスクワ市
創 立:1995 年
学生数:17,000人
ロシア連邦
ロシア連邦
参加者の声
若林 佑太 (2014 年度参加者)
植松 彩佳 (2014 年度参加者)
僕がロシア実習に行き、生のロシアで感じた数々の新鮮な驚きは、国
この実習では学校見学やホームステイなど、さまざまな体験をするこ
内でいくら映像や文献を見ても得ることができないであろう貴重な経験
とができましたが、最も印象に残っているのはロシアの学生たちの熱意
となりました。何より母国語と自文化が通用しない環境はそれらを外か
です。私がホームステイをさせてもらった学生は、日本語を勉強し始めて
ら見つめなおすいい機会でした。一週間という短い期間ながらも、先生
間もないにも関わらず私を受け入れてくれ、互いに日本語、ロシア語、英
方が組んでくださったプランはロシアを一通りさらうのに十分なもので
語を混ぜた言葉で、時には辞書や翻訳ソフトを駆使しながら話し、互いの
したし、日本語でコミュニケーションをとってくれたホームステイ先の学
文化について学びあいました。言葉や文化の壁があっても、熱意を持っ
生たちのおかげでそれらの理解を
て伝え、そして伝えるために勉強し
深めることができました。海外実
ていけば、それは越えることがで
習と聞くと敷居が高いと感じるか
きると感じました。そしてその熱
もしれませんが、異文化に触れる
意や愛のために、日本語教育を学
第一歩として後輩たちにも是非お
ぶ者として何ができるか考えるよ
勧めしたいです。
うになりました。
実習の概要
◦説明会実施時期:4 月
◦参加人数制限:15 名前後
◦標準履修年次:2 〜 4 年
◦費 用:15 ~ 18 万円
◦滞 在:ホームステイ
5
韓国実習
科目名:日本語・日本文化国際研修Ⅲ / Ⅳ
実施時期と期間:10月下旬 8日間
東アジア
近現代史への
理解
聞き取り調査の
手法を学ぶ
異文化理解
プログラムの内容
韓国「旧日本軍慰安婦」たちの共同の
家(ナヌムの家)や、他の地方に在住す
る「元慰安婦」のハルモニたちと交流し
たり、韓国の大学生たちと討論しながら、
「慰安婦問題」をはじめ、日本と韓国の
国際関係、また韓国の現代史への理解
を深めます。
ハルモニへの聞き取り調査
韓国の学生との討論会
高麗大学校にて
ハルモニとの交流
ソウル市内の見学
韓国の学生との交流
事 前 学 習
7
月
「旧日本軍慰安婦」に関する
論文の学習
5
10
月
月
履修説明会
6
月
6
ナヌムの家やハルモニに関する
資料・データの収集・検討
10
月 研究計画書の発表
大韓民国に
向けて渡航!
Republic of Korea
こんなところで学びます!
◉ナヌムの家
House of Sharing
所在地:大韓民国(京畿道広州市)
◉挺身隊ハルモニと共にする市民会
Daegu Citizen Forum for Halmuni
所在地:大韓民国(大邱広域市)
◉韓国挺身隊問題対策協議会
& 戦争と女性の人権博物館
The Korean Council for the Woman Drafted
for Military Sexual Slavery by Japan War
& Women's Human Rights Museum
所在地:大韓民国(ソウル特別市)
◉高麗大学校
Korea University
所在地:大韓民国(ソウル特別市)
◉啓明大学校
Keimyung University
所在地:大韓民国(大邱広域市)
大韓民国
大韓民国
参加者の声
折笠 七彩 (2014 年度参加者)
新庄
葵 (2014 年度参加者)
実習に参加し、
「慰安婦」問題について、今後の日韓関係について考えさせら
日本の文献や報道だけでは分からないことを実際に自分の目で確
れる、とても貴重な経験ができました。ハルモニにお会いし、お話を伺うこと
かめたいと思い、韓国実習に参加しました。元従軍慰安婦のハルモ
でその強い思いを感じました。また、ハルモニたちを支援する活動家の方にお
ニや、従軍慰安婦問題に関する活動をしている方々にお話を聞くとい
話を伺ったり、韓国の学生たちと意見交換をしたりしまし
う貴重な体験ができました。また、韓国の高校生
た。このように立場の異なる人たちと交流することで様々
や大学生と交流する機会もあり、この問題につい
な視点から「慰安婦」問題を考えることができ、文献を読む
て生の声を聞き、意見交換できたことが何よりの
だけではわからない「慰安婦」問題の現実を感じることが
収穫となりました。実習を通して、従軍慰安婦問
できたと思います。
「お隣の国」と呼ばれる韓国ですが、お
題を中心とする日韓関係について理解を深める
互いに知らないことが多く実際に自分の目で見て体験する
とともに、様々な問題とこれからどのように向き
ことの大切さも実感することができる実習になりました。
合っていくべきかを考えさせられました。
実習の概要
◦説明会実施時期:5月
◦参加人数制限:5 〜 6 名
◦標準履修年次:2 〜 4 年
◦費 用:7 ~ 8 万円
◦滞 在:寮・ホテルなど
7
スロベニア実習
科目名:日本語・日本文化国際研修Ⅰ/Ⅱ
実施時期と期間:3月上旬 2 週間
プレゼン
テーション力の
向上
異文化理解
日本語教育の
現場への理解
プログラムの内容
スロベニア共和国の首都にあるリュブ
リャーナ大学は、中欧地域の日本学の拠
点ともいえる歴史ある大学です。このプ
ログラムでは、中欧地域における国際事
情をふまえ、スロベニアの言語・文化・
歴史を総合的に学びます。異文化交流
に対する理解を深めるとともに、現地の
アジア・アフリカ研究学科の学生たちと
日本の言語・文化に関する
プレゼンテーション
ともに学ぶことで、外国語運用能力も含
め、日本語と日本文化を諸外国の人々に
正確に発信する能力を身につけます。
アジア・アフリカ研究学科の学生との
文化交流・共同学習
スロベニア語入門集中コースで留学体験
日本語を学ぶ児童・生徒との交流
(青少年文化センター)
事 前 学 習
博物館・美術館で
現地の民俗・歴史・芸術を学ぶ
1
月
特別講師によるスロベニアの
歴史・文化事情の学習
5
3
月
月
履修説明会
10
月 事前学習の開始
8
プレゼンテーションの構想・作成
2
スロベニアに
向けて渡航!
月
本番に向けて
プレゼンテーションの練習
Republic of Slovenia
こんなところで学びます!
リュブリャーナ大学
University of Ljubljana
所在地:スロベニア共和国リュブリャーナ市
創 立:1910 年
学生数:56,000人
スロベニア共和国
スロベニア共和国
参加者の声
伊藤 行將 (2012 年度参加者)
木下 遥菜 (2013 年度参加者)
プレゼンの準備段階から現地で
「世界から見た日本を知りたい」という思いで実習に参加しました。プ
のプログラムが終了して帰国する
レゼンの準備をする半年間は、日本の何をどう伝えるかでとても悩みまし
まで、これほど日本文化について考
た。スロベニアでは現地の学生と協力しながら、日本の通過儀礼をテー
えたことは今までなかったように
マにプレゼンを行いました。スロベニアでの通過儀礼の話で盛り上がっ
思います。プレゼンのテーマを決
たり、鋭い質問に驚かされたりと、プレゼンを通して得るものは多くありま
めるにあたっては、どんな日本の姿
した。また、実習中は現地の学生のサポートもあってスロベニアの言語や
を紹介したらいいのか散々悩みま
文化に触れる機会が多くありまし
したし、現地での学生との交流では彼らの持つ日本文化への興味と情熱
た。日本を飛び出して初めてわか
に圧倒され、自分の知らない日本に気づかされることも多々ありました。
る「日本」を肌で感じることができ、
スロベニアという遠く離れた場所でこうした貴重な体験が出来たことは、
実習を通して成長できたと思って
非常に大きな収穫だったと思います。
います。
実習の概要
◦説明会実施時期:5月
◦参加人数制限:5 名
◦標準履修年次:1 〜 4 年
◦費 用:15 ~ 20 万円
◦滞 在:ホームステイまたはホテル
9
University of Tsukuba
筑波大学
筑波大 にちにち
検 索
http://www.japanese.tsukuba.ac.jp/
@Nichinichi
http://www.facebook.com/tsukuba.nichinichi
国立大学法人 筑波大学 人文・文化学群
日本語・日本文化学類
College of Japanese Language and Culture,
School of Humanities and Culture, University of Tsukuba
〒
305-8572 茨城県つくば市天王台1-1-1
TEL 029-853-6764
FAX 029-853-6839