聴覚のミステリーに挑む!

〈機械システム工学科〉
聴覚のミステリーに挑む!
濱西 伸治(HAMANISHI Shinji)
[email protected]
准教授
所属学会・協会
日本機械学会バイオエンジニアリング部門
キーワード
①生体工学 ②聴覚 ③難聴 ④補聴器 ⑤新生児聴覚スクリーニング
研究課題
●剣道難聴のメカニズム解明と新機能防具の開発
●耳から音が出てくる現象“耳音響放射(OAE)”の研究
●中耳・内耳疾患診断用「新生児難聴スクリーニング装置」の開発
●軽量コイルにより鼓膜を加振する次世代型補聴器の開発
●聴覚のメカニクスに関する研究
研究シーズ
●軽量コイルにより鼓膜を加振する次世代型補聴器の開発
平成 17-18 年度科学研究費補助金採択課題
イアホンを用いた従来の補聴器は,ハウリングが発生しやすいために,高
音域では十分な音響利得を得るのが困難であり,また,補聴器使用時にお
ける外耳道の閉塞感を取り除くことができないという根本的な問題を抱えて
います.
そこで,我々は,鼓膜に軽量なコイルを貼り付けて,磁石とコイルによる
磁界の作用により鼓膜を振動させることで補聴効果を得るという,これまでに
ない,全く新しい補聴システムを考案しました(図 1).現在は,ヒトに対しての
補聴効果を明らかにするため,マイク・アンプ部分を加えた補聴システム全
体を試作し,亡くなったヒトの頭蓋骨から取り出した聴覚に相当する部分(側
頭骨)にそれを装着して駆動させた際の耳小骨の変位振幅をレーザードッ
プラ振動計により計測することで,音響利得を評価しています.計測の結果
,音響利得は 0.1 - 6.0 kHz の周波数領域において 20 dB SPL 以上となり,
他の補聴器と比較して,高音域においても高利得が得られることが明らかと
なりました(図 2).
本研究は,東北大学大学院工学研究科和田仁教授,電気通信大学小
池卓二教授,および,Massachusetts Eye and Ear Infirmary (Boston, U.S.A.)
J.J. Rosowski 教授らの研究グループとの共同研究です.
図1 補聴システムの構成図
図2 ヒト側頭骨に組み込んだ補聴器
を駆動した場合に得られた音響利得
の周波数特性.
提供可能な技術
●聴覚に関連する生体信号計測技術(耳音響放射,聴性脳幹反応,オージオグラム)
●微小振動計測技術