2015/1/23 安全農産物生産機械学 第10回 収穫後調製、人間工学、農作業の安全 生物機械学研究室 片平光彦 稲わらの利用 渡部景俊:「農を支えて」から引用 2015/1/19 1 2015/1/23 米俵 米俵を作るための俵編機 とコモヅチ 秋田県仙北郡内で開催された米俵 製作協議会の様子(昭和30年頃) 渡部景俊:「農を支えて」から引用 2015/1/19 現在の稲わら処理 コンバインで刈り取られた 稲わらは、切断してほ場に 排出され、ロータリで鋤込 まれることが多い。 南九州ではノッタで束ねら れ、畜産に利用されること も多い。 2015/1/19 宮崎県都城市 2 2015/1/23 稲わら収集 ・テッダ:刈り取った稲わら(牧草)を拡散反転(tedding)させ、乾燥を促進する。 タイン 2015/1/19 集草作業(Raking) windrow ・反転された稲わら(牧草)を一方に集めて 集草列(windrow)を作る。 2015/1/19 3 2015/1/23 梱包(baler) ・集草された稲わらを拾い上げ、円筒状に成型 してネットやトワインを巻いて放出する。 ローラ 成型室 windrow ピックアップ装置 ローラは全て同じ方向に回転し、成 形室の下の方から徐々にロール (bale)を大きくしていく。 2015/1/19 包装(wrapping)と運搬(handling) ・梱包された稲わら(牧草)をフィルム でラッピングし、積み卸しをする。 (bale wrapper and bale handler) ベーラとグラブの走行軌跡 2015/1/19 4 2015/1/23 ネギ調製ロボット ・長さと幅、根の厚さのセンシング 2015/1/19 http://brain.naro.affrc.go.jp/iam/Urgent/iam_upro1201.htm 皮むきと太さ判別が同時に行える長ネギ調製機 http://www.youtube.com/watch?v= Z4kxkcAzOjY 圧縮空気による皮むきと太さ判別を同時に行え る長ネギ調製機である。センサを用いた太さ判 別機能と回転ノズルを用いた高能率な皮むき機 能により、熟練者並みの調製作業を行うことが できる。また、ノズル加温装置の導入で低温時 でも安定した作業ができる。 生研センター研究成果情報から引用: 2015/1/19 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/brain/2011/index.html 5 2015/1/23 キャベツ調製ロボット ・大きさと葉の枚数のセンシング 第二切断部 照明・CCDカメラ 第一切断部 2015/1/19 エダマメ選別機 搬送用傾斜コンベア エダマメ搬送部 ・変色と形状のセンシング 形状検出部 変色検出部 選別部 エダマメ供給 部(ホッパと連 動) 2015/1/19 6 2015/1/23 画像処理を用いた変色傷害の選別 被覆面積率 32% 52% 32% 7% 10% 特願2006-192895:「莢果判別構造」 2015/1/19 光電センサを利用した子実熟度の判別技術 特願2008-32362:「莢果判別構造」 光電センサ 流れ 光の ネット 子実光電 レベル:1 カウントOFF 2.5ms 莢レベル カウント数:4 光 電 レ ベ ル 子実レベル カウント数:2 莢レベル 子実レベル 時間 光電センサ 光 電 レ ベ ル 莢レベル 子実レベル 時間 莢光電レベル:ゼロ カウントON ・莢レベル → カウント中 ・莢レベル → カウント中 ・子実レベル → 1カウント以上、 ・子実レベル → 1カウント以上 2粒莢下限回数以下 一粒莢 莢レベル数との比が良品の範囲内 2015/1/19 良品 7 2015/1/23 エダマメ選別機の動作 2015/1/19 農業労働とは? 農業は3K? どうすれば改善できるのか? 人にやさしい農業-Easiness, Comfort, Safety - 2015/1/19 8 2015/1/23 人間工学 ・人間の生活と労働の適正化を研究する科学のこと。 ・人間の合理的生活のあり方と労働の方法を研究し、 快適な生活を確立することを目標とする。 長町:人間工学から引用 2015/1/19 労働科学 作業負荷(working load) 作業システムにおいて人間の生理的・心理的状態を乱すよ うに作用する外的条件や要求の総量(ISO6385,1981) 作業負担(working strain) 作業負荷が個人の特性や能力と関連して与える影響( ISO6385,1981) 作業疲労(working fatigue) 局部的あるいは全身的であるが、病的ではない作業負担の 現れで、休息によって完全に取り除くことができるもの( ISO6385,1981) 2015/1/19 9 2015/1/23 作業姿勢分析とOWAS法 OWASは、フィンランドの製鉄会社(Ovako Oy, 現Fundia Wire)に勤めていたKarhuやNasman らやフィンランド労働衛生研究所(Institute of Occupational Health)のKuorinkaらによって 1970年代前半に開発が開始された。 1.全身の姿勢評価に利用できる。 2.特別な用具を必要としない。 3.現場で即座に記録・解析ができる。 4.評価基準が整備されている。 2015/1/19 OWASコードの例 OWASではある時点の作業姿勢を背部・上肢・下 肢・重さの4項目でとらえ、これをコード化した4桁の 数字(姿勢コード)で記録する。 2015/1/19 10 2015/1/23 OWASによる作業姿勢の評価法 OWASでは、姿勢の負担度と改善要求度を以下の 4段階で判定します(ACはAction categoryの略)。 AC1 : この姿勢による筋骨格系負担は問題ない。 改善は不要である。 AC2 : この姿勢は筋骨格系に有害である。 近いうちに改善すべきである。 AC3 : この姿勢は筋骨格系に有害である。 できるだけ早期に改善すべきである。 AC4 : この姿勢は筋骨格系に非常に有害である。 ただちに改善すべきである。 2015/1/19 作業姿勢の改善について 道具や台車を使って、しゃ がみ姿勢や上向き姿勢を 解消しましょう。 2015/1/19 生研センター:農作業現場改善 チェックリストと解説から引用 11 2015/1/23 ピーマン収穫・調製作業の改善 生研センター:農作業の安全・快適性向上に向けた改善事例集Ⅰから引用 2015/1/19 アスパラガス収穫作業の軽労化 (台車の活用) 2015/1/19 12 2015/1/23 収穫台車の利用 簡易収穫台車 電動収穫 台車 2015/1/19 作業改善の効果 1:改善不要 2:近く改善 3:早期に改善 4:直ちに改善 収穫 移動 調製 収穫 移動 全体 作業台車 調製 作業台車 収穫 3.8 4.9 移動 全体 手作業(ハウスカー) 手作業(ハウスカー) 全体 収穫 移動 2.4 調製 3.5 収穫 1.1 移動 3.2 2.3 全体 調製 1.8 収穫 1.8 移動 1.8 1.8 全体 作業台車(電動) 全体 作業台車(電動) 3.7 調製 手作業(カゴ) 手作業(カゴ) 調製 調製 収穫 移動 調製 0.7 収穫 0.7 移動 0.9 全体 0.8 全体 0.0 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 作業姿勢の総合評価(OWAS法) 1.0 2.0 3.0 点 4.0 5.0 6.0 作業負担度による評価 2015/1/19 13 2015/1/23 道具の配置と動作領域について 2次的動 作範囲 主要動作 範囲 生研センター:農作業現場改善チェックリスト と解説から引用 道具や工具、資材の配置 についての目安は、以下の とおり。 1:高さは、目の高さから腰 の高さ。 2:奥行きは、体の前方15 ~40cm 3:左右の幅は、体の側方 40cm以内 2015/1/19 屋内環境の改善 2015/1/19 生研センター:農作業現場改善 チェックリストと解説から引用 14 2015/1/23 調製作業台を活用した作業の効率化 (簡単な作業改善の提案) 背中の 曲げ 高さ:70cm 高さ:30cm 表面色:灰色 素材:ポリ塩化ビニ ル製プレート 2015/1/19 90 作業台高さ(30cm) 80 作業台高さ(70cm) 上体傾斜角(°) 70 60 50 40 30 20 10 0 0 100 200 300 400 作業時間(sec) 調製作業台の高さが作業姿勢に与える影響 2015/1/19 15 2015/1/23 調製作業台の違いが選別内容に与える影響 項目 試験区 合 板 色 色 黄 別 黄 緑 灰 色 板 (30cm) 作 合 板 (70cm) 業 合 台 灰 色 プ レ ー ト (70cm) 誤選率 (%) 11.6 9.8 10.4 6.1 7.1 4.5 3.0 選別数 (莢/h) - - - - 918 2390 2560 注1:色別では、各色をレーザープリンタからA3サイズで 出力し、それぞれフィルムラミネートしたボードを高さ 70cmのテーブル上に置き、良品、不良品の2系統 に30分間選別した。 注2:合板、灰色プレートは調製作業台の表面を示し、 ()内数値は高さを示す。 注3:使用した調製作業台は、長辺180cm、短辺90cmの長方 形で、子実数と規格外品の4系統に60分間選別した。 2015/1/19 ニラとキクの調製作業改善事例 生研センター:農作業の安全・快適性向上に向けた改善事例集Ⅰから引用 2015/1/19 16 2015/1/23 花きの調製作業の改善について 2015/1/19 農作業の安全 ・安全対策が講じられた農業機械の利用 ・農業機械の適切な整備と管理の徹底 ・必要な知識・技術の習得 ・高齢者の場合は、自らの心身機能の衰 えを十分に意識する 2015/1/19 17 2015/1/23 農家人口と高齢化 http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin /kikaku/h17-1/pdf/data2-1-2.pdf 2015/1/19 農作業事故について ・農作業での死亡事故は、平成17年で労災事故の4倍 2015/1/19 18 2015/1/23 農作業事故の発生要因 農作業事故はその発生原因からみて、①人間(Man)②機械(Machine)③環 境(Media)④管理(Management)の4Mに分けられることが多い。この中で原 因の8割は人間の不注意と未熟練に起因している。 労働災害の発生 ①社会的要因 ②人的要因 ③機械的要因 これらが重なり、 ④事故を起こし、 ⑤傷害(怪我)を起こす。 ハインリッヒのドミノ倒し 2015/1/19 (社)日本農業機械化協会:農業機械導入利用安全指導ハンドブックから引用 ヒヤリとした経験を活かす 1件の死亡事故 死亡事故と同じ原因 で怪我だけですんだ もの(29件) 海底の氷山は目 に見えない 死亡事故と同じ原因 で幸運にもヒヤリとし ただけですんだもの (300件) ハインリッヒの事故比率(1:29:300) 2015/1/19 (社)日本農業機械化協会:農業機械導入利用安全指導ハンドブックから引用 19 2015/1/23 ヒヤリハットと事故事例 ヒヤリハット:重大な災害や事故には至らないものの、直 結してもおかしくない一歩手前の事例の発見をいう。文字 通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたり 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 するもの」である。 事例 ・耕うん、代掻き、田植えあとにほ場から退出する際に、前輪が浮きあ がったり、サイドスリップした。 ・道路走行中や畦越えに際して、トラクタが転倒した。 ・農作業事故についての参考HP http://brain.naro.affrc.go.jp/anzenweb/jirei/jirei.htm#jirei10 2015/1/19 農作業事故と高齢化 2015/1/19 20 2015/1/23 農作業事故を防ぐために ROPS(Roll Over Protective Structure: 安全キャブ・フレーム)の利用 保護具の着用と石などの除去 生研センター:農作業現場改善チェックリストと解説から引用 2015/1/19 農機安全eラーニング http://brain.naro.affrc.go.jp/el/ 2015/1/19 21
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