ディベートについて -歴史・種類・方法―

マイスターネット 第107回 講演会
ディベートについて
-歴史・種類・方法―
2015年 7月18日(土)
永田 典子
参考文献
ウイリアム シェイクスピア
大場 健治編注
ジュリアス シーザー
研究社
ウイリアム シェイクスピア
小田島雄志 訳
ジュリアス シーザー
白水社
北岡 俊明
サム リース
デイベートが上達する法
松下 祥子訳
香西 秀信
レトリックの話
話のレトリック
論争 と「詭弁」
総合法令出版社
論創社
丸善ライブラリー
桜井万里子 本村凌二
世界の歴史 ギリシャとローマ
中央公論社
西森マリー
シェイクスピアの英語
講談社
ディベート――歴史、種類、方法
Ⅰ。歴史
1. 古代ギリシャ
・ 都市国家(ポリス)の誕生(B.C.750) - 市民共同体
スパルタ ー 市民が集団で生活、軍事に専念
アテナイ - B.C.5世紀までに民主制確立、軍事力として下層市民の発言権の高まり
・
弁論術の隆盛
ソフィスト - 授業料を取り富裕者の師弟に弁論を教える教師。 収入多し。
人民集会での議論に勝つためにアテナイで需要が高かった。
ソクラテスー問答法、 プラトンーイデア論、 アリストテレスー「弁論術( Ars Rhetorica )」
2. 古代ローマ
共和政誕生(B.C.509) ― 元老院と平民(農民、職人)
ホルテンシウス法(B.C.287) - 平民会の決議は元老院の決議なしに国法
キケロ(B.C.109 誕生) -「弁論家について」
修辞学的エチユード (千年以上に渡る欧米の基本的教科書)
修辞学校に於けるディベート大会――見物・飛び入り大歓迎の論争ショウ――堕落の一因
476年ローマ帝国崩壊まで継続――東ローマ帝国に引き継がれた――論証に憑かれた帝国
アントニウスのシーザー追悼演説
3. 古代インド
ウパニシャッド - 王がバラモン達を集め、公開討論を実施。
インド論理学
4. 中世西欧
代表的教育制度 - 基礎三学芸「文法、論理学、修辞学」 (グラマースクール)
+ 高等四学芸「算術、幾何学、音楽、天文学」
キケロ的修辞学 - 「綴り方」、と「話し方」 の実学教育
Ⅱ。日本におけるディベートの歴史 - 岡山 洋一氏のまとめから
1. フランシスコ・ザビエル(シャビエル)1549年 - 宣教師たちが仏教諸派の相互間の特徴や欠点
について議論や討論。 1569年織田信長の眼前でルイス・フロイスと日乗上人との宗論(宗教論争)
キリシタン禁止令、鎖国― ディベート消失
2. 明治時代
福沢諭吉 -スピーチとディベートを紹介、それぞれ「演説」、「討論」と日本語を当てる。
森 有礼は、 「スピーチは日本に馴染まない、日本語は談話に適す」、と異論。
福沢諭吉は自らスピーチを行い、日本語でも可なることを証明。
明治7年三田演説館を開館。
明治10年代 ― 急速に普及。太政官、大警視狼狽―明治11年集会の届出制、制服警官の
臨監制 - 民衆の演説への欲求の高まり - 各地で演説会
当時の政治論題
「死刑を廃するの可否」、「自由貿易と保護貿易の可否」
旧制中学で弁論、討論、ディベートを実施。大学でディベート実施
明治35年 - 早稲田大学雄弁会創設。「海軍拡張の可否」の議題で討論会
治安維持法(明治33年)による言論封じ込め、マスコミの検閲 - 演説集の出版の減少、
理論書、実践書の出版の後退。
3. 大正時代
ディベートの影は薄くなり、一部の大学、旧制中学で実施されるのみ。
大正7年 - 吉野作造対浪人会の討論会
大正末期 - 討論は殆ど消滅
4. 1945年以降
大学等の競技ディベート復活。各種団体が活発にディベート大会を開催。
日本に於ける討論会、ディベート消失の理由
① 儒教・仏教の影響
② 日本語の語法の問題
④ 議論を楽しむ習慣の欠如
③ 日本人の同質性
⑤ 日本人の柔軟性 - 自分たちの文化に馴染み易くする事に
より、ディベートの命が消失
Ⅲ.ディベートの種類
1. 広義のディベート
政治的分野 - 米国に於ける大統領候補討論会、日本や英国に於ける党首討論会等
司法の分野 - 裁判
2. (最)狭義のディベート
教育ディベート (競技ディベート) - 勝敗の決定。 役割分担(肯定側・否定側)、準則の設定
・価値論題:ある事柄が良いか悪いか
・事実論題:ある事柄が有るか無いか
・政策論題:ある事柄が行われるべきか否か
Ⅳ.各国の競技ディベート
1. 英国式 -英国下院議会のディベートを範型。 即興的(論題が直前に発表される)
British Style
American Style
Australia-Asia Style(準備期間は長期)
2. 米国式
・ Policy Debate Style – 頂点は全米ディベート大会、年間を通して1つの政策論題。事前に
膨大な証拠資料を収集、綿密な論理構築。
Lincoln-Douglas Style –1858年リンカーン対ダグラスが、奴隷制廃止についての争った連邦上院
議員候補討論会にちなみ命名。否定側の反駁の時間が肯定側より長い。
ディベート大会の役割
雄弁術鍛錬の場、現実社会に即したスキルを提供するシミュレーションの場の提供
余談
サム リース氏によるレトリックのチャンピオン
1. サタン
2.マルクス・トゥリウス・キケロ
4.チヤーチルとヒットラー
3.エイブラハム・リンカーン
5.マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
7.裏方のスピーチライター
-2-
6.バラク・オバマ
Ⅴ.ディベートの方法
1.プロセス
2.討論会標準フォーマット
①.議題の決定
①.
肯定側立論 (5~8分)
②.データの収集
②.
否定側立論 ( 同上 )
③.論理の構築
作戦タイム(2分)
④.討論会
③.
⑤.判定
否定側反対尋問 (12~15分)
④.
肯定側反対尋問( 同上
)
作戦タイム(2分)
⑤.
否定側最終弁論(5分)
⑥.
肯定側最終弁論(同上)
⑦.
判定
3. 討論の技術
①
相手の前提を読み、その前提を覆す
⑧、本論に早く入る
②
前置きは短く
⑨ 発音発声は明瞭に
③
事実と意見を区別する
⑩ 日本語の特性を掴む
④
論拠を提示する
⑪ 曖昧な表現、情緒的表現は避ける
⑤
理由とエビデンスで証明する
⑥
レトリックを使用する
⑦
結論を先に話す
Ⅵ.シェイクスピア「ジュリアス シーザー」
第3幕第2場
シーザーを暗殺しようというキャシアスの姦計にブルータスは嵌まり、他の仲間6名(実際は14名)と共に、
キャピトルで実行する。シーザーの死に驚愕し、広場に集まった人々の前で、ブルータスが暗殺の理由を市民た
ちに説明の演説をする。
ブルータス: 最後までご静聴願いたい。
Be patient till the last..
ローマ市民、我が同胞、愛する友人諸君!私の話を Romans, countrymen, and lovers! hear me for
聞いて頂きたい、また聞くためには静にして頂きたい。
my cause, and be silent, that you may hear.
私の名誉にかけて私の言葉を信じて頂きたい。また
Believe me for mine honour, and have respect to
信じるためには私の名誉を重んじて頂きたい。諸君の mine honour, that you may believe. Censure me
賢明な知恵に照らして私を判断して頂きたい。また
in your wisdom, and awake your senses, that you
判断するためには諸君の分別をいっそう働かせて may the better judge. If there be any in this assembly,
頂きたい。もしこの会衆の中に、誰かシーザーの
any dear friend of Caesar’s, to him I say that
親友をもって任ぜられる人がおられるなら、私はその人に
Brutus’ love to Caesar was no less than his.
言おう。ブルータスのシーザーを愛する友情はその人に
If then that friend demand why Brutus rose
少しも劣りはしなかったと。 またもしその人が、ブルータスの
シーザーを倒した理由を聞きたいと詰問されるなら、私は
こう答えよう――それは私がシーザーを愛さなかったため
against Caesar, this is my answer : Not that I
lov’d Caesar less, but that I lov’d Rome more.
Had you rather Caesar were living, and
ではない、それ以上にローマを愛したためであると。どうだろう、 die all slaves, than that Caesar were dead,
-3-
諸君はシーザー一人生きて全ての諸君が奴隷として死んで
to live all free men? As Caesar lov’d me,
行くのを望むだろうか、シーザー一人死んで全ての諸君が
I weep for him ; as he was fortunate, I
自由人として生きることよりも? シーザーは私を愛してくれた、 rejoice at it ; as he was valiant, I honour
それを思うと泣かざるを得ない。彼は幸せであった、それを思う him ; but ------- as he was ambitious,
と喜ばざるを得ない。彼は勇敢であった、それを思うと尊敬
I slew him. There is tears for his love ; joy
せざるを得ない。 だが彼は野心を抱いた、それを思うと私は
for his fortune ; honour for his valour and
刺さざるを得なかった。彼の愛には涙を、彼の幸福には喜びを、
death for his ambition. Who is here so
彼の勇気には敬意を、そして彼の野心には死をもって報いる
base that would be a bondman? If any,
ほかないのだ。誰かここに、その性卑屈にして自ら奴隷たらんと
speak ; for him have I offended. Who is
欲するもの者がいるか?いたら、名乗り出てくれ。私はその人に
here so rude that would not be
罪を犯した。誰かここに、その性蒙昧にして自らローマ人たることを
a Roman? If any, speak ; for him have
欲さない者がいるか?いたら、名乗り出てくれ。私はその人に罪を
I offended. Who is here so vile that
犯した。誰かここに、その性卑劣にして自ら祖国を愛さない者が
will not love his country? If any,
いるか?いたら、名乗り出てくれ。私はその人に罪を犯した。さあ
speak ; for him have I offended.
答えを待とう。
I pause for a reply.
市民一同
いないぞ、ブルータス、一人もいないぞ。
All citizens.
None, Brutus, none.
アントニーが、シーザーの遺体を持って登場。ブルータスがその場を去ろうとすると、ブルータスに共感した
市民達はブルータスを家まで送ろうとする。しかしブルータスは「一人で帰宅したい」、と言い、市民達に
アントニーに弔辞を述べることを許可したので、最後まで彼の話を聞くように促す。アントニーは、「ブルータス
のために話を聞いてもらえることに感謝する」、と言う。市民は、「ここでブルータスのためにならない事は言え
まい」、「シーザーは暴君だった」、「シーザーがいなくなってローマは幸せだよ」、と言う。アントニーが話す。
アントニー : わが友人、ローマ市民、同胞諸君、
耳を貸してくれ。私が来たのはシーザーを葬るためだ、
Antony.
Friends, Romans, countrymen,
lend me your ears ;
称えるためでなく。人間の為す悪事はその死後も尚生き
I come to bury Caesar, not to praise him.
延びるものであり、善行はしばしばその骨と共に埋葬される
The evil that men do lives after them ;
ものである。シーザーもそうあらしめよう。
The good is oft interred with their bones ;
高潔なブルータスは諸君に語った。シーザーが野心を
So let it be with Caesar. The noble Brutus
抱いていたと。そうであれば、それは嘆かわしい罪にほか
Hath told you Caesar was ambitious.
ならず、嘆かわしくもシーザーはその報いを受けたのだ。
If it were so, it was a grievous fault ;
And grievously hath Caesar answer’d it.
ここに私は、ブルータス、その他の諸君の許しを得て、――
Here, under leave of Brutus and the rest ----
と言うのも、ブルータスは公明正大な人物であり、
For Brutus is an honourable man ;
その他の人物も公明正大な士であればこそだが――
So are they all, all honourable men ------
こうしてシーザー追悼の辞を述べることになった。
Come I to speak in Caesar’s funeral.
シーザーは私にとって誠実公正な友人であった。
He was my friend, faithful and just to me ;
だがブルータスは彼が野心を抱いていたと言う、
But Brutus says he was ambitious,
-4-
そしてそのブルータスは公明正大な人物だ。
And Brutus is an honourable man.
シーザーは多くの捕虜をローマに連れ帰った、
He hath brought many captives home to Rome,
その身代金はことごとく国庫に収められた、
Whose ransoms did the general coffers fill ;
このようなシーザーに野心の影が見えたろうか?
Did this in Caesar seem ambitious?
貧しい者が飢えに泣く時シーザーも涙を流した、
When that the poor have cried, Caesar hath wept ;
野心とはもっと冷酷なものでできているはずだ。
Ambition should be made of sterner stuff.
だがブルータスは彼が野心を抱いていたと言う、
Yet Brutus says he was ambitious ;
そしてそのブルータスは公明正大な人物だ。
And Brutus is an honourable man.
諸君は皆、ルペルクスの祭日に目撃したろう、
You all did see that on the Lupercal
私はシーザーに三度王冠を捧げた、それを
I thrice presented him a kingly crown,
シーザーは三度拒絶した。これが野心か?
Which he did thrice refuse. Was this ambition ?
だがブルータスは彼が野心を抱いていたと言う、
Yet Brutus says he was ambitious ;
そして、もちろん、ブルータスは公明正大な人物だ。
And sure he is an honourable man.
私はブルータスの言葉を否定すべく言うのではない、
I speak not to disprove what Brutus spoke,
ただ私が知っていることを言うべくここにいるのだ。
But here I am to speak what I do know.
諸君もかっては彼を愛した、それも理由あってのことだ、 You all did love him once, not without cause ;
とすれば、今彼の哀悼をためらうどんな理由がある?
What cause withholds you, then, to mourn for him?
ああ、分別よ!おまえは野獣の胸に逃げ去ったか、
O judgement, thou art fled to brutish beasts,
人間が理性を失ったとは。いや、許してくれ、
And men have lost their reason! Bear with me ;
私の心はシーザーと共にその棺の中にある、
My heart is in the coffin there with Caesar,
それが戻ってくるまで、先を続けられないのだ。
And I must pause till it come back to me.
この後、市民は、「アントニーの話もなかなか筋が通っている」、「シーザーの方が不当な目にあっていたのかも知
れない」、と言い、目を赤くして涙を流すアントニーを見て、「アントニーほど高潔な人物はいない」と評価する。
アントニーの演説が続く。
つい昨日までは、シーザーの一言は全世界を畏怖
But yesterday the word of Caesar might
させた。それが、どうだ、今はそこに横たわり、どんなに
Have stood against the world ; now lies he there,
卑しい者でも敬意を表する者はいない。
And none so poor to do him reverence.
ああ、諸君、もしこの私に諸君の心を駆り立て、
O masters, if I were dispos’d to stir
反逆暴動の挙に誘おうとの下心があるとすれば、
Your hearts and minds to mutiny and rage,
ブルータスをそしり、キャシアスをそしることになる、
I should do Brutus wrong, and Caesar wrong,
あの二人は、諸君も知るとおり、公明正大な人物だ。
Who, you all know, are honourable men
あの二人をそしることだけはしたくない、たとえ
I will not do them wrong ; I rather choose
死者をそしり、私自身をそしり、諸君をそしろうと、
To wrong the dead, to wrong myself and you,
あのような公明正大な人物をそしる気は私にはない。
だが、ここにシーザーの印を押した文書がある、
Than I will wrong such honourable men.
But here’s a parchment with the seal of Caesar;
彼の部屋で私がみつけたものだ、かれの遺言状なのだ。 I found it in his closet ------ ‘tis his will.
もし市民諸君がこの遺言の内容を聞かれたら――
-5-
Let but the commons hear this testament,
読む気もないのにこんなことを言って申し訳ないが―― Which, pardon me, I do not mean to read,
諸君はきっとシーザーの傷口に駆け寄り、口づけし、
And they would go and kiss dead Caesar’s wounds
その神聖な血にめいめいのハンカチを浸すだろう、
And dip their napkins in his sacred blood ;
いや、それどころか、シーザーの髪の毛一筋を
Yea, beg a hair of him for memory
記念のためにもらい受け、死に際してはそのことを
And, dying, mention it within their wills,
遺言状にしたため、貴重な遺産として子々孫々に
Bequeathing it as a rich legacy
伝え遺すだろう。
Unto their issue.
その後、市民達は遺言状を読んでくれとせがむが、アントニーは遺言状がある話をしてしまったのは、シーザーを
刺した公明正大な人物達(honourable men)を、そしることになるのではないか、とためらうと、市民達は
「やつらは謀反人だ」、と言い、「高潔な人物などではない」、と否定する。
アントニー:諸君に涙があるなら、今こそ流す用意をする
If you have tears, prepare to shed them now.
がいい。諸君はこのマントに見覚えがあるだろう。私もまた
You all do know this mantle. I remember
忘れはしない、シーザーがはじめてこれを着た時を。
The first time ever Caesar put it on ;
あれはある夏の夕暮れ、陣営に於いてであった、
‘Twas on a summer’s evening, in his tent
ネルヴィー族を打ち破った日のことであった。
That day he overcame the Nervii.
見ろ、ここをキャシアスの剣が突き抜けた。
Look! In this place ran Cassius’ dagger through ;
これはキャスカの恨みの手が引き裂いた跡だ。
See what a rent the envious Casca made ;
これがあれほど愛されたブルータスの刺した個所だ、
Through this the well-beloved Brutus stabb’d
そして彼の呪わしい剣がここから引き抜かれた時、
And as he pluck’d his cursed steel away,
シ-ザーの血はそのあとを追ってほとばしりでたのだ、
Mark how the blood of Caesar follow’d it,
まるで戸口から走り出して、無惨な訪問者がはたして
As rushing out of doors, to be resolv’d
ブルータスであったのかどうかたしかめるかのように。
If Brurus so unkindly knock’d or no ;
ブルータスは、周知のように、シーザーの寵児であった。
For Brutus, as you know, was Caesar’s angel.
神々も照覧あれ、シーザーはいかに彼を愛したことか! Judge, O you gods, how dearly Caesar lov’d him!
これこそはもっとも無惨非道の一撃であったのだ。
This was the most unkindest cut of all ;
さすが高潔なシーザーも、彼が刺さんとするのを見て
For when the noble Caesar saw him stab,
謀反人の腕よりはるかに強いその忘恩には、
Ingratitude, more strong than traitors’ arms,
すっかり打ちのめされ、偉大な胸もつぶれ果てたのだ。
Quite vanquish’d him. Then burst his mighty heart;
そしてマントに顔を包むようにして、まさにあの
And in his mantle muffling up his face,
ポンペー像の足元に、その像が噴出す血潮に
Even at the base of Pompey’s statua,
身を浸すように、大シーザーは崩れ落ちたのだ。
Which all the while ran blood, great Caesar fell.
ああ、何と言う崩壊であろうか、同胞諸君!
O, what a fall was there, my countrymen!
更にアントニーの演説は続き、市民達は、「ああ、気高いシーザー」、「復讐だ!」、「焼き討ちだ!謀反人を一人
も生かしておくな!」、と叫ぶ。しかしアントニーは、「私の言葉に激し、一挙に暴動を起すことはしないで欲しい。」、
と冷静さを保つように言い、シーザーの遺言状を読む。「ローマ市民に対し、それぞれ75ドラクマずつ贈る。
シーザーの荘園を全て、市民のための公園にする。」
-6-