橋の仕組み 所属:工学系ゼミ 2年7組37番 山田 健太郎 第1章 はじめに 第1節 テーマ設定の理由 橋は、私たちの暮らしにおいて必要不可欠な存在である。 しかし、橋にはいろんな形 がある。なぜそのような形をしているのだろう、などと考えているうちに橋について興 味がわいてきたので調べることにする。 第2節 研究のねらい それぞれの橋の構造、また一般的にどの橋が長いかについて調べることにする。 第3節 第1項 研究内容と方法 研究の内容 それぞれの橋の構造、また一般的にどの橋が長いかについて調べることにする。 第2項 研究の方法 本やインターネットなどを使って必要な資料をピックアップし、その資料から私な りの見解を述べる。 第2章 第1節 研究の展開 橋の基本構造 まず、橋には人や車両など(以下、荷重と呼ぶ)が通る上部構造と、上部構造を支え る下部構造とで構成されている。上部構造は、荷重を直接支える床板、その荷重を支え る 桁、床組(ゆかぐみ)、対傾構(たいけいこう)、横構(よここう)で成り立っており、 下部構造は、上部構造を支える躯体(くたい)と基礎で成り立っている。また、下部構 造が、橋の両端にあるものを橋台、橋の中間にあるものを橋脚という。(図 1 参照) なお、橋の規模を表す基準として、我々は橋の全長(橋台と橋台との間隔)を思い浮 かべるかもしれないが、技術的な側面からみた場合、“最大スパン(中央支間長) ※ 1 ” が用いられる。これは、橋脚を連ねて長くした橋よりも、橋脚の間隔を延ばした橋の方 が技術的な評価は高いためだ。 1 図 1 http://www.pwri.go.jp/caesar/overview/01-02.html より ※1 最大スパン(中央支間長) 橋脚と橋脚との間隔をスパン(支間)と呼ぶが、橋の中で最も距離の長いスパンを最 大スパンと呼ぶ。最大スパンはほとんどの橋が橋の中央に位置しているのでまたの名を 中央支間長と呼ぶ。 第2節 橋の構造 橋の種類には、主に次の5種類がある。 ・桁橋 ・トラス橋 ・アーチ橋 ・吊り橋 ・斜張橋 ※ 2 これらの橋について以下に説明していく。 ※2 斜張橋は吊り橋の一種という見方もあるが、土木工学的視点でみたとき斜 張橋と吊り橋は別の種類の橋とされているので、ここでは斜張橋と吊り橋 は分けて説明していくことにする。 第1項 桁橋 橋台および橋脚の上に横たえられた桁の みで荷重を直接支える橋。上に挙げた橋の 中で最も単純な橋なので、一般によく用い られる橋である。 しかし、その単純な構造であるがために、 橋のスパンは伸びない。詳しく説明すると、 橋桁に荷重がかかった際に橋が曲げの力が 発生して、内側が圧縮され外側が引っ張られ るためである。 (図 2 参照)そのため、桁橋の 構造上ではスパンを長くできないのだ。 2 図2 http://www.pwri.go.jp/caesar/ overview/01-03.html より 第2項 トラス橋 トラス橋は、三角形の特性をうまく活用した橋である。ここで、三角形の強 さを説明するために四角形と対比してみる。四角形に横から力を加えると、変 形してしまう。しかし、三角形で同様に横から力を加えると変形しづらい(図 3 参照)。このような三角形を連続させた構造をトラス構造という。この トラス 構造でトラス橋は成り立っている。 トラス橋の最大の利点は、曲げの力がほとんど発生しない点である。そのた め、計算が単純化されるのだ。ただし、トラスには、細い部材が使われるため に三角形の上部から強く力が加わるとつぶれやすくなる。 また、このトラス構造は橋だけではなく、送電線の鉄塔や 建物の耐震構造な どに利用されている。 図 2 http://www.pwri.go.jp/caesar/overview/01-03.html より 写真 1 2012 年に開通した美しいトラス橋、 東京ゲートブリッジ http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/ka nko/gatebridge/より 第3項 アーチ橋 アーチ橋は古くから存在し、起源は古代ギリシ ャであるという説や、紀元前 30 世紀ごろのメソポ タミアであるという説などがある。古くは、石や レンガを用いたが、日本では 1673 年に作られた 広島県岩国市にある木造のアーチ橋、錦帯橋が有 名である。(写真 2 参照) アーチ橋は、上向きに弓なりの形をしているの が特徴である。この橋の利点は、曲げの力が発生 せずに、圧縮される力のみ働く点である。上から 写真 2 観光名所として名高い錦帯橋 荷重がかかったとき、下の足場に向かって圧縮の http://ja.wikipedia.org/wiki/% 力が働くのだ。そのため、足場を固めないと崩れ E9%8C%A6%E5%B8%AF%E やすくなってしまうという弱点もある。 ( 図 4 参照) 6%A9%8B より 3 図4 http://www.pwri.go.jp/ caesar/overview/01-03.html より 第4項 吊り橋 吊り橋は高くて強い主塔と、太いメ インケーブル、補剛桁(他の橋でいう 桁)、補剛桁を吊るハンガーロープ、そ してメインケーブルを引きとめるアン カレッジから成り立っている。まず、 ハンガーロープが荷重と補剛桁を支え、 メインロープをハンガーロープが支え、 メインケーブルの力を主塔とアンカレ 図5 ッジが支えている。(図 5 参照) http://www.jasbc.or.jp/routepress21 st/rp21st-10-01.php より そもそも、吊るということはとても 合理的な方法なのだ。たとえば、水の入 ったバケツがあったとしよう。これを下 から支えるためには、丈夫な台などが必 要となるだろう。しかし、上から持ち上 げようとした場合、ひもをくくりつけれ ば簡単に持ち上がる。この合理的な方 図6 法を用いて吊り橋はつくられた。 田中輝彦/渡辺英一他著 図解 主塔の高さとメインケーブルの関係 橋の科学より を力学的に考えると、主塔の高さが高 いほうが、メインケーブルにかかる力 が小さくなる。 (図 6 参照)だが、主塔 を高くすると工事が大変になるうえ、 主塔が不安定になる。しかし、主塔が 低いとメインケーブルにかかる負担は 増えるため、ケーブルを太くしなけれ ばならない。そこで、経済的条件や工 事のしやすさなどいろいろな条件を考 写真 3 世界一長い最大スパンを持つ えて、いくつもの例を計算し、実際に 明石海峡大橋 吊り橋は作られている。ちなみに、世 http://ja.wikipedia.org/wiki/% 界一長いスパンを持つ明石海峡大橋 E6%96%9C%E5%BC%B5%E6 %A9%8B より 4 (写真 3 参照)の主塔の高さは約 300mで、 日本では、東京タワー(333m)に次いで高 い塔となっている。 第5項 斜張橋 斜張橋は吊り橋の仲間とされる見方もあ るだけあって、容姿は似ている。この橋は、 主塔から斜めに出ているケーブルで桁を支 えるという仕組みになっている。ゆえに、 橋桁を吊るという考えは吊り橋と同じである。 図7 斜張橋と吊り橋の比較 ただし、よく見るとメインケーブルとアンカ 斜張橋-Wikipedia レッジが斜張橋にはない。ここが吊り橋との http://ja.wikipedia.org/wiki/% 相違点である。(図 7 参照) E6%96%9C%E5%BC%B5%E6 %A9%8B より 斜張橋は 1800 年代には架けられていたの だが、1820 年代に相次いで 2 つの斜張橋が落 橋した。このため当時の土木研究者たちは、 構造解析が難しく正確な設計はできない、と した。ところが 1944 年リレー式計算機が登 場し、これを機に構造分析が簡単になった。 そして、斜張橋の建設が進んだのである。ゆ えに、斜張橋はコンピュータの進歩とともに 歩んできた橋といえよう。 写真4 雲海の上を走る世界一高い橋 (最も高い主塔の高さ;343m) フランス ミヨー橋 http://gigazine.net/news/2007022 3_millau/より 5 第3節 橋の大きさ 橋の最大スパンの長さについて、上記の 5 種類の橋別でまとめてみた。 ( 表参照) (例) 桁橋 トラス橋 アーチ橋 吊り橋 斜張橋 表 日本 世界 橋名 橋名 最大スパン長 最大スパン長 所在都道府県名 所在国名 宇品大橋 Stolma 橋 270m 301m 広島 ノルウェー 広島空港大橋 重慶朝天門大橋 380m 552m 広島 中国 港大橋 Quebec 橋 510m 549m 大阪 カナダ 明石海峡大橋 明石海峡大橋 1991m 1991m 兵庫 日本 多々羅大橋 ルースキー島橋 890m 1104m 広島・愛媛 ロシア 日本・世界の橋種類別最大スパン 日本橋梁建設協会ホームページ http://www.jasbc.or.jp/ranking/ranking.php より引用、筆者まとめ この表をもとに、最大スパンだけを見て橋を評価したとき、 ・1 位 吊り橋 ・2 位 斜張橋 ・3 位 トラス橋 アーチ橋 ・5 位 桁橋 といえるだろう。 6 第3章 感想 ここまで橋について述べてきたが、橋の仕組みを知ったうえでもう一度橋を見つめて みるとより一層興味がわくようになった。もちろん、橋は本来向こう岸にわたるために 造られたものである。だが、最大スパンを延ばそうと土木工学を発展させた結果、あの ような美しい橋ができ、特に上で挙げた東京ゲートブリッジ、錦帯橋、明石海峡大橋、 ミヨー橋などはもはや各々の地域の観光資源となっている。 まさに一石二鳥だなと私は 感じた。 第 2 章第 3 節では、橋の最大スパンに着目して考察したが、コストについて着目する とどういう結果になるのか、また、実際はどういう風にして橋の種類・大きさ・材料な どを決めているのか等々知りたいことが増えた。今回は調べることができなかったが、 それらについて知る機会があれば調べていきたいと思う。 第4章 参考文献 ・土木学会関西支部編 田中輝彦/渡辺英一他著 「図解・橋の科学 なぜその形なのか? どう架けるのか?」講談社、2010 年 ・独立行政法人 土木研究所 構造物メンテナンス研究センター;CAESAR http://www.pwri.go.jp/caesar/index-j.html ・一般社団法人 日本橋梁建設協会 http://www.jasbc.or.jp/ ・Wikipedia-橋 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%8B ・Wikipedia-斜張橋 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%9C%E5%BC%B5%E6%A9%8B 7
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