臨 床 水平位診療 ハ イスピードハンドピースの選択基準は? 最近の歯科診療では高速切削に使用さ せん。 が強いハンドピース(ボールベアリングタ イメージ通りの正確な形成ができ、歯質 れるハンドピースも多様化しているよ 1)回転数とトルク イプに多い)はどうでしょう。 にも影響が少なく、しかも患者さんにも 空転でなく、フェザータッチで負荷 この場合は使い方によって形成の正 を少なくして、切削面を滑らかにする 時の回転数が毎分35万回転程度に保た 確性に問題があったり、患者さんの歯 バーと歯質の間に発生する熱の冷却 転を維持し、振動や嫌な金属音も抑え れるようにすれば、歯質を滑らかに切 や歯髄に対する影響が異なると思われ 方法ですが、切削中に多量の水をバー られたボールベアリングハンドピース 削することができます。テクニック的 ます。 と歯の間に注水すればよいように思わ も発売されているようです。 ハンドピースが良いと言っています。B にはできるだけ軽くハンドピースを持 れがちですが、これではバーが水の幕 2)太さと重さ 先生は少々重くてもトルクが強く、4ホ って歯にバーを強く押し付けないよう 指先の微妙なコントロールができない に阻まれ、歯質に届かず空転してしま ールからの注水で冷却能力に優れたエア に注意します。 とイメージ通りの切削が難しくなりま します。 それには指先がいつも体の正面で自 由に使えるようにしておきます。 回転数が毎分15万回転と中高速では、 切削中の部位が良く見えなかったり、 最近の技術の進歩で機能面は遜色のな いハンドピースが多いようです。 す。また強い力でバーを切削部位に押 回転数やトルクといった機能はもちろ し付けますと振動や発熱を伴い、歯質 ん大切ですが、それ以上に術者が高速回 に悪影響を及ぼすことになります。 転をするバーを自在にコントロールする ンドピースがよいと教えられてきたの どうしてもトルクで切削することにな 発熱を防ぐ意味で4方向から多量の水 で、それを採用していますが、新しいユ り、切削面は滑らかになりますが、歯や を注水するタイプがありますが、注水 ニットを購入したとき、ハンドピースを選 歯髄にモーターの振動が伝わって患者に 過多になりますと切削部位が水に覆わ ゴルフのクラブが進歩して、アマチュ 択するには、どんな選択基準で選ぶべ とって決して愉快なものではありませ れ、ミラーの面が曇って見えなくなっ アでも長尺のドライバーで250ヤード飛ば きでしょうか。 ん。タービン切削の後の仕上げの切削な てしまいます。 す人も珍しくなくなりました。 どに使われれば効果を発揮します。 私の臨床経験から申し上げ 高速回転(毎分35万回転以上) で、押さ て、できるだけ患者さんの えつけてもなかなか停止しないトルク には、太さや重さが重要な選択基準で す。 適当な水量は注水した水がバーを伝 このドライバーなどは昔に比べて3イン って先端から切削部位に落ちていく程 度です。 負 担 が ー ー ー ー ー ー 70 歩で、ある程度のタッチまでは高速回 にはエアータービンよりも高速回転 転(毎分38万回転程度)で切削するハ フソ モサ デエ レテ ィ タ 不快な思いをさせずにすみます。 (毎分15万回転程度)のマイクロモータ います。私はフェザータッチの高速回 石 田 雅 司 最近はエアーコントロール技術の進 うです。友人のA先生は歯に与える振動 ータービンハンドピースが良いと言って S 世宇 A 界都 T p 宮 V d 市 コヘ開 ル業 スス ケ チア ールが要求されます。 チ (約7.5cm)も長くなったのですが、逆 切削中にわずかにバーを前後に動か に重さはずっと軽くなっています。そし すことで、バーと歯質の間に一瞬、空 てグリップは握りやすい太さを維持して 少なく、しかも短時 隙をつくってここに注水してやります。 います。 間に正確な形成を行 そうすれば冷却しながら切削すること うためにハイスピー ができます。 ハンドピースもトルクが強くなって、 押し付けても回転数が落ちないことは ドハンドピースは以 このように、回転数やトルクについ 機能面では進歩ですが、そのために重 下の選択基準が大切 てそれぞれ特徴がありますが、扱い方 くなったり、グリップ部が太くなった だと思います。 によって効果を十分に発揮したり、し のでは、決して満足が得られるもので なかったりすることを留意して選択す はありません。 ただし、これには 術者自身の指先のコ ることが大切です。 特に日本人や女性の先生のように比 先生がお使いのように高速切削で、あ 切削中の視野を十分に確保して指先 較的手の小さい人にとって太いグリッ 度しっかりできるこ る程度の力を加えると停止するタイプ の自由なコントロールが思うようにで プと重いハンドピースは、著しくコン とが条件になること (エアーベアリングハンドピース)では、 きれば、問題はないのですが、部位に トロール性能が落ちますから要注意で は申すまでもありま 指先のコントロールが確実にできれば、 よってはかなりデリケートなコントロ す。 ントロールがある程 71 臨床 水平位診療 さい。どれが適当な重さで、握りやす また、最近のようにグローブを使用す い太さなのか、目を使わなければ優劣 る場合、グローブが巻き込まれ自由に操 はすぐに分かります。 作することが難しくなることがあります。 3)形態 これも目隠しをして表面に触れてみれば、 ボディの曲がり角度も大切な選択基準 です。ハンドピースにバーを装着して、 優劣がすぐに分かります。 さらに表面が光沢のある仕上げでは操 グリップし、バーの先端を自分の体と平 作中にオペレーティングライトの光線が反 行に置いた平面(下敷きなど)に接して 射して目に入り、診療部位を見難いとい みてください。親指(第1指)と人差し ったことが生じます。表面上の余分なロ 指(第2指) 、薬指(第3指)の3指でハン ーレットなどは切削粉や血液が付着する ドピースをグリップしてバーの先端を下 と、取れにくくなり衛生面からも好まし 敷きにつけ、第3指の先端を下敷きにレ いとはいえません。 ストしてみたとき、自分の指先や手、手 首はどのようになっているでしょうか。 このように、ハンドピースひとつを見 ましても、微妙なコントロールを要求さ ボディ角度が15度の曲がりになってい れる私たちにとっては、慎重な選択が大 るハンドピースでは、指先にも、手、手首 切です。選択を誤ると先生の診療がやり 術者として自然で無理のないからだ にも無理なストレスがなく、自然な状 にくくなるだけではなく、患者さんに大 の状態を感覚し、それに適合した器具 態になっているでしょう。これも目隠 きな悪影響を及ぼすことになります。 を選択するために、目隠しテストが有 しテストをすればもっとはっきり分か また、この指先の微妙なコントロール 効 です。数種 類のハンドピースを並べて ります。この角度が大きくても小さくて を獲得するためには、自分のからだのこ おいて、1 本 ずつ指先でつまみ上げ使用 も、指先や手、手首を不自然に曲げたり、 とをよく理解し、効率の良いトレーニン するような状態でグリップしてみて下 肘を上げることになります。これでは正 グを繰り返し行われることが望ましいと 確なコントロール を望むべくもあり 言えます。 案外自分のことはわかりにくいもので ません。 すから、機会があれば下記のようなセミ 4)仕上げ ナーに参加されることをお勧めします。 表面仕上げも 選択基準になり 15° ます。表面が必 ※「ハイスキルのためのSATV 0、1、2、3コース」 主催:世界pdヘルスケアーソサエティー 大阪府吹田市江坂町1丁目23-28 江坂南口ビル4F 要以上に凹凸が あると、指先で の微妙な感覚を 得ることの妨げ になります。 72 TEL.(06)6330 -3033 ※「21世紀対応の診療と環境」 ※「パワーアップセミナー」 主催:株式会社モリタ 東京都台東区上野2 -11-15 TEL.(03)3834-6161 大阪府吹田市垂水町3 -33 -18 TEL.(06)6380-2525
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