「なつかしの家電 おどろきの道具」のご案内

ひめぎん情報 ■ 2015.秋
愛媛県総合科学博物館
秋の企画展「なつかしの家電 おどろきの道具」のご案内
愛媛県総合科学博物館では、10月10日(土)
根をモーターで回して風を送るというシンプ
から11月23日(月祝)まで企画展「なつかし
ルな基本構造は今も昔も変わりません。とこ
の家電 おどろきの道具」を開催します。な
ろが、時代ごと外観に特徴があって、並べて
つかしの家電製品からユニークな一品まで、
見比べると、それぞれの時代にどんな価値を
新旧大小とりまぜて、皆さんを懐かしい気持
プラスして製品にしたのかが見えてきます。
ちにさせ、時には驚かせるような実物資料を
風量調節や首振りの機能はいつ頃からあった
多数展示する予定です。世代を超えた交流が
とおもいますか?機能の有無に加え、スイッ
できる空間を目指していますので、展示室で
チの形や位置、各部品の材質や全体の大きさ
はご家族やご友人と家電製品が引き出す思い
など、過去から現代までその製品の変化を見
出に話がはずむことでしょう。ここでは、皆
比べながら思い出の扇風機の形を世代間で語
さんが展示室で盛り上がるきっかけとなるよ
り合うのも楽しいでしょう。こんなに長く使
う、この展示室をもっと楽しむコツを紹介し
われている製品なのに、扇風機は驚くことに
ていきます。
今でも進化し続けていますね。昔から変わら
ない製品の次の形や技術を予想しあうのもい
『ずっと変わらない場所を楽しむ』
いかもしれません。
昔からずっと変わらない製品があります。
例えば扇風機。世界でもいち早く電化された
製品の1つで、1880年代に登場しました。羽
『同じことを違う方法で』
通話ボタンをタッチしないと通話を始めな
いのは、つい最近になって加わった電話の機
能です。気がつけば、使用者である私たちの
方がいつも学習させられている。同じ製品な
のに、したいことは同じなのに、使い方が世
代によって全然違う。そんなタイプの技術変
遷もあります。割り振られた電話番号で遠隔
地にいる相手を呼び出して通話する、電話の
機能は今も昔も変わりません。しかし、相手
扇風機
とつながる方法、すなわち電話番号の指定方
ひめぎん情報 ■ 2015.秋
法や技術が、何度も大きく変わっています。
それに応じて電話の掛け方も変化してきまし
た。そして、そのためにいつも私たちが電話
の掛け方を学習する羽目になります。映画の
ワンシーンや音楽の歌詞に登場する電話の掛
け方の表現でその時代が分かります。慣れ親
しんで使い続けている製品の中には、私たち
が技術に寄り添って変化しなければならない
ものもあるのです。使い方から技術の歴史を
感じてみてはいかがでしょうか。
ポータブルテレビ
電話機
『豊富な種類の嬉しさ』
種類が豊富。それは楽しい買い物になりま
すね。テレビやラジオなど多様性と広がりを
真空管ラジオ
『その時間が楽しかった』
持つ製品は、どの時代のものも魅力にあふれ
みなさんにとって録音や撮影の道具と言え
ています。大小さまざま、高級感と普及版、
ば何ですか?機能や成果物の終点は同じなの
ポータブルであったり他の製品と融合したり
に、製品の姿や使われている技術が全く違う
と、その姿の七変化には驚かされるばかりで
ため、世代が変われば使い方の想像すらで
す。新しい技術、新しい魅力を与え続けられ
きない。そんな製品があります。録音はテー
ることで生まれる多様性。一本道の歴史とは
プ、
撮影はフィルムだったのはいつの頃まで?
違った楽しみがあります。デザインや使用法、
電卓や表計算ソフトばかりで計算するように
スタイルなど、人の生活にぴったりと寄りそ
なったのはいつからですか。録音も撮影も計
うための方法と戦略、そんな製品の強かさを
算も、今ではスマートフォン1つで事足りて
垣間みることができるのです。こんなところ
しまうのは、便利な反面少し物寂しい気もし
にこんな製品が潜んでいる、こんな製品と合
ます。電子機器の万能性に到達する前、私た
体していた、なんて宝探し気分で製品のデ
ちはいろんな技術に支えられた道具を使って
ザインや機能を観察することも楽しいことで
きました。計算するためにハンドルをぐるぐ
しょう。
る回してみたことや、現像からフィルムが戻
ひめぎん情報 ■ 2015.秋
るまで正しく写っているかどうか分からない
ケージに慣れた現代の私たちには、かつての
なんて手間のかかることは、忙しい現代社会
それが少し物足りなく見えるはず。かつての
から見れば少し無駄な時間だったかもしれま
広告のあおり文句にも、それは言い過ぎ?っ
せん。しかしそれも当時の大切な記憶だった
て、今の視点では乱暴に写るものもしばしば。
ということは、製品を見れば思い出すことで
広告には、そんな時代の勢いも映り込んで、
しょう。同じ用途なのに姿かたちに類似性が
製品とはまた違った楽しみを与えてくれます。
見当たらない、これぞ技術変遷の醍醐味とい
出演しているモデルや芸能人のファッション
える姿を見比べてみてください。
にも注目です。
←1930年代のパッケージ
テープコーダー
1980年代のカタログ
今となってはあるのが普通の電化製品。あ
らゆるところに電気仕掛けが潜んでいると
いって過言ではありません。生活も社会も電
気で動く現代ですが、たかだか百数十年、我々
人類のそれに比べ電化の歴史はたったその程
手回し計算機
『伝えたい気持ち』
度しかありません。電気製品が登場し始めた
のもほぼ同時期ですが、家電製品として生活
にとけ込んだのはこの50年ほどのこと。その
パッケージや広告も製品と同じでその変化
短期間の急成長の裏には、いろんな製品の栄
がとても楽しく興味深いものです。かつての
枯盛衰がありました。そんな家電製品の歴史
パッケージは商品名とメーカー名だけのとて
の一部分を、科博らしく、技術を切り口にお
もシンプルなものでした。商品イラストなど
見せできればと思います。便利でもスマート
と一緒に運送業者に宛てた注意点が加わり、
でもないけれど、粗暴でも暖かくそれでいて
消費者へ宛てた説明書きや警告まで加わっ
未来を予感させる古き良き製品に、私たちは
て、現在のパッケージには所狭しと情報が詰
懐かしくなるとともに新しさを発見すること
め込まれています。逆に情報過多ぎみのパッ
でしょう。