ノバルティスの「レボレード®」、 このクラスで初の重症再生不良性貧血の

ノバルティス ファーマ株式会社
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虎ノ門ヒルズ森タワー
http://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年9月16日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年9月2日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要
約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英
語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ノバルティスの「レボレード®」、
このクラスで初の重症再生不良性貧血の治療薬として、
EUから承認を取得
•
「レボレード®」は、他の治療法では効果がみられない重症再生不良性貧血(SAA)
の患者さんに対する EU における初の承認薬
•
希少な血液疾患である SAA の患者さんは治療選択肢が限られている 1
•
標準治療を受けた患者さんのうち最大 3 分の 1 には効果がみられず、反応例の約
40%には再発がみられ、再び SAA の症状が現れる 2
2015年9月2日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、前治療の免疫抑制療法(IST)
では効果が不十分、あるいは造血幹細胞移植が受けられない重症再生不良性貧血(SAA)
の成人患者さんの治療薬として、「レボレード®」(一般名:エルトロンボパグ)が欧州
委員会の承認を取得したことを発表しました。
ノバルティス・オンコロジー事業部のグローバル開発およびメディカルアフェアーズ責任
者であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva, MD)は次のように述べています。「欧
州委員会からの本日の承認は、欧州の重症再生不良性貧血の成人患者さんにとって重要な
ニュースです。標準治療では効果が不十分であった患者さんにとって、新たな治療選択肢
となるでしょう。『レボレード』は、重症再生不良性貧血患者さんのアンメットニーズに
応える治療薬であり、SAAのような希少疾患を抱える患者さんに対する私たちのコミット
メントを強調するものです」
SAAは、骨髄が赤血球、白血球、血小板を十分に産生できない血液疾患です1。欧州では毎
年100万人に2人が再生不良性貧血と診断され、その一部は重篤な症例です3,4。この疾患の
正確な原因は未だ解明されていませんが、大半のSAAは、骨髄にある造血幹細胞を傷つけ
る自己免疫反応が引き金になると考えられています1,2。そのため、SAA患者さんには生命
を脅かす感染症や出血のリスクがあります2。
SAA治療では、患者さんの血液中の正常な血球の数(血球数)を増加させることに重点を
置いています。現在の標準治療には、ISTまたは造血幹細胞移植があります2。ISTを受けた
患者さんのうち4分の1から3分の1には効果がみられず、反応例の30~40%には再発がみら
れ、症状が再び現れます2。初回のISTで効果がみられなかったSAA患者さんの約40%は、
診断を受けてから5年以内に感染症または出血により死亡しています5。
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今回の承認の根拠となったのは、米国立衛生研究所(NIH)
・国立心肺血液研究所(NHLBI)
が実施した非盲検、第II相ピボタル臨床試験(ELT112523)および2本の第II相臨床試験
(ELT116826、ELT116643)の結果でした。このピボタル試験では、「レボレード」の投
与により、IST抵抗性のSAA患者さんの40%で血液学的反応が認められました。43名の患
者さんを対象としたピボタル単群臨床試験における主な副作用(≥20%)は、悪心、疲労、
咳嗽、トランスアミナーゼ上昇、下痢、頭痛でした6。
欧州委員会の承認は、EUに加盟する全28カ国とアイスランド、ノルウェーおよびリヒテン
シュタインに適用されます。2014年8月にエルトロンボパグ(米国では「Promacta®」とし
て販売)は米国食品医薬品局により、ISTの効果が不十分であったSAA患者さんに1日1回
の投与が承認されました。エルトロンボパグはカナダでもSAAの適応で承認されています。
NIHの試験について
単群、単施設、非盲検第II相試験(NCT00922883)では、少なくとも1回のISTで効果が不
十分であった血小板数30 x 109L以下のSAA患者さん43名を対象にエルトロンボパグを評
価しました。ベースラインにおいて、血小板数は20 x 109L、ヘモグロビン濃度は8.4g/dL、
好中球数(ANC)は0.58 x 109L、網赤血球数は24.3 x 109Lでした(中央値)。投与を受
けた患者年齢の中央値は45歳(範囲17~77歳)で、56%は男性でした。患者さんの大半
(84%)は過去に少なくとも2回のISTを受けていました7。
エルトロンボパグは初期投与量50mg(1日1回)を2週間投与し、2週間ごとに最大投与量
150mg(1日1回)まで増量しました。主要評価項目は血液学的反応で、12週間のエルトロ
ンボパグ投与後に最初の評価を行いました。16週以降に血液学的効果が認められなかった
場合は投与を中止しました。その他の有効性評価には、効果の持続期間(月)の中央値な
どがありました7。
「レボレード®」(一般名:エルトロンボパグ)について
「レボレード」は全世界100カ国以上で、その他の治療法に対して十分な効果が得られな
い、あるいは忍容性に問題のある慢性特発性血小板減少性紫斑病(慢性ITP)の成人患者
さんにおける血小板減少症の治療を適応として承認されており、また全世界45カ国以上で、
インターフェロンを含む治療の開始や治療の継続を必要とする慢性C型肝炎患者さんのた
めに血小板減少症(血小板数低値)の治療薬として承認されています。エルトロンボパグ
(米国では「Promacta®」として販売)は米国食品医薬品局により、ISTに対して効果不十
分であったSAA患者さんに対して1日1回の服用で承認されており、またコルチコステロイ
ド、免疫グロブリン、脾臓摘出に対して十分な効果が得られない1歳以上の小児慢性ITP患
者さんの治療薬としても承認されました。日本では「レボレード」の製品名で、慢性特発
性血小板減少性紫斑病の血小板産生を促進する治療薬として、2010年10月27日に製造販売
承認を取得しています。この他、現在、中等症以上の再生不良性貧血を対象とした第II相
の国内臨床試験を行っています。なお、「レボレード」は、本年3月のグラクソ・スミス
クライン社のがん領域事業の移管により、ノバルティス ファーマに譲渡されており、製造
販売承認の承継は、今後必要となる手続きを経て実施される見込みです。
「レボレード®」の重要な安全性情報
「レボレード」は、肝機能障害、血小板数高値および血栓形成のリスクの上昇、投与中止
後の出血、および骨髄の障害といった重篤な有害事象を引き起こす可能性があります。
「レボレード」は肝機能障害に伴う重篤あるいは致死的な疾患を引き起こすことがありま
す。レボレードの投与開始前および投与中は肝機能をチェックするために、血液検査を行
う必要があります。C型肝炎ウイルス(HCV)感染による血小板減少症の治療のために「レ
ボレード」を使用する場合、抗ウイルス薬との併用により一部の肝機能障害が悪化するお
それがあります。
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医師は血液検査やその他必要な検査の指示を行い、場合によっては「レボレード」による
治療を中止する必要があります。患者さんは次のような肝機能障害の徴候や症状が少しで
もあれば、すぐに医師に報告してください。皮膚や目の白い部分が黄色くなる(黄疸)、
尿の色が異常に濃くなる、異常な疲労感、胃の右上領域の痛みなど。
患者さんは「レボレード」による治療中に血小板数が高くなり過ぎると、血栓を生じる可
能性が高くなりますが、血小板数が正常または低値である場合でも血栓は発生することが
あります。肝硬変の患者さんにおいては肝臓に血液を供給する血管内での血栓リスクがあ
ります。患者さんは、例えば肺まで移動するまたは心臓麻痺や脳卒中を引き起こすような
血栓の形成から重篤な合併症を発現することがあります。医師は患者さんの血小板数をチ
ェックし、血小板数が高くなり過ぎる場合は「レボレード」の用量変更または投与を中止
します。患者さんは足に血栓の徴候や症状、例えば片足の腫れや疼痛/圧痛などを生じた場
合、すぐに医師に報告してください。
慢性ITP患者さんが「レボレード」の服用を中止する場合、血小板数が低下して「レボレ
ード」の服用開始前に戻ります。このような作用は患者さんによる「レボレード」の服用
中止から4週間以内に生じる可能性が最も高く、血小板数の低下は出血リスクを増大する
ことがあります。医師は患者さんによる「レボレード」の服用中止後少なくとも4週間は
血小板数をチェックします。患者さんは「レボレード」の服用中止後に何らかの出血斑や
出血がある場合、医師または薬剤師に報告してください。
この疾患のために治療を受けている患者さんは骨髄に問題が生じることがあります。「レ
ボレード」のような薬剤はこの問題を悪化させるおそれがあります。骨髄中の変化の徴候
は血液検査値異常として表れることがあります。医師は「レボレード」による治療期間中
に骨髄を直接チェックする検査も行うことができます。
慢性ITP患者さんの治療に「レボレード」を使用する際に最も多い有害事象には、悪心、
下痢、肝酵素の増加、口渇、嘔吐、異常な脱毛または薄毛、発疹、背痛、筋肉痛、咽頭痛、
および嚥下時の不快感、尿路感染症などがあります。
慢性HCV患者さんで抗ウイルス薬を使用している患者さんの治療に「レボレード」を使用
する際に最も多い有害事象には、発熱、極度の疲労感、悪寒、頭痛、咳、悪心、下痢、異
常な脱毛または薄毛、筋肉痛、搔痒、脱力感、不眠、食欲不振、インフルエンザ様症状お
よび両手、両足首、両足の腫れなどがあります。
重症再生不良性貧血(SAA)患者さんの治療に「レボレード」を使用する際に最も多い有
害事象には、咳、頭痛、息切れ、鼻と喉の痛み、鼻水、腹痛、下痢、出血斑、関節痛、筋
けいれん、四肢疼痛、めまい、極度の疲労感、発熱、入眠不能(不眠症)などがあります。
血液検査によくあらわれる有害事象には、一部の肝酵素の増加および臨床検査で骨髄中の
細胞の異常な変化があらわれることなどがあります。
「レボレード(エルトロンボパグ)」の製品概要(SPC)のEU向けサマリー全文は、EU
Summary of Product Characteristic
(http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/medicines/human/medicines/001110
/human_med_001322.jsp&mid=WC0b01ac058001d124)をご参照ください。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
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ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580
億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ
ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約120,000人の社員を擁しており、世界180カ
国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com
参考文献
1.
2.
3.
4.
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6.
7.
National Heart, Lung and Blood Institute. What is aplastic anemia? Accessed August 26, 2015. Available at:
http://www.nhlbi.nih.gov/health/health-topics/topics/aplastic.
Townsley DM, Desmond R, Dunbar CE, et al. Pathophysiology and management of thrombocytopenia in
bone marrow failure: possible clinical applications of TPO receptor agonists in aplastic anemia and
myelodysplastic syndromes. Int J Hematology. 2013; 98(1):48-55.
Young NS, Kaufman DW. The epidemiology of acquired aplastic anemia. Haematologica. 2008;
93(4):489-492.
Montané E, Ibáñez L, Vidal X, et al. Epidemiology of aplastic anemia: a prospective multicenter study.
Haematologica. 2008; 93(4):518-523.
Valdez JM, Scheinberg P, Nunez O, et al. Decreased infection-related mortality and improved survival in
severe aplastic anemia in the past two decades. Clin Infect Dis. 2011; 52(6):726-735.
Revolade Summary of Product Characteristics.
US National Institutes of Health. ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00922883. A pilot study of a
thrombopoietin-receptor agonist (TPO-R agonist), eltrombopag, in aplastic anemia patients with
immunosuppressive-therapy refractory thrombocytopenia. Accessed August 26, 2015. Available at:
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00922883?term=eltrombopag+and+saa&rank=1.
以上
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