レポート:日本での一週間– 核災害と共に生きる人々との経験共有

RESTART Initiative | Citizens’ initiative for a world without nuclear threat Rottweil
www.restart-initiative.org
レポート:日本での一週間– 核災害と共に生きる人々との経験共有
アウトライン
1.
3つの重要な出来事
2.
プログラムの背景
3.
ヒロシマ
4.
フクシマ
5.
現在の日本の政治的状況
6.
日本における 反核運動
7.
今後の我々のプログラムの展開
8.
付:被曝基準の比較表
1.
プログラムの背景となる3つの重要な出来事

ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下: 1945 年 8 月 6 日、9 日。死者数: 410 5511人; 被爆者数: 192 7192人

チェルノブイリ原子力事故: ;1986 年 4 月 26 日. 死者数は 563 人から 100 0004 人とも推定されている.

フクシマ原子力事故: 2011 年 3 月 11 日地震とそれに伴う津波の後発生。事故後の避難者数:300 0005人.
(現在の避難者数 120 0006人)
2.
プログラムの背景


The “Citizens initiative for a world without nuclear threat” (核の脅威の無い世界のための市民団体、ロットヴ
ァイル)がベラルーシの汚染地域の子ども達のための保養プログラムを1986年より開始。
チェルノブイリ地域の子ども達の成長にともない、持続可能な開発と脱原発に向けた青少年教育のためのド
イツ−ベラルーシ間のユースプログラムを主催。2011 年より、福島事故をうけ日本人の参加者を初めて受け
入れ。

2013 年のプログラムをうけ、日本でのプログラム開催を検討。

FoE Japan を日本でのメインのパートナーとして日本における日独ベラルーシ三か国プログラムを2014年
に初めて開催。FoE Japan も日本で原発被災者支援やエネルギー政策への提言を行っている。なお2014年
のプログラムでは広島、東京、福島を訪問した。またベルリンで被災地支援を行う団体絆ベルリンの福沢氏
を通訳に迎えた。
Cities of Hiroshima and Nagasaki, 1998.
Japanese Government, 2014
3
IAEA (International Atomic Energy Agency), 2006
4
IPPNW (International Physicians for the Prevention of Nuclear War), 2006
5
Red Cross Int., 2013
6 FoE Japan, 2015
1
2
3.
ヒロシマ

広島で学ぶ学生との意見交換会で、日本では核兵器と核の民生利用(核の平和利用)の間にははっきりとし
た区別が見受けられた。ドイツやベラルーシから参加したグループは、おなじ“ヒバクシャ”に対する高い
関心を期待していたが、何人もの学生が福島の災害への関心が低かった。
4.
フクシマ

60 キロ圏内から禁止区域へ: 避難区域であったいくつかの村はすでに帰宅が始まっていた。私たちは道中汚
染された土が詰められた黒いプラスチックの袋の山を幾度も見かけた。禁止区域へのゲート付近では、そこ
で働いている人々が私たちに対してイライラしているようにも思えた。私たちが立ち去る際、作業者の車両
も私たちの後に走り出した。

福島の女たち: 福島の事故が起きるより以前に創設された。事故後、それまでは原発の隣に住むという事の意
味をわかっていなかったという多くの女性達が参加。彼女達は海外ジャーナリスト等とも交流し、政府に対
して働きかけを続けている。

市民放射能測定所(福島)http://en.crms-jpn.org/index.html: 2011 年 7 月より、約10名のボランティアが人
体と食物の放射線量をはかる測定所を運営。運営資金は寄付でまかなっている。現在、測定結果の約20パ
ーセントが注意を要するレベルを示している。

渡利地区訪問: 渡利地区は2012年2月までに一度除染が施されている。しかし、汚染土は地下1.5メー
トルに埋められたか、プラスチックの袋に入れられて家屋の横に詰まれている。雨が降ると線量の増量が見
られる。子ども達は未だに外で遊ぶ事は控えなくてはならない状況にある。
福島県庁訪問:沈黙のアピールは、すでに2015年3月時点で100回以上にわたる脱原発の申し入れを

県に対して行っている。私たちもアピールに同行し、福島県庁へエネルギー政策の転換や被災者支援の申し
入れを行った。ここでは県行政の無力さを感じない訳にはいかなかった。
5.
現在の日本の政治的状況

2014 年 12 月の選挙において自民党と公明党の連立政権が過半数を獲得。安倍首相は原子力を推進している。
2009 年から 2012 年の間は民主党政権下であり、その間幾度も首相が変わった。



6.
除染: 原発サイトでは常に混乱が見られるように見受けられる。例えば汚染された地下水が海に放出されてい
た事が後々になって報告されている。除染作業はさらに10年はかかると推測されている。
財政: 事故のコストは 11 兆円以上 と推測されている7. 東京電力の補償制度が不十分であったために、事故に
かかる賠償のため、政府は2014年原子力損害賠償法を制定した (lex Tepco) 。
脱原発: 福島の事故以来、日本にあるすべての原発が稼動を停止している。 2012年民主党は2030年
代までの脱原発をマニフェストとして掲げた。現在政権を握る自民党は原発をベースロード電源として電源
計画に盛り込む事を検討している。
日本における反核運動

歴史: 日本は1960年代に大きな市民によるデモの波を経験しているが、それらは政治的に急進的な左翼へ
の不信を深める結果となってしまった。それ以来市民による積極的なプロテストがあまり見られないのが現
状である。

文化的背景: ヨーロッパ社会に比べて、日本社会は個人のアクターより全体を重んじる傾向にある。個人が突
出することは多くの場合ネガティブにとらえられる。また、日本社会は厳しいヒエラルキーに特徴づけられ、
国家権威は批判されるべきでないと見なされる。

様々なアクター: 地域の団体, FoE Japan などの環境系 NGO, 首都圏反原発連合(MCAN)などのネットワーク,
Power shift Japan など再生可能エネルギー普及などを進めるアクター, Independent Web journal, U-Plan など
の独立系メディア、など。

FoE Japan (Friends of the Earth): FoE Japan は約500名の会員をもち、(ドイツの FoE の会員数:約 518
000)現在7名のスタッフが常勤。主な活動として、エネルギーシフト、森林保全、生物多様性保護など。
7
http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20140311/1516_songaigaku.html

メディア: 日本の主要なメディアは脱原発活動について多く報道しておらず、独立した小規模メディアは今も
厳しい状況の中報道を続けている。

その他の活動 (例): 汚染地区の子ども達のための短期間の保養プログラム、経産省前の脱原発テント、定期的
に行われる脱原発デモ、ゼロノミクマによるキャンペーン活動
7.
今後の我々のプログラムの展開

RESTART Initiative としての活動: 福島事故や日本、ドイツでの活動に関するブログ記事の執筆、2015 年春に
おけるベラルーシへのフィールドトリップ

ドイツの先駆的役割: ドイツは世界的にみてもエネルギーシフト(Energiewende)の先駆的役割を果たしている。
更なるエネルギーシフトへの働きかけを国レベルでおこなっていく。

国際的な協力: 様々な出来事に関わる人々を直に知る事でよりエネルギー問題への理解を深める。また多くの
人とエネルギーや将来について議論しておこなっていく
2015/05/07, AF