評価規準の作成について

評価規準の作成について
(中学校
1
観点別学習状況の評価の考え方
学力の3つの要素との整理
主体的に学習に取り組む態度
技術・家庭〔家庭分野〕)
生活や技術への関心・意欲・態度
知識・技能を活用して課題を解決するた
めに必要な思考力・判断力・表現力
生活を工夫し創造する能力
生活の技能
基礎的・基本的な知識・技能
生活や技術についての知識・理解
2
評価の観点の趣旨について
生活や技術への
生活を
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
衣食住や家族の生活な 衣食住や家族の生活な
どについて関心をもち,どについて見直し,課
これからの生活を展望 題を見付け,その解決
して家庭生活をよりよ を目指して家庭生活を
くするために進んで実 よりよくするために工
践しようとする。
夫し創造している。
①
は今回追加・変更したところ
生活や技術ついての
生活の技能
知識・理解
生活の自立に必要な衣 家庭の基本的な機能に
食住や家族の生活など ついて理解し,生活の
に関する基礎的・基本 自立に必要な衣食住や
的な技術を身に付けて 家族の生活などに関す
いる。
る基礎的・基本的な知
識を身に付けている。
生活や技術への関心・意欲・態度
・衣食住や家族の生活などについて関心をもっているか。
・意欲的に課題解決に取り組もうとしているか。
・家庭生活をよりよくするために進んで実践しようとしているか。
などについて評価する。
※「など」… 「D身近な消費生活と環境」の内容を指している。(他の観点も同様)
※「これからの生活を展望して」…将来にわたって自立して生活を営む見通しをもって,自ら
の課題解決に意欲的に取り組むことを重視した。
②
生活を工夫し創造する能力
・衣食住や家族の生活などについて見直し,課題を見付けているか。
・課題を多面的に考察しているか。
・学習した知識と技術を活用して課題を解決しているか。
・解決を目指して自分なりに工夫したり,自分の考えを生かした取組をしているか。
などについて評価する。
※課題の解決を目指して工夫するその過程を含めて評価することが重要である。
※言語活動を中心とした表現に係る活動等を通じて行う。
(生徒が考えたり工夫したりしたことを図や言葉でまとめたり,発表したりするなどの活動
を通して評価する。)
③
生活の技能
・日常食の調理や衣服の手入れ,布を用いた物の製作などに関する基礎的・基本的な技術を
身に付けているか。
などについて評価する。
- 1 -
④
生活や技術についての知識・理解
・中学生の食生活と栄養や住居の機能と住まい方,家庭生活と消費などに関する基礎的・基
本的な知識を身に付けているか。
などについて評価する。
※
3
これらの4観点は相互に関連し合っているので,評価の観点及びその趣旨を十分理解して適
切な指導と評価の計画を作成する必要がある。
学習指導要領の内容,内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項及び評価規準の設定例
◆「内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項」
・学習指導要領に示す各教科の目標・学年の目標及び内容の記述をもとに作成
◆「内容のまとまり」
・学習指導要領に示す内容項目等をそのまとまりごとに整理したもの
「A家族・家庭と子どもの成長」,「B食生活と自立」,「C衣生活・住生活と自立」,「D身
近な消費生活と環境」の内容の(1),(2)・・・の各項目
◆「評価規準の設定例」
・「評価規準に盛り込むべき事項」をより具体化したもの
あくまでも例であり,各学校において参考とするもの
(1)「A 家族・家庭と子どもの成長 (1)自分の成長と家族」の場合
【学習指導要領の内容】
(1)自分の成長と家族について,次の事項を指導する。
ア 自分の成長と家族や家庭生活とのかかわりについて考えること。
【「(1)自分の成長と家族」の評価規準に盛り込むべき事項】
生活や技術への
生活を
生活の技能
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
3学年間の学習に見通し
ガイダンスを含む
をもち,自分の成長と家
族や家庭生活とのかかわ
りについて関心をもって
学習活動に取り組もうと
している。
生活や技術についての
知識・理解
【「(1)自分の成長と家族」の評価規準の設定例】
※ あくまでも例である。自分の学校に合わせて文言を替える。
生活や技術への
生活を
生活や技術についての
生活の技能
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
知識・理解
・小学校の学習を振り返
り,3学年間の見通し
ガイダンス
をもって学習に取り組
もうとしている。
・自分の成長や生活は家
族やそれにかかわる人
々に支えられてきたこ A(1),(3)の導入
とに気付いている。
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(2)「A 家族・家庭と子どもの成長 (2)家庭と家族関係」の場合
【学習指導要領の内容】
※ 内容Aには,技能はない。
(2)家庭と家族関係について,次の事項を指導する。
ア 家庭や家族の基本的な機能と,家庭生活と地域とのかかわりについて理解すること。
知
○
イ これからの自分と家族とのかかわりに関心をもち,家族関係をよりよくする方法を考える
関
こと。
○
【「(2)家庭と家族関係」の評価規準に盛り込むべき事項】
生活や技術への
生活を
生活の技能
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
家庭と家族関係について 家庭と家族関係につい
関心をもって学習活動に て課題を見付け,その
取り組み,家庭生活をよ 解決を目指して工夫し
り よ く し よ う と し て い ている。
る。
【「(2)家庭と家族関係」の評価規準の設定例】
生活や技術への
生活を
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
ア ・家庭生活と地域とのか
の
かわりに関心をもち,
設
地域の人々とのかかわ
自分の状況に合わせて
定
りについて話し合うこ
例
となどを通して,地域
の人々とのつながりの
大切さに気付いてい
る。
イ ・これからの自分と家族 ・自分の生活や事例の
の
とのかかわりに関心を
家族について課題を
設
もち,家族関係をより
見付け,家族関係を
定
よくするためにできる
よりよくする方法に
例
ことを実践しようとし
ついて考え,工夫し
ている。
ている。
生活の技能
生活や技術についての
知識・理解
家庭や家族の基本的な
機能,家庭生活と地域
とのかかわりについて
理解している。
生活や技術についての
知識・理解
・家庭や家族の基本的
な機能について理解
している。
・家庭生活が地域の人
々とのつながりの中
で成り立っているこ
とを理解している。
現行では,「ロールプレイングを通して」の
評価は,技能だったが,今回は工夫でとる。
(3)「A 家族・家庭と子どもの成長(3)幼児の生活と家族」の場合
【「(3)幼児の生活と家族」の評価規準の設定例】
生活や技術への
関心・意欲・態度
生活を
工夫し創造する能力
・幼児の観察や遊び道具 ・幼児の心身の発達に
の製作などの活動を通
応じた遊びや遊び道
して,幼児に関心をも
具,遊び方について
っている。
考え,工夫している。
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生活の技能
生活や技術についての
知識・理解
・幼児にとっての遊び
の意義について理解
している。
・幼児と触れ合う活動な ・幼児の心身の発達に ・幼児の遊びや幼児の
どを通して,幼児に関
応じたかかわり方に
発達と家族とのかか
心をもち,適切にかか
ついて,観察したこ
わりなどについて,
わろうとしている。
とを生かして考え,
観点に基づいて観察
工夫している。
し,整理することが
できる。
行けないときには,
VTRなどで学習活
動を行ってもよい。
2回行くということではない。観察後に
もっとこんなかかわりをすればよかった
など考えたことを評価してよい。
(6)「B 食生活と自立(3)日常食の調理と地域の食文化」の場合
【「(3)日常食の調理と地域の食文化」の評価規準の設定例】
※ 3年間分の評価が示されている。
生活や技術への
生活を
生活や技術についての
生活の技能
関心・意欲・態度
工夫し創造する能力
知識・理解
・日常食の調理に関心を ・基礎的な日常食の調 ・調理の目的や食材に ・食品の調理上の性質
もち,調理技術を習得
理について,調理に
合った基本的な調理
について理解してい
しようとしている。
必要な手順や時間を
操作ができる。
る。
考えて計画したり,
・洗い方
・加熱調理と調理の要
・食品や調理用具等の安
食品の調理上の性質
・切り方
点について理解して
全と衛生に配慮し,調
を生かした調理を工
・加熱調理(煮る, いる。
理実習で実践しようと
夫したりしている。
焼く,炒める)
している。
・調味
・食品の調理用具の安
・盛り付け
全と衛生に留意した
・配膳
取扱い方について理
・後片付け
解している。
4
評価規準作成の留意点
☆押さえるべき知識・理解,技能を明確にして表記してある。(現行は4観点全て記述してあった。)
☆『生活の技能』は原則学校の授業で行ったことを評価する。
☆『生活を工夫し創造する能力』は学んできた知識や技能を活用しつつ,家庭科の内容等に即して思
考・判断したことを説明,記述などといった言語活動を通して評価する。
☆調理計画や製作計画の作成は「計画を立てることができる」という『生活の技能』ではなく,それ
までに身に付けた知識や技能を活用して「計画を工夫する」という観点から『生活を工夫し創造す
る能力』の観点から評価する。
☆「生活の課題と実践」についての評価は ,『生活や技術への関心・意欲・態度』と『生活を工夫し
創造する能力』で評価する。
評価規準の作成のための参考資料(中学校)平成22年11月
国立教育政策研究所教育課程研究センター
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