科研費の申請時に取り組んだ工夫

科研費の申請時に取り組んだ工夫
2015年9月3日(木)
看護学部 成人看護学
浅海くるみ
採択された研究
①研究活動スタート支援(H26~27)
「外来化学療法を受ける再発がん患者の多重症状の
緩和に向けた看護プログラム開発の予備研究」
②提出までに費やした期間
3週間弱
*学内の申請締切日は5月初旬
③科研費の採択経験のある先生からご助言をいただき、
作成した
本日の内容
1.科研費の申請書類の作成時に工夫した点
2.申請までの期間に取り組んだこと
3.申請後に取り組んだこと
研究目的
「冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述」
と、下線で強調している
研 究 目 的
本欄には、研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、適
宜文献を引用しつつ記述し、特に次の点については、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。(記述に当たっては、「科
学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領47頁参照)を参考にしてください。)
① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至
った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等)
② 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
③ 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
工夫(1)
研究目的(概要)は、分かりやすく簡潔に
前半に、「研究
の全体構想」と
「本研究の具体
的な目的」
研究目的(概要)
本研究では、外来化学療法を受ける再発がん患者の
多重症状を緩和するプログラム開発のための基礎資料
を得るために、外来化学療法中の再発乳がん患者を対
象に、同時に発生する複数の症状の実態と生活への影
響を明らかにすることを目的としている。
後半に、「研究
の背景・問題
点・展開」
新規抗がん剤の開発により、再発がんの予後は延長
しているが、癌および副作用に起因する症状など、患者
は多種多様な身体・心理社会的苦痛を抱え、より専門
的な介入が必要である。罹患者数の多い再発乳がん患
者の同時に発生する複数の症状の実態と生活への影
響を解明し、有効な支援を確立することは、全身状態の
悪化を予防し、QOL(Quality of Life)の向上に寄与するこ
とが期待できる。
研究目的
研 究 目 的
本欄には、研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、適
宜文献を引用しつつ記述し、特に次の点については、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。(記述に当たっては、「科
学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領47頁参照)を参考にしてください。)
① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至
った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等)
② 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
③ 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
①研究の学術的背景
②研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
③学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
工夫(2)
研究の全体構想を図示する
<研究の全体構想>
本研究:外来化学療法を受け 博士論文の二次分析:外来化学療
る再発乳がん患者の多重症状 法を受ける再発大腸がん患者の
多重症状と生活への影響
と生活への影響
将来の構想:外来化学療法を受ける再発がん患者の
多重症状の緩和を目指す外来支援プログラムの開発
研究計画・方法
「冒頭に概要を簡潔にまとめて記述した上で、
平成26年度と平成27年度の計画に分けて」に注目
研究計画・方法
本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、冒頭に概要を簡潔にまとめて記述した上で、平成26
年度の計画と平成27年度の計画に分けて(1年間の研究計画の場合は平成26年度のみ)、適宜文献を引用しつつ記述してくだ
さい。
研究が当初計画どおりに進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、本研究を遂行する上での具体
的な工夫(効果的に研究を進める上でのアイディア、効率的に研究を進めるための研究協力者からの支援等)についても、焦点を
絞り、明確に記述してください。
工夫(3)
年度ごとの計画は実現可能な内容に
【平成26年度の計画】
・調査項目の抽出
①インタビューガイドの作成
②質問紙の検討
【平成27年度の計画】
・外来化学療法を受ける再発乳がん患者の複数の症状
および生活への影響に関する実態調査
①研究対象者
②データ収集方法
③データの分析方法
研究計画・方法
研究計画・方法
本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、冒頭に概要を簡潔にまとめて記述した上で、平成26
年度の計画と平成27年度の計画に分けて(1年間の研究計画の場合は平成26年度のみ)、適宜文献を引用しつつ記述してくだ
さい。
研究が当初計画どおりに進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、本研究を遂行する上での具体
的な工夫(効果的に研究を進める上でのアイディア、効率的に研究を進めるための研究協力者からの支援等)についても、焦点を
絞り、明確に記述してください。
「研究が当初計画通りに進まない時の対応など、本研究
を遂行するうえでの具体的な工夫についても、焦点を絞り、
明確に記述」に注目
工夫(4)
研究計画の緻密さをアピール
• 研究が計画通りに進まない時の対応を具体的に示す
「調査対象者数の縮小化」「学会発表を国外から国内に限定」
• 研究体制をそれぞれの役割とともに明示する
主研究者:浅海(研究全般)
共同研究者:乳腺外科医師および外来看護師(調査時に協力)
がん看護領域を専門とする教員(スーパーバイズ)
研究略歴
「どのような研究を行ってきたのか、研究内容とともに特
筆すべき事項(受賞歴等)を簡潔に記入」に注目
研 究 略 歴
本欄には、学歴・職歴及び研究履歴を現在から順に年度をさかのぼって記入してください。その際、どのような研究を行っ
てきたのか、研究内容とともに特筆すべき事項(受賞歴等)を簡潔に記入してください。
工夫(5)
同じテーマで研究を積み重ねた経過をアピール
• 研究略歴に修士論文および博士論文のテーマと要旨を記載
• これまでに採択された民間の助成金も載せる
2011年4月~
2014年3月
2009年4月~
2011年3月
○博士論文
テーマ:Development of a nursing program based on problem-solving therapy for
outpatients with recurrent colorectal cancer receiving chemotherapy
要旨:外来化学療法を受ける再発大腸がん患者を対象に、問題解決療法による看護支援
プログラムを作成し、準ランダム化比較試験により介入の有効性を検討した。33人の研
究参加者(介入群16人、対照群17人)よりデータを得て、分析の結果、作成したプログ
ラムは抑うつの軽減、身体的QOLの改善に有効であることが明らかとなった。
○採択された助成
・平成23年度安田記念医学財団 癌看護研究助成(大学院学生)
・平成24年度公益信託山路ふみ子専門看護教育研究助成基金
○修士論文
テーマ:進行大腸がん患者の経口抗がん剤外来治療継続過程における思い
要旨:11名の対象者よりデータを得た結果、全治療過程で、“期待と不安の狭間に揺ら
ぐ”思いが見出され、否定的な認知・情緒状態だけでなく、肯定的な認知・情緒状態も
示された。特に、再発大腸がん患者の問題は多岐に渡るため、支援の拡充が必要と示唆
された。
2.申請までの期間に取り組んだこと
科学研究費助成事業データベース
• 文献検討
• 関連する領域の科研費の報告書に
目を通す
• 大型書店へ行き、関連する図書に多数触れる
• 一人ブレーンストーミング
研究の構想と具体をノートに書きながら、整理
• 科研を申請する他大学の友人とディスカッション
• がん看護領域の先生とディスカッション
3.申請後に取り組んだこと
• 外部セミナーへの参加、関連図書に触れるなど、科研費申請
に対するアンテナを張る
• 採択の可否を待たず、すぐに研究に取り組むつもりで準備を
始める
調査フィールドの調整
倫理審査の申請の準備
博士論文の二次分析