2015年11月号 - アヴァンティスタッフ

月刊 HRタイムズ
株式会社アヴァンティスタッフ ニュースレター
Monthly Human Resource Times
34号 / 2015年11月 (毎月第2水曜日発行)
HRタイムズでは、人材活用や人事労務に関する旬な情報を毎月お届けします。
人事労務ニュース
◆女性採用比率の把握、企業に義務付け 厚労省が省令案
厚生労働省の労働政策審議会の分科会は8日、8月に成立した女性活躍推進法の省令案を了承したと塩崎恭久厚労相
に答申した。従業員301人以上の大企業に対し(1)採用者に占める女性の割合(2)男女の平均勤続年数の差(3)月ごとの
平均残業時間(4)女性管理職の割合―を把握するよう求める。来年4月に施行する。(2015/10/8 日本経済新聞電子
版)
詳細規定となる省令やQ&Aが公表されたことにより、来年4月の施行に向けて、やるべきことが固まりました。次ページの特集記事と
あわせて、厚労相ホームページ内に設置されている「女性活躍推進法特集ページ」に目を通していただくことをおすすめします。
◆解雇を金銭で解決 厚労省検討会で意見対立
政府の成長戦略に盛り込まれた雇用制度の改革として、解雇などの争いを金銭で解決する新たな制度についての議論が、厚
生労働省の検討会で始まりました。こうした制度については「金銭さえ支払えば解雇できるようになる」として懸念する声もあり、
検討会でも意見が対立しました。(2015/10/30 NHK NEWS WEB)
使用者側と労働側で意見の隔たりが大きいテーマだけに、今後の議論は曲折が予想されますが、安倍政権下での成長戦略や規制
改革会議の意見に基づき、解雇改革に関する議論がスタートしました。詳細は、3ページの特集②をご覧ください。
◆子育て「不安・負担」7割 厚労白書、保育・雇用の拡充訴え
厚生労働省は27日、2015年版の厚生労働白書を公表した。15歳以下の子どもを持つ親の72.4%が子育てに不安や負
担を感じていることがわかった。出産・子育てに必要なことを20~40代に聞いたところ「安定した雇用」が72.1%で最も多く、
「安心できる出産・小児医療」(44.2%)が続いた。(2015/10/27 日本経済新聞電子版)
今年の厚生労働省白書は、副題に「人口減少社会を考える」とあるように、人口減少の見
通しやその影響、人口減少の克服に向けた取組み等についてまとめられています。なお、白書
の一部として公表の「人口100人でみた日本」(抜粋)を次ページで紹介しています。
目次
◆就活「躊躇なく見直す」 経団連、6月開始が有力
経団連の榊原定征会長は27日の会見で、大学生の就職活動(就活)ルールを、
1年で見直すことについて「本質的な問題が指摘されるのであれば、躊躇(ちゅうちょ)
なく見直すべきだ」と語り、来年の面接など選考開始を早める方針を改めて説明した。6
月開始を「1つの案」とし、調整を進める。日程見直しについては同日、馳浩文部科学相
が「朝令暮改ではないか」と述べるなど批判の声も上がっている。(2015/10/27 産
経ニュース)
読売新聞が今年8月に実施したアンケートによると、就活の解禁時期を8月に繰り下げたこと
に賛成が35%、反対が65%だったとのこと(8月14日現在)。
1
•
人事労務ニュース
•
「平成27年版厚生労働白
書 100人でみた日本」より
•
特集①-女性活躍推進
法、来年4月に施行
•
特集②-動き出した解雇
ルール改革
•
人事総務 実務相談Q&A
ストレスチェック制度について
•
編集後記
「平成27年版厚生
労 働 白 書 100 人
でみた日本」より
今月号は、平成27年版厚生労働白
書から、日本を人口100人の国に例
えた「人口100人でみた日本」よりお
伝えします。
◆人口について
48.6人
51.4人
・年齢は
15歳未満
65歳以上
12.8人
26.0人
◆雇用について
・仕事についているのは
内、雇われているのは
自営しているのは
50.0人
44.0人
4.4人
・雇われているのは
男性
女性
24.9人
19.2人
・雇用形態は
パート
アルバイト
派遣
契約社員・嘱託
7.4人
3.2人
0.9人
3.2人
・長時間働いているのは
週60時間以上
厚労省の審議会が、女性活躍推進法の省令案を了承したとのニュースを紹介しました
(1ページ参照)。来年4月の施行に向け、何をしなければならないのか、10/28に公布さ
れた省令やQ&A(「状況把握、情報公表、認定基準等における解釈事項について」)
の内容をふまえご紹介します。
まず、この法律による義務が課されるのは、従業員が301人以上の企業です。
300人以下の企業については、努力義務となっています。
続いて、義務化された内容の流れを示します。
・性別は
男性
女性
・短時間で働いているのは
週35時間未満
特集①-女性活躍推進法、来年4月に施行
15.4人
4.5人
・雇用保険加入者は
31.0人
・雇用保険受給者は
0.4人
・会社の健康診断で「有所見」は
23.4人
◆医療について
・健康状態が「よくない」「あまりよくな
い」と感じているのは
(6歳以上)
13.4人
・日常生活の悩み・ストレスを感じてい
るのは (12歳以上)
48.1人
・病気やけがなどで通院しているのは
37.8人
・生活習慣病は
12.6人
・タバコを吸うのは
男性
女性
12.8人
3.5人
・生涯でがんになるのは
男性
女性
29.2人
23.0人
・習慣的に運動しているのは
男性(20歳以上)
13.4人
女性(20歳以上)
12.1人
・健康保険加入者は
組合健保・協会けんぽ 50.9人
国民健康保険
29.5人
<ステップ1>
自社の女性活躍状況を把握し、課題分析を実施する。
~状況把握や課題分析のための支援ツールは、年内に厚労省HPに公表予定~
・必ず把握すべき項目(基礎項目)は、次の4点です。
①採用者に占める女性比率
②勤続年数の男女差
③残業時間の状況
④管理職に占める女性比率
・任意で把握する項目(選択項目)は21項目です。直接雇用する労働者と派遣労
働者の女性割合、男女別の育児休業取得率などがあります。
・基礎項目②の把握対象者は、「無期雇用の労働者」と「労働契約期間の通算が5年
を超える労働者=労働契約法18条による無期転換権利保有者」です。
・基礎項目③は、具体的には、月ごとの労働者(労基法の事業場外みなし労働時間
制適用対象者と管理監督者を除く)の平均残業時間数とされています。
<ステップ2>
一般事業主行動計画を策定し労働局に届け出るとともに、社内周知と公表を行う。
・行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容および実施時期を盛り込みます。
・社内周知は、社内の見やすい場所への掲示、従業員への書面交付や回覧、メール
配信等の方法によって行うことが必要です。
・公表は、ホームページへの掲載等によって行うことが必要です。
<ステップ3>
自社の女性活躍に関する情報を定期的に公表する。
・おおむね1年に一回以上、公表日を明記の上、ホームページへの掲載など、女性の求
職者が容易に閲覧できる方法で公表することが必要です。
・次の14項目の中から、女性の職業選択に資するために適切であると考える項目を、
事業主が選択して公表することとされています。
①採用者に占める女性比率
②男女別の採用における競争倍率
③直接雇用する労働者と派遣労働者の女性割合
④無期雇用労働者の男女の平均継続年数の差異
⑤男女別の継続雇用割合
⑥男女別の育児休業取得率
⑦管理監督者等を除いた一人あたりの時間外・休日労働時間の合計
⑧直接雇用する労働者と派遣労働者一人あたりの時間外・休日労働時間の合計
⑨有給休暇取得率
⑩係長級にある者に占める女性労働者の割合
⑪管理職に占める女性労働者の割合
⑫役員に占める女性の割合
⑬男女別の職種転換、雇用形態の転換、派遣労働者から直接雇用した実績
⑭男女別の再雇用(正社員として雇用する場合に限る)または中途採用(概ね
30歳以上の者を正社員として雇用する場合に限る)
2
特集②-動き出した解雇ルール改革
厚生労働省内に設置された検討会(「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」(以下、「本検討
会」))の第1回目会合が、10月29日に開かれました。当日配布資料をベースに、これまでの「解雇ルール」にまつわる議論の経緯
や、本検討会の検討事項等についてご紹介します。
1.まず、本検討会の内容に触れる前に、近年の「解雇ルール」に関する議論を簡単に振り返ってみます。
議論の経緯
①2001年~2003年(労働基準法改正)
労基法改正の検討段階(労働政策審議会)では、報告書に次の表現が盛り込まれましたが、その後、労働側の強い反発や解
決金の水準をめぐる中小企業団体との調整がつかず、最終段階で法案から削除された経緯があります。
「 裁判所が当該解雇は無効であると判断したときには、(略)一定の要件の下で、当該労働契約を終了させ、使用者に対し、
労働者に一定の額の金銭の支払を命ずることができることとすることが必要である。」
②2004年~2006年
2004年から05年にかけて開催された「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」では、解雇の金銭解決制度について、導
入の推進と慎重の両論が併記されていましたが、労働契約法制定につながる労働政策審議会の報告書(2006年)では、労働
基準法上の解雇権の濫用規定を労働契約法に移行すること等にとどまっています。
2.本検討会の目的や今後予定される議論のテーマは次のとおりです。
目的
本検討会は、成長戦略(「日本再興戦略」改訂2015)(※1)や規制改革会議の意見(※2)に基づき、「透明かつ公正・
客観的でグローバルにも通用する紛争解決システム等の構築に向けた議論」を行うことを目的としています。
テーマ
本検討会における検討事項は次のとおり示されています。
・既に制度化されている雇用終了をめぐる紛争等の多様な個別労働紛争の解決手段がより有効に活用されるための方策
・解雇無効時における金銭救済制度の在り方(雇用終了の原因、補償金の性質・水準等)とその必要性
(※1)「日本再興戦略」改訂2015の記載(抜粋)
ⅲ)予見可能性の高い紛争解決システムの構築等
解雇無効時における金銭救済制度の在り方(雇用終了
の原因、補償金の性質・水準等)とその必要性を含め、
予見可能性の高い紛争解決システム等の在り方についての
具体化に向けた議論の場を直ちに立ち上げ、検討を進め、
結論を得た上で、労働政策審議会の審議を経て、所要の
制度的措置を講ずる。
<個別労働関係紛争の解決システム>
(※2)規制改革会議の意見書の記載(抜粋)
(3)裁判所の訴訟における解決の選択肢の多様化に
向けた解決金制度の検討
解雇無効時において、現在の雇用関係継続以外の権利
行使方法として、金銭解決の選択肢を労働者に明示的に
付与し(解決金制度の導入)、選択肢の多様化を図る
ことを検討すべきである。またこの制度は、労働者側からの
申し立てのみを認めることを前提とすべきである。
資料出所:
第1回 透明かつ公正な労働紛争解決システム
等の在り方に関する検討会(厚生労働省)
3
人事総務
Q1
A1
Q&A
実務相談
<ストレスチェック制度について>
12月1日からストレスチェック制度が開始されますが、派遣先として、受け入
れている派遣スタッフに対して行うべきことなどについて教えてください。
 ストレスチェック制度では、まず労働者個人ごとにストレスチェックを実施するこ
とが、事業者に義務付けられています(実施者は産業医等)。
 また、その結果を集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善のための取組み
を行うことが、努力義務として定められています。
 派遣スタッフに対するストレスチェックは、雇用主である派遣元が実施すること
になります。
 ただし、集団ごとの集計・分析については職場単位で実施することが重要で
あるため、派遣先は、派遣スタッフも含めた集計・分析と、その結果を基にし
た職場環境の改善のための取組みを実施することが望ましいとされています。
 派遣先が、派遣スタッフも含めた集団ごとの集計・分析を行う場合には、派
遣先も、派遣スタッフを対象としたストレスチェックを行うことになりますが、この
ためには、派遣元と協議し、目的や手順について合意することが必要です。
また、衛生委員会等において、個人情報の取扱い方針を定めることも必要
です。
<派遣スタッフに関するストレスチェックの実施イメージ>
①SC実施指示
SC結果(本人同意を得られた場合)
④面接指導実施指示
⑥面接指導結果、意見具申
詳細な医学的情報は伝えず、
就業上の措置の内容及び必要
最低限の情報に限定
②SC実施
③面接指導申出
面接指導の申出は
産業医経由でも可
※ストレス
チェック・面接
指導ともに、
産業医が
実施者となる
場合
⑤面接指導実施
⑦就業上の措置を実施
資料出所:
労働安全衛生
法に基づくストレ
スチェック制度実
施マニュアル
(厚生労働省)
P115
株式会社アヴァンティスタッフ
本社
東京都中央区日本橋兜町6-7
ヒューリック兜町ビル
編集後記
今月もお読みいただきありがとうございます。
9月号と10月号は、派遣法改正特集として発行したため、編集後記は3か月ぶりとな
ります。この3か月間の出来事を振り返ると、9/30「改正労働者派遣法施行」とそれに
伴う「業務取扱要領」の公表と新設・変更箇所の理解・対応の他、10/1「労働契約申
込みみなし制度施行」もあり、激動感あふれる3か月間でした。
これから年末にかけては、12/1「ストレスチェック制度施行」も予定されています。
HRタイムズでは今後も、労働法改正関係など人事労務・人材活用に関する旬な情
報をお届けする予定です。(N)
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