渡邉雅之 - 会社法務Web

マイナンバー制度利用開始の平
成 二 八 年︵ 二 〇 一 六 年 ︶一 月 ま で
① レピュテーションリスク
② 行政処分リスク
③ 民事賠償リスク
④ 刑事罰リスク
という四つのリスクを負うことに
は、マ イ ナ ン バ ー︵
﹁個人番号﹂
︶
あと三カ月となりました。本稿で
が与える企業実務への影響につい
なります︵図表1︶
。
よる個人情報データベースの漏え
報 保 護 法 ﹂と い う ︶に は、故 意 に
保 護 に 関 す る 法 律︵ 以 下﹁ 個 人 情
り ま す。ま た、現 在 の 個 人 情 報 の
い慰謝料が認められる可能性があ
〇〇〇円∼三万円程度︶よりも重
民事賠償リスクとしては、今ま
での裁判例で認められた慰謝料︵五
て、事業者が講ずる方策も含めて
説明します。
1
マイナンバー漏え
いによるリスク
従業員や顧客のマイナンバーが
漏えいした場合、民間事業者や金
融機関としては、以下のとおり、
レピュテーションリスク
行政処分リスク
マイナンバー
図表1 マイナンバー漏えいによるリスク
民事賠償リスク
ることになるので、事業者とし
ては本人確認は不要で扶養控除
等申告書に記載されたものを情
報システムに入力すれば足りる。
平成二八年一月以降は、個人番
号提出未了の従業員から個人番
号の提供を再度督促する。
入社従業員については、入社時
点で個人番号を収集。退社従業
員でまだ個人番号を収集してい
ない者については、退社時点で
収集。
︵2︶保守的な
対応スケジュール︵注1︶
平成二七年一二月末までに社内
体制を整備する。
平成二八年六月ごろまでには既
存の従業員からの提供の要求を
終了する。
平成二八年七月以降は、個人番
号提出未了の従業員から個人番
号の提供を再度督促する。
入社従業員については、入社時
点で個人番号を収集。退社従業
員でまだ個人番号を収集してい
ない者については、退社時点で
収集。
役職員以外の個人に係る
個人番号関係事務(右記
に関連する事務を含む)
源泉徴収票作成事務等
扶養控除等(異動)申告書、保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書作成事務等
給与支払報告書作成事務等
給与支払報告特別徴収に係る給与所得者異動届出書作成事務等
特別徴収への切替申請書作成事務等
退職手当金等受給者別支払調書作成事務等
退職所得に関する申告書作成事務等
財産形成住宅貯蓄、財産形成年金貯蓄に関する申告書、届出書及び申込書作成事務等
健康保険、厚生年金、企業年金届出事務等
国民年金第三号届出事務等
健康保険、厚生年金、企業年金申請・請求事務等
雇用保険、労災保険届出事務等
雇用保険、労災保険申請・請求事務等
雇用保険、労災保険証明書作成事務等
【持株会に係る金融商品取引に関する法定書類の作成・提供事務】
(注2)
報酬・料金等の支払調書作成事務
配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書作成事務
不動産の使用料等の支払調書作成事務
役職員(扶養家族を含む)
に係る個人番号関係事務
(右記に関連する事務を
含む)
いては、従業員が本人確認をす
渡邉雅之
刑事罰リスク
図表2 個人番号関係事務
いについて直接の刑事罰がありま
せんが、マイナンバーを含む個人
情報ファイルが漏えいすると、四
年以下の懲役もしくは二〇〇万円
以下の罰金またはこれらの罰が併
せて科されます。それらの者が所
属する事業者自体にも二〇〇万円
以下の罰金が科されます。
2
マイナンバーを準
備するスケジュール
以下では、マイナンバー対応の
スケジュール感について説明しま
す。
︵1︶ベストエフォートの
対応スケジュール
平成二七年一〇月五日までに社
内体制を整備する。その後の制
度変更は随時対応。
平成二七年一〇月五日以降︵実
際には一一月∼一二月に通知カ
ードが届くことになると思われ
る︶に既存の従業員に通知カー
ドが届いた後に順次個人番号の
提供の要求をする。
平成二八年分の扶養控除等申告
書の提出に合わせて収集を完了
する。扶養家族の個人番号につ
︵2︶事務取扱担当者の選任
個人番号を実際に取り扱う事務
取扱担当者を選任する必要があり
ます。
する。
扱担当者となるでしょう。取扱規
支払調書︶の中の担当者が事務取
通 常 は、人 事 部︵ 従 業 員 の 給 与
厚 生 事 務 ︶や 経 理 部︵ 取 引 先 等 の
平成二八年六月ごろから年末に
程等においては、個人単位で指定
する必要はなく、担当課や担当係
で定めることもできます。
また、これらの事務に関する責
任者も定める必要があります。
︵3︶本人確認の方法
従業員等や取引先等から個人番
号を受け入れる際の本人確認︵番
号確認と身元確認︶の方法につい
て手続きを定める必要があります。
個別の法定調書等を洗い出してお
大枠の洗い出しの具体例は、以
下のとおりです。図表2に関して
個人番号を受け入れる必要のあ
る事務の洗い出しが必要です。
証明書の提示・送付︵提示の場合
パスポートなどの顔写真付き身分
人番号カード
︵表面︶
、
運転免許証、
個人番号が記載された住民票の写
番号確認の方法としては、個人
番 号 カ ー ド︵ 裏 面 ︶
、通 知 カ ー ド、
く必要があります。図表2は役職
は原本、
送付の場合は写しによる︶
書がない場合は、身元確認の方法
られます。顔写真付きの身分証明
し、身 元 確 認 の 方 法 と し て は、個
員やそれ以外の個人に対する利用
を受けるのが一般的になると考え
ものです。
目的の通知・公表にも利用できる
ある事務の洗い出し
︵1︶個人番号を受け入れる必要の
トについて説明します。
以下では、マイナンバー制度の
導入にあたって特に重要なポイン
3 マイナンバー制度
導入のポイント
号を収集する。
かけて既存の従業員から個人番
員については、個別対応で収集
それまでに入社・退社する従業
に社内体制を整備する。
平成二八年四月∼五月ごろまで
スケジュール
︵3︶何とかなるかもしれない
弁護士
が与える実務への影響
(注2)従業員持株会や役員持株会から委託を受けて持株会の会
員である役職員の個人番号を収集する場合は規定。
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会社法務A2Z 2015.10
会社法務A2Z 2015.10
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(注1)本稿脱稿時(平成27年8月24日)では、このスケジュール
でもほとんどの企業が制度対応可能と思われる。
特集1
施行開始!
マイナンバー法で
何が変わる?