アプリケーションストーリー - FLIRmedia.com

アプリケーション ストーリー
フリアーシステムズの赤外線カメラを使って
人間の感情を読み取る機械の開発がすすんでいます。
実験では、FLIR SC660カメラを車両のフロントガラスに取り
付け、ドライバーの行動をモニタリングした。
ロボットと人間が相互交流することはできるのでしょうか?未来の話に聞こえるか
もしれませんが、最新科学ではどうすれば機械が人間の感情を理解できるかに
ついての研究がすでに進められています。これを実現するのに有望とされるテ
クノロジーが赤外線カメラによるサーマルイメージングです。
私達の日常生活には多くの機械が使
用されており、機械と人間の相互交
流の必要性は常にあります。この100
年で、機械は、純粋な機械的ツール
から複雑なヒューマノイドロボットに大
きく変容し、機械と人間の相互交流
の方法も劇的に変化しました。ロボッ
トはすでに工場を離れ、私たちの学
校や職場、住居での活躍を始めてい
ます。
もちろん、人々がロボットと快適かつ
自然に交流できることが何よりも望
ましいのですが、ロボットや人工エー
ジェント(AA)には社会随伴性応答
が必要であるという大きな共通課題
があります。これは、すなわち、人
間の行動だけでなく、使用者や対話
者の感情や心理的状態に応答する必
要があるという意味です。
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この感情に対する応答は、人間の対
話者と交流するために開発されたい
わゆる社会的ロボット(例えば、美術
館のツアーガイドロボットや高齢者と
の対話するロボットなど)では特に重
要です。
FLIR SC660赤外線カメラは呼吸活動と呼吸数、瞬き数、心
拍数の違いをモニターするために使用された。
人の感情を読み取る
人工エージェントに人間の心理状態や
感情を読み取り、解釈する機能をい
かに付与するかは、人間と機械の相
互交流の分野における大きな課題で
す。 従来、心理状態や感情のモニタ
リングは皮膚電動反応や掌の温度、
心 拍 数、 呼 吸 数、 末 梢 血 管 緊 張 や
顔の表情などの自律神経系パラメー
ターの測定によっておこなわれてきま
した。
ドライバーのモニタリング結果。可視カメラと赤外線カメラ
で撮影したドライバーの映像をユーザーが定義した心理パラ
メーター測定値と同時に表示。
囲の精神生理学的シグナルを読み取る
ことが可能です。
感情的な発汗と汗腺応答、感情によるプレッシャー(3.2項参照)又はストレス刺激(右)が他の温度分布(左)を
変化させる。黒い点は汗腺の活動に関連する(Merla, 2007a)。
これまでは自律神経活動のモニタリン
グには、主に接触型のセンサーや機器
が使用されていました。こうしたテク
ノロジーは侵襲的であり、対象となる
個人の協力が必要であるため、測定
値に偏りが生じることがあります。 一
方、サーマルイメージング技術を使え
ば、自律神経活動による熱シグネチャ
を非侵襲的に記録するソリューション
が実現します。サーマルイメージング
は非接触、非侵襲的に無意識の皮膚
温度を測定し、記録できます。通常、
社会的コミュニケーションや相互作用
が現れるのは顔であるため、対象者の
顔のサーマルイメージングによる精神
生理学的測定を行ないます。
実際、対象者の熱シグネチャから広範
苦悩な局面での母親と子どもの顔の温度記録と鼻先の温度は同期している
(Ebisch, 2012)。
鼻孔から肺や背中への大気の流れを
サーマルイメージングにより呼吸活動
のモニタリングができます。この場合、
高い測定値は呼気、低い測定値は吸
気を示します。また、サーマルイメー
ジングで皮膚表面から血流の脈拍の熱
シグネチャをスペクトル解析すること
で、心拍数を計算することができます。
さらに、皮膚(皮膚に関連する)の血
液かん流速度及び顔の発汗などを検
出、記録、測定することもサーマルイ
メージングなら可能です。
感情は自律神経系の活動による熱シグ
ネチャを伴うため、温度を記録するこ
とで感情を検出できます。実際、サー
マルイメージンは、適切な分類アルゴ
リズムとともに使用すれば、感情の状
態の温度表現をマッピングするツール
として望ましいとされています。
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滑車上血管
額
眼窩上血管
眼窩周囲領域
鼻背血管
顔面横血管
鼻先
眼窩下血管
上顎又は
鼻周囲領域
上唇血管
外側鼻血管
下唇血管
頬
顎
顔の皮下温度に影響する主要な血管の状態とROIの温度抽出(Berkovitz, Kirsch, Moxham, Alusi, & Cheesman, 2013)
驚き、苦悩、恐怖、性的刺激そして き、学習や治療方法を改善したり、個 てのセンサーが接触型であり、ドライ
嘘などはすべて特定の熱シグネチャを 人に合わせてカスタマイズしたりする バーの注意を逸らすおそれがあるた
有するため、赤外線カメラで検出可能 情緒的なロボットやAAにもサーマルイ め、車両の完全かつ安全な操作は難し
です。たとえば、取り調べ中に、被疑 メージングが特に有効であると考えら いかもしれません。そのため、このシ
者の皮膚の温度と末梢血管の血流を れます。
ステムのテストは実施の車両ではなく、
モニタリングすることで87.2%の精度
ドライビングシミュレーターでのみ実
で嘘をついているかどうかを発見でき ドライバーのモニタリング用
施されています。
サーマルイメージング
ることがある研究で示されました。
赤外線画像研究所ITAB(イタリア、 呼吸、脈拍、瞬き数などのパラメーター
キ エ テ ィ) で 行 わ れ た Arcangelo の変動は、個人の心理状態、居眠り
サーマルイメージングを利用した
Merlaらの研究では、サーマルイメー の開始、注意欠陥などの非常に有効
補助ロボット
サーマルイメージングを精神生理学に ジングでドライバーをリアルタイムで な指標となります。Merlaの研究では、
応用するうえでのメリットは、非侵襲 モニタリングする可能性が立証されま 関連するバイタルサインのほぼすべて
的かつ生態学的に、人間の無意識の した。 民間、公的を問わず自動車運 を記録するうえで、サーマルイメージ
活動を妨げることなく、生理学的情報 送業者のドライバーの注意状態や警戒 ングは有効なソリューションであること
を収集できる点にあります。この利点 状態、居眠りをしていないかなどを非 が証明されています。
を活かし、サーマルイメージングを利 侵襲的にモニタリングすることで安全
用して高齢者介護ロボットや、新生児 性を向上させる必要性が特に重視され フリアーシステムズの
の呼吸活動をモニタリングする補助ロ ています。
高度な研究用カメラ
ボットの開発がすすめられています。
この研究では、呼吸活動や呼吸数、
車や 住 宅 内 の 環 境 状 態 の 管 理 用AA これまでに開発された最も高度なテク 瞬き数、心拍数の変動のモニタリング
は、ユーザーのバイタルサインの温度 ノロジーは、 脳 波、 接 触 型サ ーミス にFLIR SC660赤外線カメラが使用さ
モニタリングを行うこともできるため、 ター、近赤外線又は可視光カメラを組 れました。
ユーザーへの応用も可能です。まだ み合わせたマルチセンサーです(瞬
理論上での話ですが、ユーザーの生 きのモニタリング用)。 残念ながら、
理学的フィードバックの測定値に基づ このシステムでは、カメラを除くすべ
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このカメラで交感神経の作用する顔の
各部位の温度変化をモニタリングしま
す。 例えば、額の温度で注意状況、
眼窩周囲の反応で危険な状況に対す
る応答状況、口や鼻の周囲の温度で
覚醒状態に関する追加情報が得られま
す。
オ ートフォーカス のFLIR SC660カメ
ラ( 解 像 度640×480ピクセ ル、 温 度
分 解 能30 ℃で0.06 ℃未 満 )はドライ
バーの顔を撮影するため車両のフロン
トガラスに取り付けられました。フル
フレームレート15フレーム/秒でサーマ
ル映像が撮影されました。 参照用の
バイタルサイン(心拍数、呼吸数、
皮 膚 直 流 電 気 反 応、 掌 の 温 度 ) は
ADInstruments PowerLabのデータ収
集システムで測定されました。そして、
ドライバーと道路の両方を高解像度ビ
デカメラで撮影しました。
顔の関心領域(ROI)として眼窩、眼 「サーマルイメージングは非接触、非
窩周囲、口周囲、鼻先、顎、額が指 侵襲でドライバーの生理的状態を幅広
定されました。各ROIの温度分布につ くモニタリングできる極めて有望なソ
いて、平均値、標準偏差、最低 値及 リューションです。このシステムはドラ
び最高値を割り出しました。 瞬き数に イバーの警戒や注意が阻害されやす
ついては、瞼を開いたときと閉じた時 い夜間にも使用できます。」
の温度が全く異なるため、眼窩の平均
温度の変化で推定しました。提案され
た方法は、運転に支障がなく、ドライ
バーの制限もない非侵襲的かつ受動
的な方法で、車両での継続モニタリン
グに最適でした。
「ドライバーの頭は交通状況の把握と
車両操作のための複雑に動きます。」
とArcangelo Merla氏。「私たちは、ド
ライバーの頭が動いたときや、一定角
度で頭が回転した時に、適切にROIを
追跡できる単純ですが、有効な方法を
使用しました」
FLIR SC660 赤外線カメラ
FLIR SC660カメラは要求の厳しい研究開発用に開発されたモ
デルです。解像度は640×480ピクセルで、最高水準の感度と
機能が搭載されたハンディタイプのカメラです。
SC600は赤外線カメラと高画質の可視光カメラを搭載し、正確
な温度測定、コントラスト補正、レーザーポインター、音声コ
メント、その他の高度な機能を備えています。
FLIR SC660の感度は30mK未満で、詳細まではっきりとし
た画像でわずかな温度差情報もとらえます。
赤外線カメラに関する詳細情報やこのアプリ
ケーションに関する情報は、弊社ウェブサイト
(www.flir.com/research)をご覧ください。
フリアーシステムズジャパン株式会社
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掲載画像は実際のカメラの解像度と異なる場合が
あります。画像は説明目的で使用されています。