ジャパン・マレーシア交流プロジェクト2015 2015/9/16

平成 27 年度
青少年教育施設を活用した国際交流事業
「ジャパン・マレーシア交流プロジェクト 2015」
~open up our future with our hands~
1.事業目的
① マレーシアの高校生の日本に対する理解を深める。
② 日本の高校生の国際的視野を醸成し、次世代リーダー
を育成する。
2.テーマ
「open up our future with our hands」
3.後援・協力
後 援:奈良県教育委員会 NHK 奈良放送局
協 力:マレーシア政府観光局 マレーシア教育省
4.実施日
平成27年11月13日(金)~11月25日(火)
12泊13日
5.対象者
マレーシアの高校生:タパー高校12名
高校生実行委員会 :奈良県内8校24名(公募)
6.参加者 / 募集定員
マレーシアの高校生 12名/12名
実行委員会高校生
24名/24名
7. 事業運営体制
【企画委員会構成メンバー】
マレーシア政府観光局大阪支局、
NHK奈良放送局、奈良県教育委員会、
奈良県立桜井高等学校、奈良県立畝傍高等学校、
奈良女子大学、奈良先端科学技術大学院大学、
奈良国立博物館、室生国際交流村
【実行委員会メンバー】
桜井高等学校 11名、高取国際高等学校 1名、
畝傍高等学校 4名、奈良高等学校 4名
奈良北高等学校 1 名、平城高等学校 1 名、
関西中央高等学校 1 名、西大和学園高等学校 1 名、
8.プログラム(要約)
本事業は、文部科学省の「青少年教育施設を活用した国
際交流事業」の一つとして、国立曽爾青少年自然の家
(以下自然の家)が委託を受け、実施している事業で
ある。マレーシアの高校生(以下「マレーシア高校生」)
を12名、引率教員2名を招へいし、奈良県内から公
募した高校生実行委員会委員(以下「実行委員」)と
の交流を中心としたプログラムを展開した。
実行委員会は、ウェルカムレセプションやフェアウ
ェルパーティーをはじめとするマレーシア高校生との
交流プログラムを担うため組織し、本番までに複数回
の会議を開き、準備にあたった。マレーシア高校生は、
実行委員との交流の他、高校や大学訪問、文化体験、
ホームステイ等のプログラムにより、日本に対する理
解を深めた。
スケジュール
1日目:オリエンテーション・茶の湯「一期一会」
実行委員会とのアイスブレイク
2日目:ウェルカムレセプション
スポーツ交流・南中ソーラン教室・もちつき
3日目:伝承遊び体験・野外炊事・亀山ハイキング
4日目:畝傍高等学校訪問(授業体験・部活動体験交流)
ホストファミリー対面式・ホームステイ
5日目:ホームステイ・おにぎりと味噌汁作り
6日目:奈良先端科学技術大学院大学(施設見学・留学
生交流)
・平城宮跡資料館見学
7日目:桜井高等学校訪問(授業体験)
8日目:奈良女子大学訪問(講義体験・留学生交流)
NHK 奈良放送局見学・着物体験
9日目:東大寺見学・若草山ハイキング
講義・ディスカッション
10日目:奈良町散策・実行委員企画ダイアログ
11日目:奈良県高等学校総合文化祭 総合発表参加
フェアウェルパーティー
12日目:ふりかえり・移動
13日目:帰国
11月13日(金)【1日目】
マレーシア高校生としてタパー高校の生徒12名
が午前7:00過ぎに関西空港に到着した。そのまま
バスに乗り込み一路曽爾村へ。常夏の国から来た高校
生の中には、寒さを感じている生徒もいれば、半袖で
元気に外に出る生徒もいた。国立曽爾青少年自然の家
に到着し、手旗によ
る職員の出迎えを受
け、一行はそのまま
研修室へ。最初のオ
リエンテーションで
は、笑顔で自己紹介
をした。
受入期間中の日程説明の後、本年度派遣事業に参加
した実行委員が作成した派遣事業のVTRを視聴し、
3ヶ月前をふりかえった。
午後からは、茶道体験で、
「おちゃしゃく」
「ひしゃく」
「ちゃせん」などの名称を聞き、日本語で繰り返してい
た。自分で点てたお茶を飲みながら、
「おいしい!」という
日本語と笑顔を返してくれた。
「夕べのつどい」では、全員に「日本語での自己紹介」
という課題を与えたので、それまでに文章を考え、全員が
「日本語での自己紹介」を行うことができた。
夕食後は実行委員との出会い。8月に派遣事業に参加し
た実行委員は抱き合
いながら再会を喜ん
でいたが、派遣事業
に参加していなかっ
た実行委員もすぐに
溶け込み、事前の交
流がしっかり行われ
ていたことを感じ
た。その後すぐに行
われたアイスブレイ
クでは、実行委員が
準備した「拍手ゲー
ム」
「ジェスチャー伝
達ゲーム」
「イス取り
ゲーム」 に笑顔で、
また、一生懸命取り組んでいる姿がとても印象的だった。
前日夜の出発からの疲れを感じさせることなく、初日の
夜は実行委員との交流を夜遅くまで楽しんでいた。
11月14日(土)【2日目】
雨のため、2階ロビーで「朝のつどい」に参加した。マ
レーシア高校生は、実行委員とともにラジオ体操にチャレ
ンジした。また、曽爾高原に伝わる「大蛇伝説」について
の説明を興味深く聞いていた。
午前中に行われたウェルカムレセプションでは、たくさ
んの来客に、少し緊張していたようであったが、地元曽爾
中学校からの伝統文化の発表や、桜井高校書道部による書
道パフォ
ーマンス
のあとの
歓談の時
間には、
レセプシ
ョン参加
者との交
流を楽し
んでい
た。
レセプションの後は、実行委員が考えたスポーツ交流の
時間をとり、レセプションに参加した桜井高校の書道
部員と、マレーシア高校生、実行委員を合わせて
約60名で、綱引き、大縄跳び、風船リレーという3
つの種目を楽しんだ。昼食後に行われた、南中ソーラ
ン教室では、最初に実行委員24名が模範演技を披露
し、その後マレーシア高校生に演技を伝達した。最後
は参加者全員が1つの円になって、力強く「南中ソー
ラン」の演技を行った。
桜井高校書道部のメンバーとはここで別れ、引き続
き実行委員とマレーシア高校生は「もちつき」を行っ
た。蒸し上がった米
を臼に入れ、杵で順
番に全員がチャレン
ジすることができ
た。つきたてのお餅
を丸めながら食べ、
いろいろなものをま
ぶして食べ、
「おいし
い!」
と言いながら、
また、楽しみながら
準備されていた6升
ものおもちを、ほと
んど全部食べた。
夜のフリータイムでは、実行委員との交流の他、マ
レーシア高校生は翌々日に披露をするダンスの練習に
も取り組んだ。2日目の交流も夜遅くまで続いた。
11月15日(日)【3日目】
前日から雨が降り続き、
「朝のつどい」はプレイホー
ルで行われた。マレーシア高校生と実行委員は、たく
さんの宿泊者の前で団体紹介を行った。マレーシア高
校生は日本語で紹介を行った。
朝食後も雨が降っていたため、予定を変更し、
「伝承
遊び」にチャレンジした。剣玉やこま、あやとりなど
の日 本古来からの遊びをはじめとして、縄跳びや一
輪車、バレーボールなども織り交ぜ、およそ1時間を
過ごした。
まだ、雨は降っ
たりやんだりであ
ったが、予定通り
行われた野外炊事
では、実行委員の
担当者が準備や説
明を行い、グルー
プに分かれて「みぞれ鍋」を作った。薪割りや食材の調理
など、それぞれのグループが役割を分担しながらまた、交
流をしながら進めた。調理は少し煙たかったが、どの鍋も
おいしく出来上がり、すべてのグループが完食した。野菜
を苦手としていたマレーシア高校生も「おいしい」と言い
ながら食べていた。
野外炊事の後は、亀山
へのハイキングに出かけ
た。
およそ2時間かけて、
写真撮影を楽しみながら
また、交流を深めながら
戻ってきた実行委員か
ら、
「帰りたくない・・・」
という声が聞こえてき
た。
自然の家に戻ってから
は、それぞれのグループ
でメッセージ交換をし、
実行委員はバスに乗車。
週末までのお別れとなっ
た。
マレーシア高校生だけ
となった自然の家では、
夕食後、翌日に向けてダ
ンスの練習を行った。ま
た、入浴まで時間があったので、前日実行委員とともに踊
った「南中ソーラン」をマレーシア高校生だけで踊ったり
した。
11月16日(月)【4日目】
前日までの天候が嘘であったかのように、空いっぱ
いの青空と、麓の曽爾村を見下ろすと一面の雲海。曽
爾の自然で一番見せたい風景が、
「朝のつどい」の時間
に目の前に広
がっていた。
つどいの後、
お亀池までの
散歩を楽しん
だ。朝食後は
出発時間ま
で、荷物整理
と洗濯に追われ、急いでバスに乗り込んだ。
畝傍高校に到着後は、大会議室に入って、歓迎行事
のあと、バディの紹介が行われた。その後、バディと
ともに学生食堂へ入り、昼食を食べながら、交流を楽
しんだ。
午後からは
バディととも
に教室に入
り、日本の高
校の授業を体
験した。授業
終了後は、民
族衣装に着替
えてプレゼンテーションとダンスの発表の時間となっ
た。
マレーシア高校生によるプレゼンテーションでは、
詳しく学校の紹介を行い、その後畝傍高校からも学校
の紹介が行われた。次に畝傍高校の生徒によるレシテ
ーションコンテストが行われ、コンテストの審査の間
を利用して行われたダンスの発表では、民族衣装に身
を包んだマレーシア高校生が、練習してきた演技を見
せた。コンテストの表彰の後は、マレーシア高校生と
日本の高校生との絆という意味合いから、綱引きを行
った。
終了後、大会議室に戻っての交流会と部活動の見学時間
となった。剣道と弓道に興味をもって見ている姿が印象的
だった。
交流の生徒とともに写真を撮ってからバスに乗車し、ホ
ストファミリーが待つ「うだ夢創の里」へ向かった。
ホストファミリーとの対面式では、緊張している様子で
あったが、時間がたつにつれて少しずつ笑顔が出てきた。
ブラックボックス形式のアイスブレイクでマレーシア高校
生のホストファミリーが決定すると、ほっとする表情を感
じることができた。
到着後は、大学の概要や研究に関わってのプレゼン
テーションが行われた。その後は、3 つの研究棟に入
って、施設見学とそれぞれの研究科の研究内容の説明
を2つのグループに分かれて聞いた。理系の高校で学
ぶマレーシア高校生は、
大変興味深そうに聞いていた。
また、説明の後には積極的に質問していた。
ホストファミリーとともに食事をとり、その後2泊3日
のホームステイに出発した。
11月17日(火)【5日目】
この日は、終日ホームステイ。各ホストファミリー宅で
は、大衆演劇を見に行ったり、公園に出かけたり、小学校
を訪問したり、雨のため家での活動となったり、それぞれ
のホストファミリーとの体験となったが、どこのホームス
テイ先でも、
味噌汁とおにぎり作りの課題に挑戦していた。
11月18日(水)【6日目】
ホームステイ先で2
泊3日を過ごしたマレ
ーシア高校生は、朝、
ホストファミリーとと
もに、近鉄室生口大野
駅に集まった。お土産
の大きな枕を抱えてい
たり、重たいお菓子の
袋を提げてきたり・・・と、
2泊のホームステイ先での交流の
様子が伺えた。お別れの時の記念撮影では涙を流している
マレーシア高校生もいた。
ホストファミリーに別れをつげ、バスに乗り込んだマレ
ーシア高校生は、
「奈良先端科学技術大学院大学」へ向かっ
た。
すべての研究棟の見学を終えたマレーシア高校生
は、自分たちが5年後にここに留学し、キャンパスラ
イフを送っている姿を想像していたようであった。
「奈良先端科学技術大学院大学」をあとにしたマレ
ーシア高校生は平城宮跡を訪れ、しばらく資料館の見
学で奈良の歴史について学んだ。夕食後、自然の家に
戻り入浴、ふりかえりを行った。ふりかえり後は、翌
日桜井高校でのプレゼンテーションのあとに上映する
VTRと、プレゼンテーションの説明内容の再検討を
行った。
11月19日(木)【7日目】
自然の家での最後の朝を迎えた。
「朝のつどい」はプ
レイホールで行われた。自然の家での毎日の日課とな
っていたラジオ体操を行い、その後、朝食をとり、宿
泊室の清掃を行なった。
この日は、出発時刻に余裕を持って集合することが
できた。見送りに来てくれた自然の家の職員に別れを
告げ、桜井高校に向かった。途中、時間があったので、
来日してから初めて買い物をする時間をとった。マレ
ーシアの友達や実行委員の顔を思い浮かべながら、買
い物をしていた。
桜井高校に到着すると、たくさんの生徒がマレーシ
アの 小旗を振って出迎えてくれた。昼食会では、桜
井高校の生徒とともにお弁当を食べ、そのあと行われた歓
迎行事ではお互いの学校の様子をプレゼンテーションで伝
え合った。
6 時間目の授業体験は書
道の時間で、準備された色
紙に一文字の漢字を書き、
それを額にしたものがプレ
ゼントされた。ほとんどの
マレーシア高校生は、桜井
高校の生徒のアドバイスを
受け、自分の名前にちなんだ文字を漢字にし、書き込んで
いた。
7時間目の英語の授業では、マレーシア高校生と桜井高
校の生徒が、決めら
れたテーマで意見交
流した。
授業体験のあとは
講堂での交流の時間
であったが、マレー
シア高校生が多くの
桜井高校の生徒の前でダンスを披露した。
ダンスの後、フリートークの時間には、写真を撮っ
たりしながら交流し、多くの生徒に見送られながら桜
井高校をあとにした。その後この日からの宿泊場所で
ある奈良ユースホステルに向かった。
11月20日(金)【8日目】
ジャパン・マレーシア交流プロジェクトも後半のプ
ログラムにさしかかり、ここまでは、全員、体調を崩
すことなくきた。
奈良ユースホステ
ルで過ごす最初の朝
は、少し時間にゆと
りがあり、マレーシ
ア高校生は、出発ま
で、卓球をしたり、
スマートフォンによ
る通信を楽しんでい
た。
ユースホステルか
ら奈良女子大学に向
かう道中は、紅葉と
いう日本の秋の風景
を楽しむとともに、
マレーシア高校生の引率教員から出された課題(日本
のライフスタイルにおける様々なものを撮影する:例
ゴミ収集車や分別回収のゴミ箱など)を意識しながら
歩いた。
奈良女子大学では、まず学長から、ユーモアをまじ
えた挨拶があり、メンバーの表情が和らいだ。その後、
2人の留学生と交流し、昼食後、大学教授から講義を
受けた。
留学生との交流では、留学について大事なことや勉
強の内容についての質問が出された。また、午後から
の講義では、パソコンを使ってのシミュレーションと
いう難しい内容であったが、マレーシア高校生は理解
していたようであった。
大学の後は NHK 奈良放送局に出向き、実際のスタ
ジオを見学しながら、スタジオ設備や放送の仕組み、
番組の作り方を学んだ。
NHK奈良放送局を出てから、奈良市内の商店街に出向
き、着物を着付けてもらった。着付け後は、全員が着物を
身に纏って商店街を闊歩した。マレーシア高校生は街中で
「綺麗」という声をかけてもらい、とても嬉しそうにして
いた。また、思い思いに写真を撮りながら自分たちの着物
姿を楽しんでいた。
マレーシア高校生はもとより、
実行委員も驚いていた。
礼拝、昼食の後、若草山に登った。前週に登った亀
山を思い出しながら、奈良の街をバックに沢山写真を
撮っていた 。
11月21日(土)【9日目】
マレーシア高校生のラジオ体操も、完璧になってきた 9
日目。待ちに待った実行委員との二回目の交流の日を迎え
た。
東大寺に到着すると、そこに待っていた実行委員との一
週間ぶりの再会に、マレーシア高校生の笑顔が、また、実
行委員の笑顔があふれた。
午前中は東大寺の見学。間近で見る大仏の大きさに、
ユースホステルまで、約 1 時間の道のりを歩いて帰
った実行委員とマレーシア高校生は、疲れていたよう
であったが、夜に行われた講義とディスカッションで
は、すっかり回復し、もっと語りたい、自分の思いを
聞いてほしいという気持ちからか、活発に語り合う様
子があった。さらに夜も眠る時間を惜しむかのように
交流は続いた。
11月22日(日)【10日目】
9 月の実行委員会で案内の計画を立てた、マレーシ
ア高校生に奈良町を案内する日を迎えた。
天候もよく、
この日もユースホステルから興福寺の駐車場まで歩い
た。
到着後は早速見学に出向き、それぞれのグループとも、
計画通りに案内しながら各見学地を周り、予定通りの時刻
に礼拝のために国立博物館に集合した。
礼拝後は昼食時間となり、
奈良町は三連休ということで、
くまで作業にあたっていた。
11月23日(月・祝)【11日目】
奈良県高等学校総合文化祭の日の朝は、マレーシア
高校生によるダンスの練習と、実行委員によるフェア
ウェルパーティーの練習に分かれて最後の調整を行っ
た。ダンスの練習では、何度も繰り返し、確認を行っ
ていた。
この日も徒歩で
奈良県文化会館ま
で移動し、到着後
はリハーサルの準
備を行った。リハ
ーサルは、実行委
員も二階席から見
守り、初めてダンスの様子を見た実行委員は、終了後
に大きな拍手をおくっていた。事後のインタビューも
含めて確認を行った後、本番に向けて、昼食と、衣装
の準備を行った。
総合発表の開会式では、マレーシア高校生は舞台裏
で待機し、出演を待った。開会式後、大きな拍手で迎
えられ色鮮やかな民族衣装に身を包み入場するとその
人出も多く、どの店も混雑していが、奈良町資料館に集合
予定の時刻に集まることが出来、
「時間を守る」という意識
の高さを感じた。奈良町資料館では、館長から大事な3つ
のキーワード
(①生まれたところを大事にすること ②古い
ものを残してくれた先人に、尊敬の気持ちを持つこと。 ③
そしてそれを発信すること)が伝えられ、その後は集合時
刻まで散策を楽しんだ。
夕食後は、実行委員が企画したダイアログの時間となり、
6人の実行委員が考えたテーマに分かれて、グループでの
話し合いが進んだ。
終了後はマレーシア高校生
による翌日の発表に向けての
ダンスの練習などもあり、実
行委員と過ごす最後の夜とい
うことで、なかなか眠れない
ようだった。
また、翌日のフェアウェルパーティーの会場で今回の交
流の様子を撮った写真をスライドショーとして上映するた
めのビデオを編集する役割にあたっている実行委員も、遅
まま演技開始。マレーシア高校生一人一人が笑顔で踊
る姿が印象的だった。
演技終了後のインタビューでは、
ダンスの内容と、
日本の印象についての質問について、
「マレーシアに
住む様々な民族
が持つダンスを
1つにしたもの
であること」
「日
本に着いた時か
らすべてがアメ
ージングであっ
たこと」が会場内に伝えられた。
総合発表の弁論の部では、実行委員の一人がジャパ
ン・マレーシア交流プロジェクトを通して、自身が夢
に向かって邁進していく気持ちを固めたことを語り、
この事業が実行委員一人一人の成長に大きな影響を与
えていることが伺えた。
その発表の後、マレーシア高校生と実行委員はダン
スの衣装のまま、文化会館前にて集合写真を撮り、残
りの時間を観客として、和太鼓の演奏や、吹奏楽など
も楽しんだ。
総合発表の終了後は場所を変えてフェアウェルパーティ
ーが行われた。総合発表に参加していた一般の高校生およ
そ20人を加え、
「幸せなら手を叩こう」のゲームや「モミ
ジ」の歌で、パーティーはすすみ、歓談のあと、今回の交
流の様子がビデオで伝えられた。このビデオは前日夜遅
くまで実行委員が編集したもので、最後は文化会館前で演
技終了後に撮った集合写真で結ばれており、終了後には涙
を流している実行委員とマレーシア高校生の姿があった。
最後にマレーシア高校生代表の挨拶と、高等学校文化連盟
会長の挨拶で会を終了し、実行委員とマレーシア高校生は
お別れのために控え室に移動。
プレゼントの交換をしたり、
写真を撮ったり・・・、最後は「we are the wo
rld」を一緒に歌ってお別れとなった。
歩いたことについて、
「実行委員といっぱい話ができた
し、日本の秋のいろいろな風景を、ゆっくりと見るこ
とができて、よかった」など、実行委員との交流や日
本を体感することができたという旨の内容を聞いた。
この日は近鉄奈良駅から電車で大阪まで移動し、途
中で買い物を楽しむプログラム。電車に乗るという経
験もあまりないようで、自動改札機を通る時には、切
符を取り忘れる場面などもあったが、全員が無事目的
地に到着し、電気店、衣料品店、アニメショップなど
で、買い物を楽しんだ。買い物の後、南海電車で関西
空港周辺のホテルまで移動し、ホテル内のレストラン
で、さよならパーティーを行った。食後は朝の続きで
実行委員へのメッセージを書く時間をとった。そして、
男子は全員での入浴を楽しんだ。
11月25日(水)【13日目】
朝食後、ホテルのバスで関西空港まで移動。見送り
に駆けつけてくれた所長、次長とともに修了式を行っ
た。所長から修了証が手渡され、スタッフから一言ず
11月24日(火)【12日目】
ユースホステルを出発する日、朝食等の時間は守れてい
たが、その後の部屋の片付けと荷物整理で約 1 時間。滞在
期間の交流の内容を思わせた。スーツケースに日本での思
い出を詰め込んでから、実行委員に向けて、メッセージを
書いた。また、日本でのプログラムについての担当者から
インタビューを行った。
ハイキングが楽しかったこと、もっとディスカッション
がしたかったこと、将来日本で学びたいということ、これ
からも続けて欲しいプログラムについてなど、色々話した
が、その中で、今回移動やハイキングにおいて、たくさん
つマレーシア高校生にメッセージを伝え、その後記念
撮影の後出国ゲートをくぐった。ゲートの奥からも手を振
る姿が印象的だった。
6.まとめ
マレーシア高校生が日本で過ごした12泊13日間で、
日本を理解し、日本が大好きになってくれるよう、加えて
たくさんの人々と交流できるようにプログラムを展開し
た。帰国前のインタビューや帰国後の実行委員とのやりと
りから、「マレーシアに帰りたくない」「日本に留学したい」
「実行委員と会いたい」という言葉が聞かれ、この事業に十
分満足している様子が伺えた。
この事業の一番の成果は、マレーシア高校生が実行委員
と交流した時間であった。8月の派遣事業で出会った友達
との再会、連絡を取り合っていた友達との対面であったの
で、
受入事業で一緒に過ごすことを楽しみにしてはいたが、
文化や宗教、生活習慣の違いに不安もあった。しかし、1
日目の夜の出会いから、一緒に食事をし、寝泊まりする中
で、国を意識することのない「親友」としてつながりが見
られるようになった。単なる文化交流にとどまらず、互い
の国民性などについても意見交流ができたことで、彼らの
アイデンティティの形成や自分の進路選択に大きな影響を
与えると思われる。
今年度も、奈良県内の高等学校を対象に実行委員を公募
し、活動してきた。県内8校から集まった24名は、結成
以来、一緒に活動してきた。昨年度から引き続き活動して
いる実行委員がリードしながら始まった歩みも、実行委員
会を重ねる度に、経験や学年、学校など関係なく自分の意
見を出し合い、やりとりも盛んになっていった。受入事業
前には、役割をしっかりと認識し、互いにサポートし合う
チームが完成していた。
マレーシア高校生に何を紹介するかを真剣に考える中
で、日本文化や奈良の歴史についても自分たちが学習する
必要があることに気付き、準備を進めたが、交流後は「も
っと奈良のことを、日本のことを知らなければいけない」
とふりかえるとともに、「これから学んでいこう」という
意識を持った実行委員の姿に成長を感じた。
そして、2年目の実行委員の中に、このプロジェクトを
通して得たものが、自分の将来の仕事や夢につながること
を、高等学校総合文化祭の弁論の部において語る実行委員
が出てきたことも、このプロジェクトの大きな成果と言え
る。
マレーシア高校生との出会いはもちろん、実行委員同士
の出会いを大切に思い、互いを認め合う実行委員の姿は、
国際交流に必要なコミュニケ-ション能力が育成されたと
考えられる。
国を越え強い絆を作ろうとすることを通して、
同じ目的に向かって進む仲間としっかりコミュニケーショ
ンをとることができていた。
さらに、この交流に満足することなく、実行委員会
としての最後の活動である「高校生 大いに語れ!」
に意識が向けられ、本事業で学んだ感動や喜びをいか
に伝えるか、本事業の大きなねらいである「次世代リ
ーダー育成」への次のステップとして、実行委員それ
ぞれが活躍することを期待する。
(主任企画指導専門職
鈴口 真也)
平成 27 年度
青少年教育施設を活用した国際交流事業
「ジャパン・マレーシア交流プロジェクト 2015」
~open up our future with our hands~
1.事業目的
① マレーシアの高等学校生の日本に対する理解を深め
る。
② 日本の高等学校生の国際的視野を醸成し、次世代リ
ーダーを育成する。
2.テーマ
「open up our future with our hands」
3.後援・協力
後 援:奈良県教育委員会 NHK 奈良放送局
協 力:マレーシア政府観光局 マレーシア教育省
4.実施日
平成27年8月16日(日)~8月22日(土)
5泊7日
5.対象者
奈良県内5校13名の高校生(実行委員から)
フル スランゴール高校生(昨年度招へい校)
タパー高校生(今年度招へい校)
6.参加者
マレーシアの高校生
実行委員会派遣メンバー
1000名
13名
7. 事業運営体制
【企画委員会構成メンバー】
マレーシア政府観光局大阪支局、
NHK奈良放送局、奈良県教育委員会、
奈良県立桜井高等学校、奈良県立畝傍高等学校、
奈良女子大学、奈良先端科学技術大学院大学、
奈良国立博物館、室生国際交流村
【実行委員会派遣メンバー】
桜井高等学校、奈良高等学校、畝傍高等学校、
奈良北高等学校、平城高等学校、
(奈良県内から公募)
8.プログラム(要約)
本事業は、文部科学省の「青少年教育施設を活用し
た国際交流事業」として、国立曽爾青少年自然の家が
委託を受け、実施している事業である。奈良県内から
公募で集まった高校生実行委員(以下「実行委員」)
24名のうち、13名の実行委員(以下「派遣メンバ
ー」)が派遣事業に参加し、マレーシアの高等学校2
校との交流プログラムを展開した。
派遣メンバーは、事前の実行委員会で、学習を進め、
マレーシアを訪れ、帰国後も11月の受入事業に向け
て準備、事後学習を行う。
今回の交流の経験やマレーシア現地ならではの学習
を、派遣事業に参加してない実行委員に報告し、11
月のマレーシア高校生の受入事業を充実させ、さらに
交流を深めるものである。
スケジュール
1 日目:出発式、移動
2 日目:マレーシア教育省訪問
フル スランゴール高等学校訪問(寮泊)
3 日目:フル スランゴール高等学校と交流(寮泊)
4 日目:国立森林研究所 FRIM 見学
タパー高等学校訪問(寮泊)
5 日目:タパー高等学校交流(ホームステイ)
6 日目:UCHIDA MK (日本企業)訪問
7 日目:関西国際空港 着
8月16日(日)【1日目】
午前8時、集合時間の少し前には派遣メンバーが全
員集まり、大きな荷物を預けた後、出発式を行った。
次長、職員からの挨拶のあと、実行委員会2年目の
河村幸音さんが挨拶をし、「何かが変わる1週間にな
るように」「行かせてもらえることに感謝して」とい
うメッセージが伝えられ、集まってきた派遣メンバー
の気持ちを引き締めた。
その後は、チェックイン、出国手続きを行い、乗り
込んだマレーシア航空MH53便は、定刻に関西空港
を飛び立った。航空機の中では、外の様子をカメラに
納めたり、派遣事業への思いを語り合ったり、それぞ
れが空の旅を楽しんでいた。
およそ6時間のフライトの後、クアラルンプール国
際空港に到着。迎えに来てくれていたガイドのエリッ
ク氏と合流し、バスに乗り込み初日の宿泊場所である
ホテルに向かった。
ホテルに到着すると、通訳のアブドゥル・ラーマン
氏(マレーシア政府観光局大阪支局)と合流し、歩い
て行けるツインタワー(KLCC)内にあるフードコ
ートにおいて各自が注文して食事をとった。その後は
ショッピングセンターで買い物をしてからホテルに戻
った。
夜は、次の日に教育省でのプレゼンテーションを控
えている派遣メンバーと挨拶の担当者が遅くまで練習を
行った。
8月17日(月)【2日目】
6 時(日本時
間7時)起床、
朝食をすませ、
官公庁が集まる
町プトラジャヤ
にあるプトラモ
スク(通称ピン
クモスク)に向
かった。ピンク
モスクでは、神聖な雰囲気につつまれ、メンバーは、改
めてイスラム教の信仰の深さを感じていた。
次に向かったのは教育省。
瀬戸春歌さんの挨拶のあと、
マレーシアの教育について、
教育省の方から説明を受け、
日本と似ているところ、違うところを学び、説明後の質
問タイムでは、2年目の派遣メンバーが、積極的に質問
をしていた。
昼食をとるため
にプトラモスクに
戻ってフードコー
トへ。昼食後は少
しだけショッピン
グの時間をとって
から、昨年の交流
校であるフル ス
ランゴール高校に向かった。少し早く到着すると、門か
ら学校までの通路には多数の生徒が小旗を振って出迎え
てくれた。派遣メンバーは、出迎えの様子に圧倒されて
いたが、昨年度からの派遣メンバーは、昨年度の交流メ
ンバーと一刻も早く会いたいという気持ちが抑えきれ
ず、バスから飛び出し、再会を喜んでいた。
到着後のブリーフィングセッションでは、小野澤千郁
さんが、挨拶をし、その後 3 日間のスケジュールについ
て、ロウ先生からの説明を受けた。
寮に入って一息ついてからアイスブレイクを行った。
昨年度の交流高校
生にプラスして、
日本語を学んでい
る高校生が加わっ
てのアイスブレイ
クは、楽しいひと
ときとなった。次
に行われたウェル
カムパーティーでは、昨年来日した高校生の保護者が
中心となって準備してくれた食事を囲んで和やかな雰
囲気で交流を深めることができた。
二日目最後のプログラムとなったディスカッション
では、終始笑顔で高校生同士語り合っている姿が印象
的で、解散前には「もう少し話していたい」という気
持ちが伺えた。解散後、時間は遅かったが、明日のパ
フォーマンスナイトにそなえ、全員での南中ソーラン
と担当班のプレゼンテーション練習を行った。
8月18日(火)【3日目】
フル スランゴール高校の学生寮で一夜を明かした
派遣メンバーは、
この日のプログラムでフル スランゴ
ール高校のバディとともに国立クラフト施設の見学に
向かった。木、陶器、織物など、6 種類の製品を作る
ための技術を身につけるための施設で、施設の見学、
陶器の製造、ロタン(竹ひごのようなもの)を使って
かごの製作を体験した。
帰校後は、英語の授業体験となった。英語の授業で
はマレーシアと日本の文化を、グループで交流しなが
ら学んだ。
その後、校内ツアーに出向き、イノベーションルー
ムやF1の研究をしているグループからのプレゼンテ
ーションを聞いた後、夜のパフォーマンスナイトにそ
なえてリハーサルを行った。会場のステージは、かなり
滑りやすく、全員で雑巾がけを行ってからのリハーサル
となった。
本番前、最後の全員練習は、パフォーマンスを成功さ
せたいという気持ちが伝わってくるものだった。また、
担当班のプレゼンテーションも、最終のリハーサルを終
え、夕食後、いよいよパフォーマンスナイトを迎えた。
会場には、400 人をこえるフル スランゴール高等学校の
生徒が集まり、その中で、トップを切ったプレゼンテー
の挨拶をし、その後一人一人にメッセージを添えたプ
レゼントが渡された。三日間の生活が充実していたこ
とや、昨年の交流高校生とのお別れになることも重な
り、セレモニー終了後は、なかなかバスに乗り込むこ
とができなかった。
出発後、この日の見学地である森林研究所FRIM
(フリム)では、最初に説明を聞いたあとキャノピー
ウォーク(つり橋)とジャングルトレッキングを体験
した。合わせて 3 時間、自然の中で汗をかきながら歩
いたことで、疲れはあったが、いい運動になった。
ションは、ゆるキャラを通して「Japanese fashion」 を
伝えるもので、有名なゆるキャラが出てきた時やアニメ
の説明のときは、会場が大きく盛り上がった。
いよいよ南中ソーラン。派遣メンバー中でただ一人の
男子でセンターをつとめた佐藤克哉くんの「行くぞ!」
という掛け声で入場し、「かまえ!」の合図で始まった力
強い演技は、迫力満点で観衆を魅了した。最後まで、ほ
ぼ完璧に演じたメンバーは、日本代表としての誇りを持
って、ステージを後にした。
昼食は、中華系のレストランで飲茶形式の食事をと
った。昼食後は今年度の受け入れ校であるタパー高校
に向かった。
その後、フル スランゴール高校の生徒らも、
「YOSAKOI」の演技を見せてくれたが、その時彼らが
身につけていた法被は、昨年来日した時にプレゼントし
たものだった。
パフォーマンスナイトの終了後は、
この日がフル スラ
ンゴール高校の生徒と過ごす最後の夜ということで、
「も
う少し遅くまで話をする時間はとれませんか」という声
も聞かれた。
8月19日(水)【4日目】
朝からの雨のため、クロージングセレモニーは食堂で
行うことになった。セレモニーでは森本千陽さんがお礼
午後5時前にタパー高校に到着し、
学生寮に入って、
休憩をとった後、夕食の時間となった。派遣メンバー
は、一人一人についているタパー高校のバディととも
に食事をとった。
食後はミーティングルームに入って、それぞれのメ
ンバーが自己紹介を行った。それからアイスブレイク
を行い、楽しく交流した後、派遣メンバーはマレーシ
アの衣装に着替えさせてもらって、伝統的なゲームな
どを楽しんだ。
8月20日(木)【5日目】
タパー高校の学生寮で宿泊した派遣メンバーは、それ
ぞれがバディとともに食堂へ集まり、朝食をとった。
その後はバディと一緒に全校生徒の朝礼に参加し、そ
のまま、校内ツアーに出発した。2010 年に建てられた学
校で、敷地はテニスラケットのような形をしており、グ
ラウンドも広く、校舎もとてもきれいで、充実した設備
が整っていた。
校内ツアーの次はバディとともにスクールバスに乗り
込み校外へ。
ケリーズキャッスルとグヌンランを見学した。移動中の
バスの中では、
お互いの国の手遊び歌を披露し合うなど、
和やかな雰囲気で過ごした。見学地でもバディと共に行
動し、交流を深めていた。グヌンランでは、シーソーや
ブランコで遊ぶなど、国境を越えて童心にかえって遊ぶ
姿が印象的だった。
昼食後は学校に戻り、おやつ作り、伝統楽器、伝統舞
踊、伝統ゲームの体験と続いた。それぞれの体験は、
バディとは別の生徒が担当し、派遣メンバーはマレー
シアの伝統を、体験を通して学んだ。
タパー高校
の先生から、
今回のプログ
ラムは、ほと
んど生徒が主
体的に考えた
ものであり、
11月に来日
する高校生以外の生徒が、たくさん参加し、交流す
ることができたので、大変喜んでいると聞いた。
交流の中で教えてもらった遊びの中には、昔から
の日本の遊びもあり、両国の歴史や関係の深さを感
じることができた。
次の日のクロージングセレモニーで行うプレゼン
テーションと、南中ソーランの練習のあと、タパー
高校の先生方に連れられて、派遣メンバーはホーム
ステイ先に出発した。マレーシアで過ごす最後の夜
は、それぞれの先生方の家庭で過ごす形となった。
8月21日(金)【6日目】
ホームステイで一夜を過ごした派遣メンバーは、
様々なおもてなしを受け、たくさんのお土産を手にし
て、タパー高校に戻ってきた。メンバーの表情から、
充実した夜を過ごしたことが伺えた。
朝から行われたレセプション&クロージングセレモ
ニーでは、タパー高校の生徒全員が、まるで卒業式の
ように迎える中、派遣メンバーは講堂に入場した。最
初に今回の交流の様子がスライドショーでプレゼンテ
ーションされたが、それは、タパー高校の生徒が 2 日
間の交流の様子を撮影したものを、前日夜遅くまで編
集し、上映してくれたものだった。
スピーチの後、担当班からのプレゼンテーションを
行った。内容は「ことば」をテーマとしたもので、700
人を越える全校生徒を前に、堂々と文字・漢字・こと
わざ・短歌・方言という角度から日本語の魅力や不思
議さを、クイズやロールプレイを織りまぜながら、分
かりやすく説明した。プレゼンで使ったスケッチブッ
クは、生徒全員が見えるようにと、タパー高校の生徒
が前日の夜にスライドにしてスクリーンに提示してく
れた。
次に行われたお互いのパフォーマンスは「漁」をテ
ーマとしたもので、日本からの「南中ソーラン」の演
技では、派遣メンバー全員が心を一つにして三日間の
感謝の気持ちを伝えるかのような力強い演技を見せて
くれた。
セレモニーの最後は写真撮影。三日間をともに過ご
したバディに法被を着せてあげるなど、派遣メンバー
は、バディに対する感謝の気持ちを表していた。
出発のバスに乗り込
む時には涙を流し、抱
きあいながら、11月
の再会を約束して別れ
た。
昼食後に訪問した日
本企業の「UCHID
A MK」では、工場
見学とともに、岡田社長から「海外で働くということ」
について話を伺った。
「日本の魅力を伝えられること」
「根
なし草にならないように」という言葉が印象的だった。
その後、クアラルンプール最大のショッピングセンタ
ーで、買い物の時間をとったが、ショッピングセンター
には、
フル スラン
ゴール高校のロウ
先生が見送りに来
てくれた。たくさ
んのお土産を手
に、派遣メンバー
はバスに乗り込み
空港に向かった。
出国の手続きを進
めながら、
「もう一
週間伸ばしてほし
い」「帰りたくな
い」
「来年も続けて
ほしい」などの声
が聞かれ、マレー
シアでの生活が充
実していたことが伺えた。
様々な思いを胸に、派遣メンバーは帰りの飛行機に乗
り込んだ。
8月22日(土)【7日目】
早朝、機内での軽食の後、関西国際空港に到着した。
飛行機の窓から見える空港を見て、充実した交流の日々
が終わったことを寂しく思っている派遣メンバーの様子
が感じられた。
午前7時 30 分、
到着ロビーに出ると保護者の方が迎え
に来られていた。最後に次長から、この経験を 11 月につ
なげるようとの励ましがあり、髙岡知葉さんから今後も
頑張るという決意が伝えられ、解散式を終えた。
6.まとめ
この事業の中心となる実行委員会のメンバーは、奈良
県内から公募した。昨年度から実行委員を継続している
メンバーが 6 人おり、
今年度の活動の中心となっている。
派遣事業前には、前年度の様子を実行委員会で伝え、お
互いの生活や文化を理解していこうという意識を高めて
いた。
直前の実行委員会は、マレーシアでのプレゼンテーシ
ョンの準備を中心に活動したが、準備が遅れたこともあ
り、リハーサルの時間をあまりとることができず、派遣
事業直前にあわてて練習をする状態であった。そのよ
うな状況でも派遣メンバーは各自の個人練習や少ない
時間を利用しての練習などで自身をもってプレゼンを
行うことができた。
南中ソーランのパフォーマンスも同様で、全体練習
の時間をほとんどとれない中で、
個人練習を大切にし、
最高のパフォーマンスにしようとする意識が伺えた。
高校生同士の交流について、昨年度の交流校である
フル スランゴール高校の生徒達も、
今年度の交流校で
あるタパー高校の生徒達も、とても表情豊かに接して
くれる様子から、派遣メンバーも積極的に交流する姿
が見られた。2つの学校の学生寮での生活を体験でき
たことで、交流も深まり、積極的に相手の生活や文化
を理解しようとする姿も多く見られた。
本事業を終えた派遣メンバーからは充実した様子が
伺えたが、この事業は、折り返し点を迎えたところで
ある。今後、11月に予定されている受入事業におい
て、今回の派遣事業に参加できなかった実行委員とと
もに、今回の派遣事業で感じたことを元にして準備を
進めていく。
(主任企画指導専門職 鈴口 真也)