第 26 回万有仙台シンポジウム Poster 発表要旨 無保護 1,2-アンヒドロ糖: 無保護糖の一段階誘導体化における鍵中間体 Unprotected 1,2-Anhydro Sugar: A Key Intermediate in Direct Derivatization of Unprotected Sugars 芹澤一成,野口真人,正田晋一郎(東北大学大学院工学研究科) 当研究室では,ホルムアミジン型脱水縮合剤を用いた水溶液中における無保護糖からのグリコシ ルアジド 1)やチオグリコシド 2)の一段階合成反応を報告している.これらの反応は,1,2-trans グリ コシドを選択的に与えることから,2 位ヒドロキシ基のアノマー炭素への求核攻撃により生じる 1,2-アンヒドロ糖を経由して反応が進行すると我々は考察している(Scheme 1). Formamidinium-type dehydrating agent OH O OH OH Free sugars Scheme 1 Base Nucleophile (NaN3, RSH) Nu OH O OH O Nu O 1,2-Anhydro sugars OH glycosides Direct synthesis of glycosyl azides and thioglycosides using a dehydrating agent. しかしながら,我々の研究を含め,世界中で無保護の 1,2-アンヒドロ糖を合成あるいは直接観測 した結果はこれまで報告されていない.反応中間体である無保護 1,2-アンヒドロ糖を捉えることが できれば,反応機構解明の重要な手がかりとなるだけでなく,新規なグリコシル化反応への展開も 期待できる.本研究では,低温条件において反応溶液の NMR を直接測定することにより,無保護 1,2-アンヒドロ糖の検出を試みた. N+ Cl D-グルコースを基質として,脱水縮合剤 Cl N に 2-クロロ-1,3-ジメチルベンゾイミダゾリ OH OH ウムクロリド(CDMBI),塩基にトリエチル HO CDMBI O HO O OH HO Et3N アミンを用い,重水-アセトニトリル混合溶 HO OH O D2O / CH3CN =1 / 1 媒中,-10 oC で反応溶液の NMR を直接測定 Glucose (250 mM) 1,2-Anhydro glucose -10 oC した(Scheme 2).その結果,13C NMR にお Scheme 2 The formation of unprotected 1,2-anhydro glucose using CDMBI. いて,生成物の 1 位および 2 位の炭素に由 C1 来するピークについて,エポキシ化特有の C2 顕著な高磁場シフトが認められた(Figure). 各種 NMR の解析結果から,本反応におけ る無保護 1,2-アンヒドロ糖の生成を確認す ることができた. さらに,グルコース以外の単糖やオリゴ 糖を基質とした 1,2-アンヒドロ化反応につ 80 75 70 65 60 55 いても検討した結果,各種無保護 1,2-アン d / ppm Chemical Shift (ppm) 13 ヒドロ糖の生成を確認することができた. Figure C NMR spectrum of the reaction mixture. 2_13C.001.1r.esp <参考文献> 1)T. Tanaka, H. Nagai, M. Noguchi, A. Kobayashi, S. Shoda, Chem. Commun., 2009, 23, 3378. 2)T. Tanaka, T. Matsumoto, M. Noguchi, A. Kobayashi, S. Shoda, Chem. Lett., 2009, 38, 458. 発表者紹介 氏名 芹澤一成(セリザワカズナリ) 所属 東北大学大学院工学研究科バイオ工学専攻 学年 D1 研究室 機能高分子研究室(正田研究室)
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