株式会社は法的実体であり、州の株式会社法に沿って、会社

会社設立-3
「株式会社について」
株式会社は法的実体であり、州の株式会社法に沿って、会社設立、維持、統制が行わ
れます。株主が会社を所有していますが、株主は経営には重要な役割を果たしません。
株主の役割は、取締役会の選任です。株主による取締役会の選任後、取締役会で役
員である、社長、副社長、会計、秘書等が選任され、役員は取締役会に従って株式会
社を管理、運営します。多くの州において、一人の人間が唯一の株主と経営者として株
式会社を所有し、運営する例も珍しくはありません。
法人化への第一歩は、株式会社の名前を決めることから始まります。法人を設立する
州に同じ名前の会社が既に存在している場合、または既に類似した会社名が存在して
いる場合、その名前を選ぶことは出来ません。以前は Corporation、Corp.、Inc.を会社
名に使う事が義務付けられていましたが、今日では多くの州でそれを義務付けてはい
ません。希望の会社名を使用出来るかどうか確認したい場合は、州の Secretary of
State 宛てに問合せの書類を出し、会社名の調査と保存を依頼する事が出来ます。料
金は、およそ$20 以下かかります。また、会社名の保留を頼むことも出来ます。その
場合、$20 から$50 が会社名ごとにかかります。このサービスでは、すべての州で多
数の会社名の中から会社に合った名前を調べ、保存してくれるものです。尚、保存期
間は 30 日から 60 日です。
希望の会社名を獲得する事に成功した後は、定款(Articles of Incorporation)を州に
登録します。定款は簡潔なものであるべきです。会社の細かな規約は、取締役会の決
議案や会社内規(Bylaws)等の書類に含まれるべきです。登録料は州により異なりま
すが、カリフォルニア州では$100 となっています。多くの州では、毎年支払われるべき
法人税を法人設立の際に支払う事を義務付けています。法人税は、一般的に$1,000
以下です。定款の登録をし、それが正式に受理された後、法人設立者は辞職し、取締
役会を選任します。その後、取締役会は、役員を選び、会社運営を開始します。それぞ
れの州には、会社の日常の運営に、固着する無数の法令があります。
約46州とワシントン DC では、負債制限のある事業形態、有限会社(LLC)を認める法
律が制定されています。有限会社の登録において、会社設立の為には最低 2 人以上
の出資者(メンバー)が必要とされますが、定款を州に登録する事で会社を設立する形
式は通常の株式会社と同じです。共同経営同意書に似たもので、営業契約書(Opera
ting Agreement)とういものがあり、その中には有限会社の出資者の権利と義務に関
する規約が示されています。有限会社は、通常、S または C コーポレーションとしてで
はなく、合名会社と同じ形式で IRS により課税されます。有限会社の設立を考えている
場合は、州の有限会社の法令に関して詳しい専門家の意見を仰ぎ、その分野の会社
法に長けている弁護士を選ぶべきです。
法人の利点。個人責任。株式会社は別個の事業形態であり、株式会社に課せられた
税金及び負債に関しては株式会社のみに債務があります。すなわち、株式会社の負
債は、個人的な負債とは別な物であるという事です。株主は、個人的に法的責任が問
われることはありませんが、株を所有する事により貢献する資本金には責任がありま
す。また、株式会社が規定に沿って組織、又は運営されていない事により、裁判所が
その企業団体を法人とは正式に認めない場合、株主が個人的に法的責任を問われる
ことがあります。このような事から、会社が州の株式会社法に沿っているかどうかには
常に気を配り、株式会社法と規定に沿って会社運営が成されるよう最善の注意を図る
べきです。
法人の欠点。法的費用及び運営継続への努力。法人登録の際にかかる法的費用は、
$2,500 以上かかる可能性があります。また、会社運営の継続の為には必要に応じて
州より義務付けられた書類を提出しなければいけません。通常、取締役会は、より良
い会社運営を目指し、定期的に結成、決議されなければなりません。取締役会での決
定事項は一般的に会社の議事録に記録されます。社内の誰か(通常、秘書の業務)が
会社運営は州の株式会社法に沿っているかどうか、そして株式会社法に沿った必要な
書類を提出しているかどうか、弁護士と共に常に管理をすべきです。会社が十分に組
織化されていたならば、この作業には毎月数時間を費やすだけで済むでしょう。
S コーポレーションとC コーポレーション。株式会社は S コーポレーションか C コーポ
レーションのどちらかを選ぶことができます。これらは株式会社の特別なタイプではなく、
IRS の連邦税金の違いです。C コーポレーションの所得は二度にわたり課税されます。
法人に対する課税と、株主への配当があった場合は株主に対する課税です。連邦法
人課税率は、現在最大で 35%です。しかし、S コーポレーションではビジネスの収支は
株主を通して行われ、それぞれの株主の所得に対して個人の所得として一度だけ課税
されます。S コーポレーションを選ぶ為には以下の条件に沿う必要があります。
1. アメリカ国内の会社である事
2. 35 人以上株主がいない事
3. 在米外国人の株主がいない事
4. 80%またはそれ以上の株を所有する子会社を持たない事
5. 一つのクラスの株のみ所有している事。(例えば、普通株か優良株のどちらかのみ。
両方を持つ事はできません。)優良株と普通株の両方を望む会社は、S コーポレー
ションを選ぶ事はできません。
(尚、この記事は参考として一般的な概要を皆様にお伝えすることを目的としたもので
あり、個々のケースに対する法律のアドバイスではありません。)