●調査レポート 埼玉県内企業 2015 年度夏季ボーナス支給予定調査 調査対象:県内企業 572 社 調査方法:アンケート方式 (5 月上旬郵送回収) 有効回答企業:251 社(回答率 43.9%) 業種別内訳:製造業 145 社 非製造業 106 社 要旨 ○2015 年度の夏季ボーナス支給方針は、全産業では、「昨夏とほぼ変わらず」は 43%と最多であ るが前年度比 3 ㌽減少し、 「昨夏より増加」は 26%と前年度比横這いの一方、 「昨夏より減少」は 11%と 5 ㌽増加するなど、やや慎重な姿勢が窺われる。この要因としては、製造業を中心に円安 に伴う原材料価格や仕入れ価格上昇分の価格転嫁が難しく収益が圧迫され、先行きの業績も不透 明なため、社員の賞与を増やせるほどまだ十分な余裕がないことが推察される。 ○従業員一人当たり平均支給予定額(従業員数による加重平均、平均年齢 40.0 歳)は、全産業では 472,212 円、前年度比 3.0%増加している。2011 年度以降の推移をみると、調査年次毎に回答企業 が異なるため、単純には比較できないものの、2012 年度の 424,410 円を底に3年連続で増加傾向 にある。 ○夏季ボーナスの支給方針や支給額を決定する際に参考にする事項(複数回答)についてみると、 全産業では、 「自社の業績」が 95%と最も多く、次いで「昨夏の支給実績」が 50%、 「同業他社と の比較」が 11%の順となっている。 1.夏季ボーナスの支給方針 今年度の支給方針については、全産業でみると、 「昨夏とほぼ変わらず」は 43%と最多で あるが前年度比 3 ㌽減少し、 「昨夏より増加」は 26%と前年度比横這いの一方、 「昨夏より減 少」は 11%と 5 ㌽増加し、また、 「支給しない」は 5%と 2 ㌽減少している。夏季ボーナス 支給方針は、やや慎重な姿勢が窺われる。(図表1-1) 図表1-1.夏季ボーナスの支給方針(全産業) 今年度・2015年度 26 2014年度 26 2013年度 43 15 2011年度 16 0% 昨夏より増加 10% 11 46 21 2012年度 (単位:%) 6 49 昨夏とほぼ変わらず 17 40% 50% 昨夏より減少 1 60% 7 12 支給方針未定 80% 5 8 17 70% 5 15 13 40 30% 15 10 52 20% 15 10 90% 支給しない 100% 夏季ボーナスの支給方針が、やや慎重になっている要因としては、製造業を中心に円安に に伴う原材料価格や仕入れ価格上昇分の価格転嫁が難しく収益が圧迫され、先行きの業績も 不透明なため、社員の賞与を増やせるほどまだ十分な余裕がないことが推察される。 業種別にみると、 「昨夏とほぼ変わらず」が、製造業では 41%で、非製造業では 46%とと もに最も多くなっている。 「昨夏より増加」(製造業 30%→26%、非製造業 21%→25%)は前 年度に比べ製造業が減少するのに対して非製造業で増加している。一方で、 「昨夏より減少」 (製造業 7%→14%、非製造業 3%→8%)は製造業で増加幅が大きく、製造業が非製造業より も慎重な支給方針となっている。(図表1-2、1-3) 図表1-2. 夏季ボーナスの支給方針(製造業) 今年度・2015年度 26 2014年度 41 30 2013年度 2012年度 0% 10% 昨夏より増加 20% 30% 昨夏とほぼ変わらず 50% 昨夏より減少 60% 25 70% 80% 支給方針未定 46 2014年度 21 52 2013年度 20 54 2012年度 15 2011年度 8 0% 昨夏より増加 10% 20% 30% 昨夏とほぼ変わらず 40% 50% 昨夏より減少 2 (単位:%) 14 3 60% 支給方針未定 10 12 9 12 17 70% 7 14 5 13 100% 支給しない 9 48 7 90% 8 53 6 17 図表1-3. 夏季ボーナスの支給方針(非製造業) 今年度・2015年度 2 13 20 40% 5 18 16 36 4 16 13 51 20 15 7 45 14 2011年度 14 42 22 (単位:%) 11 14 80% 90% 支給しない 100% 2.支給額決定の参考項目 夏季ボーナスの支給方針や支給額を決定する際に参考にする事項(3項目以内複数回答) についてみると、全産業では、 「自社の業績」が 95%と最も多く、次いで「昨夏の支給実績」 が 50%、 「同業他社との比較」が 11%の順で、前年度とほぼ同様な結果であった。業種別で 見ても、全産業とほぼ同様な結果となっている。その一方で、製造業では、「昨夏の支給実 績」(50%→49%)と「同業他社との比較」(14%→9%)の割合が低下しているのに対して、非 製造業では、 「昨夏の支給実績」(42%→50%)と「同業他社との比較」(10%→15%)の割合が 高まっている。また、アベノミクスによる経済の好循環を生み出すための「政府による賃上 げ要請」に応えて支給額を決定する企業(1%→3%)は、少ない。(図表2) 図表2. 夏季ボーナス支給予定額決定の参考項目 (単位:%) 全 産 業 ・2015年度 95 2014年度 50 92 製造業 ・2015年度 47 97 2014年度 94 非製造業 ・2015年度 92 2014年度 20 自社の業績 国内の平均支給額 40 12 49 9 50 14 50 88 0 11 42 60 80 昨夏の支給実績 県内の平均支給額 100 15 10 120 140 同業他社との比較 政府による賃上げ要請 160 180 200 同規模企業との比較 その他 (注)複数回答のため合計は100%にならない。 3.従業員一人当たり平均支給予定額及び平均支給予定月数 (1)一人当たり平均支給予定額 従業員数により加重平均した一人当たり平均支給予定額(平均年齢 40.0 歳、以下、「支給 予定額」という。)は、全産業で 472,212 円と前年度比 3.0%増加している。2011 年度以降の 推移をみると、調査年次毎に回答企業が異なるため、単純には比較できないものの、2012 年 度の 424,410 円を底に3年連続で増加傾向にある。 業種別にみると、製造業は 452,195 円、4.6%増、非製造業は 488,814 円、1.6%増となっ ている。非製造業は、全業種の中で小売業が最高で、次いで卸売となっていることなどから、 製造業を約 3.7 万円上回っている。 規模別にみると、規模の大きい企業(パート・アルバイトを含む従業員 100 人以上の企業) の 495,333 円、2.2%増に対して、規模の小さい企業(パート・アルバイトを含む従業員 100 3 人未満の企業)は 345,497 円、7.8%増となっている。規模の大きい企業と規模の小さい企業 との支給予定額の差は、昨年度の約 16.4 万円から約 15.0 万円までに縮小したものの、依然 として規模間格差が窺われる。 (図表3、5、6) 図表3. 一人当たり平均支給予定金額(従業員数による加重平均) (単位:円) 472,212 全 産 業 合 計 495,333 2015年度支 給予定金額 2014年度実 績金額 452,195 100人以上 345,497 100人未満 製造業合計 385,293 素 材 型 520,467 加工組立型 319,907 生活関連型・その他 488,814 非製造業合計 建 352,243 設 417,572 住宅建設 卸 売 548,052 小 売 548,366 288,824 運輸・倉庫、不動産 424,796 その他非製造業 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 600,000 (2)一人当たり平均支給予定月数 従業員数により加重平均した一人当たり平均支給予定月数(以下、「支給予定月数」という) は、全産業では 1.76 か月で、前年度に比べ 0.05 か月と僅かながら増加している。 業種別にみると、製造業は 1.66 か月、0.06 か月増、非製造業も 1.84 か月、0.03 か月増 とともに増加している。 規模別にみると、規模の大きい企業は 1.83 か月と、規模の小さい企業の 1.35 か月を 0.48 か月上回っている。支給予定月数でも規模間格差が窺われる。(図表4、6) 図表4.一人当たり平均支給予定月数(従業員数による加重平均) 1.83 100人以上 1.35 100人未満 1.66 製造業合計 素 材 (単位:か月) 1.76 全 産 業 合 計 1.52 型 1.80 加工組立型 1.38 生活関連型・その他 2015年度支給予定金額 2014年度実績金額 1.84 非製造業合計 建 1.07 設 1.46 住宅建設 卸 売 小 売 1.98 2.02 1.39 運輸・倉庫、不動産 1.80 その他非製造業 0.00 0.50 1.00 4 1.50 2.00 2.50 (単位:円) 550,000 図表5.年度別一人当たり平均支給予定額の比較(業種別) 全産業 製造業 500,000 481,138 非製造業 458,552 454,997 450,000 430,822 424,410 426,749 422,331 426,252 472,212 445,849 452,195 432,290 388,627 400,000 488,814 398,016 350,000 300,000 250,000 11 12 13 14 15 (年度) (注1)従業員数による加重平均により算出している。 (注2)2014年度の数値は、2015年度調査当該企業の支給額である。 図表6.従業員一人当たりの平均支給予定額及び平均支給予定月数(従業員数による加重平均) (単位:円、か月) 全産業 (平均年齢40.0歳) 100人以上 100人未満 製造業 (平均年齢40.6歳) 素材型 加工組立型 生活関連型・その他 非製造業 (平均年齢39.1歳) 建設 住宅建設 卸売 小売 運輸・倉庫、不動産 その他非製造業 2015年度 2014年度 支給予定額 支給額 472,212 495,333 345,497 452,195 385,293 520,467 319,907 488,814 352,243 417,572 548,052 548,366 288,824 424,796 458,552 484,479 320,633 432,290 375,670 490,417 317,950 481,138 326,777 406,178 546,259 540,418 275,933 412,961 前年度比 増減率(%) 3.0 2.2 7.8 4.6 2.6 6.1 0.6 1.6 7.8 2.8 0.3 1.5 4.7 2.9 2015年度 支給予定月数 1.76 1.83 1.35 1.66 1.52 1.80 1.38 1.84 1.07 1.46 1.98 2.02 1.39 1.80 2014年度 支給月数 支給月数 1.71 1.80 1.27 1.60 1.49 1.71 1.39 1.81 1.04 1.43 1.94 1.98 1.34 1.77 前年度差 0.05 0.03 0.08 0.06 0.03 0.09 -0.01 0.03 0.03 0.03 0.04 0.04 0.05 0.03 (注)製造業では下記のとおり、非製造業では図表中に記載のとおり業種を集約した。 素 材 型 : 繊維・衣服・その他の繊維、木材・木製品・家具、パルプ・紙・紙加工品、化学・石油製品・ プラスチック・ゴム製品、窯業・土石、鉄鋼・非鉄金属、金属製品 加 工 組 立 型 : 一般機械器具、電気・情報通信機械器具、電子部品・デバイス、輸送用機械、精密機械 生活関連型 ・ その他 : 飲・食料品、印刷・同関連業、その他製造業 以上 5
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