埼玉県内企業 2015 年度冬季ボーナス支給予定調査

埼玉県内企業 2015 年度冬季ボーナス支給予定調査
調査対象:県内企業 568 社
調査方法:アンケート方式 (11 月上旬郵送回収)
有効回答企業:190 社(回答率 33.5%)
業種別内訳:製造業 107 社
非製造業 83 社
要旨
○2015 年度の冬季ボーナス支給方針は、全産業でみると、
「昨冬とほぼ変わらず」とする回答
が前年度比 2 ㌽増の 53%と過半を占める結果となっている。その一方で、
「昨冬より増加」は
19%と前年度比 1 ㌽減少し、
「昨冬より減少」は 10%と同比 4 ㌽増加するなど、回答企業の一
部ではやや消極的な取組姿勢も窺われる。
○支給予定額を回答している企業について集計した結果、従業員数により加重平均した一人
当たり平均支給予定額(平均年齢 40.9 歳)は、全産業では 454,507 円、前年度比 0.8%増とほ
ぼ同様な水準となっている。従業員数により加重平均した一人当たり平均支給予定月数も
1.83 か月と前年度と同様な月数であった。
1.冬季ボーナスの支給方針
今年度の支給方針は、全産業でみると、「昨冬とほぼ変わらず」とする回答が前年度比 2
㌽増の 53%と過半を占める結果となっている。その一方で、
「昨冬より増加」は 19%と前年
度比 1 ㌽減少し、
「昨冬より減少」は 10%と同比 4 ㌽増加している。
冬季ボーナス支給方針は、国内景気が足踏みする下で、中国経済の減速や米国の利上げの
影響が懸念されることなどからやや後ろ向きの姿勢も窺えるが、回答企業の過半は昨冬並み
の支給確保に努めている方針となっている。
(図表1-1)
図表1-1. 冬季ボーナスの支給方針(全産業)
今年度・2015年度
19
53
2014年度
20
51
2013年度
19
0%
昨冬より増加
16
46
20%
昨冬とほぼ変わらず
40%
昨冬より減少
1
12
8
51
19
2011年度
16
6
51
14
2012年度
13
10
14
60%
支給方針未定
80%
5
7
10
11
8
14
7
100%
支給しない
業種別に前年度からの変化をみると、製造業では、「昨冬より増加」と「昨冬とほぼ変わ
らず」の合計が 68%→69%でほとんど変化がないが、
「昨冬より増加」が 4 ㌽減少し、
「昨冬
より減少」も 4 ㌽増加するなど、若干慎重な姿勢も見受けられている。一方、非製造業では、
「昨冬より増加」と「昨冬とほぼ変わらず」の合計が 75%→78%と増加すると共に、
「昨冬
より減少」が 3 ㌽増加するものの「昨冬より増加」も 4 ㌽増加するなど、前向きな姿勢とな
っている。
このことは、相対的に外需に依存する傾向がある製造業が新興国経済の低迷等により伸び
悩んでいる一方、内需を主体とする非製造業では引き続き底堅く推移している結果と推測さ
れる。
(図表1-2、1-3)
図表1-2. 冬季ボーナスの支給方針(製造業)
今年度・2015年度
20
49
24
2014年度
2013年度
18
2012年度
17
0%
昨冬より増加
22
46
20%
30%
昨冬とほぼ変わらず
40%
15
50%
昨冬より減少
60%
70%
80%
19
支給方針未定
0%
昨冬より増加
60
17
2011年度
20%
昨冬とほぼ変わらず
30%
40%
昨冬より減少
2
100%
60%
70%
支給方針未定
6
13
4
9
12
10
12
9
14
14
50%
5
3
9
45
10%
13
10
6
55
9
2012年度
5
(単位:%)
60
20
2013年度
12
支給しない
59
15
2014年度
8
90%
図表1-3. 冬季ボーナスの支給方針(非製造業)
今年度・2015年度
6
15
11
44
3
17
9
48
10%
15
13
44
21
2011年度
(単位:%)
80%
10
90%
支給しない
100%
2.支給予定額決定の参考項目
冬季ボーナスの支給方針やボーナス支給額を決定する際に参考にする事項(3 項目以内複
数回答)についてみると、全産業では、「自社の業績」が 92%(前年度 94%)と最も多く、次
いで「昨冬の支給実績」が 54%(同 55%)、
「同業他社との比較」が 9%(同 13%)の順で、こ
れら 3 項目の順位も変わりなく引き続き上位を占めた。
業種別では、前年度と比べ「昨冬の支給実績」は、製造業が 8 ㌽減少したのに対して、非
製造業が 9 ㌽増加している。また、
「同業他社との比較」は、製造業が前年度比 2 ㌽、非製
造業が同比 8 ㌽とともに減少している。
ボーナス支給の可否や支給額を決定する要因として、
「自社の業績」と「昨冬の支給実績」
を重視する状況は変わらず、あくまで自社本位で「政府の賃上げ要請」に呼応する動きはご
く僅かにとどまっている。
(図表2)
図表2.冬季ボーナス支給額決定の参考項目
全産業・2015年度
92
2014年度
94
製造業・2015年度
93
(単位%)
非製造業・2015年度
89
2014年度
89
0
20
40
13
55
7
50
98
2014年度
9
54
9
58
12
60
20
51
60
80
100
120
140
160
180
自社の業績
昨冬の支給実績
同業他社との比較
同規模企業との比較
国内の平均支給額
県内の平均支給額
政府による賃上げ要請
その他
200
3.従業員一人当たり平均支給予定額及び平均支給予定月数(注)
(1)一人当たり平均支給予定額
支給予定額を回答した企業について集計した結果、従業員数により加重平均した一人当た
り平均支給予定額(平均年齢 40.9 歳、以下、「支給予定額」という。)は、全産業で 454,507
円と前年度比 0.8%増とほぼ同様な水準となっている。
業種別にみると、製造業は 404,657 円、0.9%減、非製造業は 479,262 円、1.5%増と、支
給額予定額は、製造業が前年度に比べ減少しているのに対して、非製造業が増加している。
こうした背景には、前述したように、国内景気が足踏みする中で、相対的に外需に依存す
る傾向がある製造業では、新興国経済の低迷等により一部で売上・受注が減少する動きがみ
3
られ、先行きの業績も米国の利上げの影響が懸念されるなど多くは期待できない状況がある。
このため、素材型と加工組立型が支給額を押し下げている。一方、非製造業では、内需を主
体としており、大消費地である首都圏を控えている小売のほか、人手不足に直面している建
設や運輸・倉庫などが支給額を押し上げている。
規模別にみると、規模の大きい企業(パート・アルバイトを含む従業員 100 人以上の企業)
の 481,387 円、1.1%増に対して、規模の小さい企業(パート・アルバイトを含む従業員 100
人未満の企業)は 303,133 円、0.0%の横ばいとなっている。規模の大きい企業は、規模の小
さい企業よりも支給予定額で約 17.8 万円上回るなど、規模による格差が顕著となっている。
(図表3、5、6)
(注)本節の「従業員一人当たり平均支給予定額及び平均支給予定月数」の集計企業は、前述の「1.冬季ボ
ーナスの支給方針」及び「2.支給予定額決定の参考項目」の回答企業のうち、支給予定額と支給予定月数
を回答した企業であり、回答数が異なる。
図表3.一人当たり平均支給予定額(従業員数による加重平均)
(単位:円)
454,507
全産業合計
303,133
100人未満
481,387
100人以上
404,657
製造業合計
385,411
素 材 型
394,557
加工組立型
443,362
生活関連型
・その他
479,262
非製造業合計
建
374,488
設
509,018
住宅建設
卸
売
小
売
273,834
573,864
258,962
運輸・倉庫、不動産
その他
非製造業
450,373
0
100,000
200,000
300,000
2015年度支給予定額
4
400,000
500,000
2014年度実績額
600,000
700,000
(2)一人当たり平均支給予定月数
従業員数により加重平均した一人当たり平均支給予定月数(以下、「支給予定月数」とい
う。)は、全産業では 1.83 か月で、前年度と同様の月数となっている。
自社の業績のほか、今年度の賃上げ状況などを踏まえながら、人材確保や従業員の待遇改
善にも配慮し、少なくとも前年度並みを維持しようと努めた結果と推察される。
業種別にみると、製造業は 1.67 か月、前年度に比べ 0.01 か月減に対して、非製造業は 1.91
か月で前年度と同様の月数で、非製造業が製造業を 0.24 か月上回っている。
規模別にみると、規模の大きい企業は 1.93 か月と、規模の小さい企業の 1.25 か月を 0.68
か月上回り、規模の格差が窺われる。
(図表4、6)
図表4.一人当たり平均支給予定月数(従業員数による加重平均)
(単位:か月)
1.83
全産業合計
1.26
100人未満
1.93
100人以上
1.67
製造業合計
素
材
1.61
型
1.57
加工組立型
生活関連型
・その他
1.87
1.91
非製造業合計
建
1.29
設
1.72
住宅建設
卸
売
小
売
1.07
2.25
1.10
運輸・倉庫、不動産
その他
非製造業
0.00
1.91
0.50
1.00
2015年度支給予定月数
5
1.50
2014年度実績月数
2.00
2.50
図表5.年度別一人当たり平均支給予定額の比較(業種別)
(単位:円)
550,000
全産業
製造業
非製造業
500,000
474,546
454,461
447,378
440,577
443,375 437,553
450,000
479,262
472,178
450,976
454,507
441,502
400,000
434,698
408,342
350,000
404,657
401,160
300,000
250,000
11
12
13
14(注2)
15
(年度)
(注1)従業員数による加重平均により算出している。
(注2)2014年度の数値は、2015年度調査当該企業の支給額である。
図表6.一人当たり平均支給予定額及び支給予定月数(従業員数による加重平均) 区 分
全産業(平均年齢 40.9歳)
100人未満
100人以上
製造業(平均年齢41.2歳) (注1)
素材型
加工組立型
生活関連型・その他
非製造業(平均年齢 40.5歳)
建設 (注2)
住宅建設
卸売
小売
運輸・倉庫、不動産
その他非製造業
2015年度 2014年度
支給予定額
支給額
454,507
303,133
481,387
404,657
385,411
394,557
443,362
479,262
374,488
509,018
273,834
573,864
258,962
450,373
450,976
303,255
476,362
408,342
403,629
399,332
425,067
472,178
290,446
509,734
278,747
562,761
240,136
444,635
(単位:円、か月)
前年度比
2015年度 2014年度
増減率(%) 支給予定月数 支給月数 前年度差
0.8
0.00
1.83
1.83
0.0
0.01
1.26
1.25
1.1
0.00
1.93
1.93
-0.9
-0.01
1.67
1.68
-4.5
-0.04
1.61
1.65
-1.2
-0.02
1.57
1.59
4.3
0.06
1.87
1.81
1.5
0.00
1.91
1.91
28.9
0.16
1.29
1.13
-0.1
-0.07
1.72
1.79
-1.8
-0.04
1.07
1.11
2.0
0.02
2.25
2.23
7.8
-0.01
1.10
1.11
1.3
0.02
1.91
1.89
(注1)製造業については、業種ごとの回答数にばらつきがあるため、下記の業種分類で集計した。
素材型:繊維・衣服・その他の繊維、木材・木製品・家具、パルプ・紙・紙加工品、化学・石油
製品・プラスチック・ゴム製品、窯業・土石、鉄鋼・非鉄金属、金属製品
加工組立型:一般機械器具、電気・情報通信機械器具、電子部品・デバイス、輸送用機械、精密
機械
生活関連型・その他:飲・食料品、印刷・同関連業、その他製造業
(注2)建設の2015年度支給予定額が増加した要因は、人手不足などを背景に支給予定月数やボーナス支
給算定基礎となる定例給与が前年度より大幅に改善した回答企業が含まれることによる。
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